2016/08/02(火) - 09:15
フランスの老舗カーボンホイールブランド、コリマ。ラインアップの最高峰であり、カーボンスポークを使用した独自構造により反応性と軽量性を両立させた「MCC」シリーズより、32mmハイトのクライミングモデル「32mm MCC"S+"」をインプレッションした。
フランス東部に拠点を構えるホイールブランドのCORIMA(コリマ)。もともとはヘリコプターのローターなどを手掛けていたメーカーであり、その高い技術力を元手に自転車業界へと参入。90年代初頭からロード用とトラック用のホイールを作り続け、世界トップクラスのレーサーから支持を集めてきた。また、かつてはカンパニョーロにBORA用エアロリムの供給を行っていたこともある。
現在は、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)やファビオ・アル(イタリア)など、多数の強豪ライダーを抱えるプロチーム「アスタナ」にホイールを供給。グランツールをはじめとした世界各国のレースで勝利に貢献している。
現在コリマのラインアップにおいて、最高峰モデルに位置づけられ、アスタナのライダーたちがここ一番とう重要なレースで使用するのが「MCC」シリーズだ。今回は登りで軽さが活きるペア重量1,090gの32mmハイトモデル「32mm MCC"S+"」をインプレッションした。
スポークは全てUDカーボン製で、前後輪ともスポーク数は12本とされている。リムハイトと相まって、その見た目の華奢さには不安を覚えざるを得ないが、軽量性と反応性を高バランスで両立させることに成功。さらには、スポーク数が少ないことにより、リムハイトが低いながらも優れた空力性能を実現している。
直径5mmほどのスポークはUDカーボン製。フロントはバテッドさせることで、空気抵抗のさらなる低減に貢献。一方のリアは剛性を重視して丸断面とされている。スポーキングは前後ともにラジアル組ではあるが、フロントは回転中心から放射状にスポークが伸びるのに対し、リアは接線方向にスポークが伸びる特徴的な設計によって剛性を高めている。
そして、前後共にハブもUDカーボン製だ。フロントはフランジ径を大きくすることでスポーク長を短くし、剛性の向上に貢献。リアは反応性を高める30Tフリ―ホイールラチェットリングや、チタンとアルミを適材適所で組み合わせた直径17mmオーバーサイズシャフトによって強化。フリーボディは工具なしで簡単に着脱可能になり、メンテナンス性が向上している。
3Kカーボン製リムはエアロダイナミクスと横剛性に優れるカムテール断面を採用し、幅は近年主流の幅広タイヤの相性の良い22.6mmとしている。また、内部には発泡フォームを充填することで耐久性を向上させ、予めスピードセンサー用マグネットを埋め込むことで、ホイールバランスの乱れを抑えた。
フリーボディはシマノ9/10/11s対応とンパニョーロ9/10/11s対応の2種類をラインアップ。ハブと同じUDカーボン製レバーにチタンシャフトを組み合わせた軽量QRレバー、リムへのダメージが少ないオリジナルのコルク製ブレーキシュー、持ち運びの際や保管時に便利なホイールバッグ、ステッカーが付属する。
ー インプレッション
「軽さはもちろん、脚に優しいラグジュアリーな乗り味も魅力」上萩泰司(カミハギサイクル )
優しい乗り心地であることが目立つホイールでした。特に縦方向への振動吸収性が高く、路面からの衝撃をいなすことはもちろん、ガツンと踏んだ時も脚への負荷を和らげてくれるような印象がありました。バイクの乗り心地がぐっと向上するので、レース機材ではあるものの、ロングライド派ユーザーにも使ってもらえるホイールだなと思います。
とても軽量に仕上がっているため、物理的に少ない力でもスッとバイクが前に出てくれる。ルックス的に横剛性は大丈夫なのかと少々不安に感じていましたが、ダンシングでもがいても、リムがシューにタッチすることはありません。このスポーク本数で、この横剛性を出せることに驚きますね。
ただ前述した通り縦方向に対してマイルドですから、スプリンターではなく、体重の軽いクライマー系の選手に合うホイール。アップダウンをハイアベレージで駆け抜ける、山岳グランフォンド的な走りをしたい場合に大きな味方になってくれるかと思います。ダンシングでもシャキッと進むし、ダウンヒルでも不安に感じる部分がありません。ブレーキの効き具合も全く悪くありませんでしたよ。
