2015/03/13(金) - 23:53
96.6kmのショートコースで行われたツール・ド・ランカウイ第6ステージ。位置取りに苦戦したライバルスプリンターを尻目に、リーダージャージを着るカレイブ・イワン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)が両手を突き上げた。
午前9時にスタートした初日を除いてツール・ド・ランカウイのスタート時間は毎日正午と決まっているが、第6ステージは午後3時スタートという遅めのスケジュールが設定されている。これは毎週金曜日がイスラム教の礼拝の日にあたるためだ。
なお、マレーシアの国教はイスラム教だが、中国系やインド系の国民も多いため、仏教やヒンドゥー教、キリスト教の信仰も認められている。比率で言うとイスラム教徒が国民の60%強。彼らにとって金曜日は大切な礼拝の日であり、警察やモトドライバーを含む大会関係者の多くがスタート地点横のモスクで礼拝を済ませた。
そのためスタート1時間前にもかかわらず、スタートライン周辺はがらんとした寂しい雰囲気に包まれていた。加えて、スタート地点に向かう高速道路で交通事故に伴う大渋滞が発生したためチームカーの到着も遅れたが、チームは遅れを取り戻すようにテキパキと用意を済ませ、予定通り、午後3時にスタート。前日の半分にも満たない96.6kmの短いステージが始まった。
マレー半島を横断するように西に向かう第6ステージは、シモーネ・アンドレッタ(イタリア、バルディアーニCSF)、スン・シャーロン(中国、ジャイアント・シャンピオンシステム)、クォン・スンヨン(韓国、KSPO)、エンヴェル・アサノフ(アゼルバイジャン、シナジーバクサイクリング)の4名が逃げる展開に。
しかしタイム差は2分を超えない。休息日のような第5ステージを経て、アスタナやオリカ・グリーンエッジのアシスト陣はリフレッシュ。距離が短いこともあり、タイム差は常に1分台に抑え込まれた。
逃げの4人がフィニッシュまで10kmを残して吸収されると、オリカ・グリーンエッジ、アスタナ、ティンコフ・サクソ、MTNキュベカ、サウスイースト、そして愛三工業レーシングが隊列を組んで集団先頭に上がる。
組織立ったトレインを組んだのはオリカ・グリーンエッジとサウスイースト。ともに競り合いながら残り1kmを切り、最終コーナーに向けて発射台のアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、サウスイースト)がリードアウトを開始する。その後ろからヤクブ・マレツコ(イタリア、サウスイースト)とイワンが同時に腰を上げた。
明らかに空気抵抗の少ないコンパクトなスプリントで先頭に立ったイワンにマレツコは届かない。ここまでスプリントで無敗を誇っていたアンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)は出遅れ、別ラインで挽回を図ったが届かない。オリカ・グリーンエッジのリードアウトを駆使して勝負に持ち込んだイワンの完勝だった。
イワンは第3ステージで優勝したものの、グアルディーニを含む大集団スプリントを制したのはこれが初めて。「ここまでのステージでは小さなミスを繰り返していた。ようやく勝利に結びつけることが出来て素晴らしい気分だ。今日は残り5kmから積極的にチームが先頭に立ってコントロール。チームメイトたちのリードアウトは本当に素晴らしかった」とイワンは語る。
ボーナスタイムを量産しているイワンは総合2位以下を27秒引き離して首位を独走中。余裕を持って第3ステージの1級山岳を越えたことから、翌日のクイーンステージ1級山岳フレイザーズヒルもこなしてしまうのではないかとの憶測も出ているが、イワンは「脚の調子は良いので全力を尽くしてみるけど可能性は低いと思う。自分に余計なプレッシャーを与えないでおくよ」と笑顔で答えた。
一方、愛三工業レーシングのトレインはエーススプリンターの福田真平を上手く解き放つことが出来なかった。「残り5kmからチームメイトと一緒に集団前方に位置していたんですが、トレインの3人(綾部、小森、福田)になってから埋もれてしまい、もがけないまま終わってしまいました。残り1kmで小森が先頭に出たんですけど、ついて行けなかった」と福田。チーム内の最高位は中島康晴の17位だった。
ツール・ド・ランカウイ2015第6ステージ
1位 カレイブ・イワン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) 2h14’19”
2位 ヤクブ・マレツコ(イタリア、サウスイースト)
