2009/09/08(火) - 01:05
誰もが決まると思った中盤の12人の逃げ。4分差までつけたがラスト2周で吸収、ゴールスプリントを制し、実業団最高峰大会を制したのはマリウス・ヴィズィアック(TEAM NIPPO-COLNAGO)だった。これでチームは3連勝。
9月6日(日)、朝から快晴の兵庫県立播磨中央公園。実業団ロードレースのチャンピオンを決める最高峰の大会は7.8kmのコースを25周する195kmで行われた。コースは常に緩いながらもアップダウンがありゴール前はカーブも多くジェットコースターのよう。標高差も合計では2500m以上に達しハードなコースだ。スタートは朝の8時。弱冠、風は涼しさを感じるが日差しは強い。ゴールする午後にかけて気温が上がることが予想される。
1周目からアタックがかかる。二戸康寛(なるしまフレンドレーシングチーム八王子)の単独アタックに後続から数人が追いつき、3周目で5人の先頭集団ができる。澤田賢匠(マトリックスパワータグ・コラテック)、中山卓士(UTSUNOMIYA BLITZEN)、山下貴宏(TEAM NIPPO-COLNAGO)、米山一輝(パールイズミ・スミタ・ラバネロ)に二戸のメンバーだ。メイン集団は1分の差でそのほとんどを阿部良之(シマノレーシング)が引いてコントロール。
6周目で先頭から中山が機材故障で下がると、メイン集団は廣瀬佳正(UTSUNOMIYA BLITZEN)も先頭を引く。メイン集団との差は30秒から1分の間で中盤へ。
14周目、逃げとメインとの差は30秒になり、直線では見える位置関係に。先頭の4人の疲労が大きくペースを下げている。そして15周目、ついに110kmにわたる4人の逃げは吸収される。
この15周目、阿部嵩之(シマノレーシング)がカウンターアタック、嶌田義明(チームブリヂストン・アンカー)も追いつく。さらに飯島誠(チームブリヂストン・アンカー) らも仕掛け9人が先行気味になるが再び一つになったときに、再度阿部がアタック、これに10人ほどが続く。
さらに4人が追いつき結局16周目には12人の逃げ集団ができる。2周20分以上の激しいアタックの掛け合いがようやく収束する。阿部、狩野智也、鈴木真理、鈴木譲(以上シマノレーシング)、松村光浩(愛三工業レーシングチーム)、飯島、澤田、小坂光(UTSUNOMIYA BLITZEN)、廣瀬敏(TEAM NIPPO-COLNAGO)、平塚吉光(パールイズミ・スミタ・ラバネロ)、永良大誠(グランデパール播磨Hyogo)、中村誠(ダイハツ・ボンシャンス飯田)の12人だ。シマノが4人そろえて飯島も入っており、強力なメンバーだ。メイン集団に最大で4分の決定的な差をつける。
そして18周目、上り区間で狩野がペースを上げると付いてきたのは中村、松村。そして後方から鈴木真理が単独で合流して4人の先頭集団に。ここでもシマノ2人と圧倒する。中村は新チームで初のレース。元々この位置を走れる選手だ。
もう、この4人で決まりと思われた。そして21周目、その先頭から松村が下がって3人に。後方では澤田、平塚、鈴木譲が第2集団で追走する。しかしその後ろの集団もペースを上げて追走する。飯島が逃げから下がってメイン集団へ戻ってから、その飯島が中心のBSアンカーがペースを作る。ニッポ、ブリッツェンさらにマッサも入る。
先頭の3人の中では鈴木が圧倒している。上り区間では速過ぎて狩野と中村が遅れがちになる。鈴木はその2人を待ち、ふたたび3人でゴールを目指す。
そしてラスト2周へ。BSアンカーとニッポが引くメイン集団が迫り狩野と中村を吸収、鈴木も吸収してラスト14kmでレースは振り出しに戻る。ここで飯野嘉則(シマノレーシング)がアタック、それを吸収後、今度は小嶋洋介(Team DARK BLUE)がアタック。
