2016/01/18(月) - 09:31
信州クロスの2015-16シーズン最終戦となる第8戦が山梨県北杜市清里の萌木の村で開催され、ハードなパワーコースを地元の窪田博英(八ヶ岳CYCLOCROSS CLUB)が制しC1初優勝を遂げた。
八ヶ岳の麓、山梨県北杜市清里といえば夏の避暑地、冬のスキーリゾートとして首都圏を中心に多くの観光客を集めるエリア。標高1000mを超える清里は寒さも厳しいが、信州クロスのオーガナイザーは「あえて寒さの厳しい時期に寒冷地でのレースを組む」とし、代々極寒のシクロクロス開催地としてもお馴染みの土地だ。
清里の観光スポットとして名高い「萌木の村」での開催は今年で2度目。飲食店や雑貨店、メリーゴーランドなどアミューズメントパークのような敷地は起伏に富み、ハイスピードな下りや落差のあるドロップオフ、そして無数の階段セクションなどパワーとタフさを要求するコース。昨年は大雪のため未舗装路区間のほぼすべてが雪に覆われたスノークロスだったが、暖冬の今年は全域に渡りドライ。コースは昨年と違う表情を覗かせる。
この日は栃木県宇都宮市ろまんちっく村でJCXレースが行われていたこともあり、カテゴリー1レースのエントリーは12名とやや少なめ。信州クロスシリーズランキングで上位を占める有力選手がこぞって不在のため、誰にでも開かれたオープンなレースとなった。
号砲とともに飛び出した鈴木祐一(Rise-Ride)がホールショットを得るも、続く区間で先頭に立ったのは三上和志(Cycleclub 3UP)。開催地北杜市に住む地元の窪田博英(八ヶ岳CYCLOCROSS CLUB)がぴったりマークに入る。3名での攻防が続く中、高野淳(TEAM YOUCAN)が追い上げを見せる。
ハイスピードなダウンヒルや、断続的に現れる階段セクションなど短いコースに要素が凝縮され集中力が要求されるなか、上位4名は各人メカトラや落車などで順位を入れ替える。混沌とした展開から抜け出したのは窪田。地元の意地を見せ独走態勢へ入った。
続く高野、鈴木、三上の3名はいずれも自転車ショップの店長。関東のシクロクロスシーンのC1で存在感を見せる「CX店長」たちだ。彼らが文字通り自店の名を背負い、周回を重ねていく中、11周回を先頭でゴールラインに飛び込んだのは窪田。2位には追い上げた高野が、3位には安定した走りの鈴木が入り表彰台を埋めた。
優勝した窪田は地元山梨県北杜市在住で、前日はコースの設営、この日も立哨をこなしながらのレースとなった。「鬼の居ぬ間の洗濯」ではあれど、所属チーム名にもある八ヶ岳に抱かれた地で、最高の結果を出してみせた。
今年も参加賞は「シクロクロスレジェンドビール」
昨年に続き、観光地ならではのホスピタリティがここ萌木の村大会にはあった。敷地内の地ビールレストラン「ROCK」の協賛のもと、今年も「シクロクロスレジェンドビール」が参加賞として配られた。
昨年は信州クロスの生ける伝説、小坂正則(スワコレーシング)のオリジナルラベルだったが、今年はシクロクロス全日本選手権で9連覇を達成した第一人者、辻浦圭一さんをフィーチャー。奈良から週末ごとに足繁く信州へ通った偉大なチャンピオンのエピソードがプリントされる。
各カテゴリーのレース直後にはゴール地点で瓶コーラのふるまいもあり、ハードなコースに挑んだライダーたちへ、ねぎらいの心意気が粋。レースを知らず訪れた観光客もコース沿道で足を止め、土埃にまみれ苦悶の表情で走るレーサーを驚きの眼差しで眺めながら、観戦を楽しんでいた。普段は人里離れた郊外や運動公園で開催されることの多いシクロクロスレースだが、こうした観光地で開催することは一般への周知につながるだけでなく、華やかな雰囲気に走るレーサー自身も奮起する。
来年もまた開催予定の萌木の村大会、ジェットコースターのようなめまぐるしいコースや、充実のホスピタリティ(来年は果たして誰がビールになるのか?)など、楽しみ方がもりだくさんのレースとなるはずだ。
信州クロス2015第8戦 清里萌木の村 結果
C1 11周回
1位 窪田博英(八ヶ岳CYCLOCROSS CLUB) 57’28”
2位 高野淳(TEAM YOUCAN) +44”
3位 鈴木祐一(Rise-Ride) +1’03”
4位 三上和志(Cycleclub 3UP) +1’23”
5位 小俣雄風太(八ヶ岳CYCLOCROSS CLUB) +1’35”
6位 横山徹(HADANO Cyclocross) +2’15”
C2 7周回
1位 水竹真一(チームウォークライド) 40’40”
2位 大倉壮(YOUCAN) +12”
3位 古畑博志(スワコレーシング) +29”
CM 4周回
1位 金田健太郎(FAST LANE RACING) 27’55”
2位 原野博明(エキップナカムラ) +15”
3位 川村浩二(エキップナカムラ) +1’10”
C3/4 4周回
1位 山瀧純一(山瀧軍団) 26’58”
2位 川崎隆志(CLUB viento) +13”
3位 高嶌厚志 +20”
CL2 3周回
1位 武藤優奈(TEAM YOUCAN) 26’06”
2位 高沢芳枝(Cycleclub 3UP) +4’58”
CK
1位 澤井千洋(TEAM YOUCAN)
