2015/09/21(月) - 09:38
ツール・ド・フランスを走った全22チームのバイクを、2チームごとに11回にわけて紹介。最終回の第11弾ではトレックファクトリーレーシングとキャノンデールガーミンのバイクをピックアップします。
トレックファクトリーレーシング
【トレック Madone 9、Domane Classic Edition、Emonda SLR、Speed Concept9.9(TTバイク)】
トレックはツール・ド・フランスにあわせてMadoneシリーズの新型「Madone 9」をデビューさせた。従来モデルよりもエアロを意識したフォルムへと進化しており、新設計のカムテールチューブワイヤーのフル内装、フレーム及びフォークに一体化した専用設計のブレーキとハンドルによって空力性能を追求。同時にトレックのアイコンともいうべき振動吸収テクノロジー「ISO Speed」をシートチューブに取り入れ、優れた振動吸収性を実現している。
一方、ファビアン・カンチェラーラ(スイス)ら一部のライダーはエンデュランスモデル「Domane Classic Edition」を継続してチョイス。加えて、超級山岳では軽量クライミングモデル「Emonda SLR」が投入されるなど、3モデルをライダーの好みに応じて使い分けた。なお、カンチェラーラは自身のニックネーム「スパルタカス」のグラフィックがあしらわれたスペシャルカラーの1台や、マイヨジョーヌカラーの1台(第3ステージ)を使用した。
コンポーネントにはシマノDURA-ACE Di2をフルセットで採用。これまで同様にカンチェラーラだけは、メカニカルシフトのDURA-ACEを選択し続けている。パワーメーターはSRMのDURA-ACE4アームタイプだ。
ホイールはボントレガーの新型Aeolusシリーズで、30mmハイトの「D3」と50mmハイトの「D5」をコースや好みに応じて使い分けている。組み合わせるアメサイドのタイヤは、耐久性とグリップのバランスに優れるヴェロフレックスCriterium。その他、ハンドル、ステム、サドル、ボトルケージに至るまでボントレガーで統一されている。
TTバイクは「Speed Concept9.9」で、昨年とほぼアッセンブリーは変わらず。ホイールサプライヤーはボントレがであるものの、ラインアップにディスクホイールがないことから、チームではジップのホイールにボントレガーのデカールを貼り付けて使用。カンチェラーラのバイクはロードと同じくスパルタカスカラーで、ロードでは機械式シフトを選択しているもののTTでは電動のDi2としてる。また、デイライトの啓蒙のためにボントレガーのテールライト「Flare R」を装着したことも話題となった。
キャノンデールガーミン【SUPERSIX EVO Hi-MOD、SYNAPSE Hi-MOD、SLICE RS(TTバイク)】
キャノンデールは今回のツールで、「SUPERSIX EVO Hi-MOD」の新型をデビューさせた。前作同様に奇をてらわないシンプルなホリゾンタルスタイルをそのままに、剛性、路面追従性、快適性、空力、軽さとオールラウンダーとして更なる進化を遂げている。レースでは全ライダーが製品版のチームカラー使用していたものの、キャノンデールではプロトタイプであることを示すライムグリーンのバイクがスペアバイクとして用意されていた。
メインコンポーネントはシマノDURA-ACE Di2で、山岳ステージでロー側32Tのスプロケットを使用するためにリアディレーラのみULTEGRA Di2としたバイクも見られた。クランクにはキャノンデール純正の「Hollowgram SiSL2」のアルミ製アームに、FSAのチェーンリングを組み合わせている。
パワーメーターはガーミンが供給するペダル式の「Vector 2」が基本ながら、ライダー・ヘジダル(カナダ)らはクランク式のSRMを使用。中にはVector 2とSRMの両方を装着したバイクも。なお、Vector 2を使用しない選手は、クリートに互換性のあるルックKeOではなく、シマノDURA-ACEペダルを使用。もちろん、サイクルコンピューターはガーミンEdgeシリーズだ。