小嶋単独でラスト1周へ。その小嶋も半周ほど逃げて吸収。ここからシマノ、BSアンカー、マトリックス、ニッポらが主導権争いをするが決定的な逃げは出ない。そしてゴール。ヴィズィアックが先行のまま優勝。2位には先ほどまで逃げていた鈴木真理が、そして3位には辻善光(マトリックスパワータグ・コラテック)が入った。
優勝したヴィズィアックは、「チームとしてみんながやるべきことをやれたのが良かった」と語る。熊野のプロローグに続いて今季国内2勝目だ。そしてチームはJサイクルツアー3連勝と波に乗る。
2位の鈴木真理は「逃げが決まるかどうかは微妙だった。逃げることも考えたが、体へのダメージを考えて集団に戻ってからスプリントした。マリウスは強かったです」と語る。個人ではこの鈴木真理の力が抜きん出ていた。終盤の3人の逃げ、一人になってもそのままゴールを目指していればあるいは、と思わせるほどだった。
3位の辻は「澤田が2回の逃げに乗ってくれたので良かった。北海道は相性がいいのでステージを狙いたいです」と語る。逃げた澤田は「今までずっと決定的な逃げに入れてませんでした。今日は完走できなかったけれど一定の仕事はできたのかなと思います。このレースが今年一番走れました。北海道ではチームの結果に結び付けたい」と語る。
中盤にできた12人の逃げは、誰もがこれで決まりと思った。150キロほどのレースならばそのまま鈴木真理が優勝していた。しかしBSアンカーのチーム力がその流れを変えた。200キロレースの意外とも思える結末だったが、それはシマノとBSアンカーの戦いでもあった。そしてニッポの少数ながらも強力な走り。ニッポはこれでJサイクルツアー3連勝だ。
選手たちの多くは中2日で始まるツール・ド・北海道に出場する。このため参加を取りやめたり力を多少セーブしたチームや選手もあった。その中で、北海道で絶対の責任を背負っているニッポが、北海道合宿からこの兵庫でのレースのために直前に戻って優勝、そして北海道へ再び出発した。レース日程の厳しさを思うと同時に、ニッポの凄さも知らしめる事となった。
結果
TRクラス
1位 マリウス・ヴィズィアック(TEAM NIPPO-COLNAGO)5時間07分34秒
2位 鈴木真理(シマノレーシング)
3位 辻善光(マトリックスパワータグ・コラテック)
4位 野寺秀徳(シマノレーシング)
5位 大塚潤(TEAM YOU CAN八王子)
6位 山本雅道(チームブリヂストン・アンカー)
7位 清水良行(UTSUNOMIYA BLITZEN)
8位 畑中勇介(シマノレーシング)
9位 栂尾大知(パールイズミ・スミタ・ラバネロ)+01秒
10位 日置大介(MASSA-FOCUS-OUTDOORPRODUCTS)
11位 鎌田圭介(パールイズミ・スミタ・ラバネロ)
12位 大塚航(Team DARK BLUE)
13位 菅洋介(GRUPPO ACQUA TAMA)
14位 阿部良之(シマノレーシング)+03秒
15位 佐野淳哉(TEAM NIPPO-COLNAGO)+04秒
16位 向川尚樹(マトリックスパワータグ・コラテック)+05秒
17位 中村誠(ダイハツ・ボンシャンス飯田)+08秒
18位 狩野智也(シマノレーシング)+10秒
19位 普久原奨(チームブリヂストン・アンカー)+15秒
20位 松木健治(クラブ シルベストTR)+26秒
団対戦成績
1位 シマノレーシング
2位 TEAM NIPPO-COLNAGO
3位 マトリックスパワータグ・コラテック
Jサイクルツアーリーダー 鈴木真理(シマノレーシング)
西日本学生選手権
1位 木守望(京都産業大学)1時間39分47秒
2位 伊勢洋人(大阪産業大学)
3位 福田高志(大阪経済大学)
4位 廣浦典也(京都産業大学)
5位 奥村将徳(京都大学)+01秒
6位 山森雅也(京都産業大学)
