2016/07/21(木) - 08:21
逃げ集団で、そして総合上位勢でそれぞれの登坂勝負が繰り広げられられた超級山岳フィノー・エモッソン。骨折からの復活を遂げ優勝を飾ったイルヌール・ザッカリンら、この日活躍した選手たちのコメントを紹介。
ステージ初優勝を飾ったイルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ)
ステージ初優勝を飾ったイルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ) photo:TDWsport/Kei Tsuji
先頭でフィニッシュに向かうイルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ) photo:TDWsport/Kei Tsuji
先頭で超級山岳フィノー・エモッソンを目指すイルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ) photo:TDWsport/Kei Tsuji
下りを攻めるヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、IAMサイクリング) photo:TDWsport/Kei Tsuji
先頭で超級山岳フィノー・エモッソンに向かうラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ)とヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、IAMサイクリング) photo:TDWsport/Kei Tsujiジロ・デ・イタリアでの落車は非常に残念だった。総合表彰台に手が届きそうな状況だったのに、閉幕まで数日を残したタイミングでの落車で全てを失ってしまったから。ジロでの落車の2日後にはバイクトレーニングを再開。このツール・ド・フランスに目標をスイッチした。
ステージ優勝を飾るために、3週間にわたって集中してモチベーションを保ってきた。この勝利は自分にとってもチームにとってもとても大切。チームメイトやスタッフ、スポンサー、チームオーナーに感謝したい。ジロでの怪我から復活して果たした勝利なので格別だ。大会3週目にかけてコンディションを上げたいと思っていた。思った通りにコンディショニングが進み、リオ五輪に向けて準備が整いつつある。
これがロシアにとって2009年以来のステージ優勝であることは知っていた。古い記録や成績を若い世代が更新する時がやってきた。(ロシアのドーピングスキャンダルについて)今はレースに集中しているので、特にコメントすることはない。問題なくリオ五輪に出場できることを願う。自分にできることは、最大限準備をして最高の状態で挑むことだ。
敢闘賞を獲得したヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、IAMサイクリング)
スタートから70km走ってようやく逃げが形成されるハイスピードな展開で、息つく暇がなかった。惜しいところで勝利を逃したけど気分は悪くない。いつも通り力の限り戦った。今日はザッカリンを引き離そうと色んなタイミングで仕掛けたけど、彼は自分よりも強かった。調子はどんどん良くなっているので、残るステージでも攻撃を仕掛けたい。
ステージ3位のラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ)
今日はペーター(サガン)のおかげで逃げに乗ることができた。彼はマシーンのように先頭を弾き続け、そのおかげで山岳ポイントも獲得できたんだ。強力な走りを見せてくれた彼にとても感謝している。チームメイトとチーム、オレグ(ティンコフ)のためにこの山岳賞ジャージを最後まで守り抜きたい。
ステージ優勝を逃してしまったけど、失望はしていない。すでに今大会は6ステージで逃げている。どのステージも優勝には届いていないけど、おかげで山岳ポイントを量産できている。今日はザッカリンが最も強かった。
好調ぶりを見せたリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)
アタックしたリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)がマイヨジョーヌの姿を確認する photo:TDWsport/Kei Tsuji
今朝のミーティングで、調子とタイミングが合致すれば攻撃してもいいと監督に言われた。集団のペースはそこまで速くなかったし、リードを奪うならこのタイミングだと判断してアタックした。総合表彰台を狙うならば攻撃する他ない。調子の良さを感じていたので、アタックして、全てがうまくいった。
パリにたどり着くまでにまだハードなステージが3つ残っている。毎ステージしっかり走りたいと思う。明日の山岳タイムトライアルで重要なタイム差がつくと思う。もちろんライバルたちからタイムを奪いたい。今日の走りが明日への自信につながる。
総合リード拡大に成功したクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
1級山岳フォルクラ峠を登るマイヨジョーヌのクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:TDWsport/Kei Tsuji
超級山岳フィノー・エモッソンにフィニッシュするリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)とクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:TDWsport/Kei Tsujiリッチーが速くて前に出ることさえできなかった。今日は厳しい4日間の初日であり、明日は大きなタイム差がつくことが予想される山岳タイムトライアル。そもそも積極的に自ら前を引く必要もなかった。
もし自分が(チームスカイより)小さいチームに所属していたら、今より多くの目的を抱えて走ることになっていたと思う。例えば逃げに乗ったり、何が何でもステージ優勝を狙ったり。でも他のチームとは違って、チームスカイには自分のために100%尽くしてくれるアシストが8名揃っている。エースがツール・ド・フランスで勝つことを目的としたチームであり、エースが2人いたり、スプリンターがいたり、逃げ屋がいるチームとは違うんだ。
