2015/03/06(金) - 11:48
2015シーズン、活動を開始したニュージーランド籍コンチネンタルチーム「CCT p/b チャンピオンシステム」。3月1日ベルギーの格式あるクラシックレース、クールネ~ブリュッセル~クールネ(UCI1.1)で初戦を迎え、所属する日本人3選手(徳田鍛造、優、小石祐馬)も厳しいベルギーの石畳レースに果敢に挑んだ。
クールネ〜ブリュッセル〜クールネに出場したCCT P/B チャンピオンシステムの8選手とフランキー・バンハーズブルックGM photo:Sonoko TANAKA
NIPPO・ヴィーニファンティーニのマンゾーニ監督と話す橋川健監督 photo:Sonoko TANAKA
チームパキングからスタートサインへ向かう選手たち photo:Sonoko TANAKAまずはチーム誕生のいきさつを紹介しよう。チームの核となるのは、ゼネラルマネージャーを務めるフランキー・バンハーズブルック氏。これまでアジア初のプロコンチネンタルチームとして活動した香港籍の「チャンピオンシステム」、女子UCIチームの「ウィグル・ホンダ」などで監督として采配を握ってきた経歴をもち、面倒見の良さから、プロアマ問わず多くの選手から慕われているベルギー、フランドル地方出身の元選手だ。
フランキーには以前から「自分のチームをもちたい」という夢があった。スポンサーの事情から、前述の「チャンピオンシステム」が2013年末で活動休止となったことなどもあり、その気持ちが近年とても強くなっていったという。そして今季、チャンピオンシステムがメインスポンサーとなり、自らがゼネラルマネージャーを務めるベルギー拠点の新しいチームを発足させた。
チームの監督は、地元で長年自転車チームの監督を務めるウォルター・マース氏とベルギー在住の橋川健氏の2名が務める。橋川とフランキーは互いに選手としてベルギーのレースを走っていた頃から親交があり、近年は橋川が監督を務める「チームユーラシア」で、スポットでフランキーにメカニックや監督を頼むことがあったという。そのときはいつも橋川はフランキーの考え方や仕事ぶりから好印象を受け、彼に信頼をおいていた。
ヨーロッパでのシーズン初戦、クールネ〜ブルッセル〜クールネに挑む日本人3選手 photo:Sonoko TANAKA
サイン台でアジアチャンピンとして紹介を受ける小石祐馬 photo:Sonoko TANAKA
緊張した面持ちでレースのスタートを待つ徳田鍛造 photo:Sonoko TANAKA
以前ベルギーチームのトレーニーとして走っていた小石。彼のもとに知り合いが駆けつける photo:Sonoko TANAKA
司会者に「出身は日本のどこ?」と聞かれる徳田兄弟 photo:Sonoko TANAKA
笑顔でチームカーのハンドルを握るゼネラルマネージャーのフランキー・バンハーズブルック氏 photo:Sonoko TANAKAそして昨年、フランキーがチームを立ち上げる準備をしているころ、ちょうどチームNIPPOの大門宏監督が日本人選手の受け入れ先を探していた。そこで橋川が仲介し、両者の思惑が一致したため、株式会社NIPPOやIRCタイヤが新チームのスポンサーとして加わり、監督として橋川、そして3人の日本人選手(徳田鍛造、優、小石祐馬)の加入が決まった。
チーム最大の特徴は、多国籍な選手構成とその選手たちの平均年齢が23歳という若さにある。現在の所属選手は11名で、今後13名まで増える予定があるというが、4名のニュージーランド人に3名の日本人、そしてリトアニア、デンマーク、ベルギー、ドイツと様々な国の若手選手たちが所属し、ベルギーのチームハウスで共同生活を送っている。
橋川監督は「経験の浅い選手にこの1年で結果を求めることはない」と言う。まずはプロのレースで戦える選手を育てていくことが、このチームの目標であり、5年以内というスパンでここから一人でも多くの選手がプロコンチネンタルチーム以上のチームで活躍するプロ選手になってほしいと話す。
