2016/02/24(水) - 20:31
ツール・ド・ランカウイでの勝ち方を心得ているアンドレア・グアルディーニ(アスタナ)が開幕ステージで通算19勝目をマーク。福田真平(愛三工業レーシング)が8位でフィニッシュした。
タイとの国境に近いプルリス州のカンガーをスタートするツール・ド・ランカウイ第1ステージ。朝から容赦ない太陽が照りつけ、海から運ばれてきた水分たっぷりの空気が体感気温を上げる。マレー半島を南下する1週間の旅が始まった。
フィニッシュ地点バリングまでをつなぐ165.5kmの大部分は内陸部を走る幹線道路。山岳地帯とも言えない標高200mほどの丘が連なっている。後半にかけて4級山岳が2つと3級山岳が登場するものの、獲得標高差は1,000m弱だ。
長いニュートラル走行を経て正式なスタートが切られるとすぐワン・メイイン(中国、ヘンシャンサイクリング)、モハマドアディク・オスマン(マレーシア、トレンガヌサイクリング)、メヘル・ハスナウイ(チュニジア、スカイダイブドバイ)、ロー・シーキョン(マレーシア、マレーシアナショナルチーム)が逃げグループを形成する。平地を吹き抜ける風に翻弄されながらも、4名の逃げは最大6分のリードを築き上げた。
逃げグループの中でアクティブに動いたのは、2013年大会のキャメロンハイランドで大逃げを成功させてステージ優勝し、総合5位でレースを終えたワン・メイインだ。逃げグループから飛び出す勢いで中間スプリントを連取したワンは、連続する4級山岳も先頭通過。最後に3級山岳まで先頭で通過したワンは最終的に山岳賞ジャージと敢闘賞を獲得するとともに、ボーナスタイムで総合2位につけた。
アスタナとサウスイーストの2チームが先頭に陣取る形で集団は進む。一日中ずっとルスラン・トレバイェフ(カザフスタン、アスタナ)とトマスアウレリオ・ヒルマルティネス(ベネズエラ、サウスイースト)の2人がローテーションを回し続け、逃げグループに余計なタイム差を与えない。残り24km地点に位置する3級山岳も淡々とペースを刻んでクリアした。
2013年のジャラジャマレーシアで総合優勝を飾り、2014年にジャイアント・シマノで走ったロー・シーキョンが先頭で独走に持ち込むも、残り8kmでついに吸収。そこから愛三工業レーシングを含めてスプリンターチームが隊列を組んで集団前方に上がる。すると福田真平のために隊列を組んでいた愛三工業レーシングの綾部勇成と黒枝士揮がこの落車に巻き込まれた。
「残り10kmを切ってから落車が発生して、綾部さんや士揮(黒枝)が脱落してしまった。そこから伊藤、平塚、早川にアシストされてポジションを守り、しばらくして士揮が復帰。残り2kmで(リードアウト役の)士揮が先頭に出てしまったので、後ろからきた列車に飛び乗りました。どのチームが抜きん出ていたというわけではなく、ティンコフやドラパック、ユナイテッドヘルスケアが列車を組んでいて、先頭は横一線だった」と福田真平は振り返る。
最終的にドラパックやチームロスが先頭に立って残り1km。グレーム・ブラウン(オーストラリア、ドラパック)を先頭に残り300mのラストコーナーを曲がり、加速勝負のスプリントが始まるとグアルディーニが先頭に立つ。ブレントン・ジョーンズ(オーストラリア、ドラパック)らに競り勝ったグアルディーニが悠々と両手を広げた。
「有力選手として注目されればされるほど、勝つのが難しくなる。特に大会初日はコントロールが難しく、どのチームもアスタナの動きを伺っていた。幸いサウスイーストが協力的で、向かい風のシチュエーションが集団に味方した。今シーズンはすでにドバイツアーとカタール、オマーンを走っているので調子は良い。この勝利は昨日生まれた甥っ子ロビンに捧げたい」と、6年連続出場しているランカウイでステージ通算19勝目を飾ったグアルディーニは語る。
ミゲルアンヘル・ロペスモレーノ(コロンビア)で総合優勝を狙うアスタナにとってはこの上ないスタートとなったが、この日献身的に集団を率いていたトレバイェフが落車で鎖骨を骨折。トレバイェフはフィニッシュにたどり着いたものの翌日のDNSが決まっている。グアルディーニは「貴重なアシストを一人失ってしまった。ただでさえ(1チーム6名参加で)コントロールしにくい状況なのに、明日からますますコントロールが難しくなる」と不安な気持ちを打ち明けている。
ラストコーナーからフィニッシュまで踏み切った福田真平は8位でフィニッシュ。UCIポイント獲得(今年からステージ6位以内ではなく3位以内に変更されている)には届かなかったが「落車で予定通りとは言えませんでしたが、すでにカタールやオマーンを走っている選手がいる中で大会初日に8位という成績は悪くはないと思います」と感触を得ている様子だ。
