2014/07/11(金) - 09:50
ツール・ド・フランスはグランデパールから6日目。今大会4度目の集団スプリントはこれまで活躍できずにいたアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)が待望の勝利。横風や落車によってナーバスになった一日を締めくくった。
総合優勝筆頭候補クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)のリタイアという波乱のパヴェステージから一夜。第6ステージの舞台となったのは、フランス北東部のシャンパーニュ=アルデンヌ地域圏。アラスから南下しランスへと至る194kmには、107km地点と157km地点に4級山岳が用意されるが難易度は高くない。
明日の第7ステージから翌週水曜日の第12ステージまでアタッカーやクライマー/総合陣に有利なステージが続くため、貴重なチャンスを逃すまいと序盤からスプリンターチームが徹底的なレースメイクを行った。
また、今年2014年は第一次世界大戦から100年目の節目の年であり、ルート中にはいくつもの激戦地を通過。スタート前にはセレモニーが行われ、出征し戦火の犠牲となった1909年の総合優勝者フランソワ・ファベールらを追悼した。ちなみにオメガファーマ・クイックステップは「#wedonotforget」として、袖口にWW1のロゴをあしらった特別ジャージを今ツールで着用している。
重い空模様の下、プロトンはアラスの街をスタートし、およそ5kmをパレードラン。するとリアルスタート直後にあっさりと逃げが決まり、地元が近いアルノー・ジェラール(フランス、ブルターニュ・セシェ)や第4ステージでも逃げたルイスアンヘル・マテマルドネス(スペイン、コフィディス)、トム・リーザー(オランダ、ベルキン)、ジェローム・ピノー(フランス、IAMサイクリング)という逃げスペシャリスト4名が先を急いだ。
4名を見送った集団はペースを落とし、14km地点でのタイム差は4分15秒。"breakaway killer"とニックネームのついたジ・チェン(中国)を筆頭とするジャイアント・シマノがキッテルのためのペースコントロールを始め、その後方にはマイヨジョーヌのヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)擁するアスタナが続いた。
快調なペースを刻む先頭4名は集団とのタイム差をおよそ3分半ほどで推移させていく。レース最初の1時間の平均速度は47.6km/hだ。
107.5km地点の4級山岳コート・ド・クシィはマテマルドネスが、119km地点のスプリントポイントはリーザーが争わずして先頭通過。続くメイン集団ではポイント賞トップのペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)がトレインを組んだが、マーク・レンショー(オーストラリア、オメガファーマ・クイックステップ)が先着している。
コースには雨が降り始め、路面は完全なウェットコンディションに。すると滑りやすい状況で落車が頻発。フランスチャンピオンのアルノー・デマール(FDJ.fr)やシャビエル・ザンディオ(スペイン、チームスカイ)らが地面に投げ出され、ザンディオがDNFという事態に。チームスカイは有力選手を失う受難が続く。
その混乱が落ち着かないままに横風区間に突入すると、分断を狙ったオメガファーマ・クイックステップらがペースアップを敢行する。しかしこの動きは大きな成果を伴わず、逃げとのタイム差が縮まったのみに終わった。
やがて逃げ集団はマテマルドネスとピノーの2名となり、最後まで一人抵抗したマテマルドネスも勢いを増す集団に吸収。ゴールまで10数kmを残してオメガファーマ・クイックステップが再びペースを上げると集団後方が分断し、ティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)がその巻き添えを食らった。
非常に速い展開で各チームはアシストを失なったうえ、残り5kmからロータリーが連続したことも重なり、集団がまとまらないままにゴール勝負へと持ち込まれる。グライペルやアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)が上手く位置取りをした一方、チームメイトを失っていたキッテルは終盤に遅れてしまう。
残り1kmからのミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)のアタックは実らず、ケヴィン・レザ(フランス、ユーロップカー)先行でスプリントバトルの鐘が鳴る。好位置から発進したグライペルが他を圧倒するスプリントでガッツポーズを繰り出した。
「残り350mから全開で踏んだ。かなりのロングスプリントだったけれど、全力を尽くす事ができれば結果がついてくると分かっていた。勝てずにプレッシャーの日々が続いていたけれど。遂に僕らは勝利を収めた。」とグライペルはコメントした。
マイヨジョーヌを着るニーバリら総合有力勢は、1分遅れたピノを除いてほぼ全員が同集団でゴール。総合順位に大きな変動は無かった。また、最終盤にレザをアシストした新城幸也(ユーロップカー)は54秒遅れの85位でフィニッシュしている。
ツール・ド・フランス2014第6ステージ結果
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) 4h11'39"
2位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
3位 サミュエル・ドゥムラン(フランス、AG2Rラモンディアール)
4位 マーク・レンショー(オーストラリア、オメガファーマ・クイックステップ)
5位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)
6位 ロメン・フェイユー(フランス、ブルターニュ・セシェ)
