アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン)がブエルタ・ア・エスパーニャに帰ってくる! 8月24日、カザフスタンのアスタナチームがプレスリリースを出し、かつての主将ヴィノクロフと契約を締結したことを発表した。契約は2010年まで。古巣での復帰第一戦は、8月29日に開幕するブエルタだ。

2006年にアスタナのリーダーとしてブエルタを制したアレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン)2006年にアスタナのリーダーとしてブエルタを制したアレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン) photo:Cor Vos1998年のプロデビュー以降、アジア人として史上最高の成績を残してきたヴィノクロフ。ツールではステージ通算3勝&総合3位(2003年)、ブエルタではステージ4勝&総合優勝(2006年)、パリ〜ニース総合優勝(2002年と2003年)、ドーフィネ・リベレ総合優勝(1999年)、ツール・ド・スイス総合優勝(2003年)、ドイツ・ツアー総合優勝(2001年)、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ優勝(2005年)、アムステル・ゴールドレース優勝(2003年)など、ビッグレースでの活躍は枚挙にいとまがない。

2006年にはスペインで勃発したドーピングスキャンダルによって、所属するリバティーセグロスのスポンサーが撤退し、ツール出場に赤信号が点滅。しかし祖国カザフスタン政府&企業のバックアップを受け、後継チームとしてアスタナチームの設立に尽力した。本来アスタナはヴィノクロフによるヴィノクロフのためのチームなのだ。

同年チームリーダーとしてブエルタで総合優勝を果たしたが、翌2007年のツール期間中に自身の血液ドーピングが発覚。2年間の出場停止処分を受けた当時33歳のヴィノクロフは現役引退を発表し、9年間の現役生活に終止符を打った。

しかしヴィノクロフのロードレースに対する情熱は消えていなかった。前言を撤回して現役復帰を決めたヴィノクロフは、2009年7月24日の出場停止期間終了とともにカザフスタンナショナルチームのメンバーとしてツール・ド・ランに出場。タイムトライアルでステージ優勝を飾り、華々しく復活を宣言した。インドネシアで開催されたアジア選手権ではタイムトライアルで優勝し、ロードレースで2位に入っている。

そしてブエルタ開幕が5日後に迫った8月24日、アスタナチームはヴィノクロフと2010年まで契約を結んだことを明らかにした。同時にチームはブエルタのメンバー9名を発表し、2006年のブエルタ覇者ヴィノクロフのメンバー入りが決定。ヴィノクロフが単独エースとして2度目のブエルタ総合優勝を狙って走ることになるだろう。

2007年ツールでステージ2勝。しかしこの翌日ドーピングが発覚し、レース撤退&優勝取り消し2007年ツールでステージ2勝。しかしこの翌日ドーピングが発覚し、レース撤退&優勝取り消し photo:Cor Vosしかし気になるのが、来季アスタナチームにおけるエースの座の行方だ。すでにランス・アームストロング(アメリカ)はチーム離脱が決まっているが、ツールを制したアルベルト・コンタドール(スペイン)の行く先が確定していない。

コンタドール側はより良い環境を求めてチーム離脱を明らかにしていたが、それに反論するカタチで、チーム側は契約が2010年まで残っているとしてコンタドールの残留を主張。チームは来季もコンタドールに単独エースの座を約束しているが、仮にブエルタでヴィノクロフが電撃的な活躍を見せた場合、コンタドールの立場が揺らぎかねない。とにかくブエルタでのヴィノクロフの走りには注目だ。


アスタナのブエルタメンバー
アッサン・バザイエフ(カザフスタン)
マキシム・イグリンスキー(カザフスタン)
ヘスス・エルナンデス(スペイン)
クリストファー・ホーナー(アメリカ)
ダニエル・ナバーロ(スペイン)
ホセルイス・ルビエラ(スペイン)
ミヒャエル・シェアー(スイス)
アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン)
アイマル・スベルディア(スペイン)

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos