「北の地獄」の異名をとるクラシックレースの女王ことパリ~ルーベを走ったプロバイクを紹介する最終回の第5弾。今回はロット・ソウダル、カチューシャ、アスタナ、ブルターニュ・セシェ、FDJの5チームのバイクをピックアップします。



ロット・ソウダル 【リドレー プロトタイプ】

アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)のリドレー プロトタイプアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)のリドレー プロトタイプ photo:Makoto.AYANO
ロット・ソウダルはロンド・ファン・フラーンデレンに引き続き、リドレーのプロトタイプバイクを使用。多数の海外メディアが「Fenix」の後継モデルとしているが、リドレーから正式なアナウンスは発表されていない。なお、アンドレ・グライペルとイェンス・デブシェールは、それぞれドイツとベルギーのナショナルチャンピオンカラーのバイクを駆った。

メインコンポーネントはカンパニョーロSUPERRECORD EPS。クランクは初登場となるカンパニョーロ4アームタイプのSRMで、ブレーキケーブルはジャグワイヤーのサポートを受けアルミリンク式のI-LINKを使用する。ホイールはカンパニョーロの新型BORA ULTRA 35で全ライダーが統一。タイヤは今季よりサイドウォールがオレンジとなったコンチネンタルのプロ供給専用モデル「COMPETITION PROLTD」としている。

Fenixにも似たヘッドチューブの造形Fenixにも似たヘッドチューブの造形 photo:Makoto.AYANO軽量モデルHeliumの様に薄く扁平したシートステー軽量モデルHeliumの様に薄く扁平したシートステー photo:Makoto.AYANO

フォークの根元にはドイツ国旗があしらわているフォークの根元にはドイツ国旗があしらわている photo:Makoto.AYANOカンパニョーロ4アームタイプのSRMクランクを使用するカンパニョーロ4アームタイプのSRMクランクを使用する photo:Makoto.AYANO


ハンドル、ステム、シートポストはデダ・エレメンティで統一。普段グライペルはハンドルクランプ径が35mmの「35」シリーズを愛用するが、パリ~ルーベでは衝撃吸収性を確保するためかスタンダードシリーズのZERO100とした。その他サドルはサンマルコ、ペダルはルックKeO Blade、ボトルケージはタックスDevaだ。



カチューシャ 【キャニオン AEROAD CF SLX、ULTIMATE CF SLX】

アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)のキャニオン AEROAD CF SLXアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)のキャニオン AEROAD CF SLX photo:Makoto.AYANO
カチューシャはキャニオンのオールラウンドモデル「ULTIMATE CF SLX」に加え、アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー)を筆頭にパリ~ルーベでも多くのライダーがエアロモデル「ULTIMATE CF SLX」を選択。一般的には縦の柔軟性つまり快適性に劣るとされるエアロロードだが、それも過去の常識となった様だ。

コンポーネントはシマノ9070系DURA-ACE Di2をメインに、ルーカ・パオリー二(イタリア)は機械式の9000系DURA-ACEをチョイス。ホイールはマヴィックのコスミックカーボンシリーズで、60mmと40mmの2種類のハイトをライダーの好みに応じて使い分けている。タイヤもマヴィックのサポートを受けるものの明らかに社外製で、ロゴを張り替えて使用する。

クリストフのバイクに取り付けられたセライタリアSLRにはバイキングの絵とノルウェー国旗が描かれているクリストフのバイクに取り付けられたセライタリアSLRにはバイキングの絵とノルウェー国旗が描かれている photo:Makoto.AYANOブレーキはダイレクトマウントタイプ。マヴィックのラインアップにない赤いシューを使用するブレーキはダイレクトマウントタイプ。マヴィックのラインアップにない赤いシューを使用する photo:Makoto.AYANO

可愛いと話題のマトリョーシカボトル可愛いと話題のマトリョーシカボトル photo:Makoto.AYANO60mmとハイトの高いホイールを選択するライダーも少なくない60mmとハイトの高いホイールを選択するライダーも少なくない photo:Makoto.AYANO


ハンドル、ステム、シートポストはキャニオン純正で統一。その他、昨年の北のクラシックでカチューシャが使用し、「かわいい」と話題になったエリートの「マトリョーシカ」ボトルが再び登場したことがトピックスである。



アスタナ 【スペシャライズド S-Works Roubaix SL4、S-Works Tarmac】

ダニイル・フォミニク(カザフスタン、アスタナ)のスペシャライズド S-Works Roubaix SL4ダニイル・フォミニク(カザフスタン、アスタナ)のスペシャライズド S-Works Roubaix SL4 photo:Makoto.AYANO
スペシャライズドのサポートを受けるアスタナは、エンデュランスモデル「S-Works Roubaix SL4」をメインに使用。ティンコフ・サクソのペーター・サガン(スロバキア)と同じく、ボルト・ボジッチ(スロベニア)はオールラウンドモデル「S-Works Tarmac」でスタートし、途中で「S-Works Roubaix SL4」にスイッチした。

メインコンポーネントは新型となったカンパニョーロSUPERRECORDで、頑なに機械式を使い続けている。クランクはSRM仕様のスペシャライズドFactカーボンのアームにカンパニョーロのチェーンリングという組み合わせが基本だが、中にはFSAを装着したバイクも見られた。

