2009/09/19(土) - 00:13
フォーカスが得た長年のノウハウに基づく最適なアルミチュービングを用いることで、高い反応性とコストパフォーマンスを持つに至ったエントリー・ロードバイクがバリアードだ。
バリアードの堅牢なアルミフレームとオリジナルカーボンフォークとのコンビネーションは、高い完成度への到達をなし、幅広いユーザー層に訴えかけるパフォーマンスを誇っている。
それに加えて、トップライダーから得た経験を、フィードバックしたフレームジオメトリーは、上位モデル譲りのバランスと優秀なハンドリングを発揮する。熟成されたアルミがもたらす、軽量で扱いやすいキャラクターは、入門者から中級者まで幅広いユーザーに勧めることができるだろう。
また、高級塗装として知られるパウダーコートによる美しい仕上がりも、バリアードの魅力の一つ。見た目も走りも手を抜かない、ある意味もっともドイツ製ならではの生真面目さを感じさせてくれるモデルこそが、このバリアードなのかもしれない。
― インプレッション
「上位モデルから受け継がれた素性の良さを感じる」 三船雅彦
上位機種とは違い、アルミ製のバリアードは、乗り味こそ異なるが、走りはまさしくフォーカスのそれだった。
もちろん入門機種であるので、イザルコと同等のパフォーマンスを有しているとは言えないが、フォーカスのバイク作りに共通のエッセンスは、完璧なまでに投影されており、入門バイクだからといってナメると痛い目に遭うこと請け合いだ。
いかにもアルミらしいダイレクトな踏み味は、バイクを速やかに加速させ、その後の伸びにも文句はない。反応性も優秀なので、いったん速度を落とした後でも、加速させることは容易い。
下りなど、比較的高荷重なシチュエーションでは、さすがに車体の硬さが出るが、アルミバイクでよく嫌われるカンカン跳ねるほどの過剛性ではないし、むしろ、そこから得られるロードインフォメーションの豊富さを評価するべきだ。
レースバイクとしてはコストの問題上、アッセンブルパーツその他に贅沢ができず、その影響が少なからず顕在化しているが、これは先のカイヨ同様、いくばくかのグレードアップで解決できる類のことだ。たとえばホイールを上位モデルに変えただけでも、バリアードの潜在能力は一気に表出することだろう。
低予算でフォーカスユーザーになれるということも、購入する際の大きな魅力と言えるだろう。もちろん、もう一クラス上の価格帯のバイクにも匹敵する性能も、高く評価したい部分だ。
「アルミの良さを再認識。エントリーライダーにオススメ」桜沢淳樹
エントリーユーザー向けのバリアードは、昨今の流行に従ってアルミ製だ。かつて一世を風靡したレースバイク用素材も、今ではコストパフォーマーの身分。人心のなんと移ろいやすいことか。
とはいえ、最新流行のカーボン製ではなくても、バリアードの走りはなかなか優秀だ。
これぞアルミの武器とばかりに、ロスが少ないダイレクトなフィーリングは、レース(スポーツ)バイクのなんたるかを知るには、まさに適材・面目躍如。自転車という乗り物の速さを、乗り手に実感させてくれる。
フレームの堅牢さはハンドリングにも好影響で、バイクの素行に曖昧さはない。ただし、ショック吸収性はやや苦手だから、悪路、特にスピードの乗る場面では要注意、調子に乗るとギャップで跳ねる傾向がある。
ロスがないから、ペダリングに慣れてない人でも高い加速感を味わえるのも魅力だ。そのぶんダイレクト感の代償と言うべきか、踏み込んでいくと、フレームからの反力を感じる。
だが、仮にもこうしたバイクに乗るのなら、そうしたネガ面を知ることも、決して無駄にはならないはずだ。レースバイクの基本的なフィールを知る事は、その後のバイク選びに際し、必ず役に立ってくれるだろう。
原則的にエントリーモデルに過度な期待をかけるのは、お門違いというものなのだが、バリアードは例外。基本に忠実すぎるバイクで、確かに面白みには欠けるが、こういったバイクこそエントリーライダーの最初の一台として真面目に勧めることができる。
フォーカス VARIADO EXPERT TIAGRA
カラー ブラック×ホワイト
サイズ 50,52,54
フレーム アルミニウムライトレーシング
フォーク レースカーボン×アルミニウムステアー
BBセット シマノ ティアグラ
ギアクランク シマノ ティアグラ
ブレーキ シマノ ティアグラ
フロントディレーラー シマノ ティアグラ
リアディレーラー シマノ ティアグラ
シフター/ブレーキレバー シマノ ティアグラ
