2016/07/30(土) - 09:18
現代エアロロードのトレンドを創りだしたスコットの名車「FOIL」。フルモデルチェンジによって、空力を始めとした諸性能のブラッシュアップを図った2代目FOILをインプレッションした。パリ~ルーベをも制した次世代エアロロードの弟分の走りは如何に。
かつてのエアロロードと言えば、NACA(=現在のNASA)によって航空機向けに提唱されたモデルや縦横比に基づいた「NACA断面」と呼ばれる翼断面形状を採用しているものが全てであった。平べったく成形されたチューブで構成されたフレームは、空気を切り裂くようなデザインで見た目にインパクトがあり、丸パイプで構成された一般的なロードバイクに対して確かな空気抵抗低減効果も持っていた。
ただ、縦に高く、横に薄いチューブをもつ旧世代のエアロロードは、縦横の剛性バランスが取りづらいという問題点を抱えていた。翼断面のダウンチューブを30cmほどの定規に置き換えてみるとわかりやすく、縦方向には変形しづらく、横方向には変形しやすい。つまり空気抵抗の低減は、快適性や反応性とトレードオフの関係にあったのだ。
さらに、空気抵抗低減効果が発揮されるのは、正面から走行風が吹き付けるときだけであり、横風でを受けるとかえって抵抗が増え、コントロールが失われるというものもあった。しかし、エアロロード特有のデメリットは、FOILが登場したことにより、過去のものとなった。
メルセデス・ベンツF1チームとの共同開発によって誕生した初代FOILの最大の特徴は「F01テクノロジー」と名付けられた、いわゆるカムテール断面のチューブ形状にある。従来のNACA断面の後端を切り落としたかのようなデザインにより、あらゆる方向から吹き付ける風を受け流すことができ、縦横の剛性バランスが最適で、そして軽いという理想的なエアロロードを実現したのだ。
初代の登場から5年を経て誕生した2代目FOILは、よりエアロロード然としたフォルムへと舵を切った。シリーズのアイデンティティと言える「F01テクノロジー」を受け継ぎながらも、各チューブの断面形状を一新。初代FOILよりも6W分の空気抵抗の削減を果たした。これにより、平均時速45kmで40km走行した際に、先代FOILよりも27秒も速く走れるとスコットは主張する。
この5年の間にADDICTやSOLACEが登場したことで、エアロ性能の向上に注力することが可能となった新型FOIL。細身のヘッドチューブや、ダウンチューブと流れるようにつながるフォーククラウン、同社のTTバイク「PLASMA5」に倣ったコンパクトなリア三角、リアタイヤを覆うシートチューブ、ヘッドチューブ後方に設けたケーブルの挿入口、前後のダイレクトマウントブレーキ、専用のエアロステム&ヘッドスペーサーによって空気抵抗の低減を図っている。
また、剛性面でも大幅な進化を遂げた2代目FOIL。ヘッド周りの剛性については、上側1-1/4インチ/下側1-1/2インチの超大径フォークコラムを採用したことがトピックだ。対応するステムのバリエーションは限られるものの、その代わりにねじれ剛性を13.5%向上させることに成功した。
当然ペダリング剛性の向上も図られており、ダウンチューブを拡幅することでチェーンステーを一体化し、他方ではヘッドチューブとの接合面積を拡大。13%ものBB剛性向上を実現し、ライダーのパワーをより効率よく推進力へと変換することが可能となった。
そして、エアロロードが最も苦手とする快適性だが、薄型のシートステーとリアブレーキブリッジの省略、細身のフロントフォークにより、大幅な改善をみた。シートチューブ付近は86%、フロントフォークは11%の柔軟性向上に成功している。
これらの性能向上は、近年稀に見る激戦に多くのロードレースファンが手に汗握った今年のパリ~ルーべで証明される。強豪クラシックライダーを打破してのマシュー・ヘイマン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)の大金星は、エアロロードの歴史の新たな1ページとしても長く記憶されることだろう。
シートポストはオリジナル設計で、シマノDi2のバッテリーが内蔵可能。クランプは先代同様に臼式だが、クランプ方法を見直すことで固定力を強化。取り外し可能なチェーンガードも備え付けられるなど、細部のアップグレードも抜かりない。
今回のテストバイクに用いたのは、セカンドグレードの「FOIL 10」。プロユースのハイエンドモデルと共通の設計で、カーボンが変更となっている。それでも、フレーム単体で1,060g、フォーク単体で365g、シマノULTEGRA Di2完成車で7.5kgと、長い登りでも苦にならない軽さに仕上がっている。それではインプレッションに移ろう。
ー インプレッション