Text & photo: Yufta Omata
八ヶ岳の麓、山梨県北杜市清里といえば夏の避暑地、冬のスキーリゾートとして首都圏を中心に多くの観光客を集めるエリア。標高1000mを超える清里は寒さも厳しいが、信州クロスのオーガナイザーは「あえて寒さの厳しい時期に寒冷地でのレースを組む」とし、代々極寒のシクロクロス開催地としてもお馴染みの土地だ。
清里の観光スポットとして名高い「萌木の村」での開催は今年で2度目。飲食店や雑貨店、メリーゴーランドなどアミューズメントパークのような敷地は起伏に富み、ハイスピードな下りや落差のあるドロップオフ、そして無数の階段セクションなどパワーとタフさを要求するコース。昨年は大雪のため未舗装路区間のほぼすべてが雪に覆われたスノークロスだったが、暖冬の今年は全域に渡りドライ。コースは昨年と違う表情を覗かせる。
この日は栃木県宇都宮市ろまんちっく村でJCXレースが行われていたこともあり、カテゴリー1レースのエントリーは12名とやや少なめ。信州クロスシリーズランキングで上位を占める有力選手がこぞって不在のため、誰にでも開かれたオープンなレースとなった。
号砲とともに飛び出した鈴木祐一(Rise-Ride)がホールショットを得るも、続く区間で先頭に立ったのは三上和志(Cycleclub 3UP)。開催地北杜市に住む地元の窪田博英(八ヶ岳CYCLOCROSS CLUB)がぴったりマークに入る。3名での攻防が続く中、高野淳(TEAM YOUCAN)が追い上げを見せる。
ハイスピードなダウンヒルや、断続的に現れる階段セクションなど短いコースに要素が凝縮され集中力が要求されるなか、上位4名は各人メカトラや落車などで順位を入れ替える。混沌とした展開から抜け出したのは窪田。地元の意地を見せ独走態勢へ入った。
続く高野、鈴木、三上の3名はいずれも自転車ショップの店長。関東のシクロクロスシーンのC1で存在感を見せる「CX店長」たちだ。彼らが文字通り自店の名を背負い、周回を重ねていく中、11周回を先頭でゴールラインに飛び込んだのは窪田。2位には追い上げた高野が、3位には安定した走りの鈴木が入り表彰台を埋めた。
優勝した窪田は地元山梨県北杜市在住で、前日はコースの設営、この日も立哨をこなしながらのレースとなった。「鬼の居ぬ間の洗濯」ではあれど、所属チーム名にもある八ヶ岳に抱かれた地で、最高の結果を出してみせた。
今年も参加賞は「シクロクロスレジェンドビール」
昨年に続き、観光地ならではのホスピタリティがここ萌木の村大会にはあった。敷地内の地ビールレストラン「ROCK」の協賛のもと、今年も「シクロクロスレジェンドビール」が参加賞として配られた。
昨年は信州クロスの生ける伝説、小坂正則(スワコレーシング)のオリジナルラベルだったが、今年はシクロクロス全日本選手権で9連覇を達成した第一人者、辻浦圭一さんをフィーチャー。奈良から週末ごとに足繁く信州へ通った偉大なチャンピオンのエピソードがプリントされる。
各カテゴリーのレース直後にはゴール地点で瓶コーラのふるまいもあり、ハードなコースに挑んだライダーたちへ、ねぎらいの心意気が粋。レースを知らず訪れた観光客もコース沿道で足を止め、土埃にまみれ苦悶の表情で走るレーサーを驚きの眼差しで眺めながら、観戦を楽しんでいた。普段は人里離れた郊外や運動公園で開催されることの多いシクロクロスレースだが、こうした観光地で開催することは一般への周知につながるだけでなく、華やかな雰囲気に走るレーサー自身も奮起する。
来年もまた開催予定の萌木の村大会、ジェットコースターのようなめまぐるしいコースや、充実のホスピタリティ(来年は果たして誰がビールになるのか?)など、楽しみ方がもりだくさんのレースとなるはずだ。
信州クロス2015第8戦 清里萌木の村 結果
C1 11周回
1位 窪田博英(八ヶ岳CYCLOCROSS CLUB) 57’28”
2位 高野淳(TEAM YOUCAN) +44”
3位 鈴木祐一(Rise-Ride) +1’03”
4位 三上和志(Cycleclub 3UP) +1’23”
5位 小俣雄風太(八ヶ岳CYCLOCROSS CLUB) +1’35”
6位 横山徹(HADANO Cyclocross) +2’15”
C2 7周回
1位 水竹真一(チームウォークライド) 40’40”
2位 大倉壮(YOUCAN) +12”
3位 古畑博志(スワコレーシング) +29”
CM 4周回
1位 金田健太郎(FAST LANE RACING) 27’55”
2位 原野博明(エキップナカムラ) +15”
3位 川村浩二(エキップナカムラ) +1’10”
C3/4 4周回
1位 山瀧純一(山瀧軍団) 26’58”
2位 川崎隆志(CLUB viento) +13”
3位 高嶌厚志 +20”
CL2 3周回
1位 武藤優奈(TEAM YOUCAN) 26’06”
2位 高沢芳枝(Cycleclub 3UP) +4’58”
CK
1位 澤井千洋(TEAM YOUCAN)
Text & photo: Yufta Omata
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