2016/05/02(月) - 12:31
ツール・ド・ロマンディ最終日。逃げとメイン集団が入り乱れるフィニッシュで、序盤から逃げたミハエル・アルバジーニが大会通算6勝目。ナイロ・キンタナは19秒のリードを守りきり、ツールに弾みを付ける総合優勝を飾った。
ツアー・オブ・ターキーと時を同じくして、スイスのロマンディ地方を舞台に開催されていた6日間のツール・ド・ロマンディ(UCIワールドツアー)もフィナーレを迎えた。
UCI(国際自転車競技連合)の本部が置かれているエーグルに隣接するオロンからレマン湖の北岸を西進し、国際連合の諸機関が置かれているスイス第2の都市ジュネーヴにゴールする177.4kmがその舞台。
30km地点と100km地点にそれぞれ3級山岳が置かれているものの、コース全体の難易度としては低めでスプリンター向き。重い雲が空を覆うその下で、スタート直後から昨ステージで逃げ切り勝利を挙げたクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)が再び動きを見せた。
フルームの動きに対してミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)、カルロス・ヴェローナ(スペイン、エティックス・クイックステップ)、ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ)、アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター)、ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)、モレノ・モゼール(イタリア、キャノンデール)、ジェローム・コッペル(フランス、IAMサイクリング)らが追随し、強力な10名によるエスケープが形成された。
脚の揃った10名は序盤のアップダウンコースを駆け抜け、フルームも争いに加わった中間スプリントと山岳ポイントを通過していく。最大タイム差は3分ほどまで広がらなかったものの、ディメンションデータとモビスターが牽引する集団を背に、順調にゴールまでの距離を消化していく。この中に入り山岳ポイントを稼いだサンデル・アルミー(ベルギー、ロット・ソウダル)は山岳賞を逆転し1位を確定させている。
すると集団の足音が近づいた残り18km、逃げ切りのチャンスを見出すべく先頭からヴェローナがアタック。アルバジーニとケルデルマン、そしてチェックに入っていたアマドールが追随し、他の6名を切り離してギアを入れ替えた。
雨が吹きつける中、4名は各チームが代わる代わる先頭に立つ集団に対して一定のリードを築き上げる。タイム差は残り10kmで1分、残り5kmで40秒。最後まで協調体制を崩さなかったことが働き、およそ20秒弱のリードを持ってラスト1kmのアーチをくぐった。
するとゴール勝負への睨み合いが起きたことでペースが落ち、急速に近づいた集団からロングスパートを仕掛けたトム・ボーリ(スイス、BMCレーシング)が一気に4名を抜き去っていく。
しかし「十分なタイム差を持っていると聞いていたので一瞬何が起きたのか分からなかった。でも彼(ボーリ)の勢いが残り500mで費えたのを見て、冷静に自分のタイミングで仕掛けた」と言うアルバジーニがアマドールを従えたままスプリントを開始。ボーリを交わし、後方から猛烈な勢いで追い上げるニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア、トレック・セガフレード)をタイム差ゼロで抑え、アルバジーニが通算6度目のロマンディステージ優勝を挙げた。
19秒差のリードを守ったままゴールラインを切ったナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)は、自身初となるロマンディ総合優勝を達成。尚ゴール前の落車に総合3位ヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター)が巻き込まれ、表彰台に上がることができなかったものの、救済措置によって順位を守っている。以下はキンタナのコメント。
「最終日は全く静かな1日とはならなかった。朝の気温はとても低かったし、夜のうちには雪も降った。でもチームは正しいタイミングで正しい場所に位置して僕をサポートしてくれ、とても助かった。総合優勝は喜ぶべきだけれど、イサギーレが落車に巻き込まれて表彰台に上がることができなかった。チームにとっては甘くも苦くもある1日。彼に何も無いことを祈りたい。
期間中、特にTTの前はライバル勢の走りに気を揉んでいたけれど、展開的にも自分によく働いた。昨日のステージでは脚の動きも良好で、チームとしても最終盤までライバルのアタックを防ぐペーシングをしてくれた。今回の勝利は次への意欲となるし、気を抜かずに来るツールに向けて意識を高めていきたい。ツールでは今回に増して各チームが強力な布陣で臨んでくる。ロマンディ優勝者がツールでも勝つというジンクスが本当のものであってほしい」
ツール・ド・ロマンディ2016第5ステージ結果
1位 ミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ) 4h13’17”
2位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター)
3位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ)
4位 ニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア、トレック・セガフレード)
5位 モレノ・ホフランド(オランダ、ロットNLユンボ)
6位 クリスティアン・スバラグリ(イタリア、ディメンションデータ)
7位 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ)
8位 トム・ボーリ(スイス、BMCレーシング)
9位 カルロス・ヴェローナ(スペイン、エティックス・クイックステップ)
10位 ヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、IAMサイクリング)
個人総合成績
ポイント賞
1位 ミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)
山岳賞
1位 サンデル・アルミー(ベルギー、ロット・ソウダル)
ヤングライダー賞
1位 ピエール・ラトゥール(フランス、FDJ)
チーム総合成績
1位 モビスター
text:So.Isobe
photo:Tour de Romandie,CorVos,Bettini
ツアー・オブ・ターキーと時を同じくして、スイスのロマンディ地方を舞台に開催されていた6日間のツール・ド・ロマンディ(UCIワールドツアー)もフィナーレを迎えた。
UCI(国際自転車競技連合)の本部が置かれているエーグルに隣接するオロンからレマン湖の北岸を西進し、国際連合の諸機関が置かれているスイス第2の都市ジュネーヴにゴールする177.4kmがその舞台。
30km地点と100km地点にそれぞれ3級山岳が置かれているものの、コース全体の難易度としては低めでスプリンター向き。重い雲が空を覆うその下で、スタート直後から昨ステージで逃げ切り勝利を挙げたクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)が再び動きを見せた。
