ついに開催まで3日を切ったジャパンカップ。宇都宮市森林公園を舞台に開催されるこのアジア最大のワンディレースには、国内外のトップ選手65名が集結します!ここでは注目の選手たちを予習しておきましょう!

プロツアー5チーム参戦でハイレベルなバトル必至!

ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ISD)ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ISD) photo:Kei Tsuji第18回ジャパンカップに出場するのは合計13チーム。内訳は、世界トップカテゴリーであるプロツアーから5チームと、プロコンチネンタル1チーム、コンチネンタル6チーム、そしてナショナルチームが1チーム。各チーム5名ずつ出場するため、出走者は合計65名になる。

昨年はレース終盤にダミアーノ・クネゴ(イタリア)とイヴァン・バッソ(イタリア)が積極的にアタックを仕掛け、食らいついたジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア)を加えた3名によるスプリント勝負に。レース1週間前のジロ・ディ・ロンバルディアで優勝したクネゴが、2005年に次ぐ2度目の勝利を飾った。

イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス) photo:Kei Tsujiその時僅差の2位に入ったヴィスコンティはプロコンチネンタル登録チームのISDを率いて、そして3位のバッソは再びリクイガスを率いて日本に降り立つ。

1年を通して安定した成績を残したヴィスコンティはUCIヨーロッパツアーの年間ランキング王者に輝いており、少人数のスプリント勝負に強い。古賀志林道でのライバルたちのアタックを封じ込めることが出来れば、プロツアーチームを抑えての大会初制覇に近づく。

グスタフエリック・ラーション(スウェーデン)グスタフエリック・ラーション(スウェーデン) photo:Cor Vos昨年ドーピングによる出場停止処分明けの初レースとして注目を集めたバッソ。今年は3年ぶりのグランツール出場となったジロ・デ・イタリアで総合5位、ブエルタ・ア・エスパーニャ総合4位という成績を残した。総合表彰台は逃したが、1年間の実戦でレース勘を取り戻したはずだ。

バッソのアシストとしては、昨年のジャパンカップで最後まで献身的な走りを見せたヴァレリオ・アニョリ(イタリア)やキェール・カールストローム(フィンランド)らが揃っている。

ホアキン・ロドリゲス(スペイン、ケースデパーニュ)ホアキン・ロドリゲス(スペイン、ケースデパーニュ) photo:Cor Vosこの二強に割って入るのが、サクソバンク、ケースデパーニュ、フジ・セルヴェット、Bboxブイグテレコムのプロツアー4チーム。ジャパンカップ初出場のサクソバンクは、欠場するシュレク兄弟(ルクセンブルク)に代わって、イェンス・フォイクト(ドイツ)とグスタフエリック・ラーション(スウェーデン)を送り込む。

選手会長として知名度の高いフォイクトは、熱い走りが信条のアタッカー。しかしツールでの落車骨折の影響でコンディションはあまり期待出来ない。一方のラーションは直前のジロ・ディ・ロンバルディアで積極的に逃げるなど、銀メダルを獲得したロード世界選手権個人タイムトライアル以降、好調をキープしている。持ち味の独走力は他チームの脅威になるだろう。

ファンホセ・コーボ(スペイン、フジ・セルヴェット)ファンホセ・コーボ(スペイン、フジ・セルヴェット) photo:Unipublicサクソバンクからは他にも2人のセレンセンが来日。ツール第12ステージで逃げ切り勝利を飾ったベテランのニキ・セレンセンと、若手の山岳スペシャリストとして注目を集めるクリスアンケル・セレンセンが出場予定。直前に出場が決まったミカエル・モルコフ(デンマーク)は昨年トラック世界選手権のマディソンで銅メダルを獲得したスピードマンだ。

2005年にイリェスバレアレスとしてジャパンカップに初出場したケースデパーニュが、4年ぶりに宇都宮にやってくる。エースを担うのはホアキン・ロドリゲス(スペイン)とダニエル・モレーノ(スペイン)の2人だ。

新城幸也(Bboxブイグテレコム)新城幸也(Bboxブイグテレコム) photo:Makoto Ayano「プリト」の愛称で親しまれているロドリゲスは、スペインを代表する生粋の山岳スペシャリスト。ブエルタではステージ優勝&山岳賞の実績があり、今年は難関リエージュ〜バストーニュ〜リエージュで2位に入っている。モレーノも登坂力に長けた選手で、今年ツール・ド・ポローニュ総合2位に入ったオールラウンダーだ。

他にもグランツールでの経験豊かな選手が揃っており、上りでの攻撃力は出場チーム中ナンバーワン。なお、来季ロドリゲスはカチューシャ、モレーノはサイレンス・ロットへの移籍が決定しており、両者ともケースデパーニュジャージで走る最後のレースになる。

10月に入って急遽出場が決まったフジ・セルヴェットは、2006年から2年連続でジャパンカップ覇者を輩出したサウニエルドゥバルの後継チーム。ブエルタの山岳ステージで優勝し、総合10位に入ったファンホセ・コーボ(スペイン)や、2006年のツールで総合敢闘賞に輝いたダビ・デラフエンテ(スペイン)らが出場する。コーボは直前のジロ・ディ・ロンバルディア9位。MTB出身選手で山岳に強いフレデリック・ケシアコフ(スウェーデン)も注目の存在だ。