「エアロロードらしかなぬバランス感の良さがある」上萩泰司(カミハギサイクル)
いやぁ、良かったですね。モデルチェンジしてからずっと気になっていたモデルだったんです。エアロロードですが全体のバランス感が良く、レーサーとして非常に乗りやすく完成度が高いなと感じました。
今回のテストバイクが上から2番目のモデルだと頭に入れてテストしましたが、これでも十分なほどにパリッとした軽い走り心地ですね。大出力を出せるレーサーならハイエンドモデルを選ぶべきでしょうが、一台でレースからヒルクライム、ロングライドまでを求める方ならこちらがオススメ。若干剛性がコントロールされているので乗りやすいですね。
登りではシッティングとダンシングの両方でしっかりと踏んでみたところ無難にこなしてくれました。ルックスは完全なるエアロロードですが、その実かなりオールラウンドな乗り味ですよ。もちろんピュアレーサーのアディクトと比較すれば反応は曇りますが、それでも十分です。トライアスロンやTTで使うならば、専用ハンドルを使う上級モデルではなく、ステムクランプが通常タイプのこちらを選んでも良いですよね。
ヘッド周りの剛性が高めですのでブレーキングでもコーナーリングでもビシっと決まる。あえて変なこじり方をしてもフレームがよれることはありません。フロントに比べてリアの造形が細いのですが、前後のバランスもおかしくない。振動吸収に限って言えばそれほど高くありませんが、そこはキャラクター付けですし、タイヤなどの工夫でカバーできる範疇です。
最近のエアロロードはパーツの専用化が進んでいますが、このバイクに関してはフォークコラム以外はブレーキもシマノ製ですし、ハンドルも普段のものが使える。アッセンブルもフルアルテグラDi2ですし、ホイールも含めてシンクロスのパーツの出来が優秀でした。スルーアクスルのように締め込むオリジナルスキュアーも剛性感・安心感が強く好印象です。
とても万能な性格ですから、レース志向を持つ方であれば幅広く使えるでしょう。グレードアップするならばズバリ、ホイール。50mmほどのディープリムでしたら迫力も増しますし、フォイルの持ち味である平地での運動性能をより伸ばすことができますね。
他者に先駆けて軽量カテゴリーを切り開いてきたスコットですが、このフォイルには走りとしての軽さがありました。これ以上硬くなると考えればトップモデルではなくこちらの方が幅広く使えます。個人的にも欲しいな、と思ってしまいました。
「もっと踏みたくなる、高剛性が特長のエアロレーサー」生駒元保(bicycle store RIDEWORKS)
「速く走るぞー!」というやる気を起させてくれるバイク。スピードの掛かりも伸びも良く、もっと踏んでバイクの性能を出してあげたいなと思ってしまいます。特にダンシングをした際のフィーリングが硬く、ごく微妙なしなりと共にギュッと伸びる。のんびりサイクリングでは硬さに対する不満が出そうですが、あくまで高速域で活きるレーサーですから、そういった走りを好む方にベストな一台でしょう。
ハイエンドエアロロードらしく剛性は高いのですが、硬すぎるという雰囲気もありません。ダウンチューブからチェーンステーにかけてのフレーム下側部分に力強さを感じますし、フロント周りの剛性も高いのでコーナーでも不安なく突っ込むことができますね。ハンドリングの癖も特段感じませんでした。
最近のエアロロードは一世代前と比較して振動吸収性が明らかに高くなっていて、このフォイルも例外ではありません。フレーム全体で衝撃をカットしているようですが、全く乗り心地に不満を感じることもありませんでした。エアロに注力したモデルですが、全体的なバランス感は秀逸ですね。
エアロ効果も下りでスピードが上がればすぐに感じられるほどに高く、一般的なバイクと比べてスーッと車輪が出る。40km/hほどの速度域になれば誰でも体感できると思いますし、私はトライアスロンにも参加しているので、高速域での走りやすさはとても気になるところでした。TTのように高速を維持する場合もフレーム下側の剛性が手伝ってスピードが落ちにくいように感じます。
登りに関しても全く不得意ではなく、ヘッド周りの剛性が活きるのでダンシングが気持ち良く感じます。特有の乗り味を活かして、短い坂であれば全力で踏み抜きたくなってしまいますね。それだけ高速域でのフィーリングが良いんです。
確かに値の張るバイクですが、電動コンポーネントですし、性能を考えれば妥当と言えるでしょう。完成車にセットされるアルミホイールも悪くないし、ハンドル周りやサドルなどもシンクロス製でまとめられているのでパッケージとしてのまとまりも良いですね。内装式のシートクランプやDi2の配線類も隠されていますし、理屈ではないカッコよさが魅力的です。
スコット FOIL 10