ハブに関してもスムーズに回りますし、リアラチェットのサウンドも大きすぎず小さすぎず、心地良い。エアロを意識しているのか、あまり他では見られない形状のクイックレリーズも締め付け具合が把握しやすいものでした。ホイールそのもののみならず、こうした付属パーツの出来も良好で評価できます。
ただしカーボンスポークを使ったコンプレッションホイールという性格上、やはりスポーク折れなどのトラブルについては通常のホイールよりも修理期間が長くなるという懸念が付きまといそうです。ただコリマ社は昔から修理に関して細やかに対応してくれていたので、そうした部分には期待したいですね。
他には無いコリマらしいルックスと、期待を裏切らない軽さが持ち味ホイールです。バイクのルックスを一段引き上げてくれますし、乗り心地を高めてくれるため、軽量バイクの決戦用としてはもちろん、ロングライドバイクのラグジュアリーカスタムとしても選択肢に入ってくると思います。
コリマ 32mm MCC"S+"
ホイールサイズ:700C
リム形式:チューブラー
リムハイト:32mm
リム幅:22.6mm
スポーク:カーボン、12H(前後共に)
ハ ブ:MCC"S+"
重 量:460g(フロント)、630g(リア)
対応カセット:シマノ9/10/11s、カンパニョーロ9/10/11s
付属品:ブレーキシュー、QRレバー、ホイールバッグ、ステッカー
税抜価格:205,000円(フロント)、237,000円(リア)
インプレッションライダーのプロフィール
上萩泰司(カミハギサイクル )
愛知県下に3店舗を展開するカミハギサイクルの代表取締役を務める。20年以上のショップ歴を持つベテラン店長だ。ロードバイクのみならず、MTBやシクロクロスなど様々な自転車の楽しみ方をエンジョイしている。中でも最近はトライアスロンに没頭しているとのことで、フランクフルトのアイアンマンレースで完走するなど、その走力は折り紙つき。ショップのテーマは"RIDE with Us"。お客さんと共に自転車を楽しむことができるお店づくりがモットー。
CWレコメンドショップページ
カミハギサイクル
ウェア協力:アソス
シューズ&ヘルメット協力:ジロ
text:CW編集部
photo:Makoto.AYANO
フランス東部に拠点を構えるホイールブランドのCORIMA(コリマ)。もともとはヘリコプターのローターなどを手掛けていたメーカーであり、その高い技術力を元手に自転車業界へと参入。90年代初頭からロード用とトラック用のホイールを作り続け、世界トップクラスのレーサーから支持を集めてきた。また、かつてはカンパニョーロにBORA用エアロリムの供給を行っていたこともある。
現在は、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)やファビオ・アル(イタリア)など、多数の強豪ライダーを抱えるプロチーム「アスタナ」にホイールを供給。グランツールをはじめとした世界各国のレースで勝利に貢献している。
現在コリマのラインアップにおいて、最高峰モデルに位置づけられ、アスタナのライダーたちがここ一番とう重要なレースで使用するのが「MCC」シリーズだ。今回は登りで軽さが活きるペア重量1,090gの32mmハイトモデル「32mm MCC"S+"」をインプレッションした。
スポークは全てUDカーボン製で、前後輪ともスポーク数は12本とされている。リムハイトと相まって、その見た目の華奢さには不安を覚えざるを得ないが、軽量性と反応性を高バランスで両立させることに成功。さらには、スポーク数が少ないことにより、リムハイトが低いながらも優れた空力性能を実現している。
直径5mmほどのスポークはUDカーボン製。フロントはバテッドさせることで、空気抵抗のさらなる低減に貢献。一方のリアは剛性を重視して丸断面とされている。スポーキングは前後ともにラジアル組ではあるが、フロントは回転中心から放射状にスポークが伸びるのに対し、リアは接線方向にスポークが伸びる特徴的な設計によって剛性を高めている。
そして、前後共にハブもUDカーボン製だ。フロントはフランジ径を大きくすることでスポーク長を短くし、剛性の向上に貢献。リアは反応性を高める30Tフリ―ホイールラチェットリングや、チタンとアルミを適材適所で組み合わせた直径17mmオーバーサイズシャフトによって強化。フリーボディは工具なしで簡単に着脱可能になり、メンテナンス性が向上している。
