2016/07/12(火) - 17:39
第9ステージを終えたツール・ド・フランスはアンドラ公国での休息日を迎えた。落車の怪我、そして敢闘賞獲得の新城幸也(ランプレ・メリダ)に第1週を振り返ってもらった。
ー 昨日のアルカリスの雨と雹は大丈夫だったんですか?
相当寒かったです。僕らのグループは麓から降られましたから。雹に打たれて痛かったです。温度差にもやられましたね。日中の40℃から9℃で、30℃以上の温度差です。身体がおかしくなります。
ー 寒さからの回復はできましたか?
ホテルへのバスの中で死んでいましたよ。ツールじゃないみたいでした。そういう日もありますね。
ー標高1,800mの休息日なんですが、影響はありますか?
ブエルタでもこの近くで休息日を過ごしたのでお馴染みの場所です。ツール・ド・スイスでも標高2,000mに泊まりましたし、身体への高度の影響は走ってみないとわからないですね。
ー 今日の休息日の過ごし方は?
朝10時に朝ごはんを食べて、11時に練習に出発。下のアンドラ市街まで下って、明日のコースの序盤となっている峠の途中まで登り、雨が落ちてきたのでホテルに戻りました。2時にお昼ごはんを食べて、少し昼寝して、今です。
ー スタートしてすぐ登りでのアタックがかかる明日のステージ(※)のスタートの下見をしてみて、どうですか?
※0kmから超級山岳ポルト・ダンヴァリラ(22.6km/平均5.5%)の上りが始まる。頂上は今大会最標高地点。
ブエルタでも同じコースを走ったのでこの峠のことはだいたいわかっているんです。ちょうどこのホテル前の10km地点がいちばん苦しむ場所だと思います。ここで千切れなければ、あと10kmはその集団で登れると思いますが…。
ー 明日は最初にガツンと超級山岳に登って、あとは下ってフランスへというプロフィールなので逃げのレースだと言われます。自身が逃げることは考えていますか?
みんな考えていることは一緒なんですよね。超級なのでティボ・ピノー(FDJ)が必ず取りに行くでしょうね。そうするとクライマーのペースで登らなくてはいけなくなるので、さすがに厳しいかもしれません。やっかいですね(笑)。
明日は逃げ切りでしょう。スプリンターチームが追いかけることは無理だと思います。(J SPORTSの解説をする)土井さんには悪いけど、明日も逃げるのは大変です(笑)。
ー ここまでのところで印象に残っているステージは?あるいは第1週を振り返ると?
遠すぎて序盤の方を忘れちゃいますね(笑)。チモライのスプリントの手伝いがあまりできなかったので、そういう意味では気が楽に過ごせた9日間です。チモライはビッグスプリンター級でないので、僕とセットで挑んでみたのは2度ですね。
そしてこの2、3日、敢闘賞をとった前の日あたりから逃げに乗ろうという感じに調子があがってきたので、『ここまでやっと来た』という感じでもないです。なんとなくここまで来た、というところかな。
ー 落車で大変な思いをしていても、大変だという感じではないんですね。
チームも「とにかく前へ前へ」という感じの走りではないし、むしろ安全に無理せず1週目をやり過ごすことを重視してきたので、集団に残っていればその日は成功ということです。自分が取り仕切らなくても怪我の回復に専念することができます。
ー 落車の怪我からの回復は?
今は肩のテーピングも取れたし、あとは突き指した親指です。路面の段差などで痛いんです。この日数治らないということは折れているのかもしれません。曲がらなかったのが曲がるようにはなりましたが、ガーミンのボタンは頑張らないと押せないです(笑)。スプリンタースイッチも押せない。
ー 敢闘賞以降、リラックスして走っているように感じるんですが、楽しんでいますか?
ようやくツールを走っている感が出てきました。調子が上がってリズムがとれてきているんです。
ー ホテルでのルームメイトは?
マッテオ(ボノ)です。年長ふたり。年長二人感はぜんぜんないですが(笑)。
ー レースに関してはどんな流れでチームワークを決めていますか?
ー 選手目線で、このツールは誰が勝つと思いますか?