7位 トム・フィーラース(オランダ、ジャイアント・シマノ)
8位 ブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)
9位 セプ・ファンマルケ(ベルギー、ベルキン)
10位 セバスティアン・シャヴァネル(フランス、IAMサイクリング)
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
マイヨヴェール(ポイント賞)
マイヨアポワ(山岳賞)
マイヨブラン(新人賞)
チーム総合成績
ステージ敢闘賞
ルイスアンヘル・マテマルドネス(スペイン、コフィディス)
text:So.Isobe
photo:CorVos, Makoto Ayano, A.S.O.
総合優勝筆頭候補クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)のリタイアという波乱のパヴェステージから一夜。第6ステージの舞台となったのは、フランス北東部のシャンパーニュ=アルデンヌ地域圏。アラスから南下しランスへと至る194kmには、107km地点と157km地点に4級山岳が用意されるが難易度は高くない。
明日の第7ステージから翌週水曜日の第12ステージまでアタッカーやクライマー/総合陣に有利なステージが続くため、貴重なチャンスを逃すまいと序盤からスプリンターチームが徹底的なレースメイクを行った。
また、今年2014年は第一次世界大戦から100年目の節目の年であり、ルート中にはいくつもの激戦地を通過。スタート前にはセレモニーが行われ、出征し戦火の犠牲となった1909年の総合優勝者フランソワ・ファベールらを追悼した。ちなみにオメガファーマ・クイックステップは「#wedonotforget」として、袖口にWW1のロゴをあしらった特別ジャージを今ツールで着用している。
重い空模様の下、プロトンはアラスの街をスタートし、およそ5kmをパレードラン。するとリアルスタート直後にあっさりと逃げが決まり、地元が近いアルノー・ジェラール(フランス、ブルターニュ・セシェ)や第4ステージでも逃げたルイスアンヘル・マテマルドネス(スペイン、コフィディス)、トム・リーザー(オランダ、ベルキン)、ジェローム・ピノー(フランス、IAMサイクリング)という逃げスペシャリスト4名が先を急いだ。
4名を見送った集団はペースを落とし、14km地点でのタイム差は4分15秒。"breakaway killer"とニックネームのついたジ・チェン(中国)を筆頭とするジャイアント・シマノがキッテルのためのペースコントロールを始め、その後方にはマイヨジョーヌのヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)擁するアスタナが続いた。
快調なペースを刻む先頭4名は集団とのタイム差をおよそ3分半ほどで推移させていく。レース最初の1時間の平均速度は47.6km/hだ。
107.5km地点の4級山岳コート・ド・クシィはマテマルドネスが、119km地点のスプリントポイントはリーザーが争わずして先頭通過。続くメイン集団ではポイント賞トップのペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)がトレインを組んだが、マーク・レンショー(オーストラリア、オメガファーマ・クイックステップ)が先着している。
コースには雨が降り始め、路面は完全なウェットコンディションに。すると滑りやすい状況で落車が頻発。フランスチャンピオンのアルノー・デマール(FDJ.fr)やシャビエル・ザンディオ(スペイン、チームスカイ)らが地面に投げ出され、ザンディオがDNFという事態に。チームスカイは有力選手を失う受難が続く。
その混乱が落ち着かないままに横風区間に突入すると、分断を狙ったオメガファーマ・クイックステップらがペースアップを敢行する。しかしこの動きは大きな成果を伴わず、逃げとのタイム差が縮まったのみに終わった。
やがて逃げ集団はマテマルドネスとピノーの2名となり、最後まで一人抵抗したマテマルドネスも勢いを増す集団に吸収。ゴールまで10数kmを残してオメガファーマ・クイックステップが再びペースを上げると集団後方が分断し、ティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)がその巻き添えを食らった。
非常に速い展開で各チームはアシストを失なったうえ、残り5kmからロータリーが連続したことも重なり、集団がまとまらないままにゴール勝負へと持ち込まれる。グライペルやアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)が上手く位置取りをした一方、チームメイトを失っていたキッテルは終盤に遅れてしまう。
残り1kmからのミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)のアタックは実らず、ケヴィン・レザ(フランス、ユーロップカー)先行でスプリントバトルの鐘が鳴る。好位置から発進したグライペルが他を圧倒するスプリントでガッツポーズを繰り出した。
「残り350mから全開で踏んだ。かなりのロングスプリントだったけれど、全力を尽くす事ができれば結果がついてくると分かっていた。勝てずにプレッシャーの日々が続いていたけれど。遂に僕らは勝利を収めた。」とグライペルはコメントした。
マイヨジョーヌを着るニーバリら総合有力勢は、1分遅れたピノを除いてほぼ全員が同集団でゴール。総合順位に大きな変動は無かった。また、最終盤にレザをアシストした新城幸也(ユーロップカー)は54秒遅れの85位でフィニッシュしている。
ツール・ド・フランス2014第6ステージ結果
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) 4h11'39"
2位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