フルームの動きに対してミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)、カルロス・ヴェローナ(スペイン、エティックス・クイックステップ)、ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ)、アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター)、ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)、モレノ・モゼール(イタリア、キャノンデール)、ジェローム・コッペル(フランス、IAMサイクリング)らが追随し、強力な10名によるエスケープが形成された。
脚の揃った10名は序盤のアップダウンコースを駆け抜け、フルームも争いに加わった中間スプリントと山岳ポイントを通過していく。最大タイム差は3分ほどまで広がらなかったものの、ディメンションデータとモビスターが牽引する集団を背に、順調にゴールまでの距離を消化していく。この中に入り山岳ポイントを稼いだサンデル・アルミー(ベルギー、ロット・ソウダル)は山岳賞を逆転し1位を確定させている。
すると集団の足音が近づいた残り18km、逃げ切りのチャンスを見出すべく先頭からヴェローナがアタック。アルバジーニとケルデルマン、そしてチェックに入っていたアマドールが追随し、他の6名を切り離してギアを入れ替えた。
雨が吹きつける中、4名は各チームが代わる代わる先頭に立つ集団に対して一定のリードを築き上げる。タイム差は残り10kmで1分、残り5kmで40秒。最後まで協調体制を崩さなかったことが働き、およそ20秒弱のリードを持ってラスト1kmのアーチをくぐった。
するとゴール勝負への睨み合いが起きたことでペースが落ち、急速に近づいた集団からロングスパートを仕掛けたトム・ボーリ(スイス、BMCレーシング)が一気に4名を抜き去っていく。
しかし「十分なタイム差を持っていると聞いていたので一瞬何が起きたのか分からなかった。でも彼(ボーリ)の勢いが残り500mで費えたのを見て、冷静に自分のタイミングで仕掛けた」と言うアルバジーニがアマドールを従えたままスプリントを開始。ボーリを交わし、後方から猛烈な勢いで追い上げるニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア、トレック・セガフレード)をタイム差ゼロで抑え、アルバジーニが通算6度目のロマンディステージ優勝を挙げた。
19秒差のリードを守ったままゴールラインを切ったナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)は、自身初となるロマンディ総合優勝を達成。尚ゴール前の落車に総合3位ヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター)が巻き込まれ、表彰台に上がることができなかったものの、救済措置によって順位を守っている。以下はキンタナのコメント。
「最終日は全く静かな1日とはならなかった。朝の気温はとても低かったし、夜のうちには雪も降った。でもチームは正しいタイミングで正しい場所に位置して僕をサポートしてくれ、とても助かった。総合優勝は喜ぶべきだけれど、イサギーレが落車に巻き込まれて表彰台に上がることができなかった。チームにとっては甘くも苦くもある1日。彼に何も無いことを祈りたい。
期間中、特にTTの前はライバル勢の走りに気を揉んでいたけれど、展開的にも自分によく働いた。昨日のステージでは脚の動きも良好で、チームとしても最終盤までライバルのアタックを防ぐペーシングをしてくれた。今回の勝利は次への意欲となるし、気を抜かずに来るツールに向けて意識を高めていきたい。ツールでは今回に増して各チームが強力な布陣で臨んでくる。ロマンディ優勝者がツールでも勝つというジンクスが本当のものであってほしい」
ツール・ド・ロマンディ2016第5ステージ結果
1位 ミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ) 4h13’17”
2位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター)
3位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ)
4位 ニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア、トレック・セガフレード)
5位 モレノ・ホフランド(オランダ、ロットNLユンボ)
6位 クリスティアン・スバラグリ(イタリア、ディメンションデータ)
7位 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ)
8位 トム・ボーリ(スイス、BMCレーシング)
9位 カルロス・ヴェローナ(スペイン、エティックス・クイックステップ)
10位 ヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、IAMサイクリング)
個人総合成績
1位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
2位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ)
3位 ヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター)
4位 イルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ)
5位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)
6位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)
7位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)
8位 マティアス・フランク(スイス、IAMサイクリング)
9位 バウク・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)
10位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
2位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ)
3位 ヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター)
4位 イルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ)
5位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)
6位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)
7位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)
8位 マティアス・フランク(スイス、IAMサイクリング)
9位 バウク・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)
10位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
16h20’20”
+19”
+23”
+26”
+57”
+1’12”
+1’16”
+1’24”
+1’27”
+19”
+23”
+26”
+57”
+1’12”
+1’16”
+1’24”
+1’27”
ポイント賞
1位 ミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)
山岳賞
1位 サンデル・アルミー(ベルギー、ロット・ソウダル)
ヤングライダー賞
1位 ピエール・ラトゥール(フランス、FDJ)
チーム総合成績
1位 モビスター
text:So.Isobe
photo:Tour de Romandie,CorVos,Bettini