3Kカーボン製リムはエアロダイナミクスと横剛性に優れるカムテール断面を採用し、幅は近年主流の幅広タイヤの相性の良い22.6mmとしている。また、内部には発泡フォームを充填することで耐久性を向上させ、予めスピードセンサー用マグネットを埋め込むことで、ホイールバランスの乱れを抑えた。
フリーボディはシマノ9/10/11s対応とンパニョーロ9/10/11s対応の2種類をラインアップ。ハブと同じUDカーボン製レバーにチタンシャフトを組み合わせた軽量QRレバー、リムへのダメージが少ないオリジナルのコルク製ブレーキシュー、持ち運びの際や保管時に便利なホイールバッグ、ステッカーが付属する。
ー インプレッション
「軽さはもちろん、脚に優しいラグジュアリーな乗り味も魅力」上萩泰司(カミハギサイクル )
優しい乗り心地であることが目立つホイールでした。特に縦方向への振動吸収性が高く、路面からの衝撃をいなすことはもちろん、ガツンと踏んだ時も脚への負荷を和らげてくれるような印象がありました。バイクの乗り心地がぐっと向上するので、レース機材ではあるものの、ロングライド派ユーザーにも使ってもらえるホイールだなと思います。
とても軽量に仕上がっているため、物理的に少ない力でもスッとバイクが前に出てくれる。ルックス的に横剛性は大丈夫なのかと少々不安に感じていましたが、ダンシングでもがいても、リムがシューにタッチすることはありません。このスポーク本数で、この横剛性を出せることに驚きますね。
ただ前述した通り縦方向に対してマイルドですから、スプリンターではなく、体重の軽いクライマー系の選手に合うホイール。アップダウンをハイアベレージで駆け抜ける、山岳グランフォンド的な走りをしたい場合に大きな味方になってくれるかと思います。ダンシングでもシャキッと進むし、ダウンヒルでも不安に感じる部分がありません。ブレーキの効き具合も全く悪くありませんでしたよ。
ハブに関してもスムーズに回りますし、リアラチェットのサウンドも大きすぎず小さすぎず、心地良い。エアロを意識しているのか、あまり他では見られない形状のクイックレリーズも締め付け具合が把握しやすいものでした。ホイールそのもののみならず、こうした付属パーツの出来も良好で評価できます。
ただしカーボンスポークを使ったコンプレッションホイールという性格上、やはりスポーク折れなどのトラブルについては通常のホイールよりも修理期間が長くなるという懸念が付きまといそうです。ただコリマ社は昔から修理に関して細やかに対応してくれていたので、そうした部分には期待したいですね。
他には無いコリマらしいルックスと、期待を裏切らない軽さが持ち味ホイールです。バイクのルックスを一段引き上げてくれますし、乗り心地を高めてくれるため、軽量バイクの決戦用としてはもちろん、ロングライドバイクのラグジュアリーカスタムとしても選択肢に入ってくると思います。
コリマ 32mm MCC"S+"
ホイールサイズ:700C
リム形式:チューブラー
リムハイト:32mm
リム幅:22.6mm
スポーク:カーボン、12H(前後共に)
ハ ブ:MCC"S+"
重 量:460g(フロント)、630g(リア)
対応カセット:シマノ9/10/11s、カンパニョーロ9/10/11s
付属品:ブレーキシュー、QRレバー、ホイールバッグ、ステッカー
税抜価格:205,000円(フロント)、237,000円(リア)
インプレッションライダーのプロフィール
上萩泰司(カミハギサイクル )
愛知県下に3店舗を展開するカミハギサイクルの代表取締役を務める。20年以上のショップ歴を持つベテラン店長だ。ロードバイクのみならず、MTBやシクロクロスなど様々な自転車の楽しみ方をエンジョイしている。中でも最近はトライアスロンに没頭しているとのことで、フランクフルトのアイアンマンレースで完走するなど、その走力は折り紙つき。ショップのテーマは"RIDE with Us"。お客さんと共に自転車を楽しむことができるお店づくりがモットー。
CWレコメンドショップページ
カミハギサイクル
ウェア協力:アソス
シューズ&ヘルメット協力:ジロ
text:CW編集部
photo:Makoto.AYANO
リンク
Amazon.co.jp