2015/05/28(木) - 03:58
ルガーノの街の入り口にあるアップダウンを越えて、ランプレ・メリダのトレインが発進。ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)を下したサーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)がスプリントで2勝目を飾りました。
コモ湖に差し掛かったプロトン photo:Tim de Waele
ジロ・デ・イタリア2015第17ステージ image:RCS Sport今大会最短の134kmコースで行われたジロ・デ・イタリア第17ステージ。クイーンステージとアルプス3連戦に挟まれたこの日は所謂”トランジションステージ”であり、クライマーではなくスプリンターたちにスポットライトが当てられる。
逃げるイーリョ・ケイセ(ベルギー、エティックス・クイックステップ)、マルコ・バンディエラ(イタリア、アンドローニジョカトリ)、ジャコモ・ベルラート(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ) photo:Tim de Waeleステルヴィオ峠にほど近い山間の街ティラーノをスタートするとすぐ、イーリョ・ケイセ(ベルギー、エティックス・クイックステップ)、マルコ・バンディエラ(イタリア、アンドローニジョカトリ)、ジャコモ・ベルラート(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)の3名が形成。しばらく追走したマチェイ・パテルスキー(ポーランド、CCCスプランディポルコウィチェ)らを振り切って、エスケープトリオがリードを広げ始めた。
3級山岳を越えて渓谷沿いを西進するうちにタイム差は3分18秒をマーク。ジャイアント・アルペシンとトレックファクトリーレーシング、ランプレ・メリダの連合軍がメイン集団の先頭に立ち、逃げグループに必要以上のタイム差を与えない。
中盤の2つのスプリントポイントでは、ポイント賞ランキングの上位を争うエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)とジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)がスプリントを繰り広げて1勝1敗。マリアロッサの行方はフィニッシュラインでの戦いに持ち込まれた。
コモ湖の平坦なレイクサイドを走るうちに先頭3名のリードは縮まり、フィニッシュまで27kmを残して早くもメイン集団に吸収される。吸収と同時に始まった高低差150mほどの登りでは新たなアタックが生まれ、パトリック・グレッチュ(ドイツ、AG2Rラモンディアール)の動きにアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ソウダル)とダルウィン・アタプマ(コロンビア、BMCレーシング)が反応。そこからグランツール11連続出場中のハンセンが単独で飛び出した。
ジャイアント・アルペシン、ランプレ・メリダ、トレックファクトリーレーシングが集団を牽引 photo:Tim de Waele
逃げるイーリョ・ケイセ(ベルギー、エティックス・クイックステップ)、マルコ・バンディエラ(イタリア、アンドローニジョカトリ)、ジャコモ・ベルラート(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ) photo:Tim de Waele
プロトンの視界の先には雪を冠した山々 photo:Tim de Waele
残り27km地点の登りをこなすマリアローザのアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)ら photo:Tim de Waele
グレッチュを振り切って独走するアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ソウダル) photo:Tim de Waele緩いアップダウンを繰り返すコースでハンセンは20秒ほどのリードを得たが、スプリンターチームが組織的に追撃するメイン集団を振り切ることは出来ない。ルガーノ湖の湖岸路をしばらく走り、スイスに入国するとすぐハンセンは吸収。ルガーノの街の手前に位置する平均勾配3%/登坂距離3kmほどの登りでメイン集団は100名ほどに縮小した。
スプリントを繰り広げるサーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)ら photo:Tim de Waeleフィニッシュまで5kmを残したこの登りでのトムイェルテ・スラグテル(オランダ、キャノンデール・ガーミン)やフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)のアタックは決まらず、テクニカルな短い下りで飛び出したルーカ・パオリーニ(イタリア、カチューシャ)も吸収。ルガーノの街に入り、残り2kmを切るとランプレ・メリダがメンバーを揃えて先頭に出た。
スプリントで2勝目を飾ったサーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ) photo:Tim de Waeleロベルト・フェラーリ(イタリア)がマキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン)とサーシャ・モードロ(イタリア)を引き連れる形でリードアウトを開始。リケーゼが先頭を守ったまま加速し、その後ろからモードロが飛び立つ。
集団内でフィニッシュしたアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) photo:Kei Tsuji好位置につけていたニッツォロや、2014年大会の最終ステージ覇者ルーカ・メスゲツ(スロベニア、ジャイアント・アルペシン)、ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、IAMサイクリング)の追い上げは届かず、チームメイトの完璧なリードアウトを得たモードロが先頭を守り切った。
「コースプロフィールを見る限り簡単なステージに見えたけど、実際は残り4kmの登りが鍵を握った。登っている最中に周りを見ると、ライバルのスプリンターたちが苦しんでいた。よりフレッシュな状態で勝負に挑めたことも勝因だと思う」。今大会ステージ2勝目を飾り、表彰台でVサインを見せたモードロはそう語る。「今日は自分の好きな暑い1日だった。ロベルト・フェラーリとマキシミリアーノ・リケーゼという最高のリードアウトトレインがいる今、もう怖いものなんてないよ」。
トレックファクトリーレーシングのニッツォロは今大会2度目の2位(いずれのステージもモードロが1位)。しかしこれが5回目のトップ10フィニッシュであり、連日のスプリントポイントでのポイント量産が功を奏してマリアロッサをヴィヴィアーニから奪うことに成功している。
第17ステージを終えてニッツォロ159ポイント、モードロ142ポイント、そしてヴィヴィアーニ134ポイント。ジロのスプリントを盛り上げるこのイタリアンスプリンタートリオが最終日ミラノでマリアロッサ争いを兼ねたスプリントを繰り広げることになりそうだ。
今大会2本目のシャンパンを開けたサーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ) photo:Kei Tsuji
第17ステージを終えた別府史之(トレックファクトリーレーシング) photo:Kei Tsuji
ついにマリアロッサを手にしたジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング) photo:Kei Tsuji
ジロ・デ・イタリア2015第17ステージ結果
1位 サーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ) 3h07’51”
