2009/08/31(月) - 18:25
ゴール前のカーブに先頭で現れたのは、それまで後方にいた高橋将輝(日本大学)。高橋が優勝と思ったそのとき、左からスカイブルーのジャージが抜け出す。ついに西薗良太(東京大学)がインカレロードを制した。女子は明珍裕子(朝日大学)が新女王となった。
インカレ第4日最終日の男女ロードレースが8月30日(日)、修善寺の日本CSC5kmサーキットで行われた。全ての学連選手と大学が目標にするインカレ。ロードレースは最終日を飾る華だ。男子は28周する140kmで、女子は12周の60kmでレースが行われた。スタートとフィニッシュは秀峰亭前で、コースは反時計回りの上りゴールの設定。スタート時点ではやや涼しいながらも青空が見えている。男子が8時にスタート、女子は1分後に時差スタート。
女子は早々に明珍裕子(朝日大学)と木村亜美(鹿屋体育大学)が抜け出し先頭で周回する。ラスト1周に入る心臓破りの坂を明珍がアウターギアでアタック。木村との差を広げ、そのまま1周を独走して優勝。学生ロードの新女王が誕生した。
男子は3周目までは散発的なアタックがかかるが決まらない。4周目に入ってすぐ、内間康平(鹿屋体育大学)がアタック。これをきっかけに先頭集団ができる。内間、湯浅徹(明治大学)、安達康将(日本大学)の3人に中根英登(中京大学)、窪木一茂(日本大学)、若生大貴(法政大学)、東大地(東京大学)、勝谷勝治(中央大学)、與儀良平(大阪産業大学)の6人が追いついた9人だ。
メイン集団はこの9人の先頭グループから10周目で最大3分差まで広がる。ローテーションをまわして逃げ続けるが、日大の2名はそれに加わらない。このころには小雨が降ってくる。気温はあまり上がっていない。
優勝候補のひとり、伊藤雅和(鹿屋体育大学)はメイン集団の最後尾。メイン集団のペースが上がり、14周目には30秒差にまで縮まり吸収かと思われたが再び差は広がる。
19周目、メイン集団のペースが上がり逃げとの差が詰まった時点で木守望(京都産業大学)と佐々木龍(早稲田大学)がアタック、この2人は20周目に先頭に合流して逃げは11人に。ここで内間がすかさずペースアップ、先頭の11人はバラバラに。そして再びできた先頭グループは、内間、木守、佐々木、窪木、與儀の5人だ。與儀が健闘している。
21周目を過ぎてメイン集団も活性化、特に上りで西薗がペースを上げる。そのためメイン集団は25人ほどになる。22周目、先頭では内間がペースアップ、そのスピードについていけたのは木守だけ。先頭は内間と木守の2名になる。その2人を追うメイン集団では上りで特にペースが上がる。青柳憲輝(法政大学)、早川朋宏(法政大学)、西薗良太(東京大学)らがその主役だ。
25周目、ペースの上がったメイン集団は、ついに逃げていた内間と木守を捕らえて3周を残してレースは振り出しに。間髪いれず早川、青柳、西薗が猛烈にペースを上げて集団をバラバラにする。そして西薗と青柳に早川、高橋将輝(日本大学)、野中竜馬(鹿屋体育大学)、福田高志(大阪経済大学)が追いつき、先頭は6人に。この中から優勝者が出る、最後に出来上がった先頭集団だ。
ゴールまで2周半の12km。先頭の6人の戦いが始まった。上りで西薗、青柳、早川がペースを上げる。野中、福田も先頭を引くが高橋は後方待機のまま。メイン集団から抜け出した越海誠一(日本大学)を待つためか。しかしその差は2分、この逃げはゴールまで確実に届く決定的なものだ。
ラスト2周でそれまで切れ掛かっていた野中がアタック。昨年のインカレの再現かと思わせたがほどなく吸収。上りでは変わらず西薗、青柳、早川がペースを上げるため、その野中と福田は遅れ気味に。
