2014/07/27(日) - 04:43
開幕から3週間が経ってもなお世界TTチャンピオンの力は飛び抜けていた。総合争いを決定づけるツール・ド・フランス第20ステージでトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)が優勝。ステージ4位のヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)が総合優勝を決めた。
2014年、ツール主催者ASOが設定したタイムトライアルはたった一つだけ。これは1950年代から数えて初めてのことだ。標高100m〜200mの丘を登っては下る起伏に富んだ54kmコースが用意された。
中国人選手としてツールに初出場したジ・チェン(ジャイアント・シマノ)を皮切りに、完走間近の164名の選手たちが間隔を空けてスタートしていく。総合63位の新城幸也(ユーロップカー)はトップから7分54秒差のステージ109位で54kmを走り終え、自身最高位となる総合65位で最終日パリに凱旋することとなった。
元チェコTTチャンピオンのヤン・バルタ(チェコ、ネットアップ・エンデューラ)が1時間09分の壁を初めて打ち破る1時間08分08秒のトップタイムをマークしたが、世界TTチャンピオンのマルティンがさらにその上を行く。全ての中間計測ポイントでトップタイムを連発したマルティンは、全走者を次々にパスしてフィニッシュ。1時間06分21秒という圧倒的なタイムを叩き出した。平均スピードは48.8km/h。
新世代のTTスペシャリストとして注目のトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・シマノ)も1分39秒届かず、その後の総合上位陣の力をもってしてもマルティンのトップタイムは破れない。「3週目に入ってもパワーは落ちていなかった」というマルティンが、第9ステージに続く今大会2勝目を達成。ツール通算ステージ4勝目を飾った。
「誰もが勝利を期待しているという大きなプレッシャーを感じていたものの、プレッシャーとどう向き合えば良いか心得ている。コースをチェックした時に『行ける』と思った。カヴェンディッシュの落車リタイアでチームは打ち拉がれたけど、チームとしてモチベーションを取り戻して、終わってみれば素晴らしい結果を残すことが出来た」と、世界TTチャンピオンは語っている。
総合上位陣の中で飛び抜けていたのは最終走者のヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)だった。自身初のツール総合優勝を決定づけるために、この日もニーバリはライバルたちを一蹴。ステージ4位に入る走りで、実質的に総合優勝を決めた。
混戦の2位争いの中から抜け出したのはジャンクリストフ・ペロー(フランス、AG2Rラモンディアール)。後輪のパンクに見舞われながらもペローはステージ7位に入り、マイヨブランを着て走ったティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)を抜いて総合2位に浮上した。
逆転を狙ったスペインTTチャンピオンのアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)だったが、ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)よりも遅いステージ28位に終わる。ペローが総合2位に浮上し、ピノが総合表彰台をキープする結果となった。
「最高の満足感を得ている。フルームとコンタドールのリタイア以降、総合2位のチャンスを夢見ていた。その目標を達成出来たことに大満足だ」とペローは語る。フランス人選手2名が表彰台に上がるのは過去30年間で初めて(1984年以来)。
また、ステージ5位のレオポルド・ケーニッヒ(チェコ、ネットアップ・エンドゥーラ)とステージ6位のティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)がそれぞれ総合7位と総合5位に順位を上げている。バウク・モレマ(オランダ、ベルキン)は失速しながらも総合トップ10の座を辛うじて守った。
選手コメントはレース公式サイトより。
ツール・ド・フランス2014第20ステージ結果
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
マイヨヴェール(ポイント賞)
マイヨアポワ(山岳賞)
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
チーム総合成績
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele, Makoto Ayano
2014年、ツール主催者ASOが設定したタイムトライアルはたった一つだけ。これは1950年代から数えて初めてのことだ。標高100m〜200mの丘を登っては下る起伏に富んだ54kmコースが用意された。
中国人選手としてツールに初出場したジ・チェン(ジャイアント・シマノ)を皮切りに、完走間近の164名の選手たちが間隔を空けてスタートしていく。総合63位の新城幸也(ユーロップカー)はトップから7分54秒差のステージ109位で54kmを走り終え、自身最高位となる総合65位で最終日パリに凱旋することとなった。
元チェコTTチャンピオンのヤン・バルタ(チェコ、ネットアップ・エンデューラ)が1時間09分の壁を初めて打ち破る1時間08分08秒のトップタイムをマークしたが、世界TTチャンピオンのマルティンがさらにその上を行く。全ての中間計測ポイントでトップタイムを連発したマルティンは、全走者を次々にパスしてフィニッシュ。1時間06分21秒という圧倒的なタイムを叩き出した。平均スピードは48.8km/h。
新世代のTTスペシャリストとして注目のトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・シマノ)も1分39秒届かず、その後の総合上位陣の力をもってしてもマルティンのトップタイムは破れない。「3週目に入ってもパワーは落ちていなかった」というマルティンが、第9ステージに続く今大会2勝目を達成。ツール通算ステージ4勝目を飾った。
