10日間のジロ・ローザは最終日。CX世界王者のタリタ・デヨングが逃げ切り勝利を飾り、メーガン・グアルニエが総合優勝に輝いた。完走した與那嶺恵理と萩原麻由子のコメントと共にレポート。



独走勝利を飾ったタリタ・デヨング(オランダ、ラボバンク・リブ)独走勝利を飾ったタリタ・デヨング(オランダ、ラボバンク・リブ) photo:CorVos


ステージ6位でフィニッシュする萩原麻由子(ウィグル・ハイファイブ)ステージ6位でフィニッシュする萩原麻由子(ウィグル・ハイファイブ) photo:Sonoko.Tanaka/Wigge High5総合優勝のメーガン・グアルニエ(アメリカ、ボエルス・ドルマンス)総合優勝のメーガン・グアルニエ(アメリカ、ボエルス・ドルマンス) photo:www.girorosa.it10日間に渡る長き戦いもこの日が最終日。女子ステージレースの最高峰であるジロ・ローザは最終第9ステージを迎えた。

イタリア北部マッジョーレ湖畔のヴェルバニアを発着する104.8kmのコースは、1周30kmの周回コースを3周回+最終周回にだけ3級山岳ポイントを含む14.8kmのコースが組み込まれるという変則的な周回コースが使われた。気温も35℃に達する厳しいコンディションの下でレースは動いた。

すると1周回目の登坂区間で萩原麻由子(ウィグル・ハイファイブ)や、シクロクロスの世界王者であるタリタ・デヨング(オランダ、ラボバンク・リブ)を含む9名が先行する。5分差を得た逃げグループは最終周回に含まれた3級山岳で6名にまで減り、登坂でデヨングがアタック。萩原らは追うことができず、ここからデヨングの独走が始まった。

メイン集団でも登りでペースアップが行われ、総合上位陣のみに絞り込まれた状態からアタックが掛かったものの分裂には至らない。ペースが上がりきった状態だったが先頭デヨング、追走する萩原らには届かず、デヨングが逃げ切りを決めた2分後にフィニッシュ。メーガン・グアルニエ(アメリカ、ボエルス・ドルマンス)の総合優勝が決まった。萩原は追走集団内でフィニッシュし6位、不調に耐える走りの與那嶺恵理(ハーゲンス・ベルマン・スーパーミント)は4分22秒遅れの33位だった。それぞれの総合順位は與那嶺が25位、萩原は36位だった。

総合優勝に輝いたメーガン・グアルニエ(アメリカ、ボエルス・ドルマンス)総合優勝に輝いたメーガン・グアルニエ(アメリカ、ボエルス・ドルマンス) photo:CorVos


與那嶺恵理(ハーゲンス・ベルマン・スーパーミント)のコメント

スタート前の與那嶺恵理(ハーゲンス・ベルマン・スーパーミント)とチームメイトスタート前の與那嶺恵理(ハーゲンス・ベルマン・スーパーミント)とチームメイト 山岳ポイントで集団から遅れた與那嶺恵理(ハーゲンス・ベルマン・スーパーミント)山岳ポイントで集団から遅れた與那嶺恵理(ハーゲンス・ベルマン・スーパーミント) photo:Hiroyuki.Azumaジロ・ローザを完走した與那嶺恵理(ハーゲンス・ベルマン・スーパーミント)と、ジェシカ・アベルハートジロ・ローザを完走した與那嶺恵理(ハーゲンス・ベルマン・スーパーミント)と、ジェシカ・アベルハート photo:Hiroyuki.Azuma「身体のコンディションは全日本選手権後、底の状態だったが無事にゴールにたどり着くことが出来た。日を追うごとに、レースのスピードは加速していた。ガーミンのパワーデータも、アベレージスピードも私にとっては異次元の数値を示していた。この10日を思い出すと、全ステージのレースや行われた場所、泊まったホテルなど記憶が曖昧なことに驚く。

スタートは比較的落ち着いていたものの、数分で昨日と同じくアタックが前で展開される。今日は昨日の失敗を繰り返さぬようにいつでも逃げが決まりそうな時に対応できるよう、とにかく出来る限り前で前で位置どりする。それでも最初の上りでは位置を下げてしまい、集団から千切れないように耐えるのが精一杯だった。そして最初の上りのピークで逃げ集団が形成された。私は千切れないようにするのが精一杯だった。身体はレッドゾーンに入る。パワーデータも、体重の6倍を超えた数値、300w以上が続く。世界選手権と同じぐらいのパワーでも、ぎりぎりだった。

最後の山岳賞の上りで、更にペースアップ。私は力尽きて、第2集団でゴール。やっと終わった。少しながら出来ることもあった。しかし、今のコンディションだと全然歯が立たないことが分かった。

