2014/05/03(土) - 02:55
ツアー・オブ・ターキー(UCI2.HC)第6ステージを終えて、総合1位と2位のタイム差は僅かに1秒。2級山岳の山頂フィニッシュを制した21歳のアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)がターコイズブルーのリーダージャージを着て残る2ステージを闘う。
セルチュク郊外にある「聖母マリアの家」でフィニッシュを迎えるツアー・オブ・ターキー第6ステージ。一帯はトルコ有数の観光地として知られており、紀元前に作られたギリシア時代のエフェス古代都市遺跡が最も有名だ。その他にも古代遺跡があちこちに点在しており、海外からの観光客を乗せた大型バスが忙しく行き交う。
フィニッシュラインが引かれているのは、聖母マリアが晩年を過ごしたと考えられている家の前。山の中にある家に向かう登りは、距離5.3kmで平均勾配7.6%。残り1kmを切ってから勾配が10%オーバーを刻む難易度の高いものだ。
ツアー・オブ・ターキーの総合争いに決着をつける重要な山岳ステージだが、獲得標高差は1800mほどしかない。追い風に乗ってレースは高速で展開した。
ヘント〜ウェベルヘムでの鎖骨骨折から復帰し、乗り込みを続けているアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)が逃げに乗った。カヴェンディッシュ同様、グライペルはジロ・デ・イタリアをパスしてツール・ド・フランスに照準を合わしている。今大会のスプリントには絡んでいないが、山岳ではクライマー顔負けの登坂力を見せていた。
なお、ジロ・デ・イタリア出場予定のルーカ・パオリーニ(イタリア、カチューシャ)やシモーネ・ポンツィ(イタリア、ネーリソットリ)ら6名はこの日の出走を見送っている。
グライペルとともに逃げたのはハビエル・アラメンディア(スペイン、カハルーラル)、マティアス・クリセク(オーストリア、キャノンデール)、アドリアン・クレク(ポーランド、CCCポルサット)、ウェズリー・クレダー(オランダ、ワンティ・グループグベルト)の4名。タイム差は最大6分15秒まで広がったが、バーチャルリーダージャージがクリセク(総合6分50秒遅れ)に移ることはなかった。
コフィディスとMTNキュベカの集団牽引連合軍に、アスタナやユナイテッドヘルスケアが加わると、残り30kmで早くも逃げは吸収。山岳賞ジャージを着るマルク・デマール(オランダ、ユナイテッドヘルスケア)がしっかりと161km地点の3級山岳でポイントを重ねる。セルチュクの街を駆け抜けたメイン集団が、ハイスピードを維持したまま最後の2級山岳に突入した。
クリストフ・ルメヴェル(フランス、コフィディス)がアタックを許さないハイペースで集団を牽引し、そこからカハルーラルやランプレ・メリダがペースアップ。残り2kmを切ってヴァレリオ・コンティ(イタリア、ランプレ・メリダ)が最初に仕掛けた。
続いてアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル)がアタックを仕掛けたが決まらず、残り1kmでアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)がカウンター。リーダージャージのレイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)はこの動きに反応出来なかった。
総合2位・6秒差のイェーツが総合逆転をかけて独走する。ターラマエは自力で追撃を試みたものの、勾配のある登りで思うようにペースが上がらない。ターラマエを7秒振り切ったイェーツが、ステージ優勝とリーダージャージを同時に手にした。
2秒差のステージ2位にはダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール)が入り、同タイムでダヴィデ・レベッリン(イタリア、CCCポルサット)が3位に。なお、3位レベッリンは42歳。イェーツ(21歳)とフォルモロ(21歳)の合計年齢に等しい。
総合首位に立ったイェーツは、まだ慣れない様子のインタビューの中でこう答える。「横風が吹き付けるタフなステージだったけど、チームメイトのおかげで余計な力を使わずに済んだよ。彼らに引き上げられて、そのまま良い位置で最後の登りに挑めたんだ。6秒差をひっくり返すために、作戦通り残り1kmでアタックした。もちろんそこから全開で踏んだ。今日のような短い登りでは、完璧なタイミングで仕掛ける必要があった」。
今年プロデビューしたばかりの21歳は「やっぱりプロ初勝利は格別。こんな早い時期にプロレースで結果を出せるとは思っていなかった。少なくとも2〜3年かかると思っていた」と驚く。第3ステージで落車リタイアした双子の兄弟サイモンとともに、イギリスの次世代オールラウンダーとして注目を集める存在になるのは間違いない。
その他の写真はフォトギャラリーをご覧下さい。
ツアー・オブ・ターキー2014第6ステージ結果
個人総合成績
ポイント賞
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)
山岳賞
マルク・デマール(オランダ、ユナイテッドヘルスケア)
ビューティーズオブターキースプリント賞
マッティア・ポッツォ(イタリア、ネーリソットリ)
チーム総合成績
コフィディス
text&photo:Kei Tsuji in Selcuk, Turkey
セルチュク郊外にある「聖母マリアの家」でフィニッシュを迎えるツアー・オブ・ターキー第6ステージ。一帯はトルコ有数の観光地として知られており、紀元前に作られたギリシア時代のエフェス古代都市遺跡が最も有名だ。その他にも古代遺跡があちこちに点在しており、海外からの観光客を乗せた大型バスが忙しく行き交う。
フィニッシュラインが引かれているのは、聖母マリアが晩年を過ごしたと考えられている家の前。山の中にある家に向かう登りは、距離5.3kmで平均勾配7.6%。残り1kmを切ってから勾配が10%オーバーを刻む難易度の高いものだ。
ツアー・オブ・ターキーの総合争いに決着をつける重要な山岳ステージだが、獲得標高差は1800mほどしかない。追い風に乗ってレースは高速で展開した。