ボルト・ボジッチ(スロベニア、アスタナ)のスペシャライズド S-Works Tarmacボルト・ボジッチ(スロベニア、アスタナ)のスペシャライズド S-Works Tarmac photo:Makoto.AYANOスペアとしてアンブロッシオNEMESISリムを使用したトラディショナルな手組ホイールが用意されていたスペアとしてアンブロッシオNEMESISリムを使用したトラディショナルな手組ホイールが用意されていた photo:Makoto.AYANO


ホイールはフランスのパイオニア的老舗ブランドのコリマながら、今となっては懐かしいアンブロッシオNEMESISリムを使用した手組ホイールがスペアとして用意されていた。タイヤはスペシャライズドのGriptonコンパウンドにFMBのコットンケーシングを組み合わせたプロ供給の特別仕様。その他、ハンドル、ステム、シートポストはFSA、サドルはスペシャライズド、ペダルはルックKeO Blade、ボトルケージ及びボトルはタックスとしている。



ブルターニュ・セシェ 【ルック 675 LIGHT、695 LIGHT】

ヤウヘニ・フタロヴィッチ(ベラルーシ、ブルターニュ・セシェ)のルック 675 LIGHTヤウヘニ・フタロヴィッチ(ベラルーシ、ブルターニュ・セシェ)のルック 675 LIGHT photo:Makoto.AYANO
チームと同じくフランスに居を構えるルックを駆るブルターニュ・セシェ。パリ~ルーベではメインバイクの「795 LIGHT」をスペアとし、タイヤクリアランスが大きなミドルグレードの「675 LIGHT」メインに使用した。なお、バイクのカラーは普段と同じくルック伝統のモンドリアンだ。

コンポーネントは9070系シマノDURA-ACE Di2で統一。795 LIGHTでは専用設計のZED2クランクを使用するが、675 LIGHTにはFC-9000が取り付けられていた。ホイールは通好みなアメリカンクラシックのサポートを受け、CARBONシリーズを使用。ハイトは58mmがメイン。タイヤにはイタリアのチャレンジがリリースする「PARIS ROUBAIX」を組み合わせている。

スペアバイクとして用意されたルック 695 LIGHTスペアバイクとして用意されたルック 695 LIGHT photo:Makoto.AYANOハンドルはルック純正のADH ROADを使用。ステム付近までバーテープを巻くことで振動吸収性を高めているハンドルはルック純正のADH ROADを使用。ステム付近までバーテープを巻くことで振動吸収性を高めている photo:Makoto.AYANO

ホイールとタイヤはアメリカンクラシックCARBON 58にチャレンジPARIS-ROUBAIXという組み合わせホイールとタイヤはアメリカンクラシックCARBON 58にチャレンジPARIS-ROUBAIXという組み合わせ photo:Makoto.AYANOボトルケージはフランスの老舗サイクルアクセサリーブランドのゼファール製だボトルケージはフランスの老舗サイクルアクセサリーブランドのゼファール製だ photo:Makoto.AYANO


ステムとシートポストに加え、ハンドルもルックの純正を使用。ペダルはもちろんルックKeO Blade。その他、サドルはセライタリア、ボトルケージはフランスの老舗サイクルアクセサリーブランドのゼファールとしている。



FDJ 【ラピエール PULSIUM Ultimate】

ヨアン・オフルド(フランス、FDJ)のラピエール PULSIUM Ultimateヨアン・オフルド(フランス、FDJ)のラピエール PULSIUM Ultimate photo:Makoto.AYANO
FDJは昨年のパリ~ルーベでのテストを経て、2015年に新モデルとしてリリースされたコンペティション指向のコンフォートバイク「PULSIUM Ultimate」を使用。後端で2分割となったトップチューブによる振動吸収性とワイドなタイヤクリアランスが特長の1台である。シマノヨーロッパと強い協力関係にあり、パーツのほとんどがシマノ若しくはPRO。もちろんメインコンポーネントは9070系シマノDURA-ACE Di2で、ブレーキのみシリーズ外のロングアーチモデルとしている。

ホイールも同じくDURA-ACEグレードのWH-9000。タイヤには青いサイドウォールとドットが敷き詰められたトレッドパターンが特長的なシュワルベONEのプロトタイプを組み合わせている。そして、ハンドル、ステム、シートポストはPRO Vibeシリーズ。その他サドルはフィジーク、ボトルケージ及びボトルがエリートだ。



ユナイテッドヘルスケアはスミス・オプティクス初のロード用ヘルメット「Overdrive」を使用ユナイテッドヘルスケアはスミス・オプティクス初のロード用ヘルメット「Overdrive」を使用 photo:Makoto.AYANOオークリーサポートライダーのほとんどは新型モデルJawbreakerを着用オークリーサポートライダーのほとんどは新型モデルJawbreakerを着用 photo:Makoto.AYANO

フィリッポ・ポッツァート(イタリア)らはRadarの後継モデルにあたるRadar EVをチョイスフィリッポ・ポッツァート(イタリア)らはRadarの後継モデルにあたるRadar EVをチョイス photo:Makoto.AYANOユーロップカーのチームカーはトヨタPRIUSユーロップカーのチームカーはトヨタPRIUS photo:Makoto.AYANO

ホイール交換を素早く行うため、事前にQRレバーをセッティングする際に使用する工具ホイール交換を素早く行うため、事前にQRレバーをセッティングする際に使用する工具 photo:Makoto.AYANO空気圧の調整にはボッシュの電動ポンプを使用するチームが多い空気圧の調整にはボッシュの電動ポンプを使用するチームが多い photo:Makoto.AYANO




photo:Makoto.AYANO
text:Yuya.Yamamoto

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