2016/03/08(火) - 09:29
イタリアのサイクリングアパレルブランドrh+より、同社初となる本格的エアロヘルメット「Z-Alpha」が登場。前頭部に取り外し可能なカバーを設けることで通気性の調整を可能とした、近未来的デザインのヘルメットをインプレッションする。
アイウェアをはじめとしたサイクルギアを展開するイタリアンブランドrh+。同社のヘルメットラインアップに、新たなハイエンドモデルとして登場したのが、今回インプレッションを行う「Z-Alpha」である。同社としては初となる本格的エアロヘルメットだ。
「Z-alpha」の開発コンセプトは「通気性を犠牲にせず、更にエアロダイナミクスを追求すること」。その結果編み出されたのが、「Z-Alphaキャップ」と名付けられた前頭部のエアロカバーである。このカバーは脱着可能であり、高速なレースや寒い日のライドでは本体に取り付けて空気抵抗を低減し、ヒルクライムや暑い日など体温が上がるシチュエーションでは取り外して通気性を高めることができる。また、取り付け時にも大きく通気性が落ちないように、Z-Alphaキャップにも通気性を高める工夫が施されている。
もちろん、本体自体もエアロダイナミクスと通気性の双方を追求。開発には風洞実験を多用し、あらゆる方向からの風をスムーズに後方へと受け流せるよう設計されているとのこと。アルベルト・コンタドール(スペイン)が主宰するジュニアチーム「フォンダシオン・コンタドール」が実走テストを担当し、チームからのフィードバックを元に細部を煮詰めていったという。
本体はco-moldingによって成型されたポリカーボネート製アウターシェルに、EPS製のインナーシェルという組み合わせている。特にアウターシェルは耐摩耗性に優れており、落車して地面とヘルメットが擦れた際にも擦り切れにくく、摩擦に弱いEPSと地面との接触を防止。最後まで頭部を守ってくれる。
また、ロード用ヘルメットではまだまだ少ない「MIPS(ミップス)」搭載バージョンもZ-Alphaでは用意される。この「MIPS」とは、インナーシェルの内側にポリカーボネート製のシェルを設け、大きな衝撃が加わった際には頭にかかる回転衝撃を低減するというもの。スタンダードバージョンに対して若干の重量増とはなるものの、ヘルメットに更なるプロテクション性能を求める方にはより安心な仕様となるだろう。
フィッティングシステムには、「Power FIT 2」を採用。ダイヤルの裏面には後頭部を面で捉えるサポートパーツを設け安定感を高めている。頭囲方向には細かく、縦方向にも調整が可能。ストラップには、チンパッドを設け快適性を高めた。パッドにはアレルギーフリーで速乾吸収性に優れるrh+独自の素材「Fire Dry」を採用している。
サイズはXS/M(54~58cm)とL/XL(58~62cm)の2種類展開。実測重量はスタンダードバージョンのXS/Mが276g、L/XLが312g、MIPS搭載バージョンのXS/Mが296g、L/XLgは338gだ。
Z-Alphaについてコメントを伺ったのは「サイクルセンターサンワ」の店主を務める北谷さんだ。
「元々ブリコに居たデザイナーのアルベルト・ブリリョーネ氏と、ベネトン名誉会長の息子であるアレッサンドロ・ベネトン氏が興したブランドとあって、rh+のヘルメットはデザイン性が高いですね。このZ-Alphaにもイタリアンデザインならではの流麗さがあります。日本人にもフィットしやすく、サイズごとにしっかりと大きさを変えてあるので、2サイズ展開ですが多くの方にフィットするはず。エアロヘルメットとしてはこなれた価格ですし、是非多くの方に試してほしいですね。」
ー インプレッション
今回のインプレッションでメインで使用したのは、MIPS非搭載のスタンダードバージョン。実際に使用してみての印象に強く残ったのは、ルックスから受けるイメージよりも通気性が良いということ。丸みを帯びていて、ベンチレーションホールの総面積も決して大きいわけではないが、走行風を効率良く頭に当てて、熱を取り除いてくれる。
前頭部のカバーは通気性の調整に便利。カバーを外した際は、非常に高い通気性を得ることができる。通気性重視のヘルメットとくらべても遜色なく、河川敷で冷たい北風に向かって走った時には額が痛くなってしまうほど。エアロヘルメットながら、高温多湿な夏のライドも高い通気性でサポートしてくれるだろう。
一方、カバーを取り付けた際にも極端に通気性は落ちない。サイドのベンチレーションホールからの走行風の流入量が多く、カバーに設けられた通気口からシェル内へ適切に走行風を取り込んでくれるからだ。丁度いま時期の寒い日のライドでは適度に熱を逃してくれるため、向かい風で高強度で踏まざるを得ない状況でも熱がこもって汗が滴ってくるということはなかった。
エアロ性能について、具体的に述べるのは難しいところ。しかし、河川敷の強い向かい風で、普段使用している非エアロタイプのヘルメットと比較すると、いくぶん空気抵抗が少ないのでは?という印象を受けた。
なお、前頭部のカバーの有無による空気抵抗の違いについて、今回のインプレッションでは体感することはできなかった。しかし、ダウンヒルや高速レースなど時速50km/hを越えるようなシーンでは間違いなく違いが出てくるだろう。普段は取り外して、高速レースや寒い日のライドは取り付けて、という風にカバーは使い分けられそうだ。
着用感については、ユーロフィットとアジアンフィットの中間と言ったところだろうか。カブトのヘルメットが良くフィットする典型的日本人頭の筆者の場合、Z-Alphaは感覚的に普段よりも多めにクロージャーを閉め込む必要があった。帽体と頭の不快なアタリは無かった。被りの深さは浅くもなく深くもなくといったところで、
なお、帽体に対してストラップがやや短めなのは注意したいところ。購入の際には帽体のフィット感だけではなく、ストラップの長さもチェックしてほしい。
今回のインプレッションに使用したスタンダードバージョンのL/XLの実測重量は312gと、他社エアロヘルメットとの比較でも重めだが、空気抵抗が少ないせいか気になるほどの重たさは感じなかった。そして、重い分だけインナーシェルに厚く、高いプロテクション性能を期待でき、更に高い安全性を求める方にはMIPS搭載モデルも用意されている。
rh+が目指したとおり、Z-Alphaはエアロと通気性を高いレベルで両立できたヘルメットだ。まだまだ価格がこなれてきたとはいえず、30,000円を越えるものも少なくないエアロヘルメットだが、これだけの機能を持ってZ-Alphaはスタンダードバージョンで23,500円と良心的な価格設定といえるだろう。
(インプレッションbyCW編集部・山本)
rh+ Z-Alpha
サイズ:XS/M(54~58cm)、L/XL(58~62cm)
実測重量:276g(XS/M)、312g(L/XL)
カラー:
・Shiny Black/Shiny Yellow Fluo/Matt Black
・Shiny White/Shiny White/Matt Black
・Matt Black/Matt White/Light Matt Blue(フォンダシオン・コンタドールカラー)
・Shiny Black/Matt Black/Matt Black
・Shiny White/Shin Red/Matt Black
・Shiny Green/Shiny White/Matt Black
付属品:専用バッグ
価 格:23,500円(税別)
rh+ Z-Alpha MIPS
サイズ:XS/M(54~58cm)、L/XL(58~62cm)
実測重量:296g(XS/M)、338g(L/XL)
カラー:
・Shiny Red/Shiny White/Matt Black
・Shiny Black/Shiny Black/Matt Black
・Shiny White/Shiny White/Matt White
付属品:専用バッグ
価 格:29,000円(税別)
text&photo:Yuya.Yamamoto
アイウェアをはじめとしたサイクルギアを展開するイタリアンブランドrh+。同社のヘルメットラインアップに、新たなハイエンドモデルとして登場したのが、今回インプレッションを行う「Z-Alpha」である。同社としては初となる本格的エアロヘルメットだ。
「Z-alpha」の開発コンセプトは「通気性を犠牲にせず、更にエアロダイナミクスを追求すること」。その結果編み出されたのが、「Z-Alphaキャップ」と名付けられた前頭部のエアロカバーである。このカバーは脱着可能であり、高速なレースや寒い日のライドでは本体に取り付けて空気抵抗を低減し、ヒルクライムや暑い日など体温が上がるシチュエーションでは取り外して通気性を高めることができる。また、取り付け時にも大きく通気性が落ちないように、Z-Alphaキャップにも通気性を高める工夫が施されている。
もちろん、本体自体もエアロダイナミクスと通気性の双方を追求。開発には風洞実験を多用し、あらゆる方向からの風をスムーズに後方へと受け流せるよう設計されているとのこと。アルベルト・コンタドール(スペイン)が主宰するジュニアチーム「フォンダシオン・コンタドール」が実走テストを担当し、チームからのフィードバックを元に細部を煮詰めていったという。
本体はco-moldingによって成型されたポリカーボネート製アウターシェルに、EPS製のインナーシェルという組み合わせている。特にアウターシェルは耐摩耗性に優れており、落車して地面とヘルメットが擦れた際にも擦り切れにくく、摩擦に弱いEPSと地面との接触を防止。最後まで頭部を守ってくれる。
また、ロード用ヘルメットではまだまだ少ない「MIPS(ミップス)」搭載バージョンもZ-Alphaでは用意される。この「MIPS」とは、インナーシェルの内側にポリカーボネート製のシェルを設け、大きな衝撃が加わった際には頭にかかる回転衝撃を低減するというもの。スタンダードバージョンに対して若干の重量増とはなるものの、ヘルメットに更なるプロテクション性能を求める方にはより安心な仕様となるだろう。
フィッティングシステムには、「Power FIT 2」を採用。ダイヤルの裏面には後頭部を面で捉えるサポートパーツを設け安定感を高めている。頭囲方向には細かく、縦方向にも調整が可能。ストラップには、チンパッドを設け快適性を高めた。パッドにはアレルギーフリーで速乾吸収性に優れるrh+独自の素材「Fire Dry」を採用している。
サイズはXS/M(54~58cm)とL/XL(58~62cm)の2種類展開。実測重量はスタンダードバージョンのXS/Mが276g、L/XLが312g、MIPS搭載バージョンのXS/Mが296g、L/XLgは338gだ。
Z-Alphaについてコメントを伺ったのは「サイクルセンターサンワ」の店主を務める北谷さんだ。
「元々ブリコに居たデザイナーのアルベルト・ブリリョーネ氏と、ベネトン名誉会長の息子であるアレッサンドロ・ベネトン氏が興したブランドとあって、rh+のヘルメットはデザイン性が高いですね。このZ-Alphaにもイタリアンデザインならではの流麗さがあります。日本人にもフィットしやすく、サイズごとにしっかりと大きさを変えてあるので、2サイズ展開ですが多くの方にフィットするはず。エアロヘルメットとしてはこなれた価格ですし、是非多くの方に試してほしいですね。」
ー インプレッション
今回のインプレッションでメインで使用したのは、MIPS非搭載のスタンダードバージョン。実際に使用してみての印象に強く残ったのは、ルックスから受けるイメージよりも通気性が良いということ。丸みを帯びていて、ベンチレーションホールの総面積も決して大きいわけではないが、走行風を効率良く頭に当てて、熱を取り除いてくれる。
前頭部のカバーは通気性の調整に便利。カバーを外した際は、非常に高い通気性を得ることができる。通気性重視のヘルメットとくらべても遜色なく、河川敷で冷たい北風に向かって走った時には額が痛くなってしまうほど。エアロヘルメットながら、高温多湿な夏のライドも高い通気性でサポートしてくれるだろう。
一方、カバーを取り付けた際にも極端に通気性は落ちない。サイドのベンチレーションホールからの走行風の流入量が多く、カバーに設けられた通気口からシェル内へ適切に走行風を取り込んでくれるからだ。丁度いま時期の寒い日のライドでは適度に熱を逃してくれるため、向かい風で高強度で踏まざるを得ない状況でも熱がこもって汗が滴ってくるということはなかった。
エアロ性能について、具体的に述べるのは難しいところ。しかし、河川敷の強い向かい風で、普段使用している非エアロタイプのヘルメットと比較すると、いくぶん空気抵抗が少ないのでは?という印象を受けた。
なお、前頭部のカバーの有無による空気抵抗の違いについて、今回のインプレッションでは体感することはできなかった。しかし、ダウンヒルや高速レースなど時速50km/hを越えるようなシーンでは間違いなく違いが出てくるだろう。普段は取り外して、高速レースや寒い日のライドは取り付けて、という風にカバーは使い分けられそうだ。
着用感については、ユーロフィットとアジアンフィットの中間と言ったところだろうか。カブトのヘルメットが良くフィットする典型的日本人頭の筆者の場合、Z-Alphaは感覚的に普段よりも多めにクロージャーを閉め込む必要があった。帽体と頭の不快なアタリは無かった。被りの深さは浅くもなく深くもなくといったところで、
なお、帽体に対してストラップがやや短めなのは注意したいところ。購入の際には帽体のフィット感だけではなく、ストラップの長さもチェックしてほしい。
今回のインプレッションに使用したスタンダードバージョンのL/XLの実測重量は312gと、他社エアロヘルメットとの比較でも重めだが、空気抵抗が少ないせいか気になるほどの重たさは感じなかった。そして、重い分だけインナーシェルに厚く、高いプロテクション性能を期待でき、更に高い安全性を求める方にはMIPS搭載モデルも用意されている。
rh+が目指したとおり、Z-Alphaはエアロと通気性を高いレベルで両立できたヘルメットだ。まだまだ価格がこなれてきたとはいえず、30,000円を越えるものも少なくないエアロヘルメットだが、これだけの機能を持ってZ-Alphaはスタンダードバージョンで23,500円と良心的な価格設定といえるだろう。
(インプレッションbyCW編集部・山本)
rh+ Z-Alpha
サイズ:XS/M(54~58cm)、L/XL(58~62cm)
実測重量:276g(XS/M)、312g(L/XL)
カラー:
・Shiny Black/Shiny Yellow Fluo/Matt Black
・Shiny White/Shiny White/Matt Black
・Matt Black/Matt White/Light Matt Blue(フォンダシオン・コンタドールカラー)
・Shiny Black/Matt Black/Matt Black
・Shiny White/Shin Red/Matt Black
・Shiny Green/Shiny White/Matt Black
付属品:専用バッグ
価 格:23,500円(税別)
rh+ Z-Alpha MIPS
サイズ:XS/M(54~58cm)、L/XL(58~62cm)
実測重量:296g(XS/M)、338g(L/XL)
カラー:
・Shiny Red/Shiny White/Matt Black
・Shiny Black/Shiny Black/Matt Black
・Shiny White/Shiny White/Matt White
付属品:専用バッグ
価 格:29,000円(税別)
text&photo:Yuya.Yamamoto
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