2015/07/18(土) - 09:56
丘の頂上まで続いた一対一のスプリント争い。勝利を争ったグレッグ・ファンアフェルマートとペーター・サガン、落車し負傷したジャンクリストフ・ペローらのコメントを紹介します。
ステージ優勝を飾ったグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
すごくギリギリだった。第6ステージのフィニッシュでは誰もが待ちの姿勢だったので、今日は坂の麓から仕掛けてみようかと思っていた。残り200mの時点で誰かが付いてきていることに気づいたけど、それが誰なのか分からなかった。ペーター・サガンだと分かった時、頼むから追い抜かないでくれと願った。残り100mがとても長く感じたよ。ずっとスプリントをし続けた。
この勝利は僕にとってすごく大きな意味合いがある。これまで何度も、特にクラシックではほんの少しの部分で勝利を逃し続けてしまった。僕はこのツールにステージ優勝を狙いにやってきたし、実は第1週目にターゲットを絞っていた。ピレネーをなんとかクリアして、そして今日勝つことができた。
今日のようなフィニッシュではサガンは一番倒すのが難しい選手なんだ。彼のことをリスペクトしているし、自転車界にとっても彼の存在は大きいよ。僕は年に20勝もできないが、6,7勝はできる。ツール・ド・フランスが終わってもまだシーズンは長く続くし、上手くこなせるような気がする。クラシックはいつだって僕の目標だし、今日の勝利が将来に対して良い集中力を与えてくれるはずだ。
競り負けたペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
長く待ちすぎてしまった。ファンアフェルマートの番手につけた時にチャンスを待たず、そのままスプリントし続けるべきだった。プッシュし続けていれば勝てたんじゃないかとは思っている。フィニッシュのレイアウトはとてもタフで、グレッグの番手にいた時間が長すぎて最後の最後には力が残っていなかった。マイヨヴェール争いの上でポイントは加算できたけれど、チームやチームメイトのためにステージ優勝が欲しかった。
4位、ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)
非常に調子が良く、残り300mで絶好のポジションにつけていた。とても集中できていたけれど、肝心なところで脚が無かった。自分には少しキツすぎるコースだった。チームはレースの主導権を握っていたし、チームメイトも全力を尽くして働いてくれた。彼らにリスペクトしているし、勝利でお返しできなかったのが残念だ。チャレンジして、チャンスも見つけた。でも勝つことができなかった。
敢闘賞のトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)
今日は逃げにメンバーを送り込むつもりで動いていた。道が細い上にアップダウンの繰り返しだったので、逃げを決めるのが簡単ではなかったんだ。逃げグループは良く協調できていたし、序盤はジャイアント・アルペシンだけが集団を牽引していたので、中間スプリントまではペースを上げ切らずに走っていたんだ。だからジャイアント・アルペシンは全てをコントロールしていると思っていただろう。そのあとから徐々にテンポを上げ始めた。
残り20km地点までは絶対に逃げきれると信じていた。ケルデルマンのアタックを処理するのには力を使ってしまった。3人でステージ優勝を狙えると思っていたのに、今年のパリ〜ニースで最後の数百メートルで捕まってしまったのと同じ展開になってしまった。とても残念に思っているんだ。ツールの序盤から逃げ切りを狙っていたし、今日が逃げ屋にとって大きなチャンスのある一日だった。今日勝ちたかったが、ファンアフェルマートの走りにはただ素晴しかった。肋骨の負傷を乗り越えて、今自分は絶好調でツールに臨めている。自分のパフォーマンスに満足しているし、またアタックして勝機を狙いたいと思う。
落車について語るジャンクリストフ・ペロー(フランス、AG2Rラモンディアール)
前にいた誰かが進路をいきなり変え、僕のバイクのフロントホイールとハスって、僕は地面に叩きつけられた。落車する前、横風で集団が分裂しそうになっていたから、アレクシ(ヴィエルモ)がどこにいるかなと思い、確認しようと一瞬だけ後ろを向いた瞬間のことだったんだ。擦過傷はひどいが、幸いにして骨折はしていなかった。だから明日もスタートを切ることができる。
リタイアについても考えた。自転車競技はいつだってハードで、クラッシュによってその苛酷さはさらに増す。ここまでもそうだった様に、残りのステージも日々耐えながら走ることになるだろう。確かに今回のツールは僕にとって望ましい展開にはなっていない。でも、痛みも自転車競技においては大きな要素の1つなんだ。