ヘント〜ウェベルヘムでの鎖骨骨折から復帰し、乗り込みを続けているアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)が逃げに乗った。カヴェンディッシュ同様、グライペルはジロ・デ・イタリアをパスしてツール・ド・フランスに照準を合わしている。今大会のスプリントには絡んでいないが、山岳ではクライマー顔負けの登坂力を見せていた。
なお、ジロ・デ・イタリア出場予定のルーカ・パオリーニ(イタリア、カチューシャ)やシモーネ・ポンツィ(イタリア、ネーリソットリ)ら6名はこの日の出走を見送っている。
グライペルとともに逃げたのはハビエル・アラメンディア(スペイン、カハルーラル)、マティアス・クリセク(オーストリア、キャノンデール)、アドリアン・クレク(ポーランド、CCCポルサット)、ウェズリー・クレダー(オランダ、ワンティ・グループグベルト)の4名。タイム差は最大6分15秒まで広がったが、バーチャルリーダージャージがクリセク(総合6分50秒遅れ)に移ることはなかった。
コフィディスとMTNキュベカの集団牽引連合軍に、アスタナやユナイテッドヘルスケアが加わると、残り30kmで早くも逃げは吸収。山岳賞ジャージを着るマルク・デマール(オランダ、ユナイテッドヘルスケア)がしっかりと161km地点の3級山岳でポイントを重ねる。セルチュクの街を駆け抜けたメイン集団が、ハイスピードを維持したまま最後の2級山岳に突入した。
クリストフ・ルメヴェル(フランス、コフィディス)がアタックを許さないハイペースで集団を牽引し、そこからカハルーラルやランプレ・メリダがペースアップ。残り2kmを切ってヴァレリオ・コンティ(イタリア、ランプレ・メリダ)が最初に仕掛けた。
続いてアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル)がアタックを仕掛けたが決まらず、残り1kmでアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)がカウンター。リーダージャージのレイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)はこの動きに反応出来なかった。
総合2位・6秒差のイェーツが総合逆転をかけて独走する。ターラマエは自力で追撃を試みたものの、勾配のある登りで思うようにペースが上がらない。ターラマエを7秒振り切ったイェーツが、ステージ優勝とリーダージャージを同時に手にした。
2秒差のステージ2位にはダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール)が入り、同タイムでダヴィデ・レベッリン(イタリア、CCCポルサット)が3位に。なお、3位レベッリンは42歳。イェーツ(21歳)とフォルモロ(21歳)の合計年齢に等しい。
総合首位に立ったイェーツは、まだ慣れない様子のインタビューの中でこう答える。「横風が吹き付けるタフなステージだったけど、チームメイトのおかげで余計な力を使わずに済んだよ。彼らに引き上げられて、そのまま良い位置で最後の登りに挑めたんだ。6秒差をひっくり返すために、作戦通り残り1kmでアタックした。もちろんそこから全開で踏んだ。今日のような短い登りでは、完璧なタイミングで仕掛ける必要があった」。
今年プロデビューしたばかりの21歳は「やっぱりプロ初勝利は格別。こんな早い時期にプロレースで結果を出せるとは思っていなかった。少なくとも2〜3年かかると思っていた」と驚く。第3ステージで落車リタイアした双子の兄弟サイモンとともに、イギリスの次世代オールラウンダーとして注目を集める存在になるのは間違いない。
その他の写真はフォトギャラリーをご覧下さい。
ツアー・オブ・ターキー2014第6ステージ結果
1位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)
2位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール)
3位 ダヴィデ・レベッリン(イタリア、CCCポルサット)
4位 レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)
5位 クリスチャン・デュラセック(クロアチア、ランプレ・メリダ)
6位 ファンホセ・コーボ(スペイン、トルク・セケルスポール)
7位 ロメン・アルディ(フランス、コフィディス)
8位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、カハルーラル)
9位 アダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル)
10位 ハビエル・メヒアス(スペイン、ノヴォノルディスク)
2位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール)
3位 ダヴィデ・レベッリン(イタリア、CCCポルサット)
4位 レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)
5位 クリスチャン・デュラセック(クロアチア、ランプレ・メリダ)
6位 ファンホセ・コーボ(スペイン、トルク・セケルスポール)
7位 ロメン・アルディ(フランス、コフィディス)
8位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、カハルーラル)
9位 アダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル)
10位 ハビエル・メヒアス(スペイン、ノヴォノルディスク)
4h11'46"
+02"
+07"
+15"
+17"
+26"
+02"
+07"
+15"
+17"
+26"
個人総合成績
1位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)
2位 レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)
3位 ロメン・アルディ(フランス、コフィディス)
4位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール)
5位 ダヴィデ・