所属する日本人3選手は、2013、2014年のU23全日本チャンピオンの徳田鍛造、2月に開催されたU23アジア選手権で優勝した小石祐馬、そして2014年のインカレチャンピオンの徳田優という顔ぶれで、国内のトップレベルにいる若手選手たちだ。
しかし、3選手それぞれに、これまでの経験は異なる。小石はチームユーラシアで2012年から2シーズン、ベルギーを拠点とし、昨年はヴィーニファンティーニ・NIPPOでイタリアと拠点として活動したが、最年少の徳田優は鹿屋体育大学在学中で、ヨーロッパでのレース経験は、昨年は日本ナショナルチームのメンバーとして、いくつかのレースを走ったのみ。「同じ若手とはいえ、3選手のスタートラインは違う。けれども、それぞれに成長を感じさせてほしい」と橋川監督。
チームに唯一所属する地元ベルギーのトム・ホーバルツは、プロレースでも優勝経験のある中堅(26歳)選手。しかし、彼以外は全員“若手外国人選手”という括りで、日本人選手も他の選手もイコールとなる。ここからプロをめざす厳しい競争世界において、橋川監督は「日本人選手もここで生活していく上で、蚊帳の外であってはいけない。同世代の身近なライバルがいることで、あいつらには負けない!という強い気持ちをもち、しっかりと自分たちで食らいつき、勝負していってほしい」と期待する。そして橋川監督も「日本人選手にとって、このチームに所属する最大のメリットは自分がいつも側にいられるということ。プロ選手として自立し、自分を必要としなくなってくれるまで、彼らをしっかりとサポートしていきたい」と話す。
石畳のコースを走る小石祐馬と徳田優 photo:Sonoko TANAKA
緊張した面持ちでレースのスタートを待つ徳田鍛造 photo:Sonoko TANAKA
フランドル地方の名物のオウデクラワモントを走る小石祐馬 photo:Sonoko TANAKAそして初戦を控え、徳田鍛造は「いろいろな人に支えられて、ここまで来させてもらい、走らせてもらえるということに感謝しています。まだ具体的な目標等は自分のなかで見え切っていませんが、これまで以上に1年1年が勝負という緊張感が高まっています。まずは求められるところでベストを尽くし、次に繋げる結果を残していきたいです」と意気込みを語った。
初戦のクールネ~ブリュッセル~クールネは世界のトッププロが参戦する厳しいレースだった。日本人3選手はメカトラなどもあり全員DNFとなってしまったが、橋川監督は「レースの中盤、メイン集団が3分の2くらいの人数に絞られたとき、チームは5選手が集団に残っていて、そのなかの3人が日本人だった。このことは、戦力としての好評価に繋がったと思う。これからも、どんどん走らせて、戦力となることをアピールしていきたい」とレースを総括する。
今後、チームは北ヨーロッパを中心に毎月8レースほど走る予定となっている。またU23カテゴリーの小石と徳田優は日本ナショナルチームのU23ネイションズカップなどの遠征にも加わり、小石は「U23世界選手権をシーズン終盤の大きな目標とし、エリートカテゴリーに繋がる結果を残したい」と抱負を語る。
CCT p/b チャンピオンシステム 所属選手
ダリウス・ジェルブス(リトアニア)
ドゥニ・フラオ(フランス)※FLAHAUT Denis
モルテン・ガッドガード(デンマーク)
トム・ホーバルツ(ベルギー)
ジョシュア・ハガーティ(ニュージーランド)
小石 祐馬
ジェームス・スプラッグ(ドイツ)
徳田 優
徳田 鍛造
マイケル・ビンク(ニュージーランド)
サッシャ・ウェバー(ドイツ)
ライアン・ウィルス(ニュージーランド)
マシュー・ゼノヴィッチ(ニュージーランド)
text&photo::Sonoko TANAKA