ツール・ド・フランスで総合リーダーになることは、単にマイヨジョーヌを着るだけではなく、毎日レース後に記者会見やドーピングコントロールをこなさないといけない。最初は戸惑うしプレッシャーになるけど、今はもう慣れた。リラックスして総合リーダーの座についている。
総合3位の座を守ったアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ)
マイヨブラン+総合3位のアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ) + photo:Makoto.AYANO
先頭でフィニッシュに向かうリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)とクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:TDWsport/Kei Tsuji数秒でも獲得できるチャンスがあるなら狙っていく。自分のパフォーマンスには満足だ。今日はクリス・フルームとリッチー・ポートの背中を追ってペースを上げた結果、バウク・モレマからタイムを奪うことに成功した。
正直言って、フルームの強さは飛び抜けている。パリの総合表彰台の真ん中に立つのは彼だと思う。このままバッドデーがやってこないことを願う。明日の山岳タイムトライアルでもタイムを失わないよう走りたい。
総合5位につけるロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
良い一日だった。最後の登りは自分向きで、勾配が増すラスト数キロに全てをぶつけたいと思っていた。急勾配区間での自分の走りには満足している。登りをうまく攻略できたと思う。イェーツと競り合う形になったので、結果的に(フルームとポートからの)タイムロスを抑えることができた。明日は自分向きの山岳タイムトライアル。ドマンシー(レース中盤に登場する登り)はよく知っているし、好きな登りの一つだ。
フルームから19秒失ったファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
ハードな展開に持ち込みたくてチームは集団のペースを上げ続けた。でも自分がアタックする準備ができていない残り6kmでチームメイトの引きが終わってしまった。残り6kmから仕掛けるのはリスクが大きく、明日からのアルプスステージのことも考慮して集団内に待機することにしたんだ。
大会2週目は強風に吹かれ、3週目は厳しいコースレイアウト。このハードなツールを乗り切るには最後までエネルギーを残しておく必要が有る。グランツールでは毎日のリカバリーが重要。でもツールは特別で、重要じゃないステージがないからどうしても疲労が蓄積してしまう。
登りで精彩を欠いたナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
フルームから28秒失ったナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:TDWsport/Kei Tsuji
決して良い一日ではなかった。調子が良いと感じていたのでもっと良い走りができると思っていたんだ。でも今日は最後の登りで身体の反応が悪かった。できる限りのことはした。残りのステージに向けてリカバリーして調子を戻したい。例年通りであれば、調子が最も上がるのは終盤のステージだ。今日は単にバッドデーだったのだと思う。
まだパリまでチャンスは残されている。それに自分はまだ26歳で、自分よりも総合上位の選手たちは経験者ばかり(イェーツを除く)。まだまだ学ぶことは多く、キャリアはまだ先が長い。
マイカのアシストに徹したペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)
今日は逃げにトライしたいと思っていた。ラファ(マイカ)に「チャンスがあれば逃げまで連れて行く」と約束していたので、自分にとってはハードだったけど、最初の60kmの平坦区間とその先の登りで彼のために引き続けた。ラファが山岳ポイントを稼いで山岳賞ジャージを守ったことを嬉しく思う。それに今日は自分のポイントも稼ぐことができた。
26分以上遅れたティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
これまで落車や体調不良で総合争いから脱落することはあった。でも今回は原因がわからない。ただ身体が動かなかった。言い訳も見つからないほど、何が起こったのかわからない。準備に間違いがなかったのかをチームと話し合わなければならない。1年間ずっと準備してきたけど、コンディションというものは難しい。
明日のタイムトライアルは自分にとってリカバリーになる。そして明後日からはリッチーを全力でサポートしたい。総合でタイムを失ったので、調子さえ戻れば、逃げに乗って展開することも可能な状態になった。
text:Kei Tsuji
ステージ初優勝を飾ったイルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ)
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ステージ優勝を飾るために、3週間にわたって集中してモチベーションを保ってきた。この勝利は自分にとってもチームにとってもとても大切。チームメイトやスタッフ、スポンサー、チームオーナーに感謝したい。ジロでの怪我から復活して果たした勝利なので格別だ。大会3週目にかけてコンディションを上げたいと思っていた。思った通りにコンディショニングが進み、リオ五輪に向けて準備が整いつつある。
これがロシアにとって2009年以来のステージ優勝であることは知っていた。古い記録や成績を若い世代が更新する時がやってきた。(ロシアのドーピングスキャンダルについて)今はレースに集中しているので、特にコメントすることはない。問題なくリオ五輪に出場できることを願う。自分にできることは、最大限準備をして最高の状態で挑むことだ。
敢闘賞を獲得したヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、IAMサイクリング)