ホイールはマヴィックのCOSMIC CARBONシリーズ。カーボンスポーク採用の「ULTIMATE」をメインに、40mmハイトの「CC40T」や60mmハイトの「CC60T」と3種類を履き分けた。また、実戦投入されたかは定かではないが、ULTIMATEと同様の構造とカーボンスポークを採用した60mmハイトのプロトタイプがスペアとして用意された。組み合わせるタイヤはマヴィックながら、実際にはヴィットリアやヴェロフレックスなどのトラディションな造りの他社製品のロゴを張り替えて使用する。
ハンドル、ステム、シートポストはチームカラーのFSAで固められているが、K-FORCEやSL-Kなどグレードはバイクによってまちまち。その他、サドルはフィジークとバーテープは、ボトルケージはアランデール、ボトルはキャメルバッグとしている。
パリ~ルーベの石畳が登場した第4ステージでは、エンデュランスモデル「SYNAPSE Hi-MOD」を使用。SUPERSIXとは一部アッセンブリーが異なり、ホイールとタイヤはマヴィックのパリ~ルーベ専用モデル「M40」に、石畳の定番タイヤFMB Paris Roubaixを組み合わせている。タイヤ幅は30mmで、これは全チームの中で最もワイドであった。
TTバイクは「SLICE RS」で、TTのアメリカナショナルチャンピオンであるアンドリュー・タランスキーは星条旗カラーのバイクを駆った。ホイールはフロントがCOSMICシリーズの60mmハイトモデル「CC60T」か80mmハイトモデル「CC80T」、リアがCOMETEという組み合わせだ。
メインコンポーネントはシマノながら、DURA-ACE Di2とULTEGRA Di2とでグレードはまちまち。パワーメーターはガーミンVector 2とSRMに加え、タランスキーのバイクには、クォークのHollowgram SiSL2モデルが取り付けられていたりとバラバラ。エアロバーはFSAがプロデュースするヴィジョンとしている。
photo:Makoto.AYANO
text:Yuya.Yamamoto
トレックファクトリーレーシング
【トレック Madone 9、Domane Classic Edition、Emonda SLR、Speed Concept9.9(TTバイク)】
トレックはツール・ド・フランスにあわせてMadoneシリーズの新型「Madone 9」をデビューさせた。従来モデルよりもエアロを意識したフォルムへと進化しており、新設計のカムテールチューブワイヤーのフル内装、フレーム及びフォークに一体化した専用設計のブレーキとハンドルによって空力性能を追求。同時にトレックのアイコンともいうべき振動吸収テクノロジー「ISO Speed」をシートチューブに取り入れ、優れた振動吸収性を実現している。
一方、ファビアン・カンチェラーラ(スイス)ら一部のライダーはエンデュランスモデル「Domane Classic Edition」を継続してチョイス。加えて、超級山岳では軽量クライミングモデル「Emonda SLR」が投入されるなど、3モデルをライダーの好みに応じて使い分けた。なお、カンチェラーラは自身のニックネーム「スパルタカス」のグラフィックがあしらわれたスペシャルカラーの1台や、マイヨジョーヌカラーの1台(第3ステージ)を使用した。
コンポーネントにはシマノDURA-ACE Di2をフルセットで採用。これまで同様にカンチェラーラだけは、メカニカルシフトのDURA-ACEを選択し続けている。パワーメーターはSRMのDURA-ACE4アームタイプだ。
ホイールはボントレガーの新型Aeolusシリーズで、30mmハイトの「D3」と50mmハイトの「D5」をコースや好みに応じて使い分けている。組み合わせるアメサイドのタイヤは、耐久性とグリップのバランスに優れるヴェロフレックスCriterium。その他、ハンドル、ステム、サドル、ボトルケージに至るまでボントレガーで統一されている。
