2016/06/10(金) - 08:52
山岳3連戦を前にしたドーフィネ最後の平坦ステージでエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)が勝利。ツール・ド・フランスに向けて勢いづくとともに、大怪我を負ったサテライトチームの若手選手の回復を願った。
翌日から閉幕まで3日間連続で山頂フィニッシュが登場するため、タン=レルミタージュからベレーまでの176kmで行われたこの第4ステージがスプリンターにとって最後のチャンス。スプリンターの障害になるような登りは設定されていない。前日のファビオ・アル(イタリア、アスタナ)の逃げ切りで貴重なチャンスを奪われたスプリンターチームがレースを徹底的に支配した。
フィニッシュ地点ベレー出身のマキシム・ブエ(フランス、エティックス・クイックステップ)が序盤からレースを動かした。ブライアン・ノロー(フランス、ディレクトエネルジー)とフレデリック・フェヘレン(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)を伴侶にスタート直後から逃げたブエはメイン集団から最大5分のリードを稼ぎ出す。
メイン集団の先頭に立ったのはカチューシャ、コフィディス、ロットという赤色3チーム。ここにジャイアント・アルペシンとボーラ・アルゴン18という黒色チームも加わり、残り50kmでタイム差は2分45秒にまで縮まる。
残り23km地点でタイム差が1分を割り込むと逃げグループの協調体制は崩壊。何としても逃げ切りたいブエが先頭から数回アタックを仕掛け、フェヘレンとノローを振り切って独走を開始する。ブエは大集団に対して35秒リードで残り10kmアーチ。しかし、前日のアルのような逃げ切りを狙ったが、直線的な平坦路は独走向きではなかった。
スプリンターチームと総合系チームが熾烈なポジション争いを繰り広げ、必然的にスピードが上がり続けたメイン集団は残り4km地点でブエを吸収する。ジョン・デゲンコルブ(ドイツ)の復活勝利を目指すジャイアント・アルペシンが人数を揃えて集団先頭を固めた。
残り2.5km地点、縦に長く伸びた集団前方ではボルト・ボジッチ(スロベニア、コフィディス)がコンクリートの側壁にペダルを引っ掛けて激しくクラッシュ。アレクシ・グジャール(フランス、AG2Rラモンディアール)だけが巻き添えを食らい、集団は分裂気味となる。
完璧なリードアウトトレインを組むチームが現れないままフラムルージュを通過し、混戦状態のままベレーの街を駆け抜けたプロトン。グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)とイェンス・ケウケレール(ベルギー、オリカ・グリーンエッジ)を先頭に緩い最終コーナーを立ち上がり、フィニッシュラインの位置を目視で確認してからスプリント開始した。
登り基調の最終ストレートで、ノルウェーチャンピオンジャージを着るボアッソンハーゲンのスプリントが伸びた。ファンアフェルマートらをパスしたボアッソンハーゲンが、マイヨブランのジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)とマイヨヴェールのナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)を振り切る。「登れるスプリンター」の代名詞ボアッソンハーゲンがフィニッシュラインで手を挙げた。
今シーズン6勝目を飾ったボアッソンハーゲンは「チームメイトが一日中ずっとポジションをキープしてくれた。誰もが疲れ切っている中で早めに仕掛けたんだ。色んな脚質の選手に活躍のチャンスがあるドーフィネは個人的に好きなレース。スプリンターにとって最後のチャンスをものにすることができて嬉しいよ。日に日に調子は良くなっているので、このままツール・ド・フランスでも活躍したい」とコメント。ツールではカヴェンディッシュとスプリントの役割をシェアすることになる。
また、6月5日のイタリアレースでチームカーに衝突し、頭部の怪我と大量の出血によって一時は生命も危ぶまれた(現在は容態が安定している)ディメンションデータ・コンチネンタルチーム所属のキーガン・ガードルストーン(南アフリカ)にボアッソンハーゲンは勝利を捧げた。「これはディメンションデータにとっても重要な勝利。キーガンの早期回復に向けて良いメッセージを送ることができた」。
落車と中切れによって集団は分裂した状態でフィニッシュ。総合3位クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)がステージ優勝者と同タイムでフィニッシュした一方で、総合1位アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)と総合2位リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)は9秒遅れの扱いに。残り2.5km地点で発生した落車が集団分裂の原因ではないと判断された。
フルームから9秒失ったコンタドールは「タイムロスは気にしていない。それよりも、残り3kmルールが適用されなかったことが気に食わない。集団分裂は間違いなく落車が原因だった。ドーフィネのフィニッシュは他のどのUCIワールドツアーレースよりもナーバスだ」とコメントしている。
選手コメントはレース公式サイトより。
クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2016第4ステージ結果
1位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) 4h39’26”
2位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)
3位 ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)
4位 イェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・ソウダル)
5位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
6位 サミュエル・ドゥムラン(フランス、AG2Rラモンディアール)
7位 イェンス・ケウケレール(ベルギー、オリカ・グリーンエッジ)
8位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)
9位 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・アルゴン18)
10位 ルカ・ピベルニク(スロベニア、ランプレ・メリダ)
84位 別府史之(日本、トレック・セガフレード) +09”
個人総合成績
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ) 17h52’45”
2位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) +04”
3位 リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) +06”
4位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ) +09”
5位 ダニエル・マーティン(アイルランド、エティックス・クイックステップ) +12”
6位 ヘスス・ヘラーダ(スペイン、モビスター) +27”
7位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ) +31”
8位 ディエゴ・ローザ(イタリア、アスタナ) +35”
9位 ダニエル・ナバーロ(スペイン、コフィディス) +43”
10位 バウク・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +48”
ポイント賞
1位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)
山岳賞
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)
ヤングライダー賞
1位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)
チーム総合成績
1位 チームスカイ