「誰もが勝利を期待しているという大きなプレッシャーを感じていたものの、プレッシャーとどう向き合えば良いか心得ている。コースをチェックした時に『行ける』と思った。カヴェンディッシュの落車リタイアでチームは打ち拉がれたけど、チームとしてモチベーションを取り戻して、終わってみれば素晴らしい結果を残すことが出来た」と、世界TTチャンピオンは語っている。
総合上位陣の中で飛び抜けていたのは最終走者のヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)だった。自身初のツール総合優勝を決定づけるために、この日もニーバリはライバルたちを一蹴。ステージ4位に入る走りで、実質的に総合優勝を決めた。
混戦の2位争いの中から抜け出したのはジャンクリストフ・ペロー(フランス、AG2Rラモンディアール)。後輪のパンクに見舞われながらもペローはステージ7位に入り、マイヨブランを着て走ったティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)を抜いて総合2位に浮上した。
逆転を狙ったスペインTTチャンピオンのアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)だったが、ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)よりも遅いステージ28位に終わる。ペローが総合2位に浮上し、ピノが総合表彰台をキープする結果となった。
「最高の満足感を得ている。フルームとコンタドールのリタイア以降、総合2位のチャンスを夢見ていた。その目標を達成出来たことに大満足だ」とペローは語る。フランス人選手2名が表彰台に上がるのは過去30年間で初めて(1984年以来)。
また、ステージ5位のレオポルド・ケーニッヒ(チェコ、ネットアップ・エンドゥーラ)とステージ6位のティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)がそれぞれ総合7位と総合5位に順位を上げている。バウク・モレマ(オランダ、ベルキン)は失速しながらも総合トップ10の座を辛うじて守った。
選手コメントはレース公式サイトより。
第1計測ポイント(19.0km)
1位 マルティン 23'33"
2位 ドゥムラン +15"
3位 バルタ +26"
4位 クヴィアトコウスキー +27"
5位 シャヴァネル +38"
6位 ペロー +40"
7位 ヴァンガーデレン +45"
8位 ケーニッヒ +50"
9位 ニーバリ +53"
10位 イリサール +56"
1位 マルティン 23'33"
2位 ドゥムラン +15"
3位 バルタ +26"
4位 クヴィアトコウスキー +27"
5位 シャヴァネル +38"
6位 ペロー +40"
7位 ヴァンガーデレン +45"
8位 ケーニッヒ +50"
9位 ニーバリ +53"
10位 イリサール +56"
第2計測ポイント(39.0km)
1位 マルティン 48'03"
2位 ドゥムラン +59"
3位 ケーニッヒ +1'17"
4位 ニーバリ +1'22"
5位 ヴァンガーデレン +1'24"
6位 バルタ +1'28"
7位 シャヴァネル +1'40"
8位 ペロー +1'52"
9位 イリサール +1'54"
10位 ボドナール +2'03"
1位 マルティン 48'03"
2位 ドゥムラン +59"
3位 ケーニッヒ +1'17"
4位 ニーバリ +1'22"
5位 ヴァンガーデレン +1'24"
6位 バルタ +1'28"
7位 シャヴァネル +1'40"
8位 ペロー +1'52"
9位 イリサール +1'54"
10位 ボドナール +2'03"
ツール・ド・フランス2014第20ステージ結果
1位 トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)
2位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・シマノ)
3位 ヤン・バルタ(チェコ、ネットアップ・エンデューラ)
4位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
5位 レオポルド・ケーニッヒ(チェコ、ネットアップ・エンドゥーラ)
6位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
7位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、AG2Rラモンディアール)
8位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、IAMサイクリング)
9位 マルケル・イリサール(スペイン、トレックファクトリーレーシング)
10位 ダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)
12位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)
21位 アイマル・スベルディア(スペイン、トレックファクトリーレーシング)
26位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
28位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
55位 ローレンス・テンダム(オランダ、ベルキン)
140位 バウク・モレマ(オランダ、ベルキン)
2位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・シマノ)
3位 ヤン・バルタ(チェコ、ネットアップ・エンデューラ)
4位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
5位 レオポルド・ケーニッヒ(チェコ、ネットアップ・エンドゥーラ)
6位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
7位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、AG2Rラモンディアール)
8位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、IAMサイクリング)
9位 マルケル・イリサール(スペイン、トレックファクトリーレーシング)
