2015/04/10(金) - 10:24
ブエルタ・アル・パイスバスコ第4ステージで再び山岳バトルが加熱。総合上位陣によるアタックが繰り返され、最後は下り基調のスプリントでホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)が2連勝をマークしました。
バスク地方中部に広がる山岳地帯を駆け巡るブエルタ・アル・パイスバスコ第4ステージ。162kmコースの中に1級山岳を含む7つのカテゴリー山岳が詰め込まれた。純粋な山頂フィニッシュではないが、残り2km地点で1級山岳ウサルツァ峠の頂上を通過し、短い下りを経てフィニッシュするレイアウトだ。1日の獲得標高差は今大会最大の3400m。
総合トップ3の強さが際立った第3ステージを終えて、第4ステージは序盤からアタックの応酬。フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)やピーター・ウェーニング(オランダ、オリカ・グリーンエッジ)、マキシム・モンフォール(ベルギー、ロット・ベリソル)を含む15名が抜け出し、チームスカイが間髪入れずに追走を開始する。
大所帯の逃げグループの中からトニ・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ)とトム・ダニエルソン(アメリカ、キャノンデール・ガーミン)、ペイオ・ビルバオ(スペイン、カハルーラル)、ロメン・アルディ(フランス、コフィディス)が飛び出したところでようやくレースは沈静化。そこからさらにマルティンとダニエルソンが先行した。
終盤の勝負峠に向けて、チームスカイとモビスターは協調して先頭2人のリードを押さえ込む。前日のステージ優勝者ロドリゲスは残り25km地点でメカトラに遭ってバイク交換。さらにチームメイトのアンヘル・ビシオソ(スペイン)が落車リタイアという災難に見舞われてしまう。
先頭ではTTさながらのエアロポジションでマルティンとダニエルソンがハイスピード巡行したものの、モビスターやチームスカイ、オリカ・グリーンエッジ、トレックファクトリーレーシングのアシストが競り合うメイン集団が後方に迫る。残り7km地点の1級山岳ウサルツァ峠の麓で逃げが吸収されると、オリカ・グリーンエッジを先頭に、平均勾配10.7%・登坂距離5kmの勝負が始まった。
後半にかけて勾配が増す登りでペースメイクしたのはモビスターとBMCレーシング。頂上まで5kmを残してイルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ)とヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター)、ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)の3名が最初に動く。ライバルチームに対して揺さぶりをかけ、間接的に集団内のエースをアシストする。
続いて残り4kmで動いたのは総合首位セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ)だった。リーダージャージが自らダンシングで加速し、先頭で独走に持ち込んでいたザッカリンをキャッチ。そのままエナオモントーヤが先頭を快走し、残り2km地点の1級山岳ウサルツァ峠頂上をクリアした。
しかし、エナオモントーヤは後続を完全に引き離すことが出来ず、カチューシャとアスタナ率いる10名の精鋭グループが下り区間で合流。こうして勝負は12名によるスプリント勝負に持ち込まれ、残り1kmのワインディングを見越して先頭に出たロドリゲスがハイスピードで最終コーナーを抜ける。バウク・モレマ(オランダ、トレックファクトリーレーシング)やサイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)の追い上げは届かず、ロドリゲスが2日連続で先頭フィニッシュした。
約1年間勝利から遠ざかっていたロドリゲスが2日連続の勝利。「2012年、今日と同じフィニッシュでバルベルデに写真判定で負けたことがある。だから今日は最後の2コーナーを先頭で攻めようと決めていた。歴史あるこのフィニッシュで勝つことが出来て嬉しいよ」と、完全に勝ちパターンを取り戻したロドリゲスは語る。
「ビシオソのリタイアで戦略変更を強いられた上にバイク交換でエネルギーを浪費したけど、最後の登りは完全に自分向きだった。エナオモントーヤがアタックした時、キンタナが動かなかったので様子を見た。今日のフィニッシュはスピードよりもポジションが大事だったので、サイモン(スピラック)に言って最後までアシストしてもらったんだ。明日は今大会の中で一番好きなアイアのフィニッシュだ。リカバリーして総合争いを繰り広げたい」と語るロドリゲスは首位とタイム差無しの総合2位。
第4ステージを終えて、エナオモントーヤとロドリゲス、ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)の3人は同タイムのまま。一方で総合4位につけていたミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)や総合5位サムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング)、総合6位ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)はこの日23秒遅れ、総合順位を大きく下げている。
選手コメントはチーム公式サイトより。
ブエルタ・アル・パイスバスコ2015第4ステージ結果
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) 4h05’10”
2位 バウク・モレマ(オランダ、トレックファクトリーレーシング)
3位 サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)
4位 ヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター)
5位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ)
6位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アスタナ)
7位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
8位 イルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ)
9位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)
10位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ)
個人総合成績
1位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ) 17h13’51”
2位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
3位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
4位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アスタナ) +07”
5位 バウク・モレマ(オランダ、トレックファクトリーレーシング) +10”
6位 イルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ)
7位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
8位 ヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター)
9位 サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)
10位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)
ポイント賞
ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)
山岳賞
オマール・フライレ(スペイン、カハルーラル)
スプリント賞
オマール・フライレ(スペイン、カハルーラル)
チーム総合成績
カチューシャ
