2015/07/02(木) - 13:39
ピレネー山脈から中央山塊を経てアルプス山脈へ。ツール・ド・フランス後半は山岳ステージのオンパレードであり、最終日前日に超級山岳ラルプデュエズが登場する。ピレネー初日の第10ステージからパリに至る第21ステージまでのコースを紹介します。
7月14日(火)第10ステージ タルブ〜ラ・ピエール・サンマルタン 167km →コースマップ
休息日の大移動を終えて、ツールはピレネーで2週目をスタートさせる。早速始まる3連続ピレネー山岳ステージで総合は大きく動く。第10ステージは今大会最初の超級(HC)山頂フィニッシュ。休息日にリズムを崩さないよう、マイヨジョーヌ候補たちには慎重な調整が要求される。
フランス革命記念日だけに、レース序盤はフランス人選手によるアタックが想定される。150kmに及ぶ緩いアップダウン区間が終わるといよいよ超級山岳ラ・ピエール・サンマルタン(15.3km/7.4%)の登坂がスタート。中盤にかけて10%オーバーを刻むこの登りで総合順位にシャッフルがかかる。ここでツール総合優勝を決めることは出来ないが、ここでツール制覇の夢破れる選手は出てくる。
7月15日(水)第11ステージ ポー〜コテレ/ヴァレ・ド・サンサヴァン 188km →コースマップ
第11ステージの見所は後半に詰まっている。3つの3〜4級山岳をこなした後、105km地点で1級山岳アスパン峠(12km/6.5%)にアタック。続いて挑むのはツール登場80回の超級山岳トゥールマレー峠(17.1km/7.3%)だ。最大勾配が17%にも達するこの名物峠の頂上は標高2115m。先頭通過の選手には「ジャック・ゴデ賞」が与えられる。
登坂距離よりも長い31kmものダウンヒルを経て、最後は3級山岳コテレ峠(6.4km/5%)に挑む。コテレ峠の頂上通過後さらに高低差100mを駆け上がってようやくフィニッシュ。このトゥールマレーステージでツールは折り返し地点。アルプスに向かってプロトンは東進を開始する。
7月16日(木)第12ステージ ラヌムザン〜プラトー・ド・ベイユ 195km →コースマップ
総合上位陣の面子は徐々に固まりつつある頃だが、まだパリは遠い。ピレネー山脈の峠道を繋いでいく第12ステージの破壊力は抜群。何しろ序盤から2級山岳ポルテ・ダスペ峠(4.3km/9.7%)、1級山岳コール峠(14.1km/5.7%)、1級山岳レルス峠(12.9km/6%)が断続的に登場。繰り返されるアップダウンの先に、ヘアピンの連続でリズムが取りにくい超級山岳プラトー・ド・ベイユが待つ。グルペットで完走を目指すスプリンターたちにとっても厳しい一日になりそうだ。
登坂距離15.8km、平均勾配7.9%の登りがツールに登場するのは6回目。1998年にプラトー・ド・ベイユを制したパンターニ、2002年と2004年のアームストロング、2007年のコンタドールはいずれも最終的に総合優勝に輝いている(アームストロングは剥奪)。
7月17日(金)第13ステージ ミュレ〜ロデーズ 198.5km →コースマップ
ピレネーとアルプスを繋ぐステージはスプリンター向きの単調な平坦コースになりがちだが、2015年は一味違う。例年の平野部ではなく北側の中央山塊(マシフ・サントラル)を通過するため、スプリンターを悩ませるアップダウンが組み込まれている。
残り100kmを切ってから3級山岳や4級山岳を含む起伏が登場。ピレネーを乗り越えたピュアスプリンターたちの消耗度合いによっては、スプリンターチームが集団コントロールを放棄するかもしれない。しかもロデーズのフィニッシュ地点はパンチのある登り基調。残り570mから登りに転じ、平均勾配9.6%という斜面を駆け上がってフィニッシュに至る。スプリンターやパンチャーがパワフルな登りスプリントを繰り広げるだろう。
