ティレーノ~アドリアティコ第2ステージは、イェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・ソウダル)がペーター・サガン(チェコ、ティンコフ・サクソ)やタイラー・ファラー(アメリカ、MTNキュベカ)らをスプリントで打ち破った。



丘陵地帯を駆け抜け、ゴールのカシーナを目指すティレーノ~アドリアティコ第2ステージ丘陵地帯を駆け抜け、ゴールのカシーナを目指すティレーノ~アドリアティコ第2ステージ photo:CorVos


集中した面持ちでスタートに現れたヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)集中した面持ちでスタートに現れたヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:RCSsportスペシャルペイントのバイクを投入したアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)スペシャルペイントのバイクを投入したアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) photo:CorVosパトリック・コンラート(オーストリア、ボーラ・アルゴン18)ら7名の逃げ集団パトリック・コンラート(オーストリア、ボーラ・アルゴン18)ら7名の逃げ集団 photo:CorVos登りをこなしスプリントに備えるマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)登りをこなしスプリントに備えるマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ) photo:CorVosゴール手前で落車し、苦痛に顔を歪めるエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)ゴール手前で落車し、苦痛に顔を歪めるエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ) photo:CorVosプロローグと呼んだ方がしっくりくるショートタイムトライアルから一夜明けた第2ステージ。スタート地点のカマイオーレから内陸部を南下したのち、カーシナの街を周回するコースは、序盤に2つの3級山岳が登場するもののその後はフラットな153km。

マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)をはじめ、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)やサーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)、タイラー・ファラーら一流スプリンター達が揃うプロトンを誰が制するのか、注目が集まった。

スタートが切られてすぐに6名の逃げが決まる。逃げたのはエドワルド・ザルディーニ(イタリア、バルディアーニCSF)、ダニーロ・ウィス(スイス、BMCレーシング)、クリスティアーノ・サレルノ(イタリア、ボーラ・アルゴン18)、ホルヘ・カミロ(コロンビア、チームコロンビア)、カルロス・キンテロ(コロンビア、チームコロンビア)、マルティン・ケイゼル(オランダ、ロットNLユンボ)の6名だ。

ここに、パトリック・コンラード(オーストリア、ボーラ・アルゴン18)が加わり、7名となった逃げ集団はうまく協調体制を組み上げ、タイム差を積み上げていく。序盤に2回登場するピトロ山の登りは、一度目をウィス、キンテロ、コンラードの順で、2度目をキンテロ、ウィス、コンラードの順で通過。こうして山岳ポイントをウィスとキンテロが8ポイントずつ稼いだが、結果的にはゴール着順で先着したウィスが山岳ジャージを着用することとなった。

最大で6分以上のタイム差をつけた7名だったが、今日の主役であるスプリンターチームの猛追が始まるとみるみる内にタイム差は詰められていく。追走の主役となったのはカヴェンディッシュを擁するエティックス・クイックステップとサガンを勝たせたいティンコフ・サクソの2チーム。

カシーナの周回の2周目に入った時点でタイム差は1分ほどに縮まってしまう。残り31km地点で逃げ集団からザルディーニとサレルノ、キンテロの3名がアタック。粘り強く逃げ続けるものの、最終周回に入ってすぐに集団に吸収されてしまう。

スプリントに向けて速度が上がる集団の支配権を握ったのは、マシュー・ゴス(オーストラリア)らを擁するMTNキュベカ。「今日は完璧なリードアウトが出来た、チームメイトは本当に信じられない活躍をしてくれた。」と語るタイラー・ファラー(アメリカ)の勝利に向けて完璧なトレインを組み上げてラスト1kmを突き進んだ。

スプリント体制に入ったその瞬間、ヴィヴィアーニがカベンディッシュの後輪にハスって落車。カヴは「スプリントを仕掛けようとしたら、フロントのチェーンが外側に落ちたんだ。そのせいで、トルクが抜けて右側に急に膨らんでしまった。自分が落車しなかったのは奇跡だと思う。ヴィヴィアーニをはじめ、クラッシュに巻き込まれた選手には申し訳ない気持ちでいっぱいだ。」と落車の原因についてコメントしている。