スプロケット シマノ ティアグラ
ヘッドセット INTEGRAL
ハンドルバー D-FITS
ステム D-FITS
サドル SELLE ITALIA FKT
シートポスト D-FITS
ホイール WH-R500
タイヤ VITTORIA ZAFFIRO
ペダル ─
価格
税込価格 ¥161,700
フレーム
FOCUS VARIADO EXPERT FRAMESET(FRAME, FORK, HEAD SET, SEAT CLAMP)
税込価格 ¥93,450
三船雅彦(みふねまさひこ)
9シーズンをプロとして走り(プロチームとの契約年数は8年)プロで700レース以上、プロアマ通算1,000レース以上を経験した、日本屈指の元プロサイクルロードレーサー。入賞回数は実に200レースほどにのぼる。2003年より国内のチームに移籍し活動中。国内の主要レースを中心に各地を転戦。レース以外の活動も精力的に行い、2003年度よりJスポーツのサイクルロードレースではゲスト解説を。特にベルギーでのレースにおいては、10年間在住していた地理感などを生かした解説に定評がある。2005年より若手育成のためにチームマサヒコミフネドットコムを立ち上げ、チームのオーナーとしてチーム運営も行っている。
過去数多くのバイクに乗り、実戦で闘ってきたばかりでなく、タイヤや各種スポーツバイクエキップメントの開発アドバイザーを担う。その評価の目は厳しく、辛辣だ。選手活動からは2009年を持って引退したが、今シーズンからはスポーツバイク普及のためのさまざまな活動を始めている。ホビー大会のゲスト参加やセミナー開催にも意欲的だ。
マサヒコ・ミフネ・ドットコム
桜沢淳樹(さくらざわ・あつき)
本職はフリーのフランス語通訳で、文学書などの翻訳・監修をつとめる。専門誌等のバイクインプレッション記事の編集&ライダ(タ)ー経験が豊富。ツール・ド・フランスの文化や機材に精通しており、ツール現地帯同取材も数度経験。ホビーサイクリストとしても(レースには一切出ないが)トップアマチュアレベルの脚力をもつ。スポーツバイクのコレクターおよびマニアで、2009年には自分でカーボンパイプとエポキシ樹脂を用いてカーボンフレームを自作してしまった。
text:桜沢淳樹
edit&photo:綾野 真
バリアードの堅牢なアルミフレームとオリジナルカーボンフォークとのコンビネーションは、高い完成度への到達をなし、幅広いユーザー層に訴えかけるパフォーマンスを誇っている。
それに加えて、トップライダーから得た経験を、フィードバックしたフレームジオメトリーは、上位モデル譲りのバランスと優秀なハンドリングを発揮する。熟成されたアルミがもたらす、軽量で扱いやすいキャラクターは、入門者から中級者まで幅広いユーザーに勧めることができるだろう。
また、高級塗装として知られるパウダーコートによる美しい仕上がりも、バリアードの魅力の一つ。見た目も走りも手を抜かない、ある意味もっともドイツ製ならではの生真面目さを感じさせてくれるモデルこそが、このバリアードなのかもしれない。
― インプレッション
「上位モデルから受け継がれた素性の良さを感じる」 三船雅彦
上位機種とは違い、アルミ製のバリアードは、乗り味こそ異なるが、走りはまさしくフォーカスのそれだった。
もちろん入門機種であるので、イザルコと同等のパフォーマンスを有しているとは言えないが、フォーカスのバイク作りに共通のエッセンスは、完璧なまでに投影されており、入門バイクだからといってナメると痛い目に遭うこと請け合いだ。
いかにもアルミらしいダイレクトな踏み味は、バイクを速やかに加速させ、その後の伸びにも文句はない。反応性も優秀なので、いったん速度を落とした後でも、加速させることは容易い。
下りなど、比較的高荷重なシチュエーションでは、さすがに車体の硬さが出るが、アルミバイクでよく嫌われるカンカン跳ねるほどの過剛性ではないし、むしろ、そこから得られるロードインフォメーションの豊富さを評価するべきだ。
レースバイクとしてはコストの問題上、アッセンブルパーツその他に贅沢ができず、その影響が少なからず顕在化しているが、これは先のカイヨ同様、いくばくかのグレードアップで解決できる類のことだ。たとえばホイールを上位モデルに変えただけでも、バリアードの潜在能力は一気に表出することだろう。
低予算でフォーカスユーザーになれるということも、購入する際の大きな魅力と言えるだろう。もちろん、もう一クラス上の価格帯のバイクにも匹敵する性能も、高く評価したい部分だ。