10位 ダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)
12位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)
21位 アイマル・スベルディア(スペイン、トレックファクトリーレーシング)
26位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
28位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
55位 ローレンス・テンダム(オランダ、ベルキン)
140位 バウク・モレマ(オランダ、ベルキン)
1h06'21"
+1'39"
+1'47"
+1'58"
+2'02"
+2'08"
+2'27"
+2'36"
+2'39"
+2'58"
+3'12"
+3'45"
+4'17"
+4'28"
+6'03"
+9'26"
+1'39"
+1'47"
+1'58"
+2'02"
+2'08"
+2'27"
+2'36"
+2'39"
+2'58"
+3'12"
+3'45"
+4'17"
+4'28"
+6'03"
+9'26"
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
2位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、AG2Rラモンディアール)
3位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)
4位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
5位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
6位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
7位 レオポルド・ケーニッヒ(チェコ、ネットアップ・エンドゥーラ)
8位 アイマル・スベルディア(スペイン、トレックファクトリーレーシング)
9位 ローレンス・テンダム(オランダ、ベルキン)
10位 バウク・モレマ(オランダ、ベルキン)
2位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、AG2Rラモンディアール)
3位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)
4位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
5位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
6位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
7位 レオポルド・ケーニッヒ(チェコ、ネットアップ・エンドゥーラ)
8位 アイマル・スベルディア(スペイン、トレックファクトリーレーシング)
9位 ローレンス・テンダム(オランダ、ベルキン)
10位 バウク・モレマ(オランダ、ベルキン)
86h37'52"
+7'52"
+8'24"
+9'55"
+11'44"
+11'46"
+14'41"
+18'12"
+18'20"
+21'24"
+7'52"
+8'24"
+9'55"
+11'44"
+11'46"
+14'41"
+18'12"
+18'20"
+21'24"
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)
2位 ブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)
3位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
2位 ブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)
3位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
417pts
253pts
247pts
253pts
247pts
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
2位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
3位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
2位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
3位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
181pts
168pts
112pts
168pts
112pts
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)
2位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
3位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
2位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
3位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
86h46'16"
+3'22"
+1h12'25"
+3'22"
+1h12'25"
チーム総合成績
1位 AG2Rラモンディアール
2位 ベルキン
3位 モビスター
2位 ベルキン
3位 モビスター
260h24'10"
+34'44"
+1h05'44"
+34'44"
+1h05'44"
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele, Makoto Ayano
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