滋賀県高島市のマキノ高原で開催されたUCI登録レースの関西シクロクロス第4戦で、終始落ち着いた走りを見せたベン・ベルデン(ベルギー、WCup Stoemper)が小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロス)を下して勝利。国内UCIレースウィークが始まった。



エリート男子 フライオーバーに差し掛かる先頭4名エリート男子 フライオーバーに差し掛かる先頭4名 photo:Kei Tsuji
エリート男子 招待選手のベン・ベルデン(ベルギー、WCup Stoemper)エリート男子 招待選手のベン・ベルデン(ベルギー、WCup Stoemper) photo:Kei Tsujiエリート男子 67名がスタートラインに並んだエリート男子 67名がスタートラインに並んだ photo:Kei Tsuji


エリート男子 前田公平(弱虫ペダルシクロクロスチーム)と小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロス)がリードエリート男子 前田公平(弱虫ペダルシクロクロスチーム)と小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロス)がリード photo:Kei Tsuji滋賀県北西部、琵琶湖から内陸に入った福井県境の山の麓にあるマキノ高原スキー場で関西シクロクロス第4戦が開催された。UCI(国際自転車競技連盟)登録レースであり、JCX(ジャパンシクロクロスシリーズ)の第4戦にあたる。

エリート男子 丸山厚(BOMA RACING)エリート男子 丸山厚(BOMA RACING) photo:Kei Tsujiコースの大半はスキー場の緩やかな斜面で、草や砂利が地面を覆う。緩い登りを踏み抜くパワーと下りのコーナリングテクニックが必要とされるコースであり、今シーズンもフライオーバー(立体交差)が登場。好天が続いたため路面は完全にドライで、例年よりもレースはハイスピード化した。

エリート男子 キャンバーを駆け上がる小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロス)エリート男子 キャンバーを駆け上がる小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロス) photo:Kei Tsujiエリート男子レースは開始早々から小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロス)と前田公平(弱虫ペダルシクロクロスチーム)が先行する。現在国内シクロクロスシーンを牽引している2人に飛びついたのは招待選手のベン・ベルデンだった。

エリート男子 3番手で競り合う丸山厚(BOMA RACING)と沢田時(ブリヂストンアンカー)エリート男子 3番手で競り合う丸山厚(BOMA RACING)と沢田時(ブリヂストンアンカー) photo:Kei Tsuji中原義貴(弱虫ペダルシクロクロスチーム)と横山航太(シマノレーシング)がそれぞれ小坂&前田&ベルデンのパックに食らいついたが、やがてレースの進行とともに両者とも脱落。先頭では小坂と前田が得意区間でプッシュを続け、その後ろをベルデンがぴったりとマークする展開に。

その後方では中原と横山に代わって丸山厚(BOMA RACING)や沢田時(ブリヂストンアンカー)、濱由嵩(SPEEDVAGEN CYCLOCROSSTEAM)らがポジションを上げた。

レース中盤に差し掛かると、コーナーでの落車とチェーントラブルに見舞われた前田が先頭から脱落してしまう。ここから小坂とベルデンの一騎打ちとなり、赤い宇都宮ブリッツェンジャージが淡々と先頭を引き続ける。

一進一退の攻防ではなく「この1週間しっかり休んで体調も良かったので、2週間後の全日本選手権に向けて追い込めるところまで追い込もうと思っていた」と語る小坂が完全に先頭固定で走り続けた。

スタートから出遅れた沢田が3番手に順位を上げたものの、先頭2名は1分以上先を行く。小坂とベルデンはパック走行のまま最終周回に入り、残り半周を切ったところでついにベルデンが動いた。



エリート男子 後続を突き放す小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロス)とベン・ベルデン(ベルギー、WCup Stoemper)エリート男子 後続を突き放す小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロス)とベン・ベルデン(ベルギー、WCup Stoemper) photo:Kei Tsuji
エリート男子 小坂光をぴったりマークするベン・ベルデン(ベルギー、WCup Stoemper)エリート男子 小坂光をぴったりマークするベン・ベルデン(ベルギー、WCup Stoemper) photo:Kei Tsujiエリート男子 フライオーバーをクリアするベン・ベルデン(ベルギー、WCup Stoemper)と小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロス)エリート男子 フライオーバーをクリアするベン・ベルデン(ベルギー、WCup Stoemper)と小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロス) photo:Kei Tsuji
エリート男子 残り半周を切ってアタックするベン・ベルデン(ベルギー、WCup Stoemper)エリート男子 残り半周を切ってアタックするベン・ベルデン(ベルギー、WCup Stoemper) photo:Kei Tsuji