フレーム:FOIL HMFIMP, F01 AERO Carbon tech.Road Race geometryReplaceable DropoutSTD Seattube / INT BB
フォーク:FOIL HMF1 1/4" - 1 1/2" Carbon steererIntegrated Carbon Dropout
コンポーネント:シマノ ULTEGRA Di2
ハンドル:シンクロス RR2.0 Anatomic 31.8mm
ステム:シンクロス Foil 1 1/4"
シートポスト:シンクロス FOIL aero Carbon
サドル:シンクロス RR2.0
ホイール:シンクロス RR2.0
タイヤ:コンチネンタル Grand Sport Race Fold 700 × 23C
サイズ:XXS/47、XS/49、S/52、M/54、L/56、XL/58、XXL/61
重 量:7.5kg(Mサイズ、実測重量)
価格税抜:580,000円(ULTEGRA Di2完成車)、320,000円(フレームセット)
インプレッションライダーのプロフィール
上萩泰司(カミハギサイクル )
愛知県下に3店舗を展開するカミハギサイクルの代表取締役を務める。20年以上のショップ歴を持つベテラン店長だ。ロードバイクのみならず、MTBやシクロクロスなど様々な自転車の楽しみ方をエンジョイしている。中でも最近はトライアスロンに没頭しているとのことで、フランクフルトのアイアンマンレースで完走するなど、その走力は折り紙つき。ショップのテーマは"RIDE with Us"。お客さんと共に自転車を楽しむことができるお店づくりがモットー。
CWレコメンドショップページ
カミハギサイクル
生駒元保(bicycle store RIDEWORKS)
兵庫県芦屋市に店舗を構えるbicycle store RIDEWORKSの店長を務める。スポーツバイク歴は30年。ショップスタッフ歴は16年ほどで、2010年3月より現職に。普段はお客さんと共にトライアスロンやロングライドなどの各イベントに参加し、自転車の楽しさを伝えている。ショップとしてのモットーは「機材にもサイクリストにも愛情を持って接すること」。愛車はスペシャライズドVenge ViasやシーポCATANA、シエロのMTB、ズッロなど、マスプロ系からハンドメイドまで多岐に渡る。
CWレコメンドショップページ
bicycle store RIDEWORKS
かつてのエアロロードと言えば、NACA(=現在のNASA)によって航空機向けに提唱されたモデルや縦横比に基づいた「NACA断面」と呼ばれる翼断面形状を採用しているものが全てであった。平べったく成形されたチューブで構成されたフレームは、空気を切り裂くようなデザインで見た目にインパクトがあり、丸パイプで構成された一般的なロードバイクに対して確かな空気抵抗低減効果も持っていた。
ただ、縦に高く、横に薄いチューブをもつ旧世代のエアロロードは、縦横の剛性バランスが取りづらいという問題点を抱えていた。翼断面のダウンチューブを30cmほどの定規に置き換えてみるとわかりやすく、縦方向には変形しづらく、横方向には変形しやすい。つまり空気抵抗の低減は、快適性や反応性とトレードオフの関係にあったのだ。
さらに、空気抵抗低減効果が発揮されるのは、正面から走行風が吹き付けるときだけであり、横風でを受けるとかえって抵抗が増え、コントロールが失われるというものもあった。しかし、エアロロード特有のデメリットは、FOILが登場したことにより、過去のものとなった。
メルセデス・ベンツF1チームとの共同開発によって誕生した初代FOILの最大の特徴は「F01テクノロジー」と名付けられた、いわゆるカムテール断面のチューブ形状にある。従来のNACA断面の後端を切り落としたかのようなデザインにより、あらゆる方向から吹き付ける風を受け流すことができ、縦横の剛性バランスが最適で、そして軽いという理想的なエアロロードを実現したのだ。
初代の登場から5年を経て誕生した2代目FOILは、よりエアロロード然としたフォルムへと舵を切った。シリーズのアイデンティティと言える「F01テクノロジー」を受け継ぎながらも、各チューブの断面形状を一新。初代FOILよりも6W分の空気抵抗の削減を果たした。これにより、平均時速45kmで40km走行した際に、先代FOILよりも27秒も速く走れるとスコットは主張する。
この5年の間にADDICTやSOLACEが登場したことで、エアロ性能の向上に注力することが可能となった新型FOIL。細身のヘッドチューブや、ダウンチューブと流れるようにつながるフォーククラウン、同社のTTバイク「PLASMA5」に倣ったコンパクトなリア三角、リアタイヤを覆うシートチューブ、ヘッドチューブ後方に設けたケーブルの挿入口、前後のダイレクトマウントブレーキ、専用のエアロステム&ヘッドスペーサーによって空気抵抗の低減を図っている。