マイヨジョーヌを守ったクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
今日は比較的穏やかな1日だったけど、逃げ集団を吸収できないと焦ったスプリンターチームのおかげでラスト40kmはかなりハイスピードな展開になった。ピレネーでの3日間を終えて、疲れている選手が多いように感じる。だからこそ、プロトンの多くの選手が穏やかな1日になることを望んでいたけど、実際にはそうもいかない。気温が40℃近くまで上がったから、とにかくボトルが足りなかった。
今日の様な日は安全を第一に残り3kmの看板まで走り、あとの展開はスプリンターチームに任せて何事もなくフィニッシュできるのが理想だ。しかし、今日はスプリンターチームと総合系チームのアシストが我先にとスピードを上げて、位置取りがかなり激しくなった。最後の登りの麓はまさにカオスだったね。
いわゆるピュアスプリンターは、もっとチャンスが欲しいと感じていると思うが、コース設定について僕は何ら不満を感じていない。今日のフィニッシュの様な短い登りでも、ライバルたちはアタックを仕掛けてくると予想していたし、明日も同様に何かしらの動きがあるはず。明日のフィニッシュ地点であるメンデの3kmの登りでは、大きなタイム差が生まれると予想している。とにかく、明日も何事もなく終えられるといいね。
マイヨブランのナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
今日もひどく暑い一日だった。小さな岡がたくさんあって、所々風も強く吹いた…。一日を通して簡単な一日では無かったよ。ピレネーで消耗している自分たちにとってはかなりキツいステージだった。向こう数日の目標はアルプスでアタックできるようにできるだけ体力を回復させること。でも例えば明日だってそうならないことも分かっている。それに落車のリスクを負わないために、集団前方にいることでも力と集中力を使ってしまう。
各選手のコメントはチーム公式サイト、レース公式サイトより。
text:Yuya.Yamamoto, So.Isobe
photo:Makoto.Ayano,Kei.Tsuji,CorVos,Tim de Waele
ステージ優勝を飾ったグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
すごくギリギリだった。第6ステージのフィニッシュでは誰もが待ちの姿勢だったので、今日は坂の麓から仕掛けてみようかと思っていた。残り200mの時点で誰かが付いてきていることに気づいたけど、それが誰なのか分からなかった。ペーター・サガンだと分かった時、頼むから追い抜かないでくれと願った。残り100mがとても長く感じたよ。ずっとスプリントをし続けた。
この勝利は僕にとってすごく大きな意味合いがある。これまで何度も、特にクラシックではほんの少しの部分で勝利を逃し続けてしまった。僕はこのツールにステージ優勝を狙いにやってきたし、実は第1週目にターゲットを絞っていた。ピレネーをなんとかクリアして、そして今日勝つことができた。
今日のようなフィニッシュではサガンは一番倒すのが難しい選手なんだ。彼のことをリスペクトしているし、自転車界にとっても彼の存在は大きいよ。僕は年に20勝もできないが、6,7勝はできる。ツール・ド・フランスが終わってもまだシーズンは長く続くし、上手くこなせるような気がする。クラシックはいつだって僕の目標だし、今日の勝利が将来に対して良い集中力を与えてくれるはずだ。
競り負けたペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
長く待ちすぎてしまった。ファンアフェルマートの番手につけた時にチャンスを待たず、そのままスプリントし続けるべきだった。プッシュし続けていれば勝てたんじゃないかとは思っている。フィニッシュのレイアウトはとてもタフで、グレッグの番手にいた時間が長すぎて最後の最後には力が残っていなかった。マイヨヴェール争いの上でポイントは加算できたけれど、チームやチームメイトのためにステージ優勝が欲しかった。
4位、ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)
非常に調子が良く、残り300mで絶好のポジションにつけていた。とても集中できていたけれど、肝心なところで脚が無かった。自分には少しキツすぎるコースだった。チームはレースの主導権を握っていたし、チームメイトも全力を尽くして働いてくれた。彼らにリスペクトしているし、勝利でお返しできなかったのが残念だ。チャレンジして、チャンスも見つけた。でも勝つことができなかった。