2位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)
3位 ルーカ・メスゲツ(スロベニア、ジャイアント・アルペシン)
4位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、IAMサイクリング)
5位 ダヴィデ・アッポローニオ(イタリア、アンドローニジョカトリ)
6位 スティグ・ブロークス(ベルギー、ロット・ソウダル)
7位 フアンホセ・ロバト(スペイン、モビスター)
8位 アレクサンドル・ポルセフ(ロシア、カチューシャ)
9位 ケヴィン・レザ(フランス、FDJ)
10位 ニック・ファンデルライク(オランダ、ロットNLユンボ)
個人総合成績
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) 65h04’59”
2位 ミケル・ランダ(スペイン、アスタナ) +4’02”
3位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) +4’52”
4位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター) +5’48”
5位 ユーリ・トロフィモフ(ロシア、カチューシャ) +8’27”
6位 レオポルド・ケーニッヒ(チェコ、チームスカイ) +9’31”
7位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング) +9’52”
8位 ステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ) +11’40”
9位 アレクサンドル・ジェニエ(フランス、FDJ) +12’48”
10位 ライダー・ヘシェダル(カナダ、キャノンデール・ガーミン) +13’01”
マリアロッサ ポイント賞
ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)
マリアアッズーラ 山岳賞
ステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ)
マリアビアンカ ヤングライダー賞
ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
チーム総合成績
アスタナ
text&photo:Kei Tsuji in Lugano, Switzerland
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3級山岳を越えて渓谷沿いを西進するうちにタイム差は3分18秒をマーク。ジャイアント・アルペシンとトレックファクトリーレーシング、ランプレ・メリダの連合軍がメイン集団の先頭に立ち、逃げグループに必要以上のタイム差を与えない。
中盤の2つのスプリントポイントでは、ポイント賞ランキングの上位を争うエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)とジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)がスプリントを繰り広げて1勝1敗。マリアロッサの行方はフィニッシュラインでの戦いに持ち込まれた。
コモ湖の平坦なレイクサイドを走るうちに先頭3名のリードは縮まり、フィニッシュまで27kmを残して早くもメイン集団に吸収される。吸収と同時に始まった高低差150mほどの登りでは新たなアタックが生まれ、パトリック・グレッチュ(ドイツ、AG2Rラモンディアール)の動きにアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ソウダル)とダルウィン・アタプマ(コロンビア、BMCレーシング)が反応。そこからグランツール11連続出場中のハンセンが単独で飛び出した。
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「コースプロフィールを見る限り簡単なステージに見えたけど、実際は残り4kmの登りが鍵を握った。登っている最中に周りを見ると、ライバルのスプリンターたちが苦しんでいた。よりフレッシュな状態で勝負に挑めたことも勝因だと思う」。今大会ステージ2勝目を飾り、表彰台でVサインを見せたモードロはそう語る。「今日は自分の好きな暑い1日だった。ロベルト・フェラーリとマキシミリアーノ・リケーゼという最高のリードアウトトレインがいる今、もう怖いものなんてないよ」。
トレックファクトリーレーシングのニッツォロは今大会2度目の2位(いずれのステージもモードロが1位)。しかしこれが5回目のトップ10フィニッシュであり、連日のスプリントポイントでのポイント量産が功を奏してマリアロッサをヴィヴィアーニから奪うことに成功している。
第17ステージを終えてニッツォロ159ポイント、モードロ142ポイント、そしてヴィヴィアーニ134ポイント。ジロのスプリントを盛り上げるこのイタリアンスプリンタートリオが最終日ミラノでマリアロッサ争いを兼ねたスプリントを繰り広げることになりそうだ。
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ジロ・デ・イタリア2015第17ステージ結果
1位 サーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ) 3h07’51”
2位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)
3位 ルーカ・メスゲツ(スロベニア、ジャイアント・アルペシン)
4位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、IAMサイクリング)
5位 ダヴィデ・アッポローニオ(イタリア、アンドローニジョカトリ)
6位 スティグ・ブロークス(ベルギー、ロット・ソウダル)
7位 フアンホセ・ロバト(スペイン、モビスター)
8位 アレクサンドル・ポルセフ(ロシア、カチューシャ)
9位 ケヴィン・レザ(フランス、FDJ)
10位 ニック・ファンデルライク(オランダ、ロットNLユンボ)
個人総合成績
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) 65h04’59”
2位 ミケル・ランダ(スペイン、アスタナ) +4’02”
3位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) +4’52”
4位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター) +5’48”
5位 ユーリ・トロフィモフ(ロシア、カチューシャ) +8’27”
6位 レオポルド・ケーニッヒ(チェコ、チームスカイ) +9’31”
7位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング) +9’52”
8位 ステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ) +11’40”
9位 アレクサンドル・ジェニエ(フランス、FDJ) +12’48”
10位 ライダー・ヘシェダル(カナダ、キャノンデール・ガーミン) +13’01”
マリアロッサ ポイント賞
ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)
マリアアッズーラ 山岳賞
ステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ)
マリアビアンカ ヤングライダー賞
ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
チーム総合成績
アスタナ
text&photo:Kei Tsuji in Lugano, Switzerland
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