2014/07/14(月) - 10:46
2人のトニー(マルティンとギャロパン)が活躍したツール・ド・フランス第9ステージ。総合も大きく動いたヴォージュ山塊2日目を終えた選手たちのコメントをピックアップ。
独走逃げ切り勝利を飾ったトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)
タイムトライアルでの勝利も良いけど、こんな勝ち方も悪くない。スペシャルだ。勝利が判明するまでに長い時間待ち続けるタイムトライアルと違って、今回は勝利の喜びを味わいながらフィニッシュすることが出来たよ。これまでのツールでも大逃げで勝利を狙ってきたけど、2009年のモンヴァントゥーでの2位が最高位だった。
3分差がついた時点で、レースは自分の手の内にあると思っていた。今年のツールには個人TTが1つしか設定されていないので、2つ目の個人TTを独自に設定してみたんだ。今日は絶好の逃げ切り日和だった。アレッサンドロ・デマルキと2人で先行した時、山岳ポイントは全て取っていいと彼に告げた。でも30秒後方に28人の追走グループが迫っていたので、その先にどんな展開が待っているか何て気にせずに彼を置いて全開で逃げることに決めたんだ。
全長50〜60kmのタイムトライアルは自分にとって問題にならない。パワーが落ちることもなかった。もちろん独走は厳しいけど、コンディションは最高だったし、追い込み過ぎない安全な出力で走り続けた。自分が成し遂げたことを誇りに思う。
ドイツ国境が近かったので、沢山のドイツ語の声援を受けることが出来た。沢山の名前が叫ばれた。素晴らしき一日になった。ここまでの9ステージ中、ドイツ人選手が5ステージで勝っている。それに、まだ2週間が残っているので、ドイツ自転車界にとってより良い結果がもたらされることを願っている。初日にカヴェンディッシュを失ってしまったチームにとっても良い結果。モラルを失うことなく闘い続けているし、チームの強さを改めて見せつけることが出来たと思う。
ステージ2位のファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)
スタート直後からクレイジーなスピードだった。何とか集団からジャンプして追走グループに入ったものの、周りを見渡して驚いたよ。一緒に逃げたのが細くて小さいクライマーばっかりだったから。登りでは苦しみ続けたし、最後の登りでは脱落してしまった。でも全力で追い上げて追走グループに再合流。その中でステージ2位という結果は悪くないと思う。先頭で逃げ続けたトニー(マルティン)の走りはファンタスティックだった。同時にトニー(ギャロパン)のマイヨジョーヌ獲得を嬉しく思う。
マイヨジョーヌを獲得したトニー・ギャロパン(フランス、ロット・ベリソル)
やり切った!パヴェのステージからマイヨジョーヌ獲得のシナリオを描いていたものの、やっぱり言葉では言い表せない気持ちだ。子どもの頃、レースで集団から脱落してばかりだったので、マイヨジョーヌを獲得出来るなんて思っていなかった。今日はチャンスがあると思ったので、何としても逃げに乗りたかった。全てのアタックに反応して飛びついた。序盤の40kmにわたってずっとアタックが続いて、何とか逃げに乗ることが出来たんだ。
逃げに乗ってからは、メイン集団とのタイム差を広げることに躍起だった。フィニッシュするまでマイヨジョーヌ獲得の確証は持てなかった。フランス革命記念日(7月14日)にマイヨジョーヌを着て走るなんて信じられない気持ち。鳥肌ものだ。でも総合リードを守るためには少し厳しいステージだ。明日は総合有力選手たちにとって最初の山場であり、総合リードは1分半しかない。出来る限りのことはしてみるつもり。一日でマイヨジョーヌを明け渡すのは御免だ。
ギャロパンの伯父でトレックファクトリーレーシングの監督を務めるアラン・ギャロパン
ファビアン・カンチェラーラはステージ2位だ。だから通常なら君(インタビュアー)がここに来るのはおかしい。でも今は正直言って感情が高ぶっている。フランス人選手がマイヨジョーヌを着るのは稀であり、しかもギャロパン一家の一員が着ているなんて信じられないほど素晴らしい。過去50年間、ギャロパン一家は様々なフランスレースで活躍してきた。そしてついにマイヨジョーヌを手にした。トニーは私の手を離れてロットで走っているが、必要な場合は今でもアドバイスしている。ジュニア時代から彼の面倒を見ており、2006年の世界選手権やヨーロッパ選手権で3つのメダルを獲得。それからと言うものずっと私を信頼してくれているんだ。1992年に(当時マッサージを担当していた)ローラン・フィニョンが勝ったミュルーズでの出来事ということもスペシャルだ。
総合8位にジャンプアップしたピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)
厳しい1週目が終わりつつある。昨日、レース後のユーロップカーのチームバスは沈んでいた。だから起死回生のチャレンジをすることに決めたんだ。チームとしてやる気に満ちていたし、実際にメンバー5人で逃げたときは信じられない気持ちだった。ステージ優勝に届かないと判断してからは、トニー・ギャロパンらと話して総合ジャンプアップを目指して走ることにした。愛国心をもって、自分たちのどちらかがマイヨジョーヌを取ろうと逃げ続けた。かと言って明日も同じように攻めの走りが出来るとは思わない。ジロの時のような好調さではないんだ。