7位 森井庸介(同志社大学)
8位 湊淳二(京都産業大学)
photo&text:高木秀彰
9月6日(日)、朝から快晴の兵庫県立播磨中央公園。実業団ロードレースのチャンピオンを決める最高峰の大会は7.8kmのコースを25周する195kmで行われた。コースは常に緩いながらもアップダウンがありゴール前はカーブも多くジェットコースターのよう。標高差も合計では2500m以上に達しハードなコースだ。スタートは朝の8時。弱冠、風は涼しさを感じるが日差しは強い。ゴールする午後にかけて気温が上がることが予想される。
1周目からアタックがかかる。二戸康寛(なるしまフレンドレーシングチーム八王子)の単独アタックに後続から数人が追いつき、3周目で5人の先頭集団ができる。澤田賢匠(マトリックスパワータグ・コラテック)、中山卓士(UTSUNOMIYA BLITZEN)、山下貴宏(TEAM NIPPO-COLNAGO)、米山一輝(パールイズミ・スミタ・ラバネロ)に二戸のメンバーだ。メイン集団は1分の差でそのほとんどを阿部良之(シマノレーシング)が引いてコントロール。
6周目で先頭から中山が機材故障で下がると、メイン集団は廣瀬佳正(UTSUNOMIYA BLITZEN)も先頭を引く。メイン集団との差は30秒から1分の間で中盤へ。
14周目、逃げとメインとの差は30秒になり、直線では見える位置関係に。先頭の4人の疲労が大きくペースを下げている。そして15周目、ついに110kmにわたる4人の逃げは吸収される。
この15周目、阿部嵩之(シマノレーシング)がカウンターアタック、嶌田義明(チームブリヂストン・アンカー)も追いつく。さらに飯島誠(チームブリヂストン・アンカー) らも仕掛け9人が先行気味になるが再び一つになったときに、再度阿部がアタック、これに10人ほどが続く。
さらに4人が追いつき結局16周目には12人の逃げ集団ができる。2周20分以上の激しいアタックの掛け合いがようやく収束する。阿部、狩野智也、鈴木真理、鈴木譲(以上シマノレーシング)、松村光浩(愛三工業レーシングチーム)、飯島、澤田、小坂光(UTSUNOMIYA BLITZEN)、廣瀬敏(TEAM NIPPO-COLNAGO)、平塚吉光(パールイズミ・スミタ・ラバネロ)、永良大誠(グランデパール播磨Hyogo)、中村誠(ダイハツ・ボンシャンス飯田)の12人だ。シマノが4人そろえて飯島も入っており、強力なメンバーだ。メイン集団に最大で4分の決定的な差をつける。
そして18周目、上り区間で狩野がペースを上げると付いてきたのは中村、松村。そして後方から鈴木真理が単独で合流して4人の先頭集団に。ここでもシマノ2人と圧倒する。中村は新チームで初のレース。元々この位置を走れる選手だ。
もう、この4人で決まりと思われた。そして21周目、その先頭から松村が下がって3人に。後方では澤田、平塚、鈴木譲が第2集団で追走する。しかしその後ろの集団もペースを上げて追走する。飯島が逃げから下がってメイン集団へ戻ってから、その飯島が中心のBSアンカーがペースを作る。ニッポ、ブリッツェンさらにマッサも入る。
先頭の3人の中では鈴木が圧倒している。上り区間では速過ぎて狩野と中村が遅れがちになる。鈴木はその2人を待ち、ふたたび3人でゴールを目指す。
そしてラスト2周へ。BSアンカーとニッポが引くメイン集団が迫り狩野と中村を吸収、鈴木も吸収してラスト14kmでレースは振り出しに戻る。ここで飯野嘉則(シマノレーシング)がアタック、それを吸収後、今度は小嶋洋介(Team DARK BLUE)がアタック。
小嶋単独でラスト1周へ。その小嶋も半周ほど逃げて吸収。ここからシマノ、BSアンカー、マトリックス、ニッポらが主導権争いをするが決定的な逃げは出ない。そしてゴール。ヴィズィアックが先行のまま優勝。2位には先ほどまで逃げていた鈴木真理が、そして3位には辻善光(マトリックスパワータグ・コラテック)が入った。