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
バスク地方中部に広がる山岳地帯を駆け巡るブエルタ・アル・パイスバスコ第4ステージ。162kmコースの中に1級山岳を含む7つのカテゴリー山岳が詰め込まれた。純粋な山頂フィニッシュではないが、残り2km地点で1級山岳ウサルツァ峠の頂上を通過し、短い下りを経てフィニッシュするレイアウトだ。1日の獲得標高差は今大会最大の3400m。
総合トップ3の強さが際立った第3ステージを終えて、第4ステージは序盤からアタックの応酬。フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)やピーター・ウェーニング(オランダ、オリカ・グリーンエッジ)、マキシム・モンフォール(ベルギー、ロット・ベリソル)を含む15名が抜け出し、チームスカイが間髪入れずに追走を開始する。
大所帯の逃げグループの中からトニ・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ)とトム・ダニエルソン(アメリカ、キャノンデール・ガーミン)、ペイオ・ビルバオ(スペイン、カハルーラル)、ロメン・アルディ(フランス、コフィディス)が飛び出したところでようやくレースは沈静化。そこからさらにマルティンとダニエルソンが先行した。
終盤の勝負峠に向けて、チームスカイとモビスターは協調して先頭2人のリードを押さえ込む。前日のステージ優勝者ロドリゲスは残り25km地点でメカトラに遭ってバイク交換。さらにチームメイトのアンヘル・ビシオソ(スペイン)が落車リタイアという災難に見舞われてしまう。
先頭ではTTさながらのエアロポジションでマルティンとダニエルソンがハイスピード巡行したものの、モビスターやチームスカイ、オリカ・グリーンエッジ、トレックファクトリーレーシングのアシストが競り合うメイン集団が後方に迫る。残り7km地点の1級山岳ウサルツァ峠の麓で逃げが吸収されると、オリカ・グリーンエッジを先頭に、平均勾配10.7%・登坂距離5kmの勝負が始まった。
後半にかけて勾配が増す登りでペースメイクしたのはモビスターとBMCレーシング。頂上まで5kmを残してイルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ)とヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター)、ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)の3名が最初に動く。ライバルチームに対して揺さぶりをかけ、間接的に集団内のエースをアシストする。
続いて残り4kmで動いたのは総合首位セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ)だった。リーダージャージが自らダンシングで加速し、先頭で独走に持ち込んでいたザッカリンをキャッチ。そのままエナオモントーヤが先頭を快走し、残り2km地点の1級山岳ウサルツァ峠頂上をクリアした。
しかし、エナオモントーヤは後続を完全に引き離すことが出来ず、カチューシャとアスタナ率いる10名の精鋭グループが下り区間で合流。こうして勝負は12名によるスプリント勝負に持ち込まれ、残り1kmのワインディングを見越して先頭に出たロドリゲスがハイスピードで最終コーナーを抜ける。バウク・モレマ(オランダ、トレックファクトリーレーシング)やサイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)の追い上げは届かず、ロドリゲスが2日連続で先頭フィニッシュした。
約1年間勝利から遠ざかっていたロドリゲスが2日連続の勝利。「2012年、今日と同じフィニッシュでバルベルデに写真判定で負けたことがある。だから今日は最後の2コーナーを先頭で攻めようと決めていた。歴史あるこのフィニッシュで勝つことが出来て嬉しいよ」と、完全に勝ちパターンを取り戻したロドリゲスは語る。
「ビシオソのリタイアで戦略変更を強いられた上にバイク交換でエネルギーを浪費したけど、最後の登りは完全に自分向きだった。エナオモントーヤがアタックした時、キンタナが動かなかったので様子を見た。今日のフィニッシュはスピードよりもポジションが大事だったので、サイモン(スピラック)に言って最後までアシストしてもらったんだ。明日は今大会の中で一番好きなアイアのフィニッシュだ。リカバリーして総合争いを繰り広げたい」と語るロドリゲスは首位とタイム差無しの総合2位。
第4ステージを終えて、エナオモントーヤとロドリゲス、ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)の3人は同タイムのまま。一方で総合4位につけていたミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)や総合5位サムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング)、総合6位ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)はこの日23秒遅れ、総合順位を大きく下げている。
選手コメントはチーム公式サイトより。
ブエルタ・アル・パイスバスコ2015第4ステージ結果
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) 4h05’10”
2位 バウク・モレマ(オランダ、トレックファクトリーレーシング)
3位 サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)
4位 ヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター)
5位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ)
6位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アスタナ)
7位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
8位 イルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ)
9位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)
10位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ)
個人総合成績
1位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ) 17h13’51”
2位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
3位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
4位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アスタナ) +07”
5位 バウク・モレマ(オランダ、トレックファクトリーレーシング) +10”
6位 イルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ)
7位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
8位 ヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター)
9位 サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)
10位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)
ポイント賞
ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)
山岳賞
オマール・フライレ(スペイン、カハルーラル)
スプリント賞
オマール・フライレ(スペイン、カハルーラル)
チーム総合成績
カチューシャ
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
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