2014/05/23(金) - 04:31
全長41.9kmのアップダウンコースで行なわれたジロ・デ・イタリア第12ステージ個人タイムトライアル。強雨に降られる中、リゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファーマ・クイックステップ)が別格の走りで優勝カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)からマリアローザを奪った。
イタリア有数のワイン産出量を誇るバローロ一帯で行なわれる41.9kmの「時間との闘い」。一面ブドウ畑が広がる丘陵地帯をTTバイクが駆け抜けた。
スタート後すぐにコースは登り基調となり、12.6km地点で標高650mの4級山岳をクリア。ハイスピードダウンヒルと平坦路を経て、残り4.5kmでもう一つの丘を越える。勾配10%オーバーの危険な下りと、5%ほどの緩斜面の先にフィニッシュラインが引かれている。
初夏の陽気が数日間続いていたものの、スタート順によって有利と不利が出やすい個人タイムトライアルの日に限って天候は下り坂。およそ1/3の選手がスタートしてから、本降りの雨がコースを濡らした。
ほぼドライな状態で走った前半スタートのパトリック・グレッチュ(ドイツ、AG2Rラモンディアール)やトーマス・デヘント(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)が暫定トップに立つ。2/3の選手が走り終えるころには雨はあがり、路面コンディションは回復傾向に。
前日に落車の影響で総合争いから脱落したディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)が、2つの中間計測ポイントでタイムを更新して周囲を驚かせると、そのまま断トツのトップタイムでフィニッシュ。ホットシートに座って後続の走りを待つ。
総合10位イヴァン・バッソ(イタリア、キャノンデール)はウェットなコーナーで落車してステージ30位、総合8位のナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)もタイムを伸ばすことが出来ずにステージ13位に。総合6位&新人賞2位のファビオ・アル(イタリア、アスタナ)もステージ16位に終わる。
総合4位のドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)は前半の登りで最速タイムを叩き出したものの、その後の平坦路と下りでタイムを落とした(ステージ9位)。
そして迎えた総合トップスリーによる闘い。総合3位ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)の3分後方でスタートした総合2位のリゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファーマ・クイックステップ)が序盤から好走した。
第1計測ポイントこそポッツォヴィーヴォのタイムに及ばなかったものの、第2計測でウランはウリッシを大きく上回るトップタイムをマーク。ペースを落とさず41.9kmを走りきったウランは、最終的にウリッシのタイムを1分17秒も更新してみせた。
この個人タイムトライアルでリードを広げる見られていたマリアローザのカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)は、ウェットな路面に苦しんだ。序盤からウランにリードを奪われたエヴァンスは、その後もペースを掴むことが出来ず、2つ目の中間計測ポイント通過時にマリアローザは暫定でウランの手に。下りでオーバーランするシーンも見られ、終わってみればウランから1分34秒遅れ。総合における57秒リードが、37秒のビハインドに変わった。
圧倒的な走りでステージ優勝を掴み、さらにマリアローザまで手にしたウラン。コロンビア人選手のマリアローザ着用はこれが初めて。レース後の記者会見で喜びを噛み締めながら感想を述べた。「自分にとってもチームにとっても、コロンビアにとっても大きな一日になった。心からこの勝利に満足している。特にこの個人TTに的を絞って、ずっとTT能力の改善に力を注いできたんだ。その成果が見事に出た」。
敗れたエヴァンスは「正直言ってウランがここまでの走りをするとは想像していなかった。自分向きのコースだったので、もう少し良い結果を残したいと思っていた。でも戦略的には(総合2位は)悪くないポジション。これから面白いレースになるだろう」と語っている。
マリアローザ争いが大きく動いた個人タイムトライアル。翌日の平坦ステージを挟んで、本格的な山岳連戦がスタートする。
ジロ・デ・イタリア2014第12ステージ結果
マリアローザ 個人総合成績
マリアロッサ ポイント賞
ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)
マリアアッズーラ 山岳賞
ジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレックファクトリーレーシング)
マリアビアンカ ヤングライダー賞
ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
チーム総合成績
オメガファーマ・クイックステップ
text&photo:Kei Tsuji in Barolo, Italy
イタリア有数のワイン産出量を誇るバローロ一帯で行なわれる41.9kmの「時間との闘い」。一面ブドウ畑が広がる丘陵地帯をTTバイクが駆け抜けた。
スタート後すぐにコースは登り基調となり、12.6km地点で標高650mの4級山岳をクリア。ハイスピードダウンヒルと平坦路を経て、残り4.5kmでもう一つの丘を越える。勾配10%オーバーの危険な下りと、5%ほどの緩斜面の先にフィニッシュラインが引かれている。
初夏の陽気が数日間続いていたものの、スタート順によって有利と不利が出やすい個人タイムトライアルの日に限って天候は下り坂。およそ1/3の選手がスタートしてから、本降りの雨がコースを濡らした。