ツール・ド・ランカウイ2016第1ステージ結果
1位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ) 4h25’57”
2位 ブレントン・ジョーンズ(オーストラリア、ドラパック)
3位 アンドレア・パリーニ(イタリア、スカイダイブドバイ)
4位 ジョン・マーフィー(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
5位 ディラン・ペイジ(スイス、チームロス)
6位 ミカル・コラー(スロバキア、ティンコフ)
7位 レイナルト・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、ディメンションデータ)
8位 福田真平(日本、愛三工業レーシング)
9位 マルコ・ベンファット(イタリア、アンドローニジョカトリ)
10位 モハマドハリフ・サレー(マレーシア、トレンガヌサイクリング)
個人総合成績
1位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ) 4h25’47”
2位 ワン・メイイン(中国、ヘンシャンサイクリング) +02”
3位 モハマドアディク・オスマン(マレーシア、トレンガヌサイクリング) +03”
4位 ブレントン・ジョーンズ(オーストラリア、ドラパック) +04”
5位 アンドレア・パリーニ(イタリア、スカイダイブドバイ) +06”
6位 メヘル・ハスナウイ(チュニジア、スカイダイブドバイ) +08”
7位 ロー・シーキョン(マレーシア、マレーシアナショナルチーム) +09”
8位 ジョン・マーフィー(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア) +10”
9位 ディラン・ペイジ(スイス、チームロス)
10位 ミカル・コラー(スロバキア、ティンコフ)
ポイント賞
1位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)
山岳賞
1位 ワン・メイイン(中国、ヘンシャンサイクリング)
アジアンライダー賞
1位 ワン・メイイン(中国、ヘンシャンサイクリング)
text&photo:Kei Tsuji in Sungai Petani, Malaysia
タイとの国境に近いプルリス州のカンガーをスタートするツール・ド・ランカウイ第1ステージ。朝から容赦ない太陽が照りつけ、海から運ばれてきた水分たっぷりの空気が体感気温を上げる。マレー半島を南下する1週間の旅が始まった。
フィニッシュ地点バリングまでをつなぐ165.5kmの大部分は内陸部を走る幹線道路。山岳地帯とも言えない標高200mほどの丘が連なっている。後半にかけて4級山岳が2つと3級山岳が登場するものの、獲得標高差は1,000m弱だ。
長いニュートラル走行を経て正式なスタートが切られるとすぐワン・メイイン(中国、ヘンシャンサイクリング)、モハマドアディク・オスマン(マレーシア、トレンガヌサイクリング)、メヘル・ハスナウイ(チュニジア、スカイダイブドバイ)、ロー・シーキョン(マレーシア、マレーシアナショナルチーム)が逃げグループを形成する。平地を吹き抜ける風に翻弄されながらも、4名の逃げは最大6分のリードを築き上げた。
逃げグループの中でアクティブに動いたのは、2013年大会のキャメロンハイランドで大逃げを成功させてステージ優勝し、総合5位でレースを終えたワン・メイインだ。逃げグループから飛び出す勢いで中間スプリントを連取したワンは、連続する4級山岳も先頭通過。最後に3級山岳まで先頭で通過したワンは最終的に山岳賞ジャージと敢闘賞を獲得するとともに、ボーナスタイムで総合2位につけた。
アスタナとサウスイーストの2チームが先頭に陣取る形で集団は進む。一日中ずっとルスラン・トレバイェフ(カザフスタン、アスタナ)とトマスアウレリオ・ヒルマルティネス(ベネズエラ、サウスイースト)の2人がローテーションを回し続け、逃げグループに余計なタイム差を与えない。残り24km地点に位置する3級山岳も淡々とペースを刻んでクリアした。
2013年のジャラジャマレーシアで総合優勝を飾り、2014年にジャイアント・シマノで走ったロー・シーキョンが先頭で独走に持ち込むも、残り8kmでついに吸収。そこから愛三工業レーシングを含めてスプリンターチームが隊列を組んで集団前方に上がる。すると福田真平のために隊列を組んでいた愛三工業レーシングの綾部勇成と黒枝士揮がこの落車に巻き込まれた。
