2015/11/19(木) - 18:57
11月初旬に来日したフェルト創業者のジム・フェルト氏へのインタビューの模様をお届け。「フレームの魔術師」の異名をとり、ブランドの舵取りをする傍らで、今もなお積極的に設計開発に参加しているという生粋のエンジニアである氏に、自転車作りやロードバイクの未来を聞いた。
中村龍太郎(イナーメ信濃山形)による全日本選手権TT優勝や、梶原悠未(筑波大学付属坂戸高校)の世界選手権ジュニア女子4位に貢献するなど、2015シーズンの国内レースシーンを彩ってきたフェルト。その創業者であるジム・フェルト氏が11月初旬に来日した。
まずはフェルトについて説明しておく必要があるだろう。同社は1994年に創業した総合バイクブランドであり、現在はアメリカとドイツの2箇所に拠点を持つ。「自分だったらより高性能なバイクを造れる」との思いから、フェルト氏が1980年代のモトクロス界のスーパースターであるジョニー・オメーラのためにトライアスロンバイクを制作したことに端を発する。
今でこそ当たり前の流体力学の概念をいち早く取り入れ、最先端の金属や加工法を用いて開発されたバイクは当時驚異的な性能を誇ったという。自社ブランドの立ち上げ前にはイーストンで自転車部門の立ち上げに携わり、フェルト氏の開発した高性能チューブは世界中の名だたるブランドに採用される。そして1994年にフェルトを創業する。
以来「To design, develop, and deliver the best bicycles in the world.」をスローガンに、速く、軽く、乗り心地の良いバイクを追求。いち早く低価格帯のカーボンロードをリリースし、2008年にはエアロロードの先駆けとなる「AR」シリーズを発表するなど、数多あるバイクブランドの中でも高い開発力を有している。
フェルト氏は自転車メーカーの創業者としては意外にも珍しい技術畑の出身で、1994年のブランド立ち上げ以前には、ホンダのモトクロスチームでメカニックを務めていた。バッグの中に常に関数電卓を忍ばせており、テクノロジーについて語らせれば止まらなくなるほどの熱意の持ち主だ。
そのためか「フレームの魔術師」という異名をとり、ブランドの舵取りをする傍らでは、今もなお積極的に設計開発に参加しているとのこと。また、サポートを行うプロライダーからのフィードバックを吸い上げるのもジム氏の役割といい、加えて世界各国のショップを訪問しては、現場の声を元に自社のバイク改良点を探っているのだそう。もちろん今回の来日でも各地のショップを探訪した。
さて、2000年台の中盤にいち早くエアロバイクを世に送り出し、現在は自前のスーパーコンピューターを用いてバイク開発を行い、最先端カーボン素材「TeXtreme」を導入するなど、世界屈指のハイテクブランドであるフェルト。その創業者が語るモノ造りとロードバイクの未来とは? フェルトのブランドストーリーやTeXteremeカーボンをテーマにしたプレゼンテーション動画(記事最下部)と合わせて読み進めて欲しい。
ー まず今回の来日の目的を教えてください。
観光!というのは冗談で、ブランドのPRと、日本の輸入代理店及び販売店の交流を深めるため。フランス、スペイン、スイスなどにも同様の目的でビジネストリップすることはあって、長年ライトウェイトプロダクツからリクエストをもらっていたものの、忙しかったもので…。今年やっとの思いで来日することができました。
こうして、各国の代理店やショップと交流することは非常に重要なことです。我々が開発拠点を置くアメリカでは、頻繁にショップ訪問を行っており、そこでスタッフさんたちとディスカッションしたことが、より良いバイク造りに繋がります。もちろんセールス部門から現場の声を吸い上げるということもしていますが、私自身も直接ショップに赴き、スタッフさんたちと意見を交わしています。日本のショップをいくつか訪れてみたのですが、特にハイエンド帯のバイクが多いことに驚かされました。
