2015/04/28(火) - 00:27
残り5kmで前輪パンクに気づきながらも、すでに発進していたリードアウトを止めることなくスプリントへ。マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)がトルコ有数の観光地アンタルヤでスプリント2連勝を飾りました。
アランヤとアンタルヤというトルコの二大観光地を結ぶツアー・オブ・ターキー第2ステージ。フィニッシュ地点近くのアンタルヤ空港の海外渡航者数は、イスタンブールのアタトゥルク空港を抜いて国内ナンバーワン。192kmコースの沿道にはバカンス客で溢れた巨大なリゾートホテルと農村のインターバルが繰り返される。
例年よりも多くの雪を冠しているトロス山脈(最高峰デミルカズクは3756m)を右手に見ながら、高速道路のような片側2〜3車線の幹線道路を走り続ける4時間半。「昨日に引き続いて自分とマッティア・ポッツォが前半に動きます」と話していた山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ)もアタック合戦に加わったが、20km地点で形成された逃げに乗ることは出来なかった。
逃げを形成したのは特別賞ジャージを着る2名を含む合計5名。「(昨日逃げたけど)全然元気」とスタート前に笑顔で話していた山岳賞ジャージのフェデリコ・ズルロ(イタリア、ユナイテッドヘルスケア)と、次点でビューティーズオブターキースプリント賞ジャージを着るルイス・マスボネ(スペイン、カハルーラル)、フレデリック・フェヘレン(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)、ケヴィン・デメスマーカー(ベルギー、ノボノルディスク)、そして1994年のルワンダ大虐殺で6人の兄弟を亡くしたという壮絶な過去をもつアドリアン・ニヨンシュティ(ルワンダ、MTNキュベカ)が逃げる。
メイン集団の先頭を固めたのはエティックス・クイックステップ、オリカ・グリーンエッジ、ロット・ソウダルの連合軍。まるで門番のような身長192cmのギヨーム・ファンケイルスブルク(ベルギー、エティックス・クイックステップ)が2日連続で集団先頭を走り続けた。
最大3分あったタイム差はUCIワールドチームによって削られ、着々と縮まって残り12km地点でゼロに。まだ大会2日目でフレッシュなスピードマンたちによるバトルが始まった。
「昨日は(ステージ2位で)惜しかったけど、勝つためにはプロトン内のリスペクトがもう少し必要なのかも知れない」と語っていた20歳のカレイブ・イワン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)はチームメイトたちを見失ってポジションダウン。残り4kmに差し掛かるとエティックス・クイックステップが先頭に立った。
初日から他チームよりも1名少ない7名で走っているエティックス・クイックステップは、長時間集団を引いたファンケイルスブルクを除く6名でリードアウトトレインを発進させる。ティンコフ・サクソやNIPPOヴィーニファンティーニ、ランプレ・メリダが対抗したが、残り1kmを切ってからレンショー&カヴェンディッシュを引き連れたトム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)が先頭に立った。
残り500mでボーネンが退くとレンショーにスイッチし、そのまま先頭を譲らないまま残り200mでターコイズブルージャージを解き放つ。サーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)とニコラ・ルッフォニ(イタリア、バルディアーニCSF)とハンドルを投げ込んだカヴェンディッシュが先着した。
フィニッシュ後、チームメイトたちと喜ぶとともに前輪のパンクをアピールするカヴェンディッシュ。「残り5kmのコーナーであやうく転倒しそうになって、前輪がパンクしていることに気づいたんだ。完全に空気が抜けたわけじゃないけど、タイヤがスポンジのような状態だった。止まって前輪を交換することも考えたけど、すでにリードアウトメンバーの数が削られていたので、仮に止まったらマーク・レンショーのスプリントに持ち込むのも難しい。だからそのままスプリントに挑むことにしたんだ。信頼の置けるチームメイトたちは希望通り先頭で最終コーナーまで連れて行ってくれた。最終コーナーは丁寧に曲がったよ」と冷や汗もののスプリントを振り返った。
カヴェンディッシュは今シーズン8勝目(1位クリストフ11勝、2位ポート9勝)。チームとしては他の追随を許さない21勝目。
「2日連続でギヨーム・ファンケイルスブルクが集団を引き続けてくれたし、イーリョ・ケイセとニコラス・マースがリードアウトをスタートさせた。そこからファビオ・サバティーニが1km以上にわたって強力な引きを見せて、最終コーナーでトム・ボーネンにスイッチ。後ろから上がってきた選手に進路を塞がれかけたけど、マーク・レンショーがスペースを見つけて僕を発射してくれたんだ」と、2年連続開幕2連勝を飾ったカヴェンディッシュは語る。カヴェンディッシュが守ったリーダージャージは山頂フィニッシュが設定された翌日のクイーンステージで総合優勝候補に引き継がれることになる。
NIPPOヴィーニファンティーニはトップ10に2名を送り込むことに成功し、ジロ・デ・イタリア出場を予定しているダニエーレ・コッリ(イタリア)の5位が最高位。黒枝士揮もスプリントに向けて動く予定だったが「残り数3kmのコーナーでバラバラになってしまい、そこから再びまとまったものの、前から下がってきた選手に塞がれてポジションを下げてしまった」と語り、47位でレースを終えている。