普通にフルームじゃないでしょうか。キンタナはずっと前に居ますが、走りが危ないので落車を心配してしまいますね。無理してでもアシスト選手の後輪を死守したがるので、走りが危険なんです。
ー 昨日は4人がリタイヤ。これで5人が去りましたが、過去最少リタイア数です。リタイア者が少ないツールとは?
ほんとですか!すごいですね。フランススタートが良かったんだと思います。フランスの道は障害物が少ないんですが、グランデパールをオランダとかベルギーなど外国でやると道の作りが違うので、走り慣れない選手には大変です。道路に突然中障害物が出てきたりする。総合系の選手はベネルクスを走り慣れていないんです。僕もオランダ、ベルギーは走りにくいんですね。
ー このツールで成し遂げたいことは?
逃げに乗ること、逃げきれる逃げに乗ることですね。明日ももちろんそうです。逃げ切りの逃げに乗って、前で勝負すること。でも行きたい日に限って『今日は待機しろ』という指示が出るのはしょうがないですね。トゥールマレー峠の日も行きたかったんですが待てと言われました。結果論的には行かなくて良かったんですが。
過去最高に身体が軽いです。でも登りは重いですけどね(笑)。
ー 体調が上がってきている感覚はありますか?
ここまでの2日間でこれだけ山岳を登ったので、準備はバッチリです。天気が心配ですが。アルプスに向けて天気は崩れる予報なんですよね。暑いほうが身体が動くのでいいです。
ー ピノが山岳賞を狙って逃げに乗ってこようとするのは新城選手にとってもやっかいですか?
明日に限って言えばとてもやっかいです。彼クラスの登れる選手が行ったら僕らは付いて行くのは大変になりますから。ピノが前でドンパチやり始めたら、なかなか大変です(笑)。簡単に着いていけるんだったら僕も山岳賞を狙えています。
ー 追走集団で行って下りで追いつくというのも作戦でありえますか?
あります。昨ステージのようにバラバラになってしまえば、人数が揃ったグループで機能させれば追いつくことはできます。なにしろ今日は全チームがこの登りを試走していましたからね!
明日からの第2週、気を引き締めて頑張ります。
photo&text:Makoto.AYANO in Andorra.
ー 昨日のアルカリスの雨と雹は大丈夫だったんですか?
相当寒かったです。僕らのグループは麓から降られましたから。雹に打たれて痛かったです。温度差にもやられましたね。日中の40℃から9℃で、30℃以上の温度差です。身体がおかしくなります。
ー 寒さからの回復はできましたか?
ホテルへのバスの中で死んでいましたよ。ツールじゃないみたいでした。そういう日もありますね。
ー標高1,800mの休息日なんですが、影響はありますか?
ブエルタでもこの近くで休息日を過ごしたのでお馴染みの場所です。ツール・ド・スイスでも標高2,000mに泊まりましたし、身体への高度の影響は走ってみないとわからないですね。
ー 今日の休息日の過ごし方は?
朝10時に朝ごはんを食べて、11時に練習に出発。下のアンドラ市街まで下って、明日のコースの序盤となっている峠の途中まで登り、雨が落ちてきたのでホテルに戻りました。2時にお昼ごはんを食べて、少し昼寝して、今です。
ー スタートしてすぐ登りでのアタックがかかる明日のステージ(※)のスタートの下見をしてみて、どうですか?
※0kmから超級山岳ポルト・ダンヴァリラ(22.6km/平均5.5%)の上りが始まる。頂上は今大会最標高地点。
ブエルタでも同じコースを走ったのでこの峠のことはだいたいわかっているんです。ちょうどこのホテル前の10km地点がいちばん苦しむ場所だと思います。ここで千切れなければ、あと10kmはその集団で登れると思いますが…。
ー 明日は最初にガツンと超級山岳に登って、あとは下ってフランスへというプロフィールなので逃げのレースだと言われます。自身が逃げることは考えていますか?