TTバイクは「Speed Concept9.9」で、昨年とほぼアッセンブリーは変わらず。ホイールサプライヤーはボントレがであるものの、ラインアップにディスクホイールがないことから、チームではジップのホイールにボントレガーのデカールを貼り付けて使用。カンチェラーラのバイクはロードと同じくスパルタカスカラーで、ロードでは機械式シフトを選択しているもののTTでは電動のDi2としてる。また、デイライトの啓蒙のためにボントレガーのテールライト「Flare R」を装着したことも話題となった。
キャノンデールガーミン【SUPERSIX EVO Hi-MOD、SYNAPSE Hi-MOD、SLICE RS(TTバイク)】
キャノンデールは今回のツールで、「SUPERSIX EVO Hi-MOD」の新型をデビューさせた。前作同様に奇をてらわないシンプルなホリゾンタルスタイルをそのままに、剛性、路面追従性、快適性、空力、軽さとオールラウンダーとして更なる進化を遂げている。レースでは全ライダーが製品版のチームカラー使用していたものの、キャノンデールではプロトタイプであることを示すライムグリーンのバイクがスペアバイクとして用意されていた。
メインコンポーネントはシマノDURA-ACE Di2で、山岳ステージでロー側32Tのスプロケットを使用するためにリアディレーラのみULTEGRA Di2としたバイクも見られた。クランクにはキャノンデール純正の「Hollowgram SiSL2」のアルミ製アームに、FSAのチェーンリングを組み合わせている。
パワーメーターはガーミンが供給するペダル式の「Vector 2」が基本ながら、ライダー・ヘジダル(カナダ)らはクランク式のSRMを使用。中にはVector 2とSRMの両方を装着したバイクも。なお、Vector 2を使用しない選手は、クリートに互換性のあるルックKeOではなく、シマノDURA-ACEペダルを使用。もちろん、サイクルコンピューターはガーミンEdgeシリーズだ。
ホイールはマヴィックのCOSMIC CARBONシリーズ。カーボンスポーク採用の「ULTIMATE」をメインに、40mmハイトの「CC40T」や60mmハイトの「CC60T」と3種類を履き分けた。また、実戦投入されたかは定かではないが、ULTIMATEと同様の構造とカーボンスポークを採用した60mmハイトのプロトタイプがスペアとして用意された。組み合わせるタイヤはマヴィックながら、実際にはヴィットリアやヴェロフレックスなどのトラディションな造りの他社製品のロゴを張り替えて使用する。
ハンドル、ステム、シートポストはチームカラーのFSAで固められているが、K-FORCEやSL-Kなどグレードはバイクによってまちまち。その他、サドルはフィジークとバーテープは、ボトルケージはアランデール、ボトルはキャメルバッグとしている。
パリ~ルーベの石畳が登場した第4ステージでは、エンデュランスモデル「SYNAPSE Hi-MOD」を使用。SUPERSIXとは一部アッセンブリーが異なり、ホイールとタイヤはマヴィックのパリ~ルーベ専用モデル「M40」に、石畳の定番タイヤFMB Paris Roubaixを組み合わせている。タイヤ幅は30mmで、これは全チームの中で最もワイドであった。
TTバイクは「SLICE RS」で、TTのアメリカナショナルチャンピオンであるアンドリュー・タランスキーは星条旗カラーのバイクを駆った。ホイールはフロントがCOSMICシリーズの60mmハイトモデル「CC60T」か80mmハイトモデル「CC80T」、リアがCOMETEという組み合わせだ。
メインコンポーネントはシマノながら、DURA-ACE Di2とULTEGRA Di2とでグレードはまちまち。パワーメーターはガーミンVector 2とSRMに加え、タランスキーのバイクには、クォークのHollowgram SiSL2モデルが取り付けられていたりとバラバラ。エアロバーはFSAがプロデュースするヴィジョンとしている。
photo:Makoto.AYANO
text:Yuya.Yamamoto