ツアー・オブ・ターキー2015第2ステージ結果
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ) 4h21’32”
2位 サーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)
3位 ニコラ・ルッフォニ(イタリア、バルディアーニCSF)
4位 セバスティアン・モラノ(コロンビア、コロンビア)
5位 ダニエーレ・コッリ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)
6位 アフメト・オルケン(トルコ、トルク・セケルスポール)
7位 ミカル・コラー(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
8位 マヌエル・ベレッティ(イタリア、サウスイースト)
9位 エドゥアルド・グロス(ルーマニア、NIPPOヴィーニファンティーニ)
10位 パオロ・シミオン(イタリア、バルディアーニCSF)
47位 黒枝士揮(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ)
91位 山本元喜(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ)
個人総合成績
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ) 7h39’30”
2位 サーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)
3位 ニコラ・ルッフォニ(イタリア、バルディアーニCSF)
4位 ミカル・コラー(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
5位 アフメト・オルケン(トルコ、トルク・セケルスポール)
6位 マヌエル・ベレッティ(イタリア、サウスイースト)
7位 セバスティアン・モラノ(コロンビア、コロンビア)
8位 マルコ・ベンファット(イタリア、アンドローニジョカトリ)
9位 ブレントン・ジョーンズ(オーストラリア、ユナイテッドヘルスケア)
10位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)
ポイント賞
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)
山岳賞
フェデリコ・ズルロ(イタリア、ユナイテッドヘルスケア)
ビューティーズオブターキースプリント賞
ルイス・マスボネ(スペイン、カハルーラル)
チーム総合成績
バルディアーニCSF
text&photo:Kei Tsuji in Antalya, Turkey
アランヤとアンタルヤというトルコの二大観光地を結ぶツアー・オブ・ターキー第2ステージ。フィニッシュ地点近くのアンタルヤ空港の海外渡航者数は、イスタンブールのアタトゥルク空港を抜いて国内ナンバーワン。192kmコースの沿道にはバカンス客で溢れた巨大なリゾートホテルと農村のインターバルが繰り返される。
例年よりも多くの雪を冠しているトロス山脈(最高峰デミルカズクは3756m)を右手に見ながら、高速道路のような片側2〜3車線の幹線道路を走り続ける4時間半。「昨日に引き続いて自分とマッティア・ポッツォが前半に動きます」と話していた山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ)もアタック合戦に加わったが、20km地点で形成された逃げに乗ることは出来なかった。
逃げを形成したのは特別賞ジャージを着る2名を含む合計5名。「(昨日逃げたけど)全然元気」とスタート前に笑顔で話していた山岳賞ジャージのフェデリコ・ズルロ(イタリア、ユナイテッドヘルスケア)と、次点でビューティーズオブターキースプリント賞ジャージを着るルイス・マスボネ(スペイン、カハルーラル)、フレデリック・フェヘレン(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)、ケヴィン・デメスマーカー(ベルギー、ノボノルディスク)、そして1994年のルワンダ大虐殺で6人の兄弟を亡くしたという壮絶な過去をもつアドリアン・ニヨンシュティ(ルワンダ、MTNキュベカ)が逃げる。
メイン集団の先頭を固めたのはエティックス・クイックステップ、オリカ・グリーンエッジ、ロット・ソウダルの連合軍。まるで門番のような身長192cmのギヨーム・ファンケイルスブルク(ベルギー、エティックス・クイックステップ)が2日連続で集団先頭を走り続けた。
最大3分あったタイム差はUCIワールドチームによって削られ、着々と縮まって残り12km地点でゼロに。まだ大会2日目でフレッシュなスピードマンたちによるバトルが始まった。
「昨日は(ステージ2位で)惜しかったけど、勝つためにはプロトン内のリスペクトがもう少し必要なのかも知れない」と語っていた20歳のカレイブ・イワン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)はチームメイトたちを見失ってポジションダウン。残り4kmに差し掛かるとエティックス・クイックステップが先頭に立った。
