2015/09/11(金) - 09:44
劇的な個人TTを終え、ブエルタ・ア・エスパーニャは再び山場へと移動。逃げたニコラス・ロッシュがアイマル・スベルディアとの一騎打ちを制し、メイン集団でも総合上位陣による争いが勃発。しかし成績は動かないままステージを終えた。
大きく総合成績にシャッフルの掛かった個人タイムトライアルを終え、ブエルタ・ア・エスパーニャは山岳ステージ3連戦に突入した。と言っても頂上ゴールは既に終えており、終盤に山岳が控え逃げに有利な18・19ステージと、1級山岳が4つ続く最終決戦の場20ステージというステージが続く。
ロアからリアサへの204kmという長丁場で争われる18ステージ。後半には残り13km地点でピークを迎える1級山岳プエルト・デラ・ケセラが用意されており、その登坂距離は10kmで、平均勾配は5.2%。総合首位のトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)とファビオ・アル(イタリア、アスタナ)のタイム差が3秒差と接近しているため、逃げ有利なコースにも関わらず、緊迫した状況でスタートが切られた。
この日は連続グランツール出場記録更新中のアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ソウダル)らが動き、スタート後1時間以上をかけて25名という巨大な逃げグループが形成された。ダーウィン・アタプマ(コロンビア、BMCレーシング)やシリル・ルモワンヌ(フランス、コフィディス)、ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、ティンコフ・サクソ)、ニコラス・ロッシュ(アイルランド、チームスカイ)、先日逃げ切りを逃したアイマル・スベルディア(スペイン、トレックファクトリーレーシング)ら強力なメンバーが先行し、大会後半に盛り返しを見せているモビスターからはホセホアキン・ロハス(スペイン)も逃げグループ内に加わった。
逃げグループのタイムリードは、ゴールまで80kmを残して9分弱。逃げには13分半遅れで総合14位につけるバルト・デクレルク(ベルギー、ロット・ソウダル)が入ったため、総合10位のルイス・マインティーズ(南アフリカ)を抱えるMTNキュベカがメイン集団を牽引してタイム差を埋める場面も。差がある程度まで縮小するとアスタナやティンコフ・サクソがその責を担った。
157km地点のスプリントポイントを過ぎると、無数に続くのアップダウン区間でメイン集団ではアスタナの組織だったペースアップがスタートする。集団の人数が減っていく中、ドゥムランをサポートするジャイアント・アルペシンはライバルチームに対して数的不利な状況となっていく。
この動きでタイム差は縮小し、吸収を嫌って逃げグループ内でも動きが活発になっていく。シリル・ゴチエ(フランス、ユーロップカー)やトッシュ・ファンデルサンド(ベルギー、ロット・ソウダル)が先行したが、1級山岳プエルト・デラ・ケセラをクリアする頃には実力の際立つスベルディアとロッシュの2名が飛び出す形になった。
1分半差で追うメイン集団では、まず総合3位ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)がアタック。すぐさま吸収されたものの、次いでダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ)の強力な牽きからアルがアタック。この動きにはドゥムランがいち早く対応したものの、ロドリゲスは微妙に距離を空けてしまう苦しい状況に。
これを見てラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)、エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)らもジャブを打ち込んだが、緩斜面も影響して決定打を決められない。アルも波状攻撃を続けたが、ドゥムランの徹底的なマークを受けて沈黙してしまった。
先頭では下りを終えたロッシュとスベルディアが、2人から遅れたメンバーを飲み込んだメイン集団を引き離してゴールへ。
「彼(スベルディア)に何度か負けたことがあるので、スプリントで先行させたくなかった」と語るロッシュがスピードを落とさずにゴール勝負へ持ち込み、後ろから追い上げるスベルディアを振り切りガッツポーズ。今シーズン初勝利であると共に、ブエルタでのステージ優勝はサクソバンク所属時代の2013年以来2度目。普段担うアシスト役を離れたことで得たチャンスを結果に繋げることとなった。
そして間髪入れずにゴールした集団では、ロハスの牽引からスプリントしたバルベルデが先着。しかし先頭2人を追走したホセ・ゴンサルベ(スペイン、カハルーラル)が3着に入ったためボーナスタイムは加算されず、総合上位陣の順位変動は起こらずステージを終えた。
翌第19ステージも逃げに有利なコースレイアウトだが、中盤に3級、後半には2級山岳が控え、最後は残り2.5kmから始まる高低差80mの石畳登りが登場する。カテゴリー分類されない細かなアップダウンでも今日同様に組織だったペースアップが行われるだろう。20ステージの決戦を前にした戦いに注目が集まる。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2015第18ステージ結果
73h45'13''
+03"
+1'15"
+2'22"
+2'53"
+3'15"
+3'30"
+3'46"
+4'10"
+6'51"
116pts
114pts
108pts
82pts
30pts
27pts
15pts
16pts
21pts
221h44'30"
+5'32"
+14'17"
ステージ敢闘賞
アンヘル・マドラソ(スペイン、カハルーラル)
text:So.Isobe
photo:CorVos
大きく総合成績にシャッフルの掛かった個人タイムトライアルを終え、ブエルタ・ア・エスパーニャは山岳ステージ3連戦に突入した。と言っても頂上ゴールは既に終えており、終盤に山岳が控え逃げに有利な18・19ステージと、1級山岳が4つ続く最終決戦の場20ステージというステージが続く。