初めてのヨーロッパサーキットの挑戦が終わった。映像やニュースだけでは全くわからない現実がそこにはありました。そして、今度はそのイメージを持ってトレーニングをして、もう一度挑戦したいと心から思いました。レポートを通して、毎日ヨーロッパとのレベルの差を書き出して、経験の部分と、改善しなければいけない部分をきちんと分析することが出来ました。

次は、今年のスタート地点、リオオリンピック!ロードレースまでちょうど1か月。今回のレースでのイメージを持ったままアメリカ・コロラドでの高地合宿トレーニングを積んで自分史上最高の状態で臨みます!」

萩原麻由子(ウィグル・ハイファイブ)のコメント

逃げグループを萩原麻由子(ウィグル・ハイファイブ)が牽引する逃げグループを萩原麻由子(ウィグル・ハイファイブ)が牽引する photo:Sonoko.Tanaka/Wigge High5「チーム、仲間たちに改めて感謝を実感したジロでもありました」「チーム、仲間たちに改めて感謝を実感したジロでもありました」 「10日間の2016年のジロローザが終幕しました。初日の落車から幕を開けた自身のジロ、例年のように快走できず、苦しい日々となりましたが、どんなに駄目でも諦めずに毎日できることをやっていこうと思い、走っていました。

チームとしてはステージ4勝やエリーザの山岳ジャージ等、良い結果も出ました。一方でマラのリーダージャージを一日も守れなかったこと、上手くコミュニケーションが取れず失敗した日もありました。自分としても調子が今ひとつで思うように働けず、落ち込むことも多い日々でした。

疲労感が集団内全体に垂れ込めていた最終日、苦しいながらも序盤にできた逃げに乗れ、自身としても今大会初めて逃げに乗ることができ、また大会全体としても初めて逃げが最後まで決まった日でした。

最後は力不足で先行した選手から遅れ、集団内の最後尾でゴールしました。この日はチームメイトのエリーザの地元ステージなので、彼女のステージ優勝を一つの目標にスタートしましたが、レース中のコミュニケーション不足や行き違い、最終的に逃げ切った集団内で表彰台にも乗れず、成功とは言える日ではありませんでした。しかし最後に、自分の大好きなジロで、久々に自分らしい走りができたことは良かったと思い、チームからも評価をして貰えました。

自分としても、チーム全体としても決して成功とは言えなかったジロでしたが、『負けた時のほうが勝った時よりも大切』という助言を頂きました。本当にそのとおりで、ジロでの出来事、これまでの出来事を良く振り返り、次に繋げていきたいと思います。

幸いなことに来週金曜日からまた一週間のステージレースに参加が決まっています。これまで良い走り、働きができていない分、これからのシーズン後半で挽回できるよう、一生懸命取り組んでいきたいと思っています。

最後に、今回はなんと遠方日本より現地イタリアまで応援に駆けつけて下さった方がいらっしゃいました。また現地に激励にいらした方や地元イタリアの人々による応援を頂き10日戦うことができました。そして素晴らしい環境で働けている自分の職場=チーム、仲間たちに改めて感謝を実感したジロでもありました。戦はこれからも続くので、レースへの情熱のある限り、どんなことがあっても力一杯ペダルを踏み続けようと思います」



ジロ・ローザ2016第9ステージ結果
1位 タリタ・デヨング(オランダ、ラボバンク・リブ)
2位 マークス・リェジャンヌ(オランダ、リブ・プラントゥール)
3位 マリアジウリア・コンファロニエーリ(イタリア、レンズワールド・ザナッタ)
4位 イングリッド・ドレクセル(メキシコ、アスタナウィメンズ)
5位 アン・サンテステバン(スペイン、エール・チッポリーニ)
6位 萩原麻由子(ウィグル・ハイファイブ)
33位 與那嶺恵理(ハーゲンス・ベルマン・スーパーミント)
2h44’24”
+1’05”




+4’22”


個人総合成績
1位 メーガン・グアルニエ(アメリカ、ボエルス・ドルマンス)
2位 イヴリン・スティーブンス(アメリカ、ボエルス・ドルマンス)
3位 アンナ・ファンデルブルッヘン(オランダ、ラボバンク・リブ)
4位 クラウディア・リヒテンベルグ(ドイツ、ロット・ソウダル)
5位 マーラ・アボット(アメリカ、ウィグル・ハイファイブ)
25位 與那嶺恵理(ハーゲンス・ベルマン・スーパーミント)
36位 萩原麻由子(ウィグル・ハイファイブ)
22h42’40”
+34”
+1’53”
+2’33”
+2’38”
+40’08”
+48’33”


text:So.Isobe
photo:CorVos

Amazon.co.jp

Arriva il Giro Rosa

© Clockworkstudio. It

Lanterne Rouge

Yellow Jersey
¥342