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チームの監督は、地元で長年自転車チームの監督を務めるウォルター・マース氏とベルギー在住の橋川健氏の2名が務める。橋川とフランキーは互いに選手としてベルギーのレースを走っていた頃から親交があり、近年は橋川が監督を務める「チームユーラシア」で、スポットでフランキーにメカニックや監督を頼むことがあったという。そのときはいつも橋川はフランキーの考え方や仕事ぶりから好印象を受け、彼に信頼をおいていた。
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チーム最大の特徴は、多国籍な選手構成とその選手たちの平均年齢が23歳という若さにある。現在の所属選手は11名で、今後13名まで増える予定があるというが、4名のニュージーランド人に3名の日本人、そしてリトアニア、デンマーク、ベルギー、ドイツと様々な国の若手選手たちが所属し、ベルギーのチームハウスで共同生活を送っている。
橋川監督は「経験の浅い選手にこの1年で結果を求めることはない」と言う。まずはプロのレースで戦える選手を育てていくことが、このチームの目標であり、5年以内というスパンでここから一人でも多くの選手がプロコンチネンタルチーム以上のチームで活躍するプロ選手になってほしいと話す。
所属する日本人3選手は、2013、2014年のU23全日本チャンピオンの徳田鍛造、2月に開催されたU23アジア選手権で優勝した小石祐馬、そして2014年のインカレチャンピオンの徳田優という顔ぶれで、国内のトップレベルにいる若手選手たちだ。
しかし、3選手それぞれに、これまでの経験は異なる。小石はチームユーラシアで2012年から2シーズン、ベルギーを拠点とし、昨年はヴィーニファンティーニ・NIPPOでイタリアと拠点として活動したが、最年少の徳田優は鹿屋体育大学在学中で、ヨーロッパでのレース経験は、昨年は日本ナショナルチームのメンバーとして、いくつかのレースを走ったのみ。「同じ若手とはいえ、3選手のスタートラインは違う。けれども、それぞれに成長を感じさせてほしい」と橋川監督。
チームに唯一所属する地元ベルギーのトム・ホーバルツは、プロレースでも優勝経験のある中堅(26歳)選手。しかし、彼以外は全員“若手外国人選手”という括りで、日本人選手も他の選手もイコールとなる。ここからプロをめざす厳しい競争世界において、橋川監督は「日本人選手もここで生活していく上で、蚊帳の外であってはいけない。同世代の身近なライバルがいることで、あいつらには負けない!という強い気持ちをもち、しっかりと自分たちで食らいつき、勝負していってほしい」と期待する。そして橋川監督も「日本人選手にとって、このチームに所属する最大のメリットは自分がいつも側にいられるということ。プロ選手として自立し、自分を必要としなくなってくれるまで、彼らをしっかりとサポートしていきたい」と話す。
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今後、チームは北ヨーロッパを中心に毎月8レースほど走る予定となっている。またU23カテゴリーの小石と徳田優は日本ナショナルチームのU23ネイションズカップなどの遠征にも加わり、小石は「U23世界選手権をシーズン終盤の大きな目標とし、エリートカテゴリーに繋がる結果を残したい」と抱負を語る。
CCT p/b チャンピオンシステム 所属選手
ダリウス・ジェルブス(リトアニア)
ドゥニ・フラオ(フランス)※FLAHAUT Denis
モルテン・ガッドガード(デンマーク)
トム・ホーバルツ(ベルギー)
ジョシュア・ハガーティ(ニュージーランド)
小石 祐馬
ジェームス・スプラッグ(ドイツ)
徳田 優
徳田 鍛造
マイケル・ビンク(ニュージーランド)
サッシャ・ウェバー(ドイツ)
ライアン・ウィルス(ニュージーランド)
マシュー・ゼノヴィッチ(ニュージーランド)
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