3位 サミュエル・ドゥムラン(フランス、AG2Rラモンディアール)
4位 マーク・レンショー(オーストラリア、オメガファーマ・クイックステップ)
5位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)
6位 ロメン・フェイユー(フランス、ブルターニュ・セシェ)
7位 トム・フィーラース(オランダ、ジャイアント・シマノ)
8位 ブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)
9位 セプ・ファンマルケ(ベルギー、ベルキン)
10位 セバスティアン・シャヴァネル(フランス、IAMサイクリング)
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
2位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
3位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)
4位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)
5位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)
6位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル)
7位 トニー・ギャロパン(フランス、ロット・ベリソル)
8位 リッチー・ポルト(オーストラリア、チームスカイ)
9位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)
10位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
124位 新城幸也(日本、ユーロップカー)
2位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
3位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)
4位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)
5位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)
6位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル)
7位 トニー・ギャロパン(フランス、ロット・ベリソル)
8位 リッチー・ポルト(オーストラリア、チームスカイ)
9位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)
10位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
124位 新城幸也(日本、ユーロップカー)
24h38'25"
+02"
+44"
+50"
+1'17"
+1'45"
+1'54"
+2'05"
+2'11"
+31'53"
+02"
+44"
+50"
+1'17"
+1'45"
+1'54"
+2'05"
+2'11"
+31'53"
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)
2位 ブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)
3位 マルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)
2位 ブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)
3位 マルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)
217pts
137pts
135pts
137pts
135pts
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 シリル・ルモワンヌ(フランス、コフィディス)
2位 ブレル・カドリ(フランス、AG2Rラモンディアール)
3位 イェンス・フォイクト(ドイツ、トレックファクトリーレーシング)
2位 ブレル・カドリ(フランス、AG2Rラモンディアール)
3位 イェンス・フォイクト(ドイツ、トレックファクトリーレーシング)
6pts
5pt
4pt
5pt
4pt
マイヨブラン(新人賞)
1位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)
2位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)
3位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
2位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)
3位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
24h39'09"
+00'06"
+01'27"
+00'06"
+01'27"
チーム総合成績
1位 アスタナ
2位 ベルキン
3位 BMCレーシング
2位 ベルキン
3位 BMCレーシング
73h56'23"
+04'18"
+06'05"
+04'18"
+06'05"
ステージ敢闘賞
ルイスアンヘル・マテマルドネス(スペイン、コフィディス)
text:So.Isobe
photo:CorVos, Makoto Ayano, A.S.O.
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