7月18日(土)第14ステージ ロデーズ〜マンド 178.5km →コースマップ
シンプルなフラットステージがとにかく少ない。アルプスまでの移動は起伏に富んでいる。中央山塊を走る第14ステージも平坦路と呼べるのは中盤だけ。残り40kmに3つのカテゴリー山岳が詰め込まれている。
2級山岳ソヴテール峠(9km/6%)と4級山岳シャブリ峠(1.9km/5.9%)をクリアすると、マンドの町を通過して休む間もなく2級山岳ラ・クロワ・ヌーヴ(3km/10.1%)が始まる。「モンテ・ジャラベール」とも呼ばれる急勾配の登りを終えると、頂上から1.5kmの平坦路を走ってマンド・ブルヌー飛行場でフィニッシュを迎える。なお、スプリントポイント(78.5km地点)の手前で下をくぐるミヨー橋は「世界一高い橋」だ(主塔の高さ343m)。
7月19日(日)第15ステージ マンド〜ヴァランス 183km →コースマップ
ピレネーからアルプスへの移動ステージも大詰め。とは言え依然としてレースの舞台は中央山塊。レース前半から3級山岳、4級山岳、4級山岳が連続して登場し、残り57km地点で2級山岳エスクリネ峠(7.9km/5.8%)をクリアする。仮に登りで遅れてもフィニッシュまでの40kmにわたる平坦路で復帰が可能。つまりピュアスプリンターたちの出番がやってきた。この集団スプリントを逃すと次のチャンスはパリ・シャンゼリゼまでお預けだ。
警戒しなければならないのはローヌ川沿いを走る平坦路に吹き付ける風だ。どのチームも数名ずつ揃えているボディーガードのような大柄な平坦系アシストたちが総合エースをエスコートする。翌日からのアルプスステージを前に、無駄足を使うことなく終えたいステージだ。
7月20日(月)第16ステージ ブール・ド・ペアージュ〜ギャップ 201km →コースマップ
第102回大会の総合優勝者はアルプスの5日間で決まる。その幕開けを告げるのが2回目の休息日を前にした第16ステージ。ブール・ド・ペアージュから徐々に高度を上げていき、山間の街ギャップにフィニッシュする。
登場するカテゴリー山岳は2級山岳カーブル峠(9.1km/4.6%)と2級山岳マンス峠(8.9km/5.6%)。この日の注目は数々の栄光と挫折を生み出してきたフィニッシュ12km手前に位置するマンス峠の下り区間だ。2003年にホセバ・ベロキが落車骨折リタイアし、直後を走っていたランス・アームストロングが草むらをショートカットして難を逃れたテクニカルなダウンヒルが待っている。下りのスペシャリストたちがヘアピン連続ダウンヒルで目一杯攻めると、山頂フィニッシュ以上に大きなタイム差が生まれる可能性も有る。
7月21日(火)休息日 ギャップ
7月22日(水)第17ステージ ディーニュ・レ・バン〜プラ・ルー 161km →コースマップ
161kmコースの後半に登場する1級山岳アロス峠(14km/5.5%)の長い登りとテクニカルな下り、そして間髪入れずに登場する2級山岳プラ・ルー(6.2km/6.5%)の山頂フィニッシュはスペック以上に大きなタイム差を生み出す。1ヶ月前、全く同じコースで行われたクリテリウム・ドゥ・ドーフィネ第5ステージでは、1級山岳アロス峠の頂上手前でアタックし、下りで集団を突き放したロメン・バルデ(AG2Rラモンディアール)が独走勝利した。下りでの走りが勝負に響くだろう。
なお、第20ステージの超級山岳ガリビエ峠(標高2645m)がキャンセルされたため、代わってこの1級山岳アロス峠(標高2250m)が今大会の最高地点に。先頭通過選手にはアンリ・デグランジュ賞が与えられる。