また、剛性面でも大幅な進化を遂げた2代目FOIL。ヘッド周りの剛性については、上側1-1/4インチ/下側1-1/2インチの超大径フォークコラムを採用したことがトピックだ。対応するステムのバリエーションは限られるものの、その代わりにねじれ剛性を13.5%向上させることに成功した。
当然ペダリング剛性の向上も図られており、ダウンチューブを拡幅することでチェーンステーを一体化し、他方ではヘッドチューブとの接合面積を拡大。13%ものBB剛性向上を実現し、ライダーのパワーをより効率よく推進力へと変換することが可能となった。
そして、エアロロードが最も苦手とする快適性だが、薄型のシートステーとリアブレーキブリッジの省略、細身のフロントフォークにより、大幅な改善をみた。シートチューブ付近は86%、フロントフォークは11%の柔軟性向上に成功している。
これらの性能向上は、近年稀に見る激戦に多くのロードレースファンが手に汗握った今年のパリ~ルーべで証明される。強豪クラシックライダーを打破してのマシュー・ヘイマン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)の大金星は、エアロロードの歴史の新たな1ページとしても長く記憶されることだろう。
シートポストはオリジナル設計で、シマノDi2のバッテリーが内蔵可能。クランプは先代同様に臼式だが、クランプ方法を見直すことで固定力を強化。取り外し可能なチェーンガードも備え付けられるなど、細部のアップグレードも抜かりない。
今回のテストバイクに用いたのは、セカンドグレードの「FOIL 10」。プロユースのハイエンドモデルと共通の設計で、カーボンが変更となっている。それでも、フレーム単体で1,060g、フォーク単体で365g、シマノULTEGRA Di2完成車で7.5kgと、長い登りでも苦にならない軽さに仕上がっている。それではインプレッションに移ろう。
ー インプレッション
「エアロロードらしかなぬバランス感の良さがある」上萩泰司(カミハギサイクル)
いやぁ、良かったですね。モデルチェンジしてからずっと気になっていたモデルだったんです。エアロロードですが全体のバランス感が良く、レーサーとして非常に乗りやすく完成度が高いなと感じました。
今回のテストバイクが上から2番目のモデルだと頭に入れてテストしましたが、これでも十分なほどにパリッとした軽い走り心地ですね。大出力を出せるレーサーならハイエンドモデルを選ぶべきでしょうが、一台でレースからヒルクライム、ロングライドまでを求める方ならこちらがオススメ。若干剛性がコントロールされているので乗りやすいですね。
登りではシッティングとダンシングの両方でしっかりと踏んでみたところ無難にこなしてくれました。ルックスは完全なるエアロロードですが、その実かなりオールラウンドな乗り味ですよ。もちろんピュアレーサーのアディクトと比較すれば反応は曇りますが、それでも十分です。トライアスロンやTTで使うならば、専用ハンドルを使う上級モデルではなく、ステムクランプが通常タイプのこちらを選んでも良いですよね。
ヘッド周りの剛性が高めですのでブレーキングでもコーナーリングでもビシっと決まる。あえて変なこじり方をしてもフレームがよれることはありません。フロントに比べてリアの造形が細いのですが、前後のバランスもおかしくない。振動吸収に限って言えばそれほど高くありませんが、そこはキャラクター付けですし、タイヤなどの工夫でカバーできる範疇です。
最近のエアロロードはパーツの専用化が進んでいますが、このバイクに関してはフォークコラム以外はブレーキもシマノ製ですし、ハンドルも普段のものが使える。アッセンブルもフルアルテグラDi2ですし、ホイールも含めてシンクロスのパーツの出来が優秀でした。スルーアクスルのように締め込むオリジナルスキュアーも剛性感・安心感が強く好印象です。
とても万能な性格ですから、レース志向を持つ方であれば幅広く使えるでしょう。グレードアップするならばズバリ、ホイール。50mmほどのディープリムでしたら迫力も増しますし、フォイルの持ち味である平地での運動性能をより伸ばすことができますね。
他者に先駆けて軽量カテゴリーを切り開いてきたスコットですが、このフォイルには走りとしての軽さがありました。これ以上硬くなると考えればトップモデルではなくこちらの方が幅広く使えます。個人的にも欲しいな、と思ってしまいました。
「もっと踏みたくなる、高剛性が特長のエアロレーサー」生駒元保(bicycle store RIDEWORKS)