ほぼドライな状態で走った前半スタートのパトリック・グレッチュ(ドイツ、AG2Rラモンディアール)やトーマス・デヘント(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)が暫定トップに立つ。2/3の選手が走り終えるころには雨はあがり、路面コンディションは回復傾向に。
前日に落車の影響で総合争いから脱落したディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)が、2つの中間計測ポイントでタイムを更新して周囲を驚かせると、そのまま断トツのトップタイムでフィニッシュ。ホットシートに座って後続の走りを待つ。
総合10位イヴァン・バッソ(イタリア、キャノンデール)はウェットなコーナーで落車してステージ30位、総合8位のナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)もタイムを伸ばすことが出来ずにステージ13位に。総合6位&新人賞2位のファビオ・アル(イタリア、アスタナ)もステージ16位に終わる。
総合4位のドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)は前半の登りで最速タイムを叩き出したものの、その後の平坦路と下りでタイムを落とした(ステージ9位)。
そして迎えた総合トップスリーによる闘い。総合3位ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)の3分後方でスタートした総合2位のリゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファーマ・クイックステップ)が序盤から好走した。
第1計測ポイントこそポッツォヴィーヴォのタイムに及ばなかったものの、第2計測でウランはウリッシを大きく上回るトップタイムをマーク。ペースを落とさず41.9kmを走りきったウランは、最終的にウリッシのタイムを1分17秒も更新してみせた。
この個人タイムトライアルでリードを広げる見られていたマリアローザのカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)は、ウェットな路面に苦しんだ。序盤からウランにリードを奪われたエヴァンスは、その後もペースを掴むことが出来ず、2つ目の中間計測ポイント通過時にマリアローザは暫定でウランの手に。下りでオーバーランするシーンも見られ、終わってみればウランから1分34秒遅れ。総合における57秒リードが、37秒のビハインドに変わった。
圧倒的な走りでステージ優勝を掴み、さらにマリアローザまで手にしたウラン。コロンビア人選手のマリアローザ着用はこれが初めて。レース後の記者会見で喜びを噛み締めながら感想を述べた。「自分にとってもチームにとっても、コロンビアにとっても大きな一日になった。心からこの勝利に満足している。特にこの個人TTに的を絞って、ずっとTT能力の改善に力を注いできたんだ。その成果が見事に出た」。
敗れたエヴァンスは「正直言ってウランがここまでの走りをするとは想像していなかった。自分向きのコースだったので、もう少し良い結果を残したいと思っていた。でも戦略的には(総合2位は)悪くないポジション。これから面白いレースになるだろう」と語っている。
マリアローザ争いが大きく動いた個人タイムトライアル。翌日の平坦ステージを挟んで、本格的な山岳連戦がスタートする。
ジロ・デ・イタリア2014第12ステージ結果
1位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファーマ・クイックステップ)
2位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)
3位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)
4位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
5位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)
6位 ワウテル・ポエルス(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ)
7位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)
8位 トーマス・デヘント(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
9位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
10位 パトリック・グレッチュ(ドイツ、AG2Rラモンディアール)
63位 新城幸也(日本、ユーロップカー)
92位 別府史之(日本、トレックファクトリーレーシング)
2位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)
3位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)
4位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
5位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)
6位 ワウテル・ポエルス(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ)
7位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)
8位 トーマス・デヘント(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
9位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
10位 パトリック・グレッチュ(ドイツ、AG2Rラモンディアール)