7月23日(木)第18ステージ ギャップ〜サンジャン・ド・モーリエンヌ 186.5km →コースマップ
登場するカテゴリー山岳の数は今大会最多の7つ。2級山岳と3級山岳を繰り返しながらレースは北上を続け、グルノーブル近郊で険しい山岳に入る。実質的な登坂距離が50km近い超級山岳グランドン峠(21.7km/5.1%)が選手たちの目の前に現れる。急勾配や緩斜面、平坦区間、下り区間を含む難易度の高い登りを終えると、谷底まで一気にダウンヒル。次に待つのはツール初登場の2級山岳ラセ・ド・モンヴェルニエ(3.4km/8.2%)だ。
フィニッシュ10km手前に位置する2級山岳ラセ・ド・モンヴェルニエはとにかくスイッチバックの繰り返し(3.4kmの距離に17のヘアピンコーナーがある)。急峻な崖に沿って作られたつづら折りの山道をプロトンはハイスピードで進む。なお、あまりにも道が狭いことから、ドーフィネ登場時と同様、一般観客の立ち入りは禁止される。
7月24日(金)第19ステージ サンジャン・ド・モーリエンヌ〜ラ・トゥッスイール 138km →コースマップ
サンジャン・ド・モーリエンヌをスタートするとすぐに1級山岳ショシー峠の登坂がスタート。中盤からは超級山岳クロワ・ド・フェール峠(22.4km/6.9%)、2級山岳モラール峠、1級山岳ラ・トゥッスイールのツール定番セットが襲いかかる。特筆するような勾配の登りは登場しないが、すでに3週間を走っている選手たちの脚は獲得標高差4000mオーバーのコースに悲鳴をあげる。
すでに総合タイムを失っているクライマーたちを中心にしたアタック合戦が予想され、集団のスピードは序盤から上がるだろう。ステージ距離が短い(138km)ことはレース時間も短く(4時間〜4時間半)、タイムカットの猶予も短い。グルペット完走組にとって厳しい1日になる。
7月25日(土)第20ステージ モダンヌ〜ラルプデュエズ 110.5km →コースマップ
最終日前日はお決まりの個人TTではなくラルプデュエズ決戦。110.5kmのショートコースの最後に、3週間におよぶマイヨジョーヌ争いの最後に、21のヘアピンコーナーが続くツールを代表する超級山岳ラルプデュエズ(13.8km/8.1%)が登場する。「オランダコーナー」をはじめとして、麓から頂上まで熱狂的なファンで埋め尽くされるだろう。ラルプデュエズの頂上でマイヨジョーヌを受け取った選手が実質的な総合優勝者だ。
当初は1級山岳テレグラフ峠と超級山岳ガリビエ峠を通過予定だったが、地滑りの危険があるとしてガリビエ頂上のトンネルが閉鎖中。そのためレース主催者はガリビエを諦め、前日にも通過した超級山岳クロワ・ド・フェール(登坂距離29km・平均勾配5.2%)で迂回する代替ルートを使用することを決めている。
7月26日(日)第21ステージ セーヴル〜パリ・シャンゼリゼ 109.5km →コースマップ
最終決戦地ラルプデュエズから終着地パリまで、ツールの一行は650km移動。選手たちは空路で移動するが、関係者には最後の最後に頭が痛い大移動が待っている。幸い最終ステージのスタート時間は16時35分と遅めの設定(前日のフィニッシュの24時間後)だ。
フィニッシュ地点はシャンゼリゼ通り。しかし例年のようにセーヌ川沿いを走ってシャンゼリゼ通りに入るのではなく、パリの観光名所を巡りながらフィニッシュに向かう。凱旋門やシャイヨー宮、エッフェル塔、ルーヴル美術館のピラミッドを経て周回コースへ。凱旋門の周回道路を通過するレイアウトは継承。観客に埋め尽くされた全長7kmコースを10周し、石畳が敷かれたシャンゼリゼ通りのスプリント決戦で第102回大会は締めくくられる。