エリート男子 フィニッシュに飛び込むベン・ベルデン(ベルギー、WCup Stoemper)エリート男子 フィニッシュに飛び込むベン・ベルデン(ベルギー、WCup Stoemper) photo:Kei Tsuji「スプリントに持ち込むことも考えたけど、彼(小坂光)がどんなスプリント力の持ち主なのか分からないので、確実に勝つためにアタックした」というベルデンがシケイン手前で加速し、素早いディスマウント&マウントでリードを広げる。その後も踏み続けたベルデンがリードを保ったまま最終ストレートを独走で駆け上がった。

エリート男子表彰台エリート男子表彰台 photo:Kei Tsuji優勝したベルデンは「自分はもう年寄り(40歳)で、時差ぼけもあるので参ったよ」と笑いながらレースを振り返り始める。金曜日にアメリカ・コロラド州デンバーから関西空港に降り立ち、レース当日の朝2時に起きて眠れなかったというベルデンは、小坂との競り合いについて以下のように語った。

エリート女子スタートエリート女子スタート photo:Kei Tsuji「自分は若い時から接近戦を散々経験してきた。その経験を生かし、今日は勝つためにタイミングを待って待って、待ち続けた。彼(小坂光)はシケインやフライオーバーの区間が遅かったので、その前のタイミングで先頭に出れば勝てると確信してアタックしたんだ。もし彼がレース中盤の登りで仕掛けていればどうなっていたか分からない。彼がベルギーで走ればもっと障害物の処理が上手くなって強いライダーになるだろう」。

エリート女子 先頭パックを形成する今井、與那嶺、坂口、宮内エリート女子 先頭パックを形成する今井、與那嶺、坂口、宮内 photo:Kei Tsujiシクロクロス東京への参戦経験もあるベルデンは翌週のRaphaスーパークロス野辺山のUCIレース2連戦にも出場予定。ベルデンは「来日して2日目という厳しい状況だったことを考えると良い結果を残すことが出来たと思う。1週間後の野辺山シクロクロスではもっと走りが出来るはずだ」と自信あふれる表情を浮かべながら語った。

エリート女子 レース中盤に先頭に立つ與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)エリート女子 レース中盤に先頭に立つ與那嶺恵理(サクソバンクFX証券) photo:Kei Tsuji敗れた小坂は「彼(ベルデン)が力を貯めていることは分かりきっていたんですが、自分の走りをしようと思ってそのままイーブンペースで先頭を走り続けました。彼がすごく余裕をもって走っているようにも見えなかったし、アタックに一回ぐらいは反応出来ると思っていましたが、いざペースアップが始まると付いていけなかった。野辺山はテクニカルな泥が予想されますし、彼は調整を合わせてくると思うので、そこでもう一度どれだけ戦えるかが大事です」と語っている。

エリート女子 先頭を奪った宮内佐季子(CiubLa.sistaOffroadTeam)エリート女子 先頭を奪った宮内佐季子(CiubLa.sistaOffroadTeam) photo:Kei Tsujiエリート女子は序盤から混戦状態に。積極的にレースをリードした今井美穂(CycleClub.jp)と坂口聖香(パナソニックレディース)に宮内佐季子(Club La.sista Offroad Team)と與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)がジョイン。しばらく4名での先頭パック走行となり、そのすぐ後ろに武田和佳(Liv)が位置する展開。

やがて先頭パックから與那嶺が抜け出すことに成功し、坂口と今井が徐々にポジションを下げてしまう。ぐんぐんとリードを広げた與那嶺だったが、最終周回手前で発生したチェーントラブルによってストップ。その隙に宮内が先行した。

チェーントラブルを脱した與那嶺は勢いを取り戻し、宮内を抜き返すとともに再び独走を開始する。最終的に宮内を20秒、今井を59秒引き離してフィニッシュした。

與那嶺は「他の選手がみな自分よりも走り方が上手いので、一緒に走りながら覚えていきました。ゼロからダッシュするシーンも多いので、トレーニングに活用しながらレースをしています」と明るく笑いながら話す。與那嶺は翌週のRaphaスーパークロス野辺山に出場し、2週間後に開催される全日本選手権を見据えてるが、「もちろん全日本選手権で他の選手と競い合って良い走りがしたいと思っていますが、ロードの全日本選手権と比べるとそこまでシリアスには考えていません」と打ち明けている。