3位 クリストファー・サットン(オーストラリア、チームスカイ)
4位 フアン・モラノ(コロンビア、コロンビア)
5位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)
6位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、サウスイースト)
7位 ミカル・コラー(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
8位 ヨウセフ・レグイグイ(アルジェリア、 MTNキュベカ)
9位 アフメト・オルケン(トルコ、トルクセケルスポール)
10位 アリン・イスワナ(インドネシア、ペガサスコンチネンタル)
17位 中島康晴(日本、愛三工業レーシング)
23位 福田真平(日本、愛三工業レーシング)
24位 綾部勇成(日本、愛三工業レーシング)
個人総合成績
1位 カレイブ・イワン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) 21h32’36”
2位 ナトナエル・ベルハネ(エリトリア、MTNキュベカ) +27”
3位 ヨウセフ・レグイグイ(アルジェリア、MTNキュベカ) +30”
4位 ピエールルック・ペリション(フランス、ブルターニュ・セシェ)
5位 フランシスコ・マンセボ(スペイン、スカイダイブドバイ)
6位 レオナルド・ドゥケ(コロンビア、コロンビア) +32”
7位 フレデリック・ブルン(フランス、ブルターニュ・セシェ) +33”
8位 チャン・ウェンロン(中国、ジャイアント・シャンピオンシステム) +34”
9位 リュー・ジャンペン(中国、ヘンシャンサイクリング)
10位 ロビン・マヌリアン(インドネシア、ペガサスコンチネンタル) +35”
ポイント賞
カレイブ・イワン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
山岳賞
キール・レイネン(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
アジアンライダー賞
チャン・ウェンロン(中国、ジャイアント・チャンピオンシステム)
チーム総合成績
MTNキュベカ
アジアンチーム総合成績
ペガサスコンチネンタル
text&photo:Kei Tsuji
午前9時にスタートした初日を除いてツール・ド・ランカウイのスタート時間は毎日正午と決まっているが、第6ステージは午後3時スタートという遅めのスケジュールが設定されている。これは毎週金曜日がイスラム教の礼拝の日にあたるためだ。
なお、マレーシアの国教はイスラム教だが、中国系やインド系の国民も多いため、仏教やヒンドゥー教、キリスト教の信仰も認められている。比率で言うとイスラム教徒が国民の60%強。彼らにとって金曜日は大切な礼拝の日であり、警察やモトドライバーを含む大会関係者の多くがスタート地点横のモスクで礼拝を済ませた。
そのためスタート1時間前にもかかわらず、スタートライン周辺はがらんとした寂しい雰囲気に包まれていた。加えて、スタート地点に向かう高速道路で交通事故に伴う大渋滞が発生したためチームカーの到着も遅れたが、チームは遅れを取り戻すようにテキパキと用意を済ませ、予定通り、午後3時にスタート。前日の半分にも満たない96.6kmの短いステージが始まった。
マレー半島を横断するように西に向かう第6ステージは、シモーネ・アンドレッタ(イタリア、バルディアーニCSF)、スン・シャーロン(中国、ジャイアント・シャンピオンシステム)、クォン・スンヨン(韓国、KSPO)、エンヴェル・アサノフ(アゼルバイジャン、シナジーバクサイクリング)の4名が逃げる展開に。
しかしタイム差は2分を超えない。休息日のような第5ステージを経て、アスタナやオリカ・グリーンエッジのアシスト陣はリフレッシュ。距離が短いこともあり、タイム差は常に1分台に抑え込まれた。
逃げの4人がフィニッシュまで10kmを残して吸収されると、オリカ・グリーンエッジ、アスタナ、ティンコフ・サクソ、MTNキュベカ、サウスイースト、そして愛三工業レーシングが隊列を組んで集団先頭に上がる。
組織立ったトレインを組んだのはオリカ・グリーンエッジとサウスイースト。ともに競り合いながら残り1kmを切り、最終コーナーに向けて発射台のアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、サウスイースト)がリードアウトを開始する。その後ろからヤクブ・マレツコ(イタリア、サウスイースト)とイワンが同時に腰を上げた。