ロアからリアサへの204kmという長丁場で争われる18ステージ。後半には残り13km地点でピークを迎える1級山岳プエルト・デラ・ケセラが用意されており、その登坂距離は10kmで、平均勾配は5.2%。総合首位のトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)とファビオ・アル(イタリア、アスタナ)のタイム差が3秒差と接近しているため、逃げ有利なコースにも関わらず、緊迫した状況でスタートが切られた。
この日は連続グランツール出場記録更新中のアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ソウダル)らが動き、スタート後1時間以上をかけて25名という巨大な逃げグループが形成された。ダーウィン・アタプマ(コロンビア、BMCレーシング)やシリル・ルモワンヌ(フランス、コフィディス)、ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、ティンコフ・サクソ)、ニコラス・ロッシュ(アイルランド、チームスカイ)、先日逃げ切りを逃したアイマル・スベルディア(スペイン、トレックファクトリーレーシング)ら強力なメンバーが先行し、大会後半に盛り返しを見せているモビスターからはホセホアキン・ロハス(スペイン)も逃げグループ内に加わった。
逃げグループのタイムリードは、ゴールまで80kmを残して9分弱。逃げには13分半遅れで総合14位につけるバルト・デクレルク(ベルギー、ロット・ソウダル)が入ったため、総合10位のルイス・マインティーズ(南アフリカ)を抱えるMTNキュベカがメイン集団を牽引してタイム差を埋める場面も。差がある程度まで縮小するとアスタナやティンコフ・サクソがその責を担った。
157km地点のスプリントポイントを過ぎると、無数に続くのアップダウン区間でメイン集団ではアスタナの組織だったペースアップがスタートする。集団の人数が減っていく中、ドゥムランをサポートするジャイアント・アルペシンはライバルチームに対して数的不利な状況となっていく。
この動きでタイム差は縮小し、吸収を嫌って逃げグループ内でも動きが活発になっていく。シリル・ゴチエ(フランス、ユーロップカー)やトッシュ・ファンデルサンド(ベルギー、ロット・ソウダル)が先行したが、1級山岳プエルト・デラ・ケセラをクリアする頃には実力の際立つスベルディアとロッシュの2名が飛び出す形になった。
1分半差で追うメイン集団では、まず総合3位ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)がアタック。すぐさま吸収されたものの、次いでダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ)の強力な牽きからアルがアタック。この動きにはドゥムランがいち早く対応したものの、ロドリゲスは微妙に距離を空けてしまう苦しい状況に。
これを見てラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)、エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)らもジャブを打ち込んだが、緩斜面も影響して決定打を決められない。アルも波状攻撃を続けたが、ドゥムランの徹底的なマークを受けて沈黙してしまった。
先頭では下りを終えたロッシュとスベルディアが、2人から遅れたメンバーを飲み込んだメイン集団を引き離してゴールへ。
「彼(スベルディア)に何度か負けたことがあるので、スプリントで先行させたくなかった」と語るロッシュがスピードを落とさずにゴール勝負へ持ち込み、後ろから追い上げるスベルディアを振り切りガッツポーズ。今シーズン初勝利であると共に、ブエルタでのステージ優勝はサクソバンク所属時代の2013年以来2度目。普段担うアシスト役を離れたことで得たチャンスを結果に繋げることとなった。
そして間髪入れずにゴールした集団では、ロハスの牽引からスプリントしたバルベルデが先着。しかし先頭2人を追走したホセ・ゴンサルベ(スペイン、カハルーラル)が3着に入ったためボーナスタイムは加算されず、総合上位陣の順位変動は起こらずステージを終えた。
翌第19ステージも逃げに有利なコースレイアウトだが、中盤に3級、後半には2級山岳が控え、最後は残り2.5kmから始まる高低差80mの石畳登りが登場する。カテゴリー分類されない細かなアップダウンでも今日同様に組織だったペースアップが行われるだろう。20ステージの決戦を前にした戦いに注目が集まる。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2015第18ステージ結果
1位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、チームスカイ)
2位 アイマル・スベルディア(スペイン、トレックファクトリーレーシング)
3位 ホセ・ゴンサルベ(スペイン、カハルーラル)
4位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
5位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)
6位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
7位 ピーター・セリー(ベルギー、エティックス・クイックステップ)
8位 アダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ソウダル)
9位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ)
10位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
79位 新城幸也(ヨーロッパカー)
