2015/03/16(月) - 11:47
落車に泣いた昨ステージから一夜、エズ峠を駆け上がるリッチー・ポートの走りは冴え渡っていた。9.6kmの登坂TTで最速タイムを刻み、伸び悩むライバル勢を一蹴して2度目のパリ〜ニース総合優勝に輝いた。
8日間に渡って続いた第73回パリ〜ニースもいよいよ最終日、3月15日にはニースから1級山岳エズ峠まで登る第7ステージの個人タイムトライアルを迎えた。
美しいコートダジュールの海岸を見下ろすエズ峠(Col d'Eze)は登坂距離9.6km平均勾配4.7%を誇り、序盤と中盤には平均6〜9%が続く区間も用意され、かつ最後の1.6kmは緩斜面であるため一瞬も気を抜くことが許さない。2013年以来2年ぶりに復活した山岳TTで、この日もまた総合順位が大きく動くこととなる。
第1走者のステイン・ファンデンベルフ(ベルギー、クイックステップ)に続き、105名の選手たちが雨に濡れる登坂に向けて1分おきにスタートを切っていく。なお2012年のパリ〜ニース勝者でエズ峠の最速レコード(19分12秒)を持つブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)は出走しなかった。
まずアンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール・ガーミン)が最終的に6位に入る好タイムをマークすると、次に前後ディープリムホイール装備のTTバイクで走った元世界王者のトニ・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ)が上回る。
平均時速27.604km/hで走り抜けたマルティンの暫定首位は長く続いたが、登坂力に秀でる総合上位勢がスタートを切ると、中間計測でタイム更新を続けた総合7位のサイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)が15秒上回って首位の座を奪い取る。
ポートに対して1秒差と、実質的なマイヨジョーヌ争い上のライバルであるミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)やヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)、ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)もスピラックのタイムには届かず終わり、残るは大本命ポートとマイヨジョーヌのトニー・ギャロパン(フランス、ロット・ソウダル)を残すのみ。
昨日落車で精彩を欠いてしまったが、この日のオーストラリアTTチャンピオンの走りは冴え渡っていた。中間計測でスピラックを12秒上回るとその後もペースを落とすこと無く、20分33秒(平均時速28.258km/h)というトップタイムでフィニッシュしてみせる。
一方「スタートして直後に"今日は良くない日だ"と分かった。実際にパワーメーターの表示を見ていても数字が出ていなかったし、その中でメンタルを保つのはとてもタフだった」と語るギャロパンはタイムを伸ばすことができず、最終的にステージ29位となる1分39秒遅れでフィニッシュ。このタイム差によって、ポートはギャロパンを逆転し、さらにクヴィアトコウスキーやスピラック、コスタらを突き放してマイヨジョーヌを手中に収めた。
「今朝の時点で36秒というタイム差は決して小さくなかったし、ギャロパンに対してナーバスになっていたが、彼は昨日の走りで消耗しているだろうと考えていた。僕は何度もトレーニングでエズ峠は登っているし、今日はその練習よりも良いタイムが出たと思う」と語るポートは、2013年に続く2回目のパリ〜ニース総合優勝を達成。
ポートは更に「(総合優勝した)2年前よりも甘美な勝利だ。昨日落車してタイムを失ってしまった分、よりそう感じるのかもしれない。ただただファンタスティックな気分だし、チームも全力を尽くしてくれた。パリ〜ニースのようなステージレースで2度目の優勝という結果は自分に自信を与えてくれるし、今まさに僕は絶好調の状態にある。去年は散々だったけれど、ようやく戻って来れた。と加え、次なる目標であるジロ・デ・イタリアに向けて最良のステップを踏んだ。
パリ~ニース2015第7ステージ結果
個人総合成績
ポイント賞
マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
山岳賞
トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)
新人賞
ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)
チーム総合成績
チームスカイ
text:So.Isobe
photo:CorVos
8日間に渡って続いた第73回パリ〜ニースもいよいよ最終日、3月15日にはニースから1級山岳エズ峠まで登る第7ステージの個人タイムトライアルを迎えた。
美しいコートダジュールの海岸を見下ろすエズ峠(Col d'Eze)は登坂距離9.6km平均勾配4.7%を誇り、序盤と中盤には平均6〜9%が続く区間も用意され、かつ最後の1.6kmは緩斜面であるため一瞬も気を抜くことが許さない。2013年以来2年ぶりに復活した山岳TTで、この日もまた総合順位が大きく動くこととなる。
第1走者のステイン・ファンデンベルフ(ベルギー、クイックステップ)に続き、105名の選手たちが雨に濡れる登坂に向けて1分おきにスタートを切っていく。なお2012年のパリ〜ニース勝者でエズ峠の最速レコード(19分12秒)を持つブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)は出走しなかった。
まずアンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール・ガーミン)が最終的に6位に入る好タイムをマークすると、次に前後ディープリムホイール装備のTTバイクで走った元世界王者のトニ・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ)が上回る。
平均時速27.604km/hで走り抜けたマルティンの暫定首位は長く続いたが、登坂力に秀でる総合上位勢がスタートを切ると、中間計測でタイム更新を続けた総合7位のサイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)が15秒上回って首位の座を奪い取る。
ポートに対して1秒差と、実質的なマイヨジョーヌ争い上のライバルであるミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)やヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)、ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)もスピラックのタイムには届かず終わり、残るは大本命ポートとマイヨジョーヌのトニー・ギャロパン(フランス、ロット・ソウダル)を残すのみ。