ー 中村龍太郎が全日本TTを制し、梶原悠未が世界選手権女子ジュニアで4位に入ったりと、今シーズン日本国内ではフェルトのサポートライダーが活躍しました。
アスリートのサポートはフェルトにとって非常に重要なことで、世界各国の代理店から寄せられた優秀なアスリートの情報をもとに、我々がお手伝いする形でサポートを行っています。ですから、中村選手や梶原選手の活躍については大変誇らしいことですね。同時に、もっと多くの優れた日本人アスリートがいることも知っています。コナのアイアンマンでの日本人選手のクレバーな走りっぷりには、いつも驚かされます。
ー フェルトのサポートといえば、スリップストリームやアルゴス・シマノが思い浮かびます。共同開発の過程での興味深いエピソードがあれば教えて下さい。
まず、思い浮かぶのがマルセル・キッテル(ドイツ)ですね。アルゴス・シマノに機材サポートをしていた際に、カリフォルニアの実験施設で全ライダーに風洞テストを行った時のことです。空気抵抗値のワースト2は、ジョン・デゲンコルブ(ドイツ)とマルセル・キッテル(ドイツ)でした。そして最も悪かったのがキッテル。彼はこれまでに見たことないほど、高い空気抵抗値を叩き出したのです。
キッテルはいつでもジョークを飛ばしてくるグッドガイなのですが、エアロダイナミクス的には最悪の男。先に謝りましたが、思わず「君はスクールバスの様だ」と言ってしまいました。
逆に我々が知る中で最もエアロダイナミクス的に優れているのは、ブラドリー・ウィギンズ(イギリス)やデーヴィッド・ザブリスキー(アメリカ)ではなく、女子エリートTTで世界選手権とオリンピックを制しているクリスティン・アームストロング(アメリカ)です。
スリップストリームに機材供給していた際にサポートしていたデヴィッド・ミラー(イギリス)は今でも親交があります。2008年のジロ・デ・イタリア第5ステージで、区間優勝しそうだった時にチェーンが切れてしまい、彼がフェルトのバイクを投げた時は「Oh, No! 」と叫んでしまいましたけどね。
ミラーは非常に頭脳明晰で、常に機材でアドバンテージを得ることはできないかと模索していました。「ポジションが出ないからステムを改良して欲しい」といった様に、様々なフィードバックをもたらしてくれましたし、そのおかげでTTバイクの性能を高めることができたのです。
ミラーに限らず、プロのライダーはバイクの改良に繋がる様々なフィードバックを我々にもたらしてくれます。「DA」というTTバイクを造った時は、スリップストリームには何度もプロトタイプを渡して、ライダー達に乗ってもらい、改良していきました。兎にも角にも、速い自転車を作るためにはプロとの共同開発は欠かせません。
その逆に、私からアスリートに対して提案することもあります。ある時、クリスティン・アームストロングは、「通常のDHバーでは登りの際に踏ん張り切れない」と相談してきました。そこで、上手く身体をハンドルに引き付け、より登りでパワーが出る様に「DHバーの間にブリッジを設けてみては?」と私から提案してみました。結果、実際に登りのパフォーマンスを向上させることができたのです。
ー フェルトといえばエアロロードの先駆けですが、空力性能の重要性が益々高まってきているのでしょうか?
かつてエアロダイナミクスは、自転車の様々な性能のうちの1つに過ぎなかったのですが、近年はとても重要なファクターになっています。フェルトはいち早く自転車に流体力学という概念を持ち込んだブランドの1つであり、長年の経験によるアドバンテージがあります。しかし、今後はどのメーカーもより真剣にエアロについて研究してくることになるでしょう。
そして現在は、さらにエアロを追求したロードバイクを開発している最中です。実は新モデルをリリースした段階で、既に次なる新モデルの開発がスタートしているのが常です。
ー エアロダイナミクスに基づく設計の中で、フェルトではコンピューターによるシミュレーションを多用しているそうですが、なぜコンピューターの中で設計は完了しないのでしょうか?