text:Kei Tsuji in Utrecht, Holland
7月14日(火)第10ステージ タルブ〜ラ・ピエール・サンマルタン 167km →コースマップ
休息日の大移動を終えて、ツールはピレネーで2週目をスタートさせる。早速始まる3連続ピレネー山岳ステージで総合は大きく動く。第10ステージは今大会最初の超級(HC)山頂フィニッシュ。休息日にリズムを崩さないよう、マイヨジョーヌ候補たちには慎重な調整が要求される。
フランス革命記念日だけに、レース序盤はフランス人選手によるアタックが想定される。150kmに及ぶ緩いアップダウン区間が終わるといよいよ超級山岳ラ・ピエール・サンマルタン(15.3km/7.4%)の登坂がスタート。中盤にかけて10%オーバーを刻むこの登りで総合順位にシャッフルがかかる。ここでツール総合優勝を決めることは出来ないが、ここでツール制覇の夢破れる選手は出てくる。
7月15日(水)第11ステージ ポー〜コテレ/ヴァレ・ド・サンサヴァン 188km →コースマップ
第11ステージの見所は後半に詰まっている。3つの3〜4級山岳をこなした後、105km地点で1級山岳アスパン峠(12km/6.5%)にアタック。続いて挑むのはツール登場80回の超級山岳トゥールマレー峠(17.1km/7.3%)だ。最大勾配が17%にも達するこの名物峠の頂上は標高2115m。先頭通過の選手には「ジャック・ゴデ賞」が与えられる。
登坂距離よりも長い31kmものダウンヒルを経て、最後は3級山岳コテレ峠(6.4km/5%)に挑む。コテレ峠の頂上通過後さらに高低差100mを駆け上がってようやくフィニッシュ。このトゥールマレーステージでツールは折り返し地点。アルプスに向かってプロトンは東進を開始する。
7月16日(木)第12ステージ ラヌムザン〜プラトー・ド・ベイユ 195km →コースマップ
総合上位陣の面子は徐々に固まりつつある頃だが、まだパリは遠い。ピレネー山脈の峠道を繋いでいく第12ステージの破壊力は抜群。何しろ序盤から2級山岳ポルテ・ダスペ峠(4.3km/9.7%)、1級山岳コール峠(14.1km/5.7%)、1級山岳レルス峠(12.9km/6%)が断続的に登場。繰り返されるアップダウンの先に、ヘアピンの連続でリズムが取りにくい超級山岳プラトー・ド・ベイユが待つ。グルペットで完走を目指すスプリンターたちにとっても厳しい一日になりそうだ。
登坂距離15.8km、平均勾配7.9%の登りがツールに登場するのは6回目。1998年にプラトー・ド・ベイユを制したパンターニ、2002年と2004年のアームストロング、2007年のコンタドールはいずれも最終的に総合優勝に輝いている(アームストロングは剥奪)。
7月17日(金)第13ステージ ミュレ〜ロデーズ 198.5km →コースマップ
ピレネーとアルプスを繋ぐステージはスプリンター向きの単調な平坦コースになりがちだが、2015年は一味違う。例年の平野部ではなく北側の中央山塊(マシフ・サントラル)を通過するため、スプリンターを悩ませるアップダウンが組み込まれている。
残り100kmを切ってから3級山岳や4級山岳を含む起伏が登場。ピレネーを乗り越えたピュアスプリンターたちの消耗度合いによっては、スプリンターチームが集団コントロールを放棄するかもしれない。しかもロデーズのフィニッシュ地点はパンチのある登り基調。残り570mから登りに転じ、平均勾配9.6%という斜面を駆け上がってフィニッシュに至る。スプリンターやパンチャーがパワフルな登りスプリントを繰り広げるだろう。
7月18日(土)第14ステージ ロデーズ〜マンド 178.5km →コースマップ