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
翌日から閉幕まで3日間連続で山頂フィニッシュが登場するため、タン=レルミタージュからベレーまでの176kmで行われたこの第4ステージがスプリンターにとって最後のチャンス。スプリンターの障害になるような登りは設定されていない。前日のファビオ・アル(イタリア、アスタナ)の逃げ切りで貴重なチャンスを奪われたスプリンターチームがレースを徹底的に支配した。
フィニッシュ地点ベレー出身のマキシム・ブエ(フランス、エティックス・クイックステップ)が序盤からレースを動かした。ブライアン・ノロー(フランス、ディレクトエネルジー)とフレデリック・フェヘレン(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)を伴侶にスタート直後から逃げたブエはメイン集団から最大5分のリードを稼ぎ出す。
メイン集団の先頭に立ったのはカチューシャ、コフィディス、ロットという赤色3チーム。ここにジャイアント・アルペシンとボーラ・アルゴン18という黒色チームも加わり、残り50kmでタイム差は2分45秒にまで縮まる。
残り23km地点でタイム差が1分を割り込むと逃げグループの協調体制は崩壊。何としても逃げ切りたいブエが先頭から数回アタックを仕掛け、フェヘレンとノローを振り切って独走を開始する。ブエは大集団に対して35秒リードで残り10kmアーチ。しかし、前日のアルのような逃げ切りを狙ったが、直線的な平坦路は独走向きではなかった。
スプリンターチームと総合系チームが熾烈なポジション争いを繰り広げ、必然的にスピードが上がり続けたメイン集団は残り4km地点でブエを吸収する。ジョン・デゲンコルブ(ドイツ)の復活勝利を目指すジャイアント・アルペシンが人数を揃えて集団先頭を固めた。
残り2.5km地点、縦に長く伸びた集団前方ではボルト・ボジッチ(スロベニア、コフィディス)がコンクリートの側壁にペダルを引っ掛けて激しくクラッシュ。アレクシ・グジャール(フランス、AG2Rラモンディアール)だけが巻き添えを食らい、集団は分裂気味となる。
完璧なリードアウトトレインを組むチームが現れないままフラムルージュを通過し、混戦状態のままベレーの街を駆け抜けたプロトン。グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)とイェンス・ケウケレール(ベルギー、オリカ・グリーンエッジ)を先頭に緩い最終コーナーを立ち上がり、フィニッシュラインの位置を目視で確認してからスプリント開始した。
登り基調の最終ストレートで、ノルウェーチャンピオンジャージを着るボアッソンハーゲンのスプリントが伸びた。ファンアフェルマートらをパスしたボアッソンハーゲンが、マイヨブランのジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)とマイヨヴェールのナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)を振り切る。「登れるスプリンター」の代名詞ボアッソンハーゲンがフィニッシュラインで手を挙げた。
今シーズン6勝目を飾ったボアッソンハーゲンは「チームメイトが一日中ずっとポジションをキープしてくれた。誰もが疲れ切っている中で早めに仕掛けたんだ。色んな脚質の選手に活躍のチャンスがあるドーフィネは個人的に好きなレース。スプリンターにとって最後のチャンスをものにすることができて嬉しいよ。日に日に調子は良くなっているので、このままツール・ド・フランスでも活躍したい」とコメント。ツールではカヴェンディッシュとスプリントの役割をシェアすることになる。
また、6月5日のイタリアレースでチームカーに衝突し、頭部の怪我と大量の出血によって一時は生命も危ぶまれた(現在は容態が安定している)ディメンションデータ・コンチネンタルチーム所属のキーガン・ガードルストーン(南アフリカ)にボアッソンハーゲンは勝利を捧げた。「これはディメンションデータにとっても重要な勝利。キーガンの早期回復に向けて良いメッセージを送ることができた」。
落車と中切れによって集団は分裂した状態でフィニッシュ。総合3位クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)がステージ優勝者と同タイムでフィニッシュした一方で、総合1位アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)と総合2位リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)は9秒遅れの扱いに。残り2.5km地点で発生した落車が集団分裂の原因ではないと判断された。
フルームから9秒失ったコンタドールは「タイムロスは気にしていない。それよりも、残り3kmルールが適用されなかったことが気に食わない。集団分裂は間違いなく落車が原因だった。ドーフィネのフィニッシュは他のどのUCIワールドツアーレースよりもナーバスだ」とコメントしている。
選手コメントはレース公式サイトより。
クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2016第4ステージ結果
1位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) 4h39’26”
2位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)
3位 ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)
4位 イェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・ソウダル)
5位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
6位 サミュエル・ドゥムラン(フランス、AG2Rラモンディアール)
7位 イェンス・ケウケレール(ベルギー、オリカ・グリーンエッジ)
8位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)
9位 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・アルゴン18)
10位 ルカ・ピベルニク(スロベニア、ランプレ・メリダ)
84位 別府史之(日本、トレック・セガフレード) +09”
個人総合成績
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ) 17h52’45”
2位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) +04”
3位 リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) +06”
4位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ) +09”
5位 ダニエル・マーティン(アイルランド、エティックス・クイックステップ) +12”
6位 ヘスス・ヘラーダ(スペイン、モビスター) +27”
7位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ) +31”
8位 ディエゴ・ローザ(イタリア、アスタナ) +35”
9位 ダニエル・ナバーロ(スペイン、コフィディス) +43”
10位 バウク・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +48”
ポイント賞
1位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)
山岳賞
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)
ヤングライダー賞
1位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)
チーム総合成績
1位 チームスカイ
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
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