スタートから70km走ってようやく逃げが形成されるハイスピードな展開で、息つく暇がなかった。惜しいところで勝利を逃したけど気分は悪くない。いつも通り力の限り戦った。今日はザッカリンを引き離そうと色んなタイミングで仕掛けたけど、彼は自分よりも強かった。調子はどんどん良くなっているので、残るステージでも攻撃を仕掛けたい。
ステージ3位のラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ)
今日はペーター(サガン)のおかげで逃げに乗ることができた。彼はマシーンのように先頭を弾き続け、そのおかげで山岳ポイントも獲得できたんだ。強力な走りを見せてくれた彼にとても感謝している。チームメイトとチーム、オレグ(ティンコフ)のためにこの山岳賞ジャージを最後まで守り抜きたい。
ステージ優勝を逃してしまったけど、失望はしていない。すでに今大会は6ステージで逃げている。どのステージも優勝には届いていないけど、おかげで山岳ポイントを量産できている。今日はザッカリンが最も強かった。
好調ぶりを見せたリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)
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パリにたどり着くまでにまだハードなステージが3つ残っている。毎ステージしっかり走りたいと思う。明日の山岳タイムトライアルで重要なタイム差がつくと思う。もちろんライバルたちからタイムを奪いたい。今日の走りが明日への自信につながる。
総合リード拡大に成功したクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
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ツール・ド・フランスで総合リーダーになることは、単にマイヨジョーヌを着るだけではなく、毎日レース後に記者会見やドーピングコントロールをこなさないといけない。最初は戸惑うしプレッシャーになるけど、今はもう慣れた。リラックスして総合リーダーの座についている。
総合3位の座を守ったアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ)
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正直言って、フルームの強さは飛び抜けている。パリの総合表彰台の真ん中に立つのは彼だと思う。このままバッドデーがやってこないことを願う。明日の山岳タイムトライアルでもタイムを失わないよう走りたい。
総合5位につけるロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
良い一日だった。最後の登りは自分向きで、勾配が増すラスト数キロに全てをぶつけたいと思っていた。急勾配区間での自分の走りには満足している。登りをうまく攻略できたと思う。イェーツと競り合う形になったので、結果的に(フルームとポートからの)タイムロスを抑えることができた。明日は自分向きの山岳タイムトライアル。ドマンシー(レース中盤に登場する登り)はよく知っているし、好きな登りの一つだ。
フルームから19秒失ったファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
ハードな展開に持ち込みたくてチームは集団のペースを上げ続けた。でも自分がアタックする準備ができていない残り6kmでチームメイトの引きが終わってしまった。残り6kmから仕掛けるのはリスクが大きく、明日からのアルプスステージのことも考慮して集団内に待機することにしたんだ。
大会2週目は強風に吹かれ、3週目は厳しいコースレイアウト。このハードなツールを乗り切るには最後までエネルギーを残しておく必要が有る。グランツールでは毎日のリカバリーが重要。でもツールは特別で、重要じゃないステージがないからどうしても疲労が蓄積してしまう。
登りで精彩を欠いたナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
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決して良い一日ではなかった。調子が良いと感じていたのでもっと良い走りができると思っていたんだ。でも今日は最後の登りで身体の反応が悪かった。できる限りのことはした。残りのステージに向けてリカバリーして調子を戻したい。例年通りであれば、調子が最も上がるのは終盤のステージだ。今日は単にバッドデーだったのだと思う。
まだパリまでチャンスは残されている。それに自分はまだ26歳で、自分よりも総合上位の選手たちは経験者ばかり(イェーツを除く)。まだまだ学ぶことは多く、キャリアはまだ先が長い。
マイカのアシストに徹したペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)
今日は逃げにトライしたいと思っていた。ラファ(マイカ)に「チャンスがあれば逃げまで連れて行く」と約束していたので、自分にとってはハードだったけど、最初の60kmの平坦区間とその先の登りで彼のために引き続けた。ラファが山岳ポイントを稼いで山岳賞ジャージを守ったことを嬉しく思う。それに今日は自分のポイントも稼ぐことができた。
26分以上遅れたティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
これまで落車や体調不良で総合争いから脱落することはあった。でも今回は原因がわからない。ただ身体が動かなかった。言い訳も見つからないほど、何が起こったのかわからない。準備に間違いがなかったのかをチームと話し合わなければならない。1年間ずっと準備してきたけど、コンディションというものは難しい。
明日のタイムトライアルは自分にとってリカバリーになる。そして明後日からはリッチーを全力でサポートしたい。総合でタイムを失ったので、調子さえ戻れば、逃げに乗って展開することも可能な状態になった。
text:Kei Tsuji
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