8月18日から25日までの8日間、オランダとベルギーを舞台に第5回エネコ・ツアーが開催される。本格的な山岳は設定されず、連日ワンディクラシックのような平坦コースが登場。初日と最終日には個人タイムトライアルが行なわれ、スピードマンたちがホワイトジャージをかけ闘う。

さながら連日ワンディクラシック 2つの個人TTが鍵

エネコ・ツアー2009コースマップエネコ・ツアー2009コースマップ image:www.sport.be/enecotour例年8月に開催されるエネコ・ツアーは、オランダとベルギーを舞台にした8日間の中級ステージレース。1948年から開催されていた「ツール・デ・ペイ・バ(ツアー・オブ・オランダ)」が大会の前身で、2005年のプロツアー発足に伴ってオランダの電力会社がスポンサーにつき、現在の名称に変更された。エネコ・ツアーとしては今年で開催5回目を迎える。

現在はオランダとベルギーの二ヶ国に限定しているが、過去には隣国ルクセンブルクも通過したため「ベネルクス・ツアー」とも呼ばれた。ベネルクス(Benelux)とはベルギー(Belgie)、オランダ(Nederland)、ルクセンブルク(Luxembourg)の三ヶ国の集合体の名称だ。

その平坦な土地柄、大きな山岳は登場せず、連日平坦基調のコースが選手たちを待ち構えている。初日はオランダ・ロッテルダムのザイデル公園を中心にした4.4kmのプロローグ(個人タイムトライアル)で、翌日からワンディクラシックさながらの平坦コースが連続。3日目の第2ステージには、オウデ・クワレモントやクルイスベルク、ミュール・カペルミュールなど、ロンド・ファン・フラーンデレンでお馴染みの急坂が多数登場する。

アムステル・ゴールドレースの名物坂カウベルクも第5ステージで登場するなど、単純に“平坦基調”と言えるほど生半可なコースではない。上りや強風によって絞られた集団によるスプリント勝負が見物だ。

そして最後はオランダのアメルスフォールトで行なわれる13.1kmの個人TTで決着。中盤の平坦ステージで大逃げが決まらない限り、初日と最終日の個人TTでリードを広げた選手が総合優勝に輝くだろう。

強力なスプリンターやスピードマン勢揃い グティエレス3連覇なるか

新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム) photo:Makoto Ayano出場するのはプロツアー18チームにプロコンチネンタル3チーム(スキル・シマノ、ヴァカンソレイユ、トップスポート・フラーンデレン)を加えた21チーム。

スキル・シマノから日本人選手の出場はないが、Bboxブイグテレコムからはツール・ド・フランスを完走した新城幸也の出場が決まった。ユキヤは昨年総合3位&ステージ優勝の好成績を残したツール・デュ・リムザンの出場をキャンセルし、このエネコに初挑戦。ブイグは有力スプリンターが出場しないため、ツールの集団スプリントでステージ5位を穫ったユキヤで勝負を挑んでくるだろう。

2007年と2008年に総合優勝に輝いたホセイバン・グティエレス(スペイン、ケースデパーニュ)2007年と2008年に総合優勝に輝いたホセイバン・グティエレス(スペイン、ケースデパーニュ) photo:Cor Vos過去2大会を制し、3連覇を狙ってオランダに降り立つのは、スペインが生んだTTスペシャリストのホセイバン・グティエレス(スペイン、ケースデパーニュ)だ。グティエレスは今年も個人TTでリードを広げる走りで総合制覇なるか。チームはホセホアキン・ロハス(スペイン)のスプリント勝利も同時に狙う。

グティエレスの連覇に“待った”を掛けるのは、ツール総合4位のブラドレー・ウィギンズ(イギリス、ガーミン)を始めとするTTスペシャリストたち。アンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)やシルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)、ヨースト・ポストゥーマ(オランダ、ラボバンク)らが、グティエレスの王座奪取を虎視眈々と狙っている。

直前のヴァッテンフォール・サイクラシックスを制したタイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン)直前のヴァッテンフォール・サイクラシックスを制したタイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン) photo:Cor Vosチームコロンビア・HTCは、オールラウンダーとして成長しつつあるトニ・マルティン(ドイツ)を中心に、3度のTT世界王者マイケル・ロジャース(オーストラリア)や、ジロでマリアローザを着たトーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン)らを揃える。

コロンビアはいつものエーススプリンターに代わって、ツール・ド・ポローニュでステージ2勝を飾ったエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー)や名発射台のマーク・レンショー(オーストラリア)らでステージ優勝を狙ってくるだろう。

エネコ・ツアーで通算5勝を飾っているトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)エネコ・ツアーで通算5勝を飾っているトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ) photo:Cor Vos過去4大会でステージ通算5勝を飾っているのは、現ベルギーチャンピオンのトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)だ。ツール前後から精彩を欠いているボーネンは、地元で復調をアピール出来るか。クイックステップは地元チームだけにモチヴェーションは高い。

注目のスプリンターとしては他にも、直前のヴァッテンフォール・サイクラシックスを制したタイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン)や同大会5位のコルド・フェルナンデス(スペイン、エウスカルテル)、グレーム・ブラウン(オーストラリア、ラボバンク)、アンジェロ・フルラン(イタリア、ランプレ)らが顔を揃える。マシュー・ゴス(オーストラリア)やフアンホセ・アエド(アルゼンチン)、アレックス・ラスムッセン(デンマーク)ら、スピードのある選手を揃えたサクソバンクも注目したい。

5月のツアー・オブ・ベルギーで膝を負傷したロビー・マキュアン(オーストラリア、カチューシャ)はこのエネコ・ツアーで復帰する予定だったが、膝の痛みが再発したため欠場。マキュアンは再び膝の手術を受ける予定だ。

エネコ・ツアー歴代優勝者
2008年 ホセイバン・グティエレス(スペイン)
2007年 ホセイバン・グティエレス(スペイン)
2006年 ステファン・シューマッハー(ドイツ)
2005年 ボビー・ジュリック(アメリカ)

ツール・デ・ペイ・バ歴代優勝者
2004年 エリック・デッケル(オランダ)
2003年 ヴィアチェスラフ・エキモフ(ロシア)
2002年 キム・キルシェン(ルクセンブルク)
2001年 レオン・ファンボン(オランダ)
2000年 エリック・デッケル(オランダ)

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