2016/05/01(日) - 12:58
クイーンステージを迎えたツール・ド・ロマンディで、総合順位を落としていたクリス・フルームが後半にエスケープ。激しくアタックが掛かる集団を尻目に1級バルボルーズ峠を登りきり、片手を高く突き上げた。
今年のツール・ド・ロマンディ(UCIワールドツアー)は70代総合優勝を決定づけるクイーンステージへと直面。雨降る標高1200mの1級山岳バルボルーズ峠で総合上位陣による山岳勝負が繰り広げられた。
コンテエを出発し、ヴィラール=シュル=オロンへと至る第4ステージの走行距離は172.7kmで、その中には3級、1級、3級、1級、1級と5つのカテゴリー山岳が続き、獲得標高は3311m。降雨の中、レースは序盤から激しいアタック合戦と共に幕開けた。
序盤にはダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング)を含む13名が逃げたものの、36km地点で吸収。代わって11名の大きな逃げグループが抜け出し、最大で3分35秒のアドバンテージを持って逃げ始めた。
しかし中盤の1級山岳コル・ド・プランシュでシャッフルが掛かり、パウェル・コチェコトフ(ロシア、カチューシャ)、ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ)、サンデル・アルミー(ベルギー、ロット・ソウダル)という3名が先頭に残る展開に。逃げ人数が減ったことでタイム差は再び広がり、5分弱の差をモビスター率いる集団が詰めていく形でレースが進んだ。
なおレース途中で別府史之(トレック・セガフレード)はライダー・ヘシェダル(カナダ)やジャック・ボブリッジ(オーストラリア)と共にリタイアしている。
そして1回目のバルボルーズ峠(登坂距離8.9km、平均勾配7.8%)に差し掛かると、先頭からは第2ステージでも逃げたアルミーが脱落。緊張感の高まるメイン集団でも2010年覇者であり、13〜15年と3年連続総合2位に入っているサイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)がアタック。この動きはナイロ・キンタナ(コロンビア)擁するモビスターが封じ込められる。
すると総合で遅れているクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)が、総合9位につけるティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)と共にアタック。モビスターはこの動きを容認し、2人は先行していたユンヘルスとコチェトコフに合流し、4名の先頭グループを形成して雨に濡れるダウンヒルをこなした。
いよいよ2度目のバルボルーズ峠に突入するや、登坂力に勝るフルームとヴァンガーデレンが抜け出し、利害関係の一致した2名は急速にタイム差を巻き返すメイン集団に対して逃げ続ける。やがてフルームはヴァンガーデレンをも轢き千切ると、激しいアタック合戦が繰り広げられる後続グループから追い上げられながらも、落ち着いたペースを維持してフィニッシュラインへ。雨に煙るゴールライン上を片腕を築き上げた。
「2年前にも同じようなコンディションでこの場所を走ったのでよく覚えている。もしアタックするならゴールまで距離を残した場所からだと思っていた。総合順位をジャンプアップしたいティージェイとは上手く協調できたことも味方した。総合で遅れた分、ステージ優勝できてチームのためにも良かった」と振り返るフルーム。「このロマンディで全てのパフォーマンスを見せつける必要は無い。あくまでツールの予行練習のためにこのレースを走っているのだから」と自身のパフォーマンスにも触れている。
フルームを追っていたメイン集団は、キンタナや絶好調をキープするティボー・ピノ(フランス、FDJ)がアタックを繰り返したものの、総合を揺るがす決定的な差は生まれず。キンタナはピノに対して19秒差を維持し、実質的な総合優勝に王手を掛けた。
ツール・ド・ロマンディ2016第4ステージ結果
個人総合成績
ポイント賞
1位 ヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター)
山岳賞
1位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
ヤングライダー賞
1位 ピエール・ラトゥール(フランス、FDJ)
チーム総合成績
1位 モビスター
text:So.Isobe
photo:Tour de Romandie,CorVos,Bettini
今年のツール・ド・ロマンディ(UCIワールドツアー)は70代総合優勝を決定づけるクイーンステージへと直面。雨降る標高1200mの1級山岳バルボルーズ峠で総合上位陣による山岳勝負が繰り広げられた。
コンテエを出発し、ヴィラール=シュル=オロンへと至る第4ステージの走行距離は172.7kmで、その中には3級、1級、3級、1級、1級と5つのカテゴリー山岳が続き、獲得標高は3311m。降雨の中、レースは序盤から激しいアタック合戦と共に幕開けた。
序盤にはダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング)を含む13名が逃げたものの、36km地点で吸収。代わって11名の大きな逃げグループが抜け出し、最大で3分35秒のアドバンテージを持って逃げ始めた。
しかし中盤の1級山岳コル・ド・プランシュでシャッフルが掛かり、パウェル・コチェコトフ(ロシア、カチューシャ)、ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ)、サンデル・アルミー(ベルギー、ロット・ソウダル)という3名が先頭に残る展開に。逃げ人数が減ったことでタイム差は再び広がり、5分弱の差をモビスター率いる集団が詰めていく形でレースが進んだ。
なおレース途中で別府史之(トレック・セガフレード)はライダー・ヘシェダル(カナダ)やジャック・ボブリッジ(オーストラリア)と共にリタイアしている。
そして1回目のバルボルーズ峠(登坂距離8.9km、平均勾配7.8%)に差し掛かると、先頭からは第2ステージでも逃げたアルミーが脱落。緊張感の高まるメイン集団でも2010年覇者であり、13〜15年と3年連続総合2位に入っているサイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)がアタック。この動きはナイロ・キンタナ(コロンビア)擁するモビスターが封じ込められる。
すると総合で遅れているクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)が、総合9位につけるティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)と共にアタック。モビスターはこの動きを容認し、2人は先行していたユンヘルスとコチェトコフに合流し、4名の先頭グループを形成して雨に濡れるダウンヒルをこなした。