そしてファイナルラップ。西薗、青柳、早川、高橋の4人が先行する。上りでペースが上がるもばらけず、ラスト1km、最後の上りまでこの4人で入る。ゴール前に最初に現れたのは高橋。ここまで脚を貯めてきて爆発させる。しかしその横を西薗がゴールラインまでの距離を読んで約20m手前でこれをかわして先着。早川は3位でゴールした。
優勝した西薗はこれで全日本学生個人TTと合わせて学生ロード2冠を達成。ついに頂点に立った。8月の中旬まで、福島で公民館に泊まりながら、このレースとそしてこのゴールを想定した合宿をしてきたと言う。直後の大町美麻ロードでは疲れが残っていたが総合2位に。そして大町美麻ロードと同じく、西薗だけでなくチームメイトが重要な仕事をこなしてのこの成績、王者に相応しいものだ。
法政大学も、特に青柳の強力な走りは西薗とともに今回のレースを作った主役だ。早川の3位も同様に価値あるものだ。いっぽうの日本大学だが、前日までのトラックレースにおいては王者たる結果だったが、このロードレースにおいてはそれとは反対の走りに終始した。選手個人の気持ちは別のものがあったに違いない。鹿屋は野中が一矢を報いたが、110km以上を逃げ続け終盤に至るまで圧巻の走りだった内間は、その疲労が想像以上に大きく、伊藤は体調不良で本来の力を出すことができなかった。彼らの次のレースはツール・ド・北海道。ここでも積極的な走りを見たいところだ。
結果
男子
1位 西薗良太(東京大学)4時間18分50秒
2位 高橋将輝(日本大学)
3位 早川朋宏(法政大学)+01秒
4位 青柳憲輝(法政大学)+10秒
5位 野中竜馬(鹿屋体育大学)+24秒
6位 福田高志(大阪経済大学)+39秒
7位 越海誠一(日本大学)+2分17秒
8位 高宮正嗣(鹿屋体育大学)+2分55秒
女子
1位 明珍裕子(朝日大学)
2位 木村亜美(鹿屋体育大学)
3位 田中舞(立教大学)
photo&text:高木秀彰
インカレ第4日最終日の男女ロードレースが8月30日(日)、修善寺の日本CSC5kmサーキットで行われた。全ての学連選手と大学が目標にするインカレ。ロードレースは最終日を飾る華だ。男子は28周する140kmで、女子は12周の60kmでレースが行われた。スタートとフィニッシュは秀峰亭前で、コースは反時計回りの上りゴールの設定。スタート時点ではやや涼しいながらも青空が見えている。男子が8時にスタート、女子は1分後に時差スタート。
女子は早々に明珍裕子(朝日大学)と木村亜美(鹿屋体育大学)が抜け出し先頭で周回する。ラスト1周に入る心臓破りの坂を明珍がアウターギアでアタック。木村との差を広げ、そのまま1周を独走して優勝。学生ロードの新女王が誕生した。
男子は3周目までは散発的なアタックがかかるが決まらない。4周目に入ってすぐ、内間康平(鹿屋体育大学)がアタック。これをきっかけに先頭集団ができる。内間、湯浅徹(明治大学)、安達康将(日本大学)の3人に中根英登(中京大学)、窪木一茂(日本大学)、若生大貴(法政大学)、東大地(東京大学)、勝谷勝治(中央大学)、與儀良平(大阪産業大学)の6人が追いついた9人だ。
メイン集団はこの9人の先頭グループから10周目で最大3分差まで広がる。ローテーションをまわして逃げ続けるが、日大の2名はそれに加わらない。このころには小雨が降ってくる。気温はあまり上がっていない。
優勝候補のひとり、伊藤雅和(鹿屋体育大学)はメイン集団の最後尾。メイン集団のペースが上がり、14周目には30秒差にまで縮まり吸収かと思われたが再び差は広がる。
