大会連覇が懸かったゼネク・スティバル(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)が大クラッシュでレースを去る中、大集団スプリントで先頭に立ったナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)がエネコ・ツアー第4ステージの勝者に輝いた。



北海を離れてベルギーの内陸部を目指す北海を離れてベルギーの内陸部を目指す photo:Tim de Waele


逃げるケニース・ファンビルセン(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)とフレデリック・フェヘレン(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)逃げるケニース・ファンビルセン(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)とフレデリック・フェヘレン(ベルギー、ワンティ・グループグベルト) photo:Tim de Waele北海沿岸のコクサイデからベルギーの内陸部に向かうエネコ・ツアー第4ステージ。いわゆるフランドル地方を貫くルートだが、フィニッシュ地点アルドーイェに至る183.3kmコースに"フランドルらしい"坂は設定されていない。

フランドル地方の平野部を行くプロトンフランドル地方の平野部を行くプロトン photo:Tim de Waeleスプリンターにとって実質最後のチャンスとなるこの平坦ステージで、序盤のアタック合戦から抜け出したケニース・ファンビルセン(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)とフレデリック・フェヘレン(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)の2人がエスケープを試みた。

イーペルの街を抜けるイーペルの街を抜ける photo:Tim de Waeleしかしスプリンターチームによる集団コントロールによってタイム差は4分で頭打ち。やがてファンビルセンが脱落し、フェヘレンが単独で先頭を逃げ続けることとなる。平坦コースでの独走は分が悪く、アルドーイェの周回コース突入後にフェヘレンは吸収された。

ストレッチャーで救急車に乗せられるゼネク・スティバル(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)ストレッチャーで救急車に乗せられるゼネク・スティバル(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Tim de Waeleフィニッシュラインまで23kmを残した時点での逃げ吸収はメイン集団を活性化させる。カウンターアタックで飛び出したダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)が独走を開始したものの、スプリンターチームによって残り6kmで吸収。最終的に100名弱の集団によるゴールスプリントに持ち込まれた。

スプリントを制したナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)スプリントを制したナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr) photo:Tim de Waele前日の個人タイムトライアルで2位に入ったファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)が強力なリードアウトを見せ、アルドーイェのフィニッシュに高速でなだれ込むプロトン。すると残り300mを切ったところでレイナード・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、ジャイアント・シマノ)が落車した。

コース中央で落車したヤンセファンレンズバーグを避けるように集団が広がり、倒れ込む選手と宙を舞うバイクによって落車が連鎖。ディフェンディングチャンピオンで第2ステージの覇者であるゼネク・スティバル(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)らが地面に叩き付けられた。

どのチームも主導権を奪えないまま先頭ではスプリントが始まり、ルーカ・メスゲツ(スロベニア、ジャイアント・シマノ)やジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)を下したブアニが勝利。ジロ・デ・イタリアでステージ3勝&ポイント賞に輝き、来季コフィディスへの移籍を決めているフレンチスプリンターがシーズン8勝目を飾った。

「ジロからここまで4日間しかレースを走っていなかったので復帰戦のようなもの」と語るブアニはブエルタ・ア・エスパーニャに出場予定。残り200mからのスプリントの伸びを見る限り、ジロに続いてブエルタでもポイント賞に絡む走りが期待出来そうだ。

リーダージャージはラース・ボーム(オランダ、ベルキン)がキープし、総合2位以下とのタイム差も変わらず。ポイント賞ジャージはアンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)の手に渡っている。

落車したスティバルは自力でフィニッシュ出来ずに救急車で病院に搬送された。チームの発表によると、骨折や脳への影響は無し。上唇と下唇に深い切り傷を負い、歯も欠けたと言う。経過観察のためにスティバルは病院で一夜を過ごした。

選手コメントはレキップ紙より。






エネコ・ツアー2014第4ステージ
1位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)
2位 ルーカ・メスゲツ(スロベニア、ジャイアント・シマノ)
3位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)
4位 ミカエル・ファンスタイエン(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)
5位 イェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・ベリソル)
6位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)
7位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・シャープ)
8位 ヨアン・ジェーヌ(フランス、ユーロップカー)
9位 ロイ・ヤンス(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)
10位 ニコライ・トルソーフ(ロシア、ティンコフ・サクソ)
4h13'59"










個人総合成績
1位 ラース・ボーム(オランダ、ベルキン)
2位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・シマノ)
3位 マヌエル・クインツィアート(イタリア、BMCレーシング)
4位 アンドレー・グリブコ(ウクライナ、アスタナ)
5位 ゼネク・スティバル(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)
6位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
7位 セプ・ファンマルク(ベルギー、ベルキン)
8位 ニキ・テルプストラ(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ)
9位 クリスティアン・コレン(スロベニア、キャノンデール)
10位 イェンス・ケウケレール(ベルギー、オリカ・グリーンエッジ)
12h45'53"
+04"

+07"
+09"
+14"
+17"
+18"
+19"
+21"


ポイント賞
アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)

スプリント賞
ケニース・ファンビルセン(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)

チーム総合成績
BMCレーシング

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele

最新ニュース(全ジャンル)