2位 アイマル・スベルディア(スペイン、トレックファクトリーレーシング)
3位 ホセ・ゴンサルベ(スペイン、カハルーラル)
4位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
5位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)
6位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
7位 ピーター・セリー(ベルギー、エティックス・クイックステップ)
8位 アダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ソウダル)
9位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ)
10位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
79位 新城幸也(ヨーロッパカー)
5h03"'59"
+18''
+38"
+15'54"
+18''
+38"
+15'54"
個人総合成績
1位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)
2位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
3位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
4位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
5位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
6位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
7位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)
8位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)
9位 ミケル・ニエベ(スペイン、チームスカイ)
10位 ルイス・マインティーズ(南アフリカ、MTNキュベカ)
1位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)
2位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
3位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
4位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
5位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
6位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
7位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)
8位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)
9位 ミケル・ニエベ(スペイン、チームスカイ)
10位 ルイス・マインティーズ(南アフリカ、MTNキュベカ)
73h45'13''
+03"
+1'15"
+2'22"
+2'53"
+3'15"
+3'30"
+3'46"
+4'10"
+6'51"
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
2位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
2位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
116pts
114pts
108pts
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 オマール・フライレ(スペイン、カハルーラル)
2位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、トレックファクトリーレーシング)
3位 ルーベン・プラサ(スペイン、ランプレ・メリダ)
1位 オマール・フライレ(スペイン、カハルーラル)
2位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、トレックファクトリーレーシング)
3位 ルーベン・プラサ(スペイン、ランプレ・メリダ)
82pts
30pts
27pts
マイヨコンビナーダ(複合賞)
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
2位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)
3位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
2位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)
3位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
15pts
16pts
21pts
チーム総合成績
1位 チームスカイ
2位 モビスター
3位 アスタナ
1位 チームスカイ
2位 モビスター
3位 アスタナ
221h44'30"
+5'32"
+14'17"
ステージ敢闘賞
アンヘル・マドラソ(スペイン、カハルーラル)
text:So.Isobe
photo:CorVos
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