19周目、メイン集団のペースが上がり逃げとの差が詰まった時点で木守望(京都産業大学)と佐々木龍(早稲田大学)がアタック、この2人は20周目に先頭に合流して逃げは11人に。ここで内間がすかさずペースアップ、先頭の11人はバラバラに。そして再びできた先頭グループは、内間、木守、佐々木、窪木、與儀の5人だ。與儀が健闘している。
21周目を過ぎてメイン集団も活性化、特に上りで西薗がペースを上げる。そのためメイン集団は25人ほどになる。22周目、先頭では内間がペースアップ、そのスピードについていけたのは木守だけ。先頭は内間と木守の2名になる。その2人を追うメイン集団では上りで特にペースが上がる。青柳憲輝(法政大学)、早川朋宏(法政大学)、西薗良太(東京大学)らがその主役だ。
25周目、ペースの上がったメイン集団は、ついに逃げていた内間と木守を捕らえて3周を残してレースは振り出しに。間髪いれず早川、青柳、西薗が猛烈にペースを上げて集団をバラバラにする。そして西薗と青柳に早川、高橋将輝(日本大学)、野中竜馬(鹿屋体育大学)、福田高志(大阪経済大学)が追いつき、先頭は6人に。この中から優勝者が出る、最後に出来上がった先頭集団だ。
ゴールまで2周半の12km。先頭の6人の戦いが始まった。上りで西薗、青柳、早川がペースを上げる。野中、福田も先頭を引くが高橋は後方待機のまま。メイン集団から抜け出した越海誠一(日本大学)を待つためか。しかしその差は2分、この逃げはゴールまで確実に届く決定的なものだ。
ラスト2周でそれまで切れ掛かっていた野中がアタック。昨年のインカレの再現かと思わせたがほどなく吸収。上りでは変わらず西薗、青柳、早川がペースを上げるため、その野中と福田は遅れ気味に。
そしてファイナルラップ。西薗、青柳、早川、高橋の4人が先行する。上りでペースが上がるもばらけず、ラスト1km、最後の上りまでこの4人で入る。ゴール前に最初に現れたのは高橋。ここまで脚を貯めてきて爆発させる。しかしその横を西薗がゴールラインまでの距離を読んで約20m手前でこれをかわして先着。早川は3位でゴールした。
優勝した西薗はこれで全日本学生個人TTと合わせて学生ロード2冠を達成。ついに頂点に立った。8月の中旬まで、福島で公民館に泊まりながら、このレースとそしてこのゴールを想定した合宿をしてきたと言う。直後の大町美麻ロードでは疲れが残っていたが総合2位に。そして大町美麻ロードと同じく、西薗だけでなくチームメイトが重要な仕事をこなしてのこの成績、王者に相応しいものだ。
法政大学も、特に青柳の強力な走りは西薗とともに今回のレースを作った主役だ。早川の3位も同様に価値あるものだ。いっぽうの日本大学だが、前日までのトラックレースにおいては王者たる結果だったが、このロードレースにおいてはそれとは反対の走りに終始した。選手個人の気持ちは別のものがあったに違いない。鹿屋は野中が一矢を報いたが、110km以上を逃げ続け終盤に至るまで圧巻の走りだった内間は、その疲労が想像以上に大きく、伊藤は体調不良で本来の力を出すことができなかった。彼らの次のレースはツール・ド・北海道。ここでも積極的な走りを見たいところだ。
結果
男子
1位 西薗良太(東京大学)4時間18分50秒
2位 高橋将輝(日本大学)
3位 早川朋宏(法政大学)+01秒
4位 青柳憲輝(法政大学)+10秒
5位 野中竜馬(鹿屋体育大学)+24秒
6位 福田高志(大阪経済大学)+39秒
7位 越海誠一(日本大学)+2分17秒
8位 高宮正嗣(鹿屋体育大学)+2分55秒
女子
1位 明珍裕子(朝日大学)
2位 木村亜美(鹿屋体育大学)
3位 田中舞(立教大学)
photo&text:高木秀彰
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