敢闘賞のトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)
今日は逃げにメンバーを送り込むつもりで動いていた。道が細い上にアップダウンの繰り返しだったので、逃げを決めるのが簡単ではなかったんだ。逃げグループは良く協調できていたし、序盤はジャイアント・アルペシンだけが集団を牽引していたので、中間スプリントまではペースを上げ切らずに走っていたんだ。だからジャイアント・アルペシンは全てをコントロールしていると思っていただろう。そのあとから徐々にテンポを上げ始めた。
残り20km地点までは絶対に逃げきれると信じていた。ケルデルマンのアタックを処理するのには力を使ってしまった。3人でステージ優勝を狙えると思っていたのに、今年のパリ〜ニースで最後の数百メートルで捕まってしまったのと同じ展開になってしまった。とても残念に思っているんだ。ツールの序盤から逃げ切りを狙っていたし、今日が逃げ屋にとって大きなチャンスのある一日だった。今日勝ちたかったが、ファンアフェルマートの走りにはただ素晴しかった。肋骨の負傷を乗り越えて、今自分は絶好調でツールに臨めている。自分のパフォーマンスに満足しているし、またアタックして勝機を狙いたいと思う。
落車について語るジャンクリストフ・ペロー(フランス、AG2Rラモンディアール)
前にいた誰かが進路をいきなり変え、僕のバイクのフロントホイールとハスって、僕は地面に叩きつけられた。落車する前、横風で集団が分裂しそうになっていたから、アレクシ(ヴィエルモ)がどこにいるかなと思い、確認しようと一瞬だけ後ろを向いた瞬間のことだったんだ。擦過傷はひどいが、幸いにして骨折はしていなかった。だから明日もスタートを切ることができる。
リタイアについても考えた。自転車競技はいつだってハードで、クラッシュによってその苛酷さはさらに増す。ここまでもそうだった様に、残りのステージも日々耐えながら走ることになるだろう。確かに今回のツールは僕にとって望ましい展開にはなっていない。でも、痛みも自転車競技においては大きな要素の1つなんだ。
マイヨジョーヌを守ったクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
今日は比較的穏やかな1日だったけど、逃げ集団を吸収できないと焦ったスプリンターチームのおかげでラスト40kmはかなりハイスピードな展開になった。ピレネーでの3日間を終えて、疲れている選手が多いように感じる。だからこそ、プロトンの多くの選手が穏やかな1日になることを望んでいたけど、実際にはそうもいかない。気温が40℃近くまで上がったから、とにかくボトルが足りなかった。
今日の様な日は安全を第一に残り3kmの看板まで走り、あとの展開はスプリンターチームに任せて何事もなくフィニッシュできるのが理想だ。しかし、今日はスプリンターチームと総合系チームのアシストが我先にとスピードを上げて、位置取りがかなり激しくなった。最後の登りの麓はまさにカオスだったね。
いわゆるピュアスプリンターは、もっとチャンスが欲しいと感じていると思うが、コース設定について僕は何ら不満を感じていない。今日のフィニッシュの様な短い登りでも、ライバルたちはアタックを仕掛けてくると予想していたし、明日も同様に何かしらの動きがあるはず。明日のフィニッシュ地点であるメンデの3kmの登りでは、大きなタイム差が生まれると予想している。とにかく、明日も何事もなく終えられるといいね。
マイヨブランのナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
今日もひどく暑い一日だった。小さな岡がたくさんあって、所々風も強く吹いた…。一日を通して簡単な一日では無かったよ。ピレネーで消耗している自分たちにとってはかなりキツいステージだった。向こう数日の目標はアルプスでアタックできるようにできるだけ体力を回復させること。でも例えば明日だってそうならないことも分かっている。それに落車のリスクを負わないために、集団前方にいることでも力と集中力を使ってしまう。
各選手のコメントはチーム公式サイト、レース公式サイトより。
text:Yuya.Yamamoto, So.Isobe
photo:Makoto.Ayano,Kei.Tsuji,CorVos,Tim de Waele
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