昨日落車で精彩を欠いてしまったが、この日のオーストラリアTTチャンピオンの走りは冴え渡っていた。中間計測でスピラックを12秒上回るとその後もペースを落とすこと無く、20分33秒(平均時速28.258km/h)というトップタイムでフィニッシュしてみせる。
一方「スタートして直後に"今日は良くない日だ"と分かった。実際にパワーメーターの表示を見ていても数字が出ていなかったし、その中でメンタルを保つのはとてもタフだった」と語るギャロパンはタイムを伸ばすことができず、最終的にステージ29位となる1分39秒遅れでフィニッシュ。このタイム差によって、ポートはギャロパンを逆転し、さらにクヴィアトコウスキーやスピラック、コスタらを突き放してマイヨジョーヌを手中に収めた。
「今朝の時点で36秒というタイム差は決して小さくなかったし、ギャロパンに対してナーバスになっていたが、彼は昨日の走りで消耗しているだろうと考えていた。僕は何度もトレーニングでエズ峠は登っているし、今日はその練習よりも良いタイムが出たと思う」と語るポートは、2013年に続く2回目のパリ〜ニース総合優勝を達成。
ポートは更に「(総合優勝した)2年前よりも甘美な勝利だ。昨日落車してタイムを失ってしまった分、よりそう感じるのかもしれない。ただただファンタスティックな気分だし、チームも全力を尽くしてくれた。パリ〜ニースのようなステージレースで2度目の優勝という結果は自分に自信を与えてくれるし、今まさに僕は絶好調の状態にある。去年は散々だったけれど、ようやく戻って来れた。と加え、次なる目標であるジロ・デ・イタリアに向けて最良のステップを踏んだ。
パリ~ニース2015第7ステージ結果
1位 リッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)
2位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)
3位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)
4位 トニ・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ)
5位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)
6位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール・ガーミン)
7位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
8位 ヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター)
9位 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル)
10位 ゴルカ・イサギーレ(スペイン、モビスター)
2位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)
3位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)
4位 トニ・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ)
5位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)
6位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール・ガーミン)
7位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
8位 ヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター)
9位 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル)
10位 ゴルカ・イサギーレ(スペイン、モビスター)
20'33"
+13"
+24"
+29"
+37"
+39"
+50"
+54"
+55"
+13"
+24"
+29"
+37"
+39"
+50"
+54"
+55"
個人総合成績
1位 リッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)
2位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)
3位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)
4位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)
5位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
6位 トニー・ギャロパン(フランス、ロット・ソウダル)
7位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
8位 ラファル・バルス(スペイン、ランプレ・メリダ)
9位 ゴルカ・イサギーレ(スペイン、モビスター)
10位 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル)
2位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)
3位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)
4位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)
5位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
6位 トニー・ギャロパン(フランス、ロット・ソウダル)
7位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
8位 ラファル・バルス(スペイン、ランプレ・メリダ)
9位 ゴルカ・イサギーレ(スペイン、モビスター)
10位 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル)
29h20'41"
+30"
+41"
+1'03"
+1'05"
+1'24"
+1'38"
+2'18
+30"
+41"
+1'03"
+1'05"
+1'24"
+1'38"
+2'18
ポイント賞
マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
山岳賞
トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)
新人賞
ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)
チーム総合成績
チームスカイ
text:So.Isobe
photo:CorVos
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