みんな考えていることは一緒なんですよね。超級なのでティボ・ピノー(FDJ)が必ず取りに行くでしょうね。そうするとクライマーのペースで登らなくてはいけなくなるので、さすがに厳しいかもしれません。やっかいですね(笑)。
明日は逃げ切りでしょう。スプリンターチームが追いかけることは無理だと思います。(J SPORTSの解説をする)土井さんには悪いけど、明日も逃げるのは大変です(笑)。
ー ここまでのところで印象に残っているステージは?あるいは第1週を振り返ると?
遠すぎて序盤の方を忘れちゃいますね(笑)。チモライのスプリントの手伝いがあまりできなかったので、そういう意味では気が楽に過ごせた9日間です。チモライはビッグスプリンター級でないので、僕とセットで挑んでみたのは2度ですね。
そしてこの2、3日、敢闘賞をとった前の日あたりから逃げに乗ろうという感じに調子があがってきたので、『ここまでやっと来た』という感じでもないです。なんとなくここまで来た、というところかな。
ー 落車で大変な思いをしていても、大変だという感じではないんですね。
チームも「とにかく前へ前へ」という感じの走りではないし、むしろ安全に無理せず1週目をやり過ごすことを重視してきたので、集団に残っていればその日は成功ということです。自分が取り仕切らなくても怪我の回復に専念することができます。
ー 落車の怪我からの回復は?
今は肩のテーピングも取れたし、あとは突き指した親指です。路面の段差などで痛いんです。この日数治らないということは折れているのかもしれません。曲がらなかったのが曲がるようにはなりましたが、ガーミンのボタンは頑張らないと押せないです(笑)。スプリンタースイッチも押せない。
ー 敢闘賞以降、リラックスして走っているように感じるんですが、楽しんでいますか?
ようやくツールを走っている感が出てきました。調子が上がってリズムがとれてきているんです。
ー ホテルでのルームメイトは?
マッテオ(ボノ)です。年長ふたり。年長二人感はぜんぜんないですが(笑)。
ー レースに関してはどんな流れでチームワークを決めていますか?
ー 選手目線で、このツールは誰が勝つと思いますか?
普通にフルームじゃないでしょうか。キンタナはずっと前に居ますが、走りが危ないので落車を心配してしまいますね。無理してでもアシスト選手の後輪を死守したがるので、走りが危険なんです。
ー 昨日は4人がリタイヤ。これで5人が去りましたが、過去最少リタイア数です。リタイア者が少ないツールとは?
ほんとですか!すごいですね。フランススタートが良かったんだと思います。フランスの道は障害物が少ないんですが、グランデパールをオランダとかベルギーなど外国でやると道の作りが違うので、走り慣れない選手には大変です。道路に突然中障害物が出てきたりする。総合系の選手はベネルクスを走り慣れていないんです。僕もオランダ、ベルギーは走りにくいんですね。
ー このツールで成し遂げたいことは?
逃げに乗ること、逃げきれる逃げに乗ることですね。明日ももちろんそうです。逃げ切りの逃げに乗って、前で勝負すること。でも行きたい日に限って『今日は待機しろ』という指示が出るのはしょうがないですね。トゥールマレー峠の日も行きたかったんですが待てと言われました。結果論的には行かなくて良かったんですが。
過去最高に身体が軽いです。でも登りは重いですけどね(笑)。
ー 体調が上がってきている感覚はありますか?
ここまでの2日間でこれだけ山岳を登ったので、準備はバッチリです。天気が心配ですが。アルプスに向けて天気は崩れる予報なんですよね。暑いほうが身体が動くのでいいです。
ー ピノが山岳賞を狙って逃げに乗ってこようとするのは新城選手にとってもやっかいですか?
明日に限って言えばとてもやっかいです。彼クラスの登れる選手が行ったら僕らは付いて行くのは大変になりますから。ピノが前でドンパチやり始めたら、なかなか大変です(笑)。簡単に着いていけるんだったら僕も山岳賞を狙えています。
ー 追走集団で行って下りで追いつくというのも作戦でありえますか?
あります。昨ステージのようにバラバラになってしまえば、人数が揃ったグループで機能させれば追いつくことはできます。なにしろ今日は全チームがこの登りを試走していましたからね!
明日からの第2週、気を引き締めて頑張ります。
photo&text:Makoto.AYANO in Andorra.
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