63位 新城幸也(日本、ユーロップカー)
92位 別府史之(日本、トレックファクトリーレーシング)
57'34"
+1'17"
+1'34"
+1'39"
+1'53"
+2'00"
+2'03"
+2'07"
+2'09"
+2'12"
+5'44"
+6'59"
+1'17"
+1'34"
+1'39"
+1'53"
+2'00"
+2'03"
+2'07"
+2'09"
+2'12"
+5'44"
+6'59"
第1計測ポイント(12.6km地点)
1位 ポッツォヴィーヴォ 21'13"
2位 ウラン +15"
3位 アル +26"
4位 ウリッシ +27"
5位 ポエルス +38"
6位 マイカ +40"
7位 キンタナ +45"
8位 デヘント +50"
9位 エヴァンス +53"
10位 ケルデルマン +56"
1位 ポッツォヴィーヴォ 21'13"
2位 ウラン +15"
3位 アル +26"
4位 ウリッシ +27"
5位 ポエルス +38"
6位 マイカ +40"
7位 キンタナ +45"
8位 デヘント +50"
9位 エヴァンス +53"
10位 ケルデルマン +56"
第2計測ポイント(26.3km地点)
1位 ウラン 35'23"
2位 ウリッシ +27"
3位 デヘント +39"
4位 マイカ +49"
5位 ポエルス +49"
6位 グレッチュ +53"
7位 ケルデルマン +58"
8位 エヴァンス +59"
9位 ブランビッラ +1'06"
10位 ポッツォヴィーヴォ +1'07"
1位 ウラン 35'23"
2位 ウリッシ +27"
3位 デヘント +39"
4位 マイカ +49"
5位 ポエルス +49"
6位 グレッチュ +53"
7位 ケルデルマン +58"
8位 エヴァンス +59"
9位 ブランビッラ +1'06"
10位 ポッツォヴィーヴォ +1'07"
フィニッシュ(41.9km地点)
1位 ウラン 57'34"
2位 ウリッシ +1'17"
3位 エヴァンス +1'34"
4位 マイカ +1'39"
5位 ブランビッラ +1'53"
6位 ポエルス +2'00"
7位 ケルデルマン +2'03"
8位 デヘント +2'07"
9位 ポッツォヴィーヴォ +2'09"
10位 グレッチュ +2'12"
1位 ウラン 57'34"
2位 ウリッシ +1'17"
3位 エヴァンス +1'34"
4位 マイカ +1'39"
5位 ブランビッラ +1'53"
6位 ポエルス +2'00"
7位 ケルデルマン +2'03"
8位 デヘント +2'07"
9位 ポッツォヴィーヴォ +2'09"
10位 グレッチュ +2'12"
マリアローザ 個人総合成績
1位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファーマ・クイックステップ)
2位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)
3位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
4位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
5位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)
6位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
7位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
8位 ワウテル・ポエルス(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ)
9位 スティーブ・モラビート(スイス、BMCレーシング)
10位 ロベルト・キセロフスキー(クロアチア、トレックファクトリーレーシング)
2位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)
3位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
4位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
5位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)
6位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
7位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
8位 ワウテル・ポエルス(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ)
9位 スティーブ・モラビート(スイス、BMCレーシング)
10位 ロベルト・キセロフスキー(クロアチア、トレックファクトリーレーシング)
49h37'35"
+37"
+1'52"
+2'32"
+2'50"
+3'29"
+3'37"
+4'06"
+4'20"
+4'41"
+37"
+1'52"
+2'32"
+2'50"
+3'29"
+3'37"
+4'06"
+4'20"
+4'41"
マリアロッサ ポイント賞
ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)
マリアアッズーラ 山岳賞
ジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレックファクトリーレーシング)
マリアビアンカ ヤングライダー賞
ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
チーム総合成績
オメガファーマ・クイックステップ
text&photo:Kei Tsuji in Barolo, Italy
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