「残り10kmを切ってから落車が発生して、綾部さんや士揮(黒枝)が脱落してしまった。そこから伊藤、平塚、早川にアシストされてポジションを守り、しばらくして士揮が復帰。残り2kmで(リードアウト役の)士揮が先頭に出てしまったので、後ろからきた列車に飛び乗りました。どのチームが抜きん出ていたというわけではなく、ティンコフやドラパック、ユナイテッドヘルスケアが列車を組んでいて、先頭は横一線だった」と福田真平は振り返る。
最終的にドラパックやチームロスが先頭に立って残り1km。グレーム・ブラウン(オーストラリア、ドラパック)を先頭に残り300mのラストコーナーを曲がり、加速勝負のスプリントが始まるとグアルディーニが先頭に立つ。ブレントン・ジョーンズ(オーストラリア、ドラパック)らに競り勝ったグアルディーニが悠々と両手を広げた。
「有力選手として注目されればされるほど、勝つのが難しくなる。特に大会初日はコントロールが難しく、どのチームもアスタナの動きを伺っていた。幸いサウスイーストが協力的で、向かい風のシチュエーションが集団に味方した。今シーズンはすでにドバイツアーとカタール、オマーンを走っているので調子は良い。この勝利は昨日生まれた甥っ子ロビンに捧げたい」と、6年連続出場しているランカウイでステージ通算19勝目を飾ったグアルディーニは語る。
ミゲルアンヘル・ロペスモレーノ(コロンビア)で総合優勝を狙うアスタナにとってはこの上ないスタートとなったが、この日献身的に集団を率いていたトレバイェフが落車で鎖骨を骨折。トレバイェフはフィニッシュにたどり着いたものの翌日のDNSが決まっている。グアルディーニは「貴重なアシストを一人失ってしまった。ただでさえ(1チーム6名参加で)コントロールしにくい状況なのに、明日からますますコントロールが難しくなる」と不安な気持ちを打ち明けている。
ラストコーナーからフィニッシュまで踏み切った福田真平は8位でフィニッシュ。UCIポイント獲得(今年からステージ6位以内ではなく3位以内に変更されている)には届かなかったが「落車で予定通りとは言えませんでしたが、すでにカタールやオマーンを走っている選手がいる中で大会初日に8位という成績は悪くはないと思います」と感触を得ている様子だ。
ツール・ド・ランカウイ2016第1ステージ結果
1位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ) 4h25’57”
2位 ブレントン・ジョーンズ(オーストラリア、ドラパック)
3位 アンドレア・パリーニ(イタリア、スカイダイブドバイ)
4位 ジョン・マーフィー(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
5位 ディラン・ペイジ(スイス、チームロス)
6位 ミカル・コラー(スロバキア、ティンコフ)
7位 レイナルト・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、ディメンションデータ)
8位 福田真平(日本、愛三工業レーシング)
9位 マルコ・ベンファット(イタリア、アンドローニジョカトリ)
10位 モハマドハリフ・サレー(マレーシア、トレンガヌサイクリング)
個人総合成績
1位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ) 4h25’47”
2位 ワン・メイイン(中国、ヘンシャンサイクリング) +02”
3位 モハマドアディク・オスマン(マレーシア、トレンガヌサイクリング) +03”
4位 ブレントン・ジョーンズ(オーストラリア、ドラパック) +04”
5位 アンドレア・パリーニ(イタリア、スカイダイブドバイ) +06”
6位 メヘル・ハスナウイ(チュニジア、スカイダイブドバイ) +08”
7位 ロー・シーキョン(マレーシア、マレーシアナショナルチーム) +09”
8位 ジョン・マーフィー(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア) +10”
9位 ディラン・ペイジ(スイス、チームロス)
10位 ミカル・コラー(スロバキア、ティンコフ)
ポイント賞
1位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)
山岳賞
1位 ワン・メイイン(中国、ヘンシャンサイクリング)
アジアンライダー賞
1位 ワン・メイイン(中国、ヘンシャンサイクリング)
text&photo:Kei Tsuji in Sungai Petani, Malaysia
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