いよいよ2度目のバルボルーズ峠に突入するや、登坂力に勝るフルームとヴァンガーデレンが抜け出し、利害関係の一致した2名は急速にタイム差を巻き返すメイン集団に対して逃げ続ける。やがてフルームはヴァンガーデレンをも轢き千切ると、激しいアタック合戦が繰り広げられる後続グループから追い上げられながらも、落ち着いたペースを維持してフィニッシュラインへ。雨に煙るゴールライン上を片腕を築き上げた。
「2年前にも同じようなコンディションでこの場所を走ったのでよく覚えている。もしアタックするならゴールまで距離を残した場所からだと思っていた。総合順位をジャンプアップしたいティージェイとは上手く協調できたことも味方した。総合で遅れた分、ステージ優勝できてチームのためにも良かった」と振り返るフルーム。「このロマンディで全てのパフォーマンスを見せつける必要は無い。あくまでツールの予行練習のためにこのレースを走っているのだから」と自身のパフォーマンスにも触れている。
フルームを追っていたメイン集団は、キンタナや絶好調をキープするティボー・ピノ(フランス、FDJ)がアタックを繰り返したものの、総合を揺るがす決定的な差は生まれず。キンタナはピノに対して19秒差を維持し、実質的な総合優勝に王手を掛けた。
ツール・ド・ロマンディ2016第4ステージ結果
1位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
2位 ヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター)
3位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ)
4位 イルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ)
5位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
6位 バウク・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)
7位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)
8位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール)
9位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
10位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)
DNF 別府史之(トレック・セガフレード)
2位 ヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター)
3位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ)
4位 イルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ)
5位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
6位 バウク・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)
7位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)
8位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール)
9位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
10位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)
DNF 別府史之(トレック・セガフレード)
4h44’24”
+04”
+09”
+04”
+09”
個人総合成績
1位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
2位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ)
3位 ヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター)
4位 イルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ)
5位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)
6位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)
7位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)
8位 マティアス・フランク(スイス、IAMサイクリング)
9位 バウク・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)
10位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
2位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ)
3位 ヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター)
4位 イルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ)
5位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)
6位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)
7位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)
8位 マティアス・フランク(スイス、IAMサイクリング)
9位 バウク・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)
10位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
12h07’03”
+19”
+23”
+26”
+57”
+1’12”
+1’16”
+1’24”
+1’27”
+19”
+23”
+26”
+57”
+1’12”
+1’16”
+1’24”
+1’27”
ポイント賞
1位 ヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター)
山岳賞
1位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
ヤングライダー賞
1位 ピエール・ラトゥール(フランス、FDJ)
チーム総合成績
1位 モビスター
text:So.Isobe
photo:Tour de Romandie,CorVos,Bettini
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