シンプルなフラットステージがとにかく少ない。アルプスまでの移動は起伏に富んでいる。中央山塊を走る第14ステージも平坦路と呼べるのは中盤だけ。残り40kmに3つのカテゴリー山岳が詰め込まれている。
2級山岳ソヴテール峠(9km/6%)と4級山岳シャブリ峠(1.9km/5.9%)をクリアすると、マンドの町を通過して休む間もなく2級山岳ラ・クロワ・ヌーヴ(3km/10.1%)が始まる。「モンテ・ジャラベール」とも呼ばれる急勾配の登りを終えると、頂上から1.5kmの平坦路を走ってマンド・ブルヌー飛行場でフィニッシュを迎える。なお、スプリントポイント(78.5km地点)の手前で下をくぐるミヨー橋は「世界一高い橋」だ(主塔の高さ343m)。
7月19日(日)第15ステージ マンド〜ヴァランス 183km →コースマップ
ピレネーからアルプスへの移動ステージも大詰め。とは言え依然としてレースの舞台は中央山塊。レース前半から3級山岳、4級山岳、4級山岳が連続して登場し、残り57km地点で2級山岳エスクリネ峠(7.9km/5.8%)をクリアする。仮に登りで遅れてもフィニッシュまでの40kmにわたる平坦路で復帰が可能。つまりピュアスプリンターたちの出番がやってきた。この集団スプリントを逃すと次のチャンスはパリ・シャンゼリゼまでお預けだ。
警戒しなければならないのはローヌ川沿いを走る平坦路に吹き付ける風だ。どのチームも数名ずつ揃えているボディーガードのような大柄な平坦系アシストたちが総合エースをエスコートする。翌日からのアルプスステージを前に、無駄足を使うことなく終えたいステージだ。
7月20日(月)第16ステージ ブール・ド・ペアージュ〜ギャップ 201km →コースマップ
第102回大会の総合優勝者はアルプスの5日間で決まる。その幕開けを告げるのが2回目の休息日を前にした第16ステージ。ブール・ド・ペアージュから徐々に高度を上げていき、山間の街ギャップにフィニッシュする。
登場するカテゴリー山岳は2級山岳カーブル峠(9.1km/4.6%)と2級山岳マンス峠(8.9km/5.6%)。この日の注目は数々の栄光と挫折を生み出してきたフィニッシュ12km手前に位置するマンス峠の下り区間だ。2003年にホセバ・ベロキが落車骨折リタイアし、直後を走っていたランス・アームストロングが草むらをショートカットして難を逃れたテクニカルなダウンヒルが待っている。下りのスペシャリストたちがヘアピン連続ダウンヒルで目一杯攻めると、山頂フィニッシュ以上に大きなタイム差が生まれる可能性も有る。
7月21日(火)休息日 ギャップ
7月22日(水)第17ステージ ディーニュ・レ・バン〜プラ・ルー 161km →コースマップ
161kmコースの後半に登場する1級山岳アロス峠(14km/5.5%)の長い登りとテクニカルな下り、そして間髪入れずに登場する2級山岳プラ・ルー(6.2km/6.5%)の山頂フィニッシュはスペック以上に大きなタイム差を生み出す。1ヶ月前、全く同じコースで行われたクリテリウム・ドゥ・ドーフィネ第5ステージでは、1級山岳アロス峠の頂上手前でアタックし、下りで集団を突き放したロメン・バルデ(AG2Rラモンディアール)が独走勝利した。下りでの走りが勝負に響くだろう。
なお、第20ステージの超級山岳ガリビエ峠(標高2645m)がキャンセルされたため、代わってこの1級山岳アロス峠(標高2250m)が今大会の最高地点に。先頭通過選手にはアンリ・デグランジュ賞が与えられる。
7月23日(木)第18ステージ ギャップ〜サンジャン・ド・モーリエンヌ 186.5km →コースマップ