「アルミの良さを再認識。エントリーライダーにオススメ」桜沢淳樹
エントリーユーザー向けのバリアードは、昨今の流行に従ってアルミ製だ。かつて一世を風靡したレースバイク用素材も、今ではコストパフォーマーの身分。人心のなんと移ろいやすいことか。
とはいえ、最新流行のカーボン製ではなくても、バリアードの走りはなかなか優秀だ。
これぞアルミの武器とばかりに、ロスが少ないダイレクトなフィーリングは、レース(スポーツ)バイクのなんたるかを知るには、まさに適材・面目躍如。自転車という乗り物の速さを、乗り手に実感させてくれる。
フレームの堅牢さはハンドリングにも好影響で、バイクの素行に曖昧さはない。ただし、ショック吸収性はやや苦手だから、悪路、特にスピードの乗る場面では要注意、調子に乗るとギャップで跳ねる傾向がある。
ロスがないから、ペダリングに慣れてない人でも高い加速感を味わえるのも魅力だ。そのぶんダイレクト感の代償と言うべきか、踏み込んでいくと、フレームからの反力を感じる。
だが、仮にもこうしたバイクに乗るのなら、そうしたネガ面を知ることも、決して無駄にはならないはずだ。レースバイクの基本的なフィールを知る事は、その後のバイク選びに際し、必ず役に立ってくれるだろう。
原則的にエントリーモデルに過度な期待をかけるのは、お門違いというものなのだが、バリアードは例外。基本に忠実すぎるバイクで、確かに面白みには欠けるが、こういったバイクこそエントリーライダーの最初の一台として真面目に勧めることができる。
フォーカス VARIADO EXPERT TIAGRA
カラー ブラック×ホワイト
サイズ 50,52,54
フレーム アルミニウムライトレーシング
フォーク レースカーボン×アルミニウムステアー
BBセット シマノ ティアグラ
ギアクランク シマノ ティアグラ
ブレーキ シマノ ティアグラ
フロントディレーラー シマノ ティアグラ
リアディレーラー シマノ ティアグラ
シフター/ブレーキレバー シマノ ティアグラ
スプロケット シマノ ティアグラ
ヘッドセット INTEGRAL
ハンドルバー D-FITS
ステム D-FITS
サドル SELLE ITALIA FKT
シートポスト D-FITS
ホイール WH-R500
タイヤ VITTORIA ZAFFIRO
ペダル ─
価格
税込価格 ¥161,700
フレーム
FOCUS VARIADO EXPERT FRAMESET(FRAME, FORK, HEAD SET, SEAT CLAMP)
税込価格 ¥93,450
― インプレライダーのプロフィール
三船雅彦(みふねまさひこ)
9シーズンをプロとして走り(プロチームとの契約年数は8年)プロで700レース以上、プロアマ通算1,000レース以上を経験した、日本屈指の元プロサイクルロードレーサー。入賞回数は実に200レースほどにのぼる。2003年より国内のチームに移籍し活動中。国内の主要レースを中心に各地を転戦。レース以外の活動も精力的に行い、2003年度よりJスポーツのサイクルロードレースではゲスト解説を。特にベルギーでのレースにおいては、10年間在住していた地理感などを生かした解説に定評がある。2005年より若手育成のためにチームマサヒコミフネドットコムを立ち上げ、チームのオーナーとしてチーム運営も行っている。
過去数多くのバイクに乗り、実戦で闘ってきたばかりでなく、タイヤや各種スポーツバイクエキップメントの開発アドバイザーを担う。その評価の目は厳しく、辛辣だ。選手活動からは2009年を持って引退したが、今シーズンからはスポーツバイク普及のためのさまざまな活動を始めている。ホビー大会のゲスト参加やセミナー開催にも意欲的だ。
マサヒコ・ミフネ・ドットコム
桜沢淳樹(さくらざわ・あつき)
本職はフリーのフランス語通訳で、文学書などの翻訳・監修をつとめる。専門誌等のバイクインプレッション記事の編集&ライダ(タ)ー経験が豊富。ツール・ド・フランスの文化や機材に精通しており、ツール現地帯同取材も数度経験。ホビーサイクリストとしても(レースには一切出ないが)トップアマチュアレベルの脚力をもつ。スポーツバイクのコレクターおよびマニアで、2009年には自分でカーボンパイプとエポキシ樹脂を用いてカーボンフレームを自作してしまった。
text:桜沢淳樹
edit&photo:綾野 真
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