まず、コンピューターシミュレーションソフトは便利ですし、我が社ではスーパーコンピューターも所有しています。コンピューターが無かった時代にモックを制作して風洞実験していたころは、ほぼ働き詰めでも、1週間ぐらいかかったことが、コンピューターの中であっという間にわかってしまいます。
ただ、コンピューターによるシミュレーションの結果が実世界でも同じ結果になるという保証はなく、風洞実験の結果と比較すると、10%程度と大きな誤差が生じる場合もあります。まだまだ、やってみなきゃ分からないことも多いですし、これはF1や航空機など他分野の最先端機器の設計にあっても同じなのです。
ー エアロダイナミクスに続くロードバイク界の新たなトレンドとしてディスクブレーキが挙げられると思いますが、今後の展望を教えて下さい。
今の状況は、私がホンダでモトクロスのメカニックとして働いていた時に似ていると考えています。当時、モトクロス界においてブレーキはドラム式が主流でしたが、私達のチームだけはディスクブレーキに可能性を感じ、開発をスタートしました。周りからは否定的な声が多かったのですが、様々なデメリットを解消し、最終的にはレース機材として使用できるレベルにまで達することができ、今日では多くのバイクにディスクブレーキが取り付けられています。
ですから、ロードバイク界でもトライ&エラーを繰り返した末にディスクブレーキは一般的なものになるでしょう。これまでは極少数のメーカーのみが取り組んで来ましたが、UCIがレースでの使用を許可したことから、現にディスクブレーキロードの開発に熱を入れ始めているメーカーが増えてきています。
ただ、単にディスクブレーキをロードバイクに搭載することは容易なのですが、レースで使い物になるまでには、これからテストを重ねて改良していかなければなりません。プロが使いはじめれば、必ず何かしらの不具合や問題が出てくるとは思いますが、その都度対処し続ければ、次第に洗練されていくでしょう。
ちなみに、個人的にディスクブレーキにはスルーアクスルを組み合わせるのが理想的だと考えています。
そして、機材に詳しい方なら、ローターとアクスルの標準規格がどうなるか気になるところでしょう。全く定まっていないのが現状ですが、なんとなくの方向性が見えてきたというのが私見です。それでも、最終的にコンポーネントメーカー次第でしょう。また、ディスクブレーキロードについては、ホイールに着目しなければなりません。制動力が強いだけに、恐らくはスポークの本数を増やすことになるので、エアロ性能をどう確保するかにも個人的には興味があります。
interview:Yuya.Yamamoto
photo&Movie:Makoto.AYANO
中村龍太郎(イナーメ信濃山形)による全日本選手権TT優勝や、梶原悠未(筑波大学付属坂戸高校)の世界選手権ジュニア女子4位に貢献するなど、2015シーズンの国内レースシーンを彩ってきたフェルト。その創業者であるジム・フェルト氏が11月初旬に来日した。
まずはフェルトについて説明しておく必要があるだろう。同社は1994年に創業した総合バイクブランドであり、現在はアメリカとドイツの2箇所に拠点を持つ。「自分だったらより高性能なバイクを造れる」との思いから、フェルト氏が1980年代のモトクロス界のスーパースターであるジョニー・オメーラのためにトライアスロンバイクを制作したことに端を発する。
今でこそ当たり前の流体力学の概念をいち早く取り入れ、最先端の金属や加工法を用いて開発されたバイクは当時驚異的な性能を誇ったという。自社ブランドの立ち上げ前にはイーストンで自転車部門の立ち上げに携わり、フェルト氏の開発した高性能チューブは世界中の名だたるブランドに採用される。そして1994年にフェルトを創業する。
以来「To design, develop, and deliver the best bicycles in the world.」をスローガンに、速く、軽く、乗り心地の良いバイクを追求。いち早く低価格帯のカーボンロードをリリースし、2008年にはエアロロードの先駆けとなる「AR」シリーズを発表するなど、数多あるバイクブランドの中でも高い開発力を有している。
フェルト氏は自転車メーカーの創業者としては意外にも珍しい技術畑の出身で、1994年のブランド立ち上げ以前には、ホンダのモトクロスチームでメカニックを務めていた。バッグの中に常に関数電卓を忍ばせており、テクノロジーについて語らせれば止まらなくなるほどの熱意の持ち主だ。
そのためか「フレームの魔術師」という異名をとり、ブランドの舵取りをする傍らでは、今もなお積極的に設計開発に参加しているとのこと。また、サポートを行うプロライダーからのフィードバックを吸い上げるのもジム氏の役割といい、加えて世界各国のショップを訪問しては、現場の声を元に自社のバイク改良点を探っているのだそう。もちろん今回の来日でも各地のショップを探訪した。