優勝したヴィズィアックは、「チームとしてみんながやるべきことをやれたのが良かった」と語る。熊野のプロローグに続いて今季国内2勝目だ。そしてチームはJサイクルツアー3連勝と波に乗る。
2位の鈴木真理は「逃げが決まるかどうかは微妙だった。逃げることも考えたが、体へのダメージを考えて集団に戻ってからスプリントした。マリウスは強かったです」と語る。個人ではこの鈴木真理の力が抜きん出ていた。終盤の3人の逃げ、一人になってもそのままゴールを目指していればあるいは、と思わせるほどだった。
3位の辻は「澤田が2回の逃げに乗ってくれたので良かった。北海道は相性がいいのでステージを狙いたいです」と語る。逃げた澤田は「今までずっと決定的な逃げに入れてませんでした。今日は完走できなかったけれど一定の仕事はできたのかなと思います。このレースが今年一番走れました。北海道ではチームの結果に結び付けたい」と語る。
中盤にできた12人の逃げは、誰もがこれで決まりと思った。150キロほどのレースならばそのまま鈴木真理が優勝していた。しかしBSアンカーのチーム力がその流れを変えた。200キロレースの意外とも思える結末だったが、それはシマノとBSアンカーの戦いでもあった。そしてニッポの少数ながらも強力な走り。ニッポはこれでJサイクルツアー3連勝だ。
選手たちの多くは中2日で始まるツール・ド・北海道に出場する。このため参加を取りやめたり力を多少セーブしたチームや選手もあった。その中で、北海道で絶対の責任を背負っているニッポが、北海道合宿からこの兵庫でのレースのために直前に戻って優勝、そして北海道へ再び出発した。レース日程の厳しさを思うと同時に、ニッポの凄さも知らしめる事となった。
結果
TRクラス
1位 マリウス・ヴィズィアック(TEAM NIPPO-COLNAGO)5時間07分34秒
2位 鈴木真理(シマノレーシング)
3位 辻善光(マトリックスパワータグ・コラテック)
4位 野寺秀徳(シマノレーシング)
5位 大塚潤(TEAM YOU CAN八王子)
6位 山本雅道(チームブリヂストン・アンカー)
7位 清水良行(UTSUNOMIYA BLITZEN)
8位 畑中勇介(シマノレーシング)
9位 栂尾大知(パールイズミ・スミタ・ラバネロ)+01秒
10位 日置大介(MASSA-FOCUS-OUTDOORPRODUCTS)
11位 鎌田圭介(パールイズミ・スミタ・ラバネロ)
12位 大塚航(Team DARK BLUE)
13位 菅洋介(GRUPPO ACQUA TAMA)
14位 阿部良之(シマノレーシング)+03秒
15位 佐野淳哉(TEAM NIPPO-COLNAGO)+04秒
16位 向川尚樹(マトリックスパワータグ・コラテック)+05秒
17位 中村誠(ダイハツ・ボンシャンス飯田)+08秒
18位 狩野智也(シマノレーシング)+10秒
19位 普久原奨(チームブリヂストン・アンカー)+15秒
20位 松木健治(クラブ シルベストTR)+26秒
団対戦成績
1位 シマノレーシング
2位 TEAM NIPPO-COLNAGO
3位 マトリックスパワータグ・コラテック
Jサイクルツアーリーダー 鈴木真理(シマノレーシング)
西日本学生選手権
1位 木守望(京都産業大学)1時間39分47秒
2位 伊勢洋人(大阪産業大学)
3位 福田高志(大阪経済大学)
4位 廣浦典也(京都産業大学)
5位 奥村将徳(京都大学)+01秒
6位 山森雅也(京都産業大学)
7位 森井庸介(同志社大学)
8位 湊淳二(京都産業大学)
photo&text:高木秀彰
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