山岳賞に向けてポイントを稼いだホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
今はまだコンディションを探りながら一歩ずつ進んでいる状態。今日は自分の現状を理解するために山岳ステージで逃げに乗ってみた。前でレースを展開して、アクティブに動いたことは良かった。山岳ポイントを稼いだけど、今の時点では山岳賞を狙えるかどうかは分からない。コンディションを上げることが最優先だから。
チームメイトの走りを讃えるマイヨブランのミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)
トニーの勝利に大きな喜びを感じている。昨日はトニーにとても助けられたんだ。登りで千切れたときも彼がずっと励ましてくれた。昨日僕のために多くのエネルギーを使ったはずなのに、今日のような勝利を成し遂げてみせた。アメイジングだ。こんなことが出来るのはトニー・マルティンだけ。明日はラプランシェ・デ・ベルフィーユの山頂フィニッシュ。先月コースを試走したので登りのことはよく分かっている。総合上位を目指して闘いたい。(ヤングライダー賞のライバル)ロメン・バルデがモチベーション高く攻撃を仕掛けてくると思うけど、このマイヨブランを守り抜きたい。
ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)
今日のコースはタフだった。逃げに乗ろうと序盤からアタックしたものの、少し仕掛けるのが早すぎたようだ。タイミングを間違ってしまった。序盤のアタック合戦で消耗してしまったので、もう先頭を追う力が残っていなかった。
アスタナのアレクサンドル・ヴィノクロフGM
ギャロパンが逃げに入っていたが、チームの力を最大限使ってまでマイヨジョーヌをキープしようとは思わなかった。ギャロパンのマイヨジョーヌはフランスへのプレゼントになったはず。一番重要なのは、明日のステージに向けて力をセーブすることだった。明日は再びヴィンチェンツォとアルベルトの対決になるだろう。
アスタナのジュゼッペ・マルティネッリ監督
マイヨジョーヌを失ったわけじゃない。手放したんだ。明日に向けて力を浪費したくなかったので良い結果だと思っている。明日の第10ステージは前半戦の山場だ。コンタドールに対して2分半のリードを得ているのは理想的な展開だ。
text:Kei Tsuji
独走逃げ切り勝利を飾ったトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)
タイムトライアルでの勝利も良いけど、こんな勝ち方も悪くない。スペシャルだ。勝利が判明するまでに長い時間待ち続けるタイムトライアルと違って、今回は勝利の喜びを味わいながらフィニッシュすることが出来たよ。これまでのツールでも大逃げで勝利を狙ってきたけど、2009年のモンヴァントゥーでの2位が最高位だった。
3分差がついた時点で、レースは自分の手の内にあると思っていた。今年のツールには個人TTが1つしか設定されていないので、2つ目の個人TTを独自に設定してみたんだ。今日は絶好の逃げ切り日和だった。アレッサンドロ・デマルキと2人で先行した時、山岳ポイントは全て取っていいと彼に告げた。でも30秒後方に28人の追走グループが迫っていたので、その先にどんな展開が待っているか何て気にせずに彼を置いて全開で逃げることに決めたんだ。
全長50〜60kmのタイムトライアルは自分にとって問題にならない。パワーが落ちることもなかった。もちろん独走は厳しいけど、コンディションは最高だったし、追い込み過ぎない安全な出力で走り続けた。自分が成し遂げたことを誇りに思う。
ドイツ国境が近かったので、沢山のドイツ語の声援を受けることが出来た。沢山の名前が叫ばれた。素晴らしき一日になった。ここまでの9ステージ中、ドイツ人選手が5ステージで勝っている。それに、まだ2週間が残っているので、ドイツ自転車界にとってより良い結果がもたらされることを願っている。初日にカヴェンディッシュを失ってしまったチームにとっても良い結果。モラルを失うことなく闘い続けているし、チームの強さを改めて見せつけることが出来たと思う。
ステージ2位のファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)
スタート直後からクレイジーなスピードだった。何とか集団からジャンプして追走グループに入ったものの、周りを見渡して驚いたよ。一緒に逃げたのが細くて小さいクライマーばっかりだったから。登りでは苦しみ続けたし、最後の登りでは脱落してしまった。でも全力で追い上げて追走グループに再合流。その中でステージ2位という結果は悪くないと思う。先頭で逃げ続けたトニー(マルティン)の走りはファンタスティックだった。同時にトニー(ギャロパン)のマイヨジョーヌ獲得を嬉しく思う。
マイヨジョーヌを獲得したトニー・ギャロパン(フランス、ロット・ベリソル)