「速く走るぞー!」というやる気を起させてくれるバイク。スピードの掛かりも伸びも良く、もっと踏んでバイクの性能を出してあげたいなと思ってしまいます。特にダンシングをした際のフィーリングが硬く、ごく微妙なしなりと共にギュッと伸びる。のんびりサイクリングでは硬さに対する不満が出そうですが、あくまで高速域で活きるレーサーですから、そういった走りを好む方にベストな一台でしょう。
ハイエンドエアロロードらしく剛性は高いのですが、硬すぎるという雰囲気もありません。ダウンチューブからチェーンステーにかけてのフレーム下側部分に力強さを感じますし、フロント周りの剛性も高いのでコーナーでも不安なく突っ込むことができますね。ハンドリングの癖も特段感じませんでした。
最近のエアロロードは一世代前と比較して振動吸収性が明らかに高くなっていて、このフォイルも例外ではありません。フレーム全体で衝撃をカットしているようですが、全く乗り心地に不満を感じることもありませんでした。エアロに注力したモデルですが、全体的なバランス感は秀逸ですね。
エアロ効果も下りでスピードが上がればすぐに感じられるほどに高く、一般的なバイクと比べてスーッと車輪が出る。40km/hほどの速度域になれば誰でも体感できると思いますし、私はトライアスロンにも参加しているので、高速域での走りやすさはとても気になるところでした。TTのように高速を維持する場合もフレーム下側の剛性が手伝ってスピードが落ちにくいように感じます。
登りに関しても全く不得意ではなく、ヘッド周りの剛性が活きるのでダンシングが気持ち良く感じます。特有の乗り味を活かして、短い坂であれば全力で踏み抜きたくなってしまいますね。それだけ高速域でのフィーリングが良いんです。
確かに値の張るバイクですが、電動コンポーネントですし、性能を考えれば妥当と言えるでしょう。完成車にセットされるアルミホイールも悪くないし、ハンドル周りやサドルなどもシンクロス製でまとめられているのでパッケージとしてのまとまりも良いですね。内装式のシートクランプやDi2の配線類も隠されていますし、理屈ではないカッコよさが魅力的です。
スコット FOIL 10
フレーム:FOIL HMFIMP, F01 AERO Carbon tech.Road Race geometryReplaceable DropoutSTD Seattube / INT BB
フォーク:FOIL HMF1 1/4" - 1 1/2" Carbon steererIntegrated Carbon Dropout
コンポーネント:シマノ ULTEGRA Di2
ハンドル:シンクロス RR2.0 Anatomic 31.8mm
ステム:シンクロス Foil 1 1/4"
シートポスト:シンクロス FOIL aero Carbon
サドル:シンクロス RR2.0
ホイール:シンクロス RR2.0
タイヤ:コンチネンタル Grand Sport Race Fold 700 × 23C
サイズ:XXS/47、XS/49、S/52、M/54、L/56、XL/58、XXL/61
重 量:7.5kg(Mサイズ、実測重量)
価格税抜:580,000円(ULTEGRA Di2完成車)、320,000円(フレームセット)
インプレッションライダーのプロフィール
上萩泰司(カミハギサイクル )
愛知県下に3店舗を展開するカミハギサイクルの代表取締役を務める。20年以上のショップ歴を持つベテラン店長だ。ロードバイクのみならず、MTBやシクロクロスなど様々な自転車の楽しみ方をエンジョイしている。中でも最近はトライアスロンに没頭しているとのことで、フランクフルトのアイアンマンレースで完走するなど、その走力は折り紙つき。ショップのテーマは"RIDE with Us"。お客さんと共に自転車を楽しむことができるお店づくりがモットー。
CWレコメンドショップページ
カミハギサイクル
生駒元保(bicycle store RIDEWORKS)
兵庫県芦屋市に店舗を構えるbicycle store RIDEWORKSの店長を務める。スポーツバイク歴は30年。ショップスタッフ歴は16年ほどで、2010年3月より現職に。普段はお客さんと共にトライアスロンやロングライドなどの各イベントに参加し、自転車の楽しさを伝えている。ショップとしてのモットーは「機材にもサイクリストにも愛情を持って接すること」。愛車はスペシャライズドVenge ViasやシーポCATANA、シエロのMTB、ズッロなど、マスプロ系からハンドメイドまで多岐に渡る。
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ウェア協力:マヴィック、アソス
シューズ&ヘルメット協力:ジロ
text:CW編集部
photo:Makoto.AYANO
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