登場するカテゴリー山岳の数は今大会最多の7つ。2級山岳と3級山岳を繰り返しながらレースは北上を続け、グルノーブル近郊で険しい山岳に入る。実質的な登坂距離が50km近い超級山岳グランドン峠(21.7km/5.1%)が選手たちの目の前に現れる。急勾配や緩斜面、平坦区間、下り区間を含む難易度の高い登りを終えると、谷底まで一気にダウンヒル。次に待つのはツール初登場の2級山岳ラセ・ド・モンヴェルニエ(3.4km/8.2%)だ。
フィニッシュ10km手前に位置する2級山岳ラセ・ド・モンヴェルニエはとにかくスイッチバックの繰り返し(3.4kmの距離に17のヘアピンコーナーがある)。急峻な崖に沿って作られたつづら折りの山道をプロトンはハイスピードで進む。なお、あまりにも道が狭いことから、ドーフィネ登場時と同様、一般観客の立ち入りは禁止される。
7月24日(金)第19ステージ サンジャン・ド・モーリエンヌ〜ラ・トゥッスイール 138km →コースマップ
サンジャン・ド・モーリエンヌをスタートするとすぐに1級山岳ショシー峠の登坂がスタート。中盤からは超級山岳クロワ・ド・フェール峠(22.4km/6.9%)、2級山岳モラール峠、1級山岳ラ・トゥッスイールのツール定番セットが襲いかかる。特筆するような勾配の登りは登場しないが、すでに3週間を走っている選手たちの脚は獲得標高差4000mオーバーのコースに悲鳴をあげる。
すでに総合タイムを失っているクライマーたちを中心にしたアタック合戦が予想され、集団のスピードは序盤から上がるだろう。ステージ距離が短い(138km)ことはレース時間も短く(4時間〜4時間半)、タイムカットの猶予も短い。グルペット完走組にとって厳しい1日になる。
7月25日(土)第20ステージ モダンヌ〜ラルプデュエズ 110.5km →コースマップ
最終日前日はお決まりの個人TTではなくラルプデュエズ決戦。110.5kmのショートコースの最後に、3週間におよぶマイヨジョーヌ争いの最後に、21のヘアピンコーナーが続くツールを代表する超級山岳ラルプデュエズ(13.8km/8.1%)が登場する。「オランダコーナー」をはじめとして、麓から頂上まで熱狂的なファンで埋め尽くされるだろう。ラルプデュエズの頂上でマイヨジョーヌを受け取った選手が実質的な総合優勝者だ。
当初は1級山岳テレグラフ峠と超級山岳ガリビエ峠を通過予定だったが、地滑りの危険があるとしてガリビエ頂上のトンネルが閉鎖中。そのためレース主催者はガリビエを諦め、前日にも通過した超級山岳クロワ・ド・フェール(登坂距離29km・平均勾配5.2%)で迂回する代替ルートを使用することを決めている。
7月26日(日)第21ステージ セーヴル〜パリ・シャンゼリゼ 109.5km →コースマップ
最終決戦地ラルプデュエズから終着地パリまで、ツールの一行は650km移動。選手たちは空路で移動するが、関係者には最後の最後に頭が痛い大移動が待っている。幸い最終ステージのスタート時間は16時35分と遅めの設定(前日のフィニッシュの24時間後)だ。
フィニッシュ地点はシャンゼリゼ通り。しかし例年のようにセーヌ川沿いを走ってシャンゼリゼ通りに入るのではなく、パリの観光名所を巡りながらフィニッシュに向かう。凱旋門やシャイヨー宮、エッフェル塔、ルーヴル美術館のピラミッドを経て周回コースへ。凱旋門の周回道路を通過するレイアウトは継承。観客に埋め尽くされた全長7kmコースを10周し、石畳が敷かれたシャンゼリゼ通りのスプリント決戦で第102回大会は締めくくられる。
text:Kei Tsuji in Utrecht, Holland
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