さて、2000年台の中盤にいち早くエアロバイクを世に送り出し、現在は自前のスーパーコンピューターを用いてバイク開発を行い、最先端カーボン素材「TeXtreme」を導入するなど、世界屈指のハイテクブランドであるフェルト。その創業者が語るモノ造りとロードバイクの未来とは? フェルトのブランドストーリーやTeXteremeカーボンをテーマにしたプレゼンテーション動画(記事最下部)と合わせて読み進めて欲しい。
ー まず今回の来日の目的を教えてください。
観光!というのは冗談で、ブランドのPRと、日本の輸入代理店及び販売店の交流を深めるため。フランス、スペイン、スイスなどにも同様の目的でビジネストリップすることはあって、長年ライトウェイトプロダクツからリクエストをもらっていたものの、忙しかったもので…。今年やっとの思いで来日することができました。
こうして、各国の代理店やショップと交流することは非常に重要なことです。我々が開発拠点を置くアメリカでは、頻繁にショップ訪問を行っており、そこでスタッフさんたちとディスカッションしたことが、より良いバイク造りに繋がります。もちろんセールス部門から現場の声を吸い上げるということもしていますが、私自身も直接ショップに赴き、スタッフさんたちと意見を交わしています。日本のショップをいくつか訪れてみたのですが、特にハイエンド帯のバイクが多いことに驚かされました。
ー 中村龍太郎が全日本TTを制し、梶原悠未が世界選手権女子ジュニアで4位に入ったりと、今シーズン日本国内ではフェルトのサポートライダーが活躍しました。
アスリートのサポートはフェルトにとって非常に重要なことで、世界各国の代理店から寄せられた優秀なアスリートの情報をもとに、我々がお手伝いする形でサポートを行っています。ですから、中村選手や梶原選手の活躍については大変誇らしいことですね。同時に、もっと多くの優れた日本人アスリートがいることも知っています。コナのアイアンマンでの日本人選手のクレバーな走りっぷりには、いつも驚かされます。
ー フェルトのサポートといえば、スリップストリームやアルゴス・シマノが思い浮かびます。共同開発の過程での興味深いエピソードがあれば教えて下さい。
まず、思い浮かぶのがマルセル・キッテル(ドイツ)ですね。アルゴス・シマノに機材サポートをしていた際に、カリフォルニアの実験施設で全ライダーに風洞テストを行った時のことです。空気抵抗値のワースト2は、ジョン・デゲンコルブ(ドイツ)とマルセル・キッテル(ドイツ)でした。そして最も悪かったのがキッテル。彼はこれまでに見たことないほど、高い空気抵抗値を叩き出したのです。
キッテルはいつでもジョークを飛ばしてくるグッドガイなのですが、エアロダイナミクス的には最悪の男。先に謝りましたが、思わず「君はスクールバスの様だ」と言ってしまいました。
逆に我々が知る中で最もエアロダイナミクス的に優れているのは、ブラドリー・ウィギンズ(イギリス)やデーヴィッド・ザブリスキー(アメリカ)ではなく、女子エリートTTで世界選手権とオリンピックを制しているクリスティン・アームストロング(アメリカ)です。
スリップストリームに機材供給していた際にサポートしていたデヴィッド・ミラー(イギリス)は今でも親交があります。2008年のジロ・デ・イタリア第5ステージで、区間優勝しそうだった時にチェーンが切れてしまい、彼がフェルトのバイクを投げた時は「Oh, No! 」と叫んでしまいましたけどね。
ミラーは非常に頭脳明晰で、常に機材でアドバンテージを得ることはできないかと模索していました。「ポジションが出ないからステムを改良して欲しい」といった様に、様々なフィードバックをもたらしてくれましたし、そのおかげでTTバイクの性能を高めることができたのです。
ミラーに限らず、プロのライダーはバイクの改良に繋がる様々なフィードバックを我々にもたらしてくれます。「DA」というTTバイクを造った時は、スリップストリームには何度もプロトタイプを渡して、ライダー達に乗ってもらい、改良していきました。兎にも角にも、速い自転車を作るためにはプロとの共同開発は欠かせません。
その逆に、私からアスリートに対して提案することもあります。ある時、クリスティン・アームストロングは、「通常のDHバーでは登りの際に踏ん張り切れない」と相談してきました。そこで、上手く身体をハンドルに引き付け、より登りでパワーが出る様に「DHバーの間にブリッジを設けてみては?」と私から提案してみました。結果、実際に登りのパフォーマンスを向上させることができたのです。
ー フェルトといえばエアロロードの先駆けですが、空力性能の重要性が益々高まってきているのでしょうか?