そして、コース中央で起きた落車から逃れた10名ほどに勝負の行方は委ねられた。ラスト200mでゴスのリードアウトから発射されたファラーだったが、その右後ろからベルギーナショナルチャンピオンジャージを身にまとったイェンス・デブシェールが伸びる。サガンの追撃をも振り切った25歳が先頭でゴールラインに飛び込んだ。



強豪スプリンター達を下したイェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・ソウダル)強豪スプリンター達を下したイェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・ソウダル) photo:CorVos


初のUCIワールドツアーレース優勝を飾ったイェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・ソウダル)初のUCIワールドツアーレース優勝を飾ったイェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・ソウダル) photo:CorVos総合リーダーはアドリアーノ・マローリ(イタリア、モビスター)がキープ総合リーダーはアドリアーノ・マローリ(イタリア、モビスター)がキープ photo:CorVos今シーズン初勝利、そして自身初のワールドツアーでの勝利をつかんだデブシェール。「ラスト1kmは本当に目が回りそうだった。ユルゲン・ルーランズ(ベルギー)がラスト800mから僕を前に連れて行ってくれて、今日は良い結果が残せると思ったんだ、調子もよかったし。でも、トップスプリンター達を相手にスプリントで勝てるとは思っていなかった。」とコメントした。

総合成績ではボーナスタイムにより、サガンがアドリアーノ・マローリ(イタリア、モビスター)と同タイムの2位にジャンプアップ。「今日のスプリントで2位だったのは残念だったけど、調子が上がっているのは感じる。きっと明日は僕のステージになると思うんだ。タイム差なしの総合2位で迎える第3ステージで何が起こるか、楽しみにしていてほしい。」と自信を覗かせた。

新城幸也はタイム差なしのステージ67位。落車に巻き込まれることなく第2ステージを無事に終えている。「自分がアシストするはずのスプリント要員が2人ともトラブルで遅れ、勝負が出来なくなったので、この危険な状況の中でエースのピエール(・ロラン)を守る役目に回った。足止めされることはあったが、落車に巻き込まれずに終えれて良かった。」と第2ステージについてコメントする。

明日の第3ステージはクラシックレースの様なコースプロファイル。新城は「明日は昨年、3周回だった周回が5周と増えた分、キツイ展開が予想されるが、調子が良ければ狙いたいステージだ。 しかし、チームとしてはピエールが土曜日(山頂ゴール)まで総合でタイムを失わない事が目的だから、自分がステージを狙うよりも、まずはそれが優先だけど!」と意気込みを語った。

選手コメントは各チーム公式リリースならびにTeamユキヤ通信より。



ティレーノ~アドリアティコ2015第2ステージ結果
1位 イェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・ソウダル)
2位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
3位 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・アルゴン18)
4位 アレクサンドル・ポルセフ(ロシア、カチューシャ)
5位 タイラー・ファラー(アメリカ、MTNキュベカ)
6位 マグナス・コルトニールセン(デンマーク、オリカ・グリーンエッジ)
7位 ロジェ・クルーゲ(ドイツ、IAMサイクリング)
8位 ニコラ・ルフォーニ(イタリア、バルディアーニ・CSF)
9位 ザッカリ・デンプスタ(オーストラリア、ボーラ・アルゴン18)
10位 マーク・レンショー(オーストラリア、エティックス・クイックステップ)
67位 新城幸也(ユーロップカー)
3h30'18"











個人総合成績
1位 アドリアーノ・マローリ(イタリア、モビスター)
2位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
3位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)
4位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
5位 マティアス・ブランドル(オーストリア、IAMサイクリング)
6位 マチェイ・ボドナール(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
7位 ダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)
8位 ラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、キャノンデール・ガーミン)
9位 スティーブ・クミングス(イギリス、MTNキュベカ)
10位 マルティン・ケイゼル(オランダ、ロットNLユンボ)
128位 新城幸也(日本、ユーロップカー)
3h36'22"

+1"
+2"


+4"
+5"
+6"
+7"
+35"


山岳賞
ダニーロ・ウィス(スイス、BMCレーシング)

ポイント賞
イェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・ソウダル)

ヤングライダー賞
ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)

text:Naoki.Yasuoka
photo:CorVos, RCSsport

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