やり切った!パヴェのステージからマイヨジョーヌ獲得のシナリオを描いていたものの、やっぱり言葉では言い表せない気持ちだ。子どもの頃、レースで集団から脱落してばかりだったので、マイヨジョーヌを獲得出来るなんて思っていなかった。今日はチャンスがあると思ったので、何としても逃げに乗りたかった。全てのアタックに反応して飛びついた。序盤の40kmにわたってずっとアタックが続いて、何とか逃げに乗ることが出来たんだ。
逃げに乗ってからは、メイン集団とのタイム差を広げることに躍起だった。フィニッシュするまでマイヨジョーヌ獲得の確証は持てなかった。フランス革命記念日(7月14日)にマイヨジョーヌを着て走るなんて信じられない気持ち。鳥肌ものだ。でも総合リードを守るためには少し厳しいステージだ。明日は総合有力選手たちにとって最初の山場であり、総合リードは1分半しかない。出来る限りのことはしてみるつもり。一日でマイヨジョーヌを明け渡すのは御免だ。
ギャロパンの伯父でトレックファクトリーレーシングの監督を務めるアラン・ギャロパン
ファビアン・カンチェラーラはステージ2位だ。だから通常なら君(インタビュアー)がここに来るのはおかしい。でも今は正直言って感情が高ぶっている。フランス人選手がマイヨジョーヌを着るのは稀であり、しかもギャロパン一家の一員が着ているなんて信じられないほど素晴らしい。過去50年間、ギャロパン一家は様々なフランスレースで活躍してきた。そしてついにマイヨジョーヌを手にした。トニーは私の手を離れてロットで走っているが、必要な場合は今でもアドバイスしている。ジュニア時代から彼の面倒を見ており、2006年の世界選手権やヨーロッパ選手権で3つのメダルを獲得。それからと言うものずっと私を信頼してくれているんだ。1992年に(当時マッサージを担当していた)ローラン・フィニョンが勝ったミュルーズでの出来事ということもスペシャルだ。
総合8位にジャンプアップしたピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)
厳しい1週目が終わりつつある。昨日、レース後のユーロップカーのチームバスは沈んでいた。だから起死回生のチャレンジをすることに決めたんだ。チームとしてやる気に満ちていたし、実際にメンバー5人で逃げたときは信じられない気持ちだった。ステージ優勝に届かないと判断してからは、トニー・ギャロパンらと話して総合ジャンプアップを目指して走ることにした。愛国心をもって、自分たちのどちらかがマイヨジョーヌを取ろうと逃げ続けた。かと言って明日も同じように攻めの走りが出来るとは思わない。ジロの時のような好調さではないんだ。
山岳賞に向けてポイントを稼いだホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
今はまだコンディションを探りながら一歩ずつ進んでいる状態。今日は自分の現状を理解するために山岳ステージで逃げに乗ってみた。前でレースを展開して、アクティブに動いたことは良かった。山岳ポイントを稼いだけど、今の時点では山岳賞を狙えるかどうかは分からない。コンディションを上げることが最優先だから。
チームメイトの走りを讃えるマイヨブランのミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)
トニーの勝利に大きな喜びを感じている。昨日はトニーにとても助けられたんだ。登りで千切れたときも彼がずっと励ましてくれた。昨日僕のために多くのエネルギーを使ったはずなのに、今日のような勝利を成し遂げてみせた。アメイジングだ。こんなことが出来るのはトニー・マルティンだけ。明日はラプランシェ・デ・ベルフィーユの山頂フィニッシュ。先月コースを試走したので登りのことはよく分かっている。総合上位を目指して闘いたい。(ヤングライダー賞のライバル)ロメン・バルデがモチベーション高く攻撃を仕掛けてくると思うけど、このマイヨブランを守り抜きたい。
ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)
今日のコースはタフだった。逃げに乗ろうと序盤からアタックしたものの、少し仕掛けるのが早すぎたようだ。タイミングを間違ってしまった。序盤のアタック合戦で消耗してしまったので、もう先頭を追う力が残っていなかった。
アスタナのアレクサンドル・ヴィノクロフGM
ギャロパンが逃げに入っていたが、チームの力を最大限使ってまでマイヨジョーヌをキープしようとは思わなかった。ギャロパンのマイヨジョーヌはフランスへのプレゼントになったはず。一番重要なのは、明日のステージに向けて力をセーブすることだった。明日は再びヴィンチェンツォとアルベルトの対決になるだろう。
アスタナのジュゼッペ・マルティネッリ監督
マイヨジョーヌを失ったわけじゃない。手放したんだ。明日に向けて力を浪費したくなかったので良い結果だと思っている。明日の第10ステージは前半戦の山場だ。コンタドールに対して2分半のリードを得ているのは理想的な展開だ。
text:Kei Tsuji
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