かつてエアロダイナミクスは、自転車の様々な性能のうちの1つに過ぎなかったのですが、近年はとても重要なファクターになっています。フェルトはいち早く自転車に流体力学という概念を持ち込んだブランドの1つであり、長年の経験によるアドバンテージがあります。しかし、今後はどのメーカーもより真剣にエアロについて研究してくることになるでしょう。
そして現在は、さらにエアロを追求したロードバイクを開発している最中です。実は新モデルをリリースした段階で、既に次なる新モデルの開発がスタートしているのが常です。
ー エアロダイナミクスに基づく設計の中で、フェルトではコンピューターによるシミュレーションを多用しているそうですが、なぜコンピューターの中で設計は完了しないのでしょうか?
まず、コンピューターシミュレーションソフトは便利ですし、我が社ではスーパーコンピューターも所有しています。コンピューターが無かった時代にモックを制作して風洞実験していたころは、ほぼ働き詰めでも、1週間ぐらいかかったことが、コンピューターの中であっという間にわかってしまいます。
ただ、コンピューターによるシミュレーションの結果が実世界でも同じ結果になるという保証はなく、風洞実験の結果と比較すると、10%程度と大きな誤差が生じる場合もあります。まだまだ、やってみなきゃ分からないことも多いですし、これはF1や航空機など他分野の最先端機器の設計にあっても同じなのです。
ー エアロダイナミクスに続くロードバイク界の新たなトレンドとしてディスクブレーキが挙げられると思いますが、今後の展望を教えて下さい。
今の状況は、私がホンダでモトクロスのメカニックとして働いていた時に似ていると考えています。当時、モトクロス界においてブレーキはドラム式が主流でしたが、私達のチームだけはディスクブレーキに可能性を感じ、開発をスタートしました。周りからは否定的な声が多かったのですが、様々なデメリットを解消し、最終的にはレース機材として使用できるレベルにまで達することができ、今日では多くのバイクにディスクブレーキが取り付けられています。
ですから、ロードバイク界でもトライ&エラーを繰り返した末にディスクブレーキは一般的なものになるでしょう。これまでは極少数のメーカーのみが取り組んで来ましたが、UCIがレースでの使用を許可したことから、現にディスクブレーキロードの開発に熱を入れ始めているメーカーが増えてきています。
ただ、単にディスクブレーキをロードバイクに搭載することは容易なのですが、レースで使い物になるまでには、これからテストを重ねて改良していかなければなりません。プロが使いはじめれば、必ず何かしらの不具合や問題が出てくるとは思いますが、その都度対処し続ければ、次第に洗練されていくでしょう。
ちなみに、個人的にディスクブレーキにはスルーアクスルを組み合わせるのが理想的だと考えています。
そして、機材に詳しい方なら、ローターとアクスルの標準規格がどうなるか気になるところでしょう。全く定まっていないのが現状ですが、なんとなくの方向性が見えてきたというのが私見です。それでも、最終的にコンポーネントメーカー次第でしょう。また、ディスクブレーキロードについては、ホイールに着目しなければなりません。制動力が強いだけに、恐らくはスポークの本数を増やすことになるので、エアロ性能をどう確保するかにも個人的には興味があります。
interview:Yuya.Yamamoto
photo&Movie:Makoto.AYANO
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