プロツアーチーム登録だが、ドーピングスキャンダルの影響でツールを始めとするビッグレース出場を逃したフジ・セルヴェット。いいカタチでシーズンを締めくくりたいところだ。

そして、2年連続出場のBboxブイグテレコムからは新城幸也が出場する。今シーズンこれまでアシストとしての役割を全うしながらチャンスを伺っていたユキヤ。このジャパンカップではエースの座を託される。ユキヤは2006年のジャパンカップで15位、2007年大会5位、そして昨年13位に入っており、日本人選手の中で最も表彰台に近い選手だと言えるだろう。


ヨーロッパ勢に立ち向かう日本の精鋭たち

ジャパンカップに挑むブリッツェンの面々ジャパンカップに挑むブリッツェンの面々 ヨーロッパから上陸する強豪を迎え撃つのは、日本を代表するトップ選手たち。今年はコンチネンタル登録の6チームにジャパンナショナルチームを加えた総勢35名の日本人選手が出場する。

まず注目したいのが、レースのお膝元宇都宮で今年発足したBLITZEN宇都宮プロレーシングチームだ。ブリッツェンはこのジャパンカップをシーズン最大の目標レースの一つに掲げており、当然のことながらレースに向けてのモチヴェーションは高い。

個人総合リーダーの宮澤崇史(EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン)個人総合リーダーの宮澤崇史(EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン) photo:Hideaki.TAKAGI廣瀬佳正や清水良行、長沼隆行らが攻撃的な走りを見せてくれることだろう。ジャパンカップ前日のオープンレース女子では、廣瀬と同じ作新学院出身のCHISAKOの活躍に注目だ。

EQA・梅丹本舗・グラファイトデザインは、2006年のジャパンカップで日本人最高位の7位&2007年大会10位の宮澤崇史と、2008年にツール・ド・熊野とパリ〜コレーズで総合優勝を飾った清水都貴に注目。宮澤はツール・ド・北海道で2連覇を達成しており、日本屈指のスプリント力でありながら上りもこなせてしまう。

西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)西谷泰治(愛三工業レーシングチーム) photo:Hideaki.TAKAGI愛三工業レーシングチームも、ロード日本チャンピオンの西谷泰治と、TT日本チャンピオンの盛一大を揃えて臨戦態勢。日本チャンピオンジャージを着て出場する西谷は、2007年大会7位、2008年10位と、安定した成績を残している。

過去に2度全日本選手権を制した野寺秀徳や、Jサイクルツアー覇者の鈴木真理、日本を代表する山岳スペシャリスト狩野智也らを揃えるシマノレーシングは、今年の実業団レースで圧倒的なチーム力を発揮した。ジロ・デ・イタリア完走経験をもつキャプテン野寺は2006年大会で9位に入っている。

シマノレーシングシマノレーシング photo:HIdeaki.TAKAGIチームブリヂストン・アンカーは飯島誠や山本雅道がチームの軸。昨年のオープンレースで優勝した若手の伊丹健治にも注目したい。マトリックス・パワータグは新潟国体のポイントレースで優勝した辻善光がエースを担うことになるだろう。

そして、忘れてはならないのがジャパンナショナルチームの存在だ。所属チームが欠場する選手たちを集結させ、他チームと肩を並べるラインナップを揃えてきた。中でも注目は、ヨーロッパレースでの経験豊富な土井雪広(スキル・シマノ)。土井は昨年のジャパンカップで日本人として唯一ヨーロッパの強豪に張り合い9位に入った選手だ。

土井雪広(スキル・シマノ)土井雪広(スキル・シマノ) photo:Cor Vos他にも2008年の全日本選手権U23で優勝した小森亮平(TREK-LIVESTRONG U-23 TEAM)や、小森と一緒に今年のロード世界選手権U23に出場した平塚吉光(パールイズミ・スミタ・ラバネロ)、そして国内レースで好成績を収める西薗良太(東京大学)と青柳憲輝(法政大学)がナショナルジャージで出場する予定だ。

ジャパンカップ歴代優勝者
2008年 ダミアーノ・クネゴ(イタリア)
2007年 マヌエーレ・モーリ(イタリア)
2006年 リカルド・リッコ(イタリア)
2005年 ダミアーノ・クネゴ(イタリア)
2004年 パトリック・シンケウィッツ(ドイツ)
2003年 セルジョ・バルベーロ(イタリア)
2002年 セルジョ・バルベーロ(イタリア)
2001年 ジルベルト・シモーニ(イタリア)
2000年 マッシモ・コドル(イタリア)
1999年 セルジョ・バルベーロ(イタリア)
1998年 ファビアン・ドワール(ベルギー)
1997年 阿部良之(日本)
1996年 マウロ・ジャネッティ(スイス)
1995年 クラウディオ・キアプッチ(イタリア)
1994年 クラウディオ・キアプッチ(イタリア)
1993年 クラウディオ・キアプッチ(イタリア)
1992年 ヘンドリック・ルダン(ベルギー)

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, Kei Tsuji, Ayano Makoto, Hideaki Takagi

最新ニュース(全ジャンル)