明らかに空気抵抗の少ないコンパクトなスプリントで先頭に立ったイワンにマレツコは届かない。ここまでスプリントで無敗を誇っていたアンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)は出遅れ、別ラインで挽回を図ったが届かない。オリカ・グリーンエッジのリードアウトを駆使して勝負に持ち込んだイワンの完勝だった。
イワンは第3ステージで優勝したものの、グアルディーニを含む大集団スプリントを制したのはこれが初めて。「ここまでのステージでは小さなミスを繰り返していた。ようやく勝利に結びつけることが出来て素晴らしい気分だ。今日は残り5kmから積極的にチームが先頭に立ってコントロール。チームメイトたちのリードアウトは本当に素晴らしかった」とイワンは語る。
ボーナスタイムを量産しているイワンは総合2位以下を27秒引き離して首位を独走中。余裕を持って第3ステージの1級山岳を越えたことから、翌日のクイーンステージ1級山岳フレイザーズヒルもこなしてしまうのではないかとの憶測も出ているが、イワンは「脚の調子は良いので全力を尽くしてみるけど可能性は低いと思う。自分に余計なプレッシャーを与えないでおくよ」と笑顔で答えた。
一方、愛三工業レーシングのトレインはエーススプリンターの福田真平を上手く解き放つことが出来なかった。「残り5kmからチームメイトと一緒に集団前方に位置していたんですが、トレインの3人(綾部、小森、福田)になってから埋もれてしまい、もがけないまま終わってしまいました。残り1kmで小森が先頭に出たんですけど、ついて行けなかった」と福田。チーム内の最高位は中島康晴の17位だった。
ツール・ド・ランカウイ2015第6ステージ
1位 カレイブ・イワン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) 2h14’19”
2位 ヤクブ・マレツコ(イタリア、サウスイースト)
3位 クリストファー・サットン(オーストラリア、チームスカイ)
4位 フアン・モラノ(コロンビア、コロンビア)
5位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)
6位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、サウスイースト)
7位 ミカル・コラー(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
8位 ヨウセフ・レグイグイ(アルジェリア、 MTNキュベカ)
9位 アフメト・オルケン(トルコ、トルクセケルスポール)
10位 アリン・イスワナ(インドネシア、ペガサスコンチネンタル)
17位 中島康晴(日本、愛三工業レーシング)
23位 福田真平(日本、愛三工業レーシング)
24位 綾部勇成(日本、愛三工業レーシング)
個人総合成績
1位 カレイブ・イワン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) 21h32’36”
2位 ナトナエル・ベルハネ(エリトリア、MTNキュベカ) +27”
3位 ヨウセフ・レグイグイ(アルジェリア、MTNキュベカ) +30”
4位 ピエールルック・ペリション(フランス、ブルターニュ・セシェ)
5位 フランシスコ・マンセボ(スペイン、スカイダイブドバイ)
6位 レオナルド・ドゥケ(コロンビア、コロンビア) +32”
7位 フレデリック・ブルン(フランス、ブルターニュ・セシェ) +33”
8位 チャン・ウェンロン(中国、ジャイアント・シャンピオンシステム) +34”
9位 リュー・ジャンペン(中国、ヘンシャンサイクリング)
10位 ロビン・マヌリアン(インドネシア、ペガサスコンチネンタル) +35”
ポイント賞
カレイブ・イワン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
山岳賞
キール・レイネン(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
アジアンライダー賞
チャン・ウェンロン(中国、ジャイアント・チャンピオンシステム)
チーム総合成績
MTNキュベカ
アジアンチーム総合成績
ペガサスコンチネンタル
text&photo:Kei Tsuji
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