翌日は同じマキノ高原を利用して関西シクロクロス第5戦が開催される。



エリート女子 後続を20秒引き離してフィニッシュする與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)エリート女子 後続を20秒引き離してフィニッシュする與那嶺恵理(サクソバンクFX証券) photo:Kei Tsujiエリート女子表彰台エリート女子表彰台 photo:Kei Tsuji
CM1 レース序盤から独走した羽鳥和重(cycleclub3UP)CM1 レース序盤から独走した羽鳥和重(cycleclub3UP) photo:Kei TsujiC2 優勝した白石浩之(TEAMSOLDOUTRACING)C2 優勝した白石浩之(TEAMSOLDOUTRACING) photo:Kei Tsuji


関西シクロクロス2015-2016第4戦結果
エリート男子
1位 ベン・ベルデン(ベルギー、WCup Stoemper)1:01:54
2位 小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロス)+0:02
3位 沢田時(ブリヂストンアンカー)+1:26
4位 丸山厚(BOMA RACING)+1:30
5位 中原義貴(弱虫ペダルシクロクロスチーム)+2:19
6位 前田公平(弱虫ペダルシクロクロスチーム)+2:32
7位 濱由嵩(SPEEDVAGEN CYCLOCROSSTEAM)+2:52
8位 竹内遼(WESTBERG/ProRide)+3:03
9位 武井亨介(FORZA)+3:06
10位 木村吉秀(JPSTMASSAANDEX)+3:07

エリート女子
1位 與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)40:29
2位 宮内佐季子(CiubLa.sistaOffroadTeam)+0:20
3位 今井美穂(CycleClub.jp)+0:59
4位 武田和佳(Liv)+1:14
5位 上田順子(ダム部)+2:42

CM1
1位 羽鳥和重(cycleclub3UP)39:08
2位 水谷拓也(BUCYOCOFFEECLT)+0:17
3位 大河内二郎(シルクロード)+0:26
4位 倉橋孝太郎(チーム泥んこプロレス)+0:34
5位 藤井修(きゅうべえsports)+0:52
6位 小田健司(京都微研DUVE)+0:53

C2
1位 白石浩之(TEAMSOLDOUTRACING)39:43
2位 岡崎和也(KamogawaTC)+0:07
3位 北尾宜久(京都MTB朝ライド)+0:10
4位 奥村英示(662-496部)+0:23
5位 日比正明(ホネつき数珠’Sは劇団です)+0:26

CJ
1位 梶鉄輝(Sonicracing/市立伊丹高校)35:50

CM2
1位 猪岡章人(Zippycycleclub)32:47
2位 久下弘樹(エキップ昴)+0:24
3位 三家丸健太郎(masahikomifune.com)+0:39

CL2
1位 石田唯(美山CC)29:47
2位 中里眞由美(ARAYA)+0:46
3位 川崎麻美(バルバクラブフクイ)+1:03

C3
1位 塩澤海 32:57
2位 岩崎庄平(きゅうべえsports)+0:01
3位 辻啓(八ヶ岳CYCLOCROSSCLUB)+0:17

U17
1位 山内渓太(Team-DADDY)32:45
2位 妻木祥太郎 +0:02
3位 出羽秀多(チーム36隊)+1:07

CM3A
1位 鈴木徹(ナカガワASK’Sデザイン)26:40
2位 東宣誓(まほろばRC)+0:07
3位 河内博行(Teamまんま)+0:12

CM3B
1位 福田淳(チタン工房キムラ)26:11
2位 前瀬和顕(北陸ドロタボウ)+0:32
3位 笠原拓(チームワタル)+0:58

CL3
1位 保崎実智子(美山サイクリングクラブ)17:13
2位 ミナモトシオリ +0:13
3位 墨谷ゆう子(バルバクラブフクイ)+0:27

C4A
1位 三原正嗣 25:32
2位 石渡誠一(FIETS)+0:13
3位 伊藤貴生 +0:21

C4B
1位 田中信行(Zippycycleclub)25:00
2位 太田賢一(ストラーダレーシング)+0:22
3位 川瀬博之(バルバクラブトヤマ)+0:27

CM4
1位 松岡伸二(ボナペティ)19:32

text:Kei Tsuji

最新ニュース(全ジャンル)