初日から他チームよりも1名少ない7名で走っているエティックス・クイックステップは、長時間集団を引いたファンケイルスブルクを除く6名でリードアウトトレインを発進させる。ティンコフ・サクソやNIPPOヴィーニファンティーニ、ランプレ・メリダが対抗したが、残り1kmを切ってからレンショー&カヴェンディッシュを引き連れたトム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)が先頭に立った。
残り500mでボーネンが退くとレンショーにスイッチし、そのまま先頭を譲らないまま残り200mでターコイズブルージャージを解き放つ。サーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)とニコラ・ルッフォニ(イタリア、バルディアーニCSF)とハンドルを投げ込んだカヴェンディッシュが先着した。
フィニッシュ後、チームメイトたちと喜ぶとともに前輪のパンクをアピールするカヴェンディッシュ。「残り5kmのコーナーであやうく転倒しそうになって、前輪がパンクしていることに気づいたんだ。完全に空気が抜けたわけじゃないけど、タイヤがスポンジのような状態だった。止まって前輪を交換することも考えたけど、すでにリードアウトメンバーの数が削られていたので、仮に止まったらマーク・レンショーのスプリントに持ち込むのも難しい。だからそのままスプリントに挑むことにしたんだ。信頼の置けるチームメイトたちは希望通り先頭で最終コーナーまで連れて行ってくれた。最終コーナーは丁寧に曲がったよ」と冷や汗もののスプリントを振り返った。
カヴェンディッシュは今シーズン8勝目(1位クリストフ11勝、2位ポート9勝)。チームとしては他の追随を許さない21勝目。
「2日連続でギヨーム・ファンケイルスブルクが集団を引き続けてくれたし、イーリョ・ケイセとニコラス・マースがリードアウトをスタートさせた。そこからファビオ・サバティーニが1km以上にわたって強力な引きを見せて、最終コーナーでトム・ボーネンにスイッチ。後ろから上がってきた選手に進路を塞がれかけたけど、マーク・レンショーがスペースを見つけて僕を発射してくれたんだ」と、2年連続開幕2連勝を飾ったカヴェンディッシュは語る。カヴェンディッシュが守ったリーダージャージは山頂フィニッシュが設定された翌日のクイーンステージで総合優勝候補に引き継がれることになる。
NIPPOヴィーニファンティーニはトップ10に2名を送り込むことに成功し、ジロ・デ・イタリア出場を予定しているダニエーレ・コッリ(イタリア)の5位が最高位。黒枝士揮もスプリントに向けて動く予定だったが「残り数3kmのコーナーでバラバラになってしまい、そこから再びまとまったものの、前から下がってきた選手に塞がれてポジションを下げてしまった」と語り、47位でレースを終えている。
ツアー・オブ・ターキー2015第2ステージ結果
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ) 4h21’32”
2位 サーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)
3位 ニコラ・ルッフォニ(イタリア、バルディアーニCSF)
4位 セバスティアン・モラノ(コロンビア、コロンビア)
5位 ダニエーレ・コッリ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)
6位 アフメト・オルケン(トルコ、トルク・セケルスポール)
7位 ミカル・コラー(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
8位 マヌエル・ベレッティ(イタリア、サウスイースト)
9位 エドゥアルド・グロス(ルーマニア、NIPPOヴィーニファンティーニ)
10位 パオロ・シミオン(イタリア、バルディアーニCSF)
47位 黒枝士揮(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ)
91位 山本元喜(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ)
個人総合成績
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ) 7h39’30”
2位 サーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)
3位 ニコラ・ルッフォニ(イタリア、バルディアーニCSF)
4位 ミカル・コラー(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
5位 アフメト・オルケン(トルコ、トルク・セケルスポール)
6位 マヌエル・ベレッティ(イタリア、サウスイースト)
7位 セバスティアン・モラノ(コロンビア、コロンビア)
8位 マルコ・ベンファット(イタリア、アンドローニジョカトリ)
9位 ブレントン・ジョーンズ(オーストラリア、ユナイテッドヘルスケア)
10位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)
ポイント賞
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)
山岳賞
フェデリコ・ズルロ(イタリア、ユナイテッドヘルスケア)
ビューティーズオブターキースプリント賞
ルイス・マスボネ(スペイン、カハルーラル)
チーム総合成績
バルディアーニCSF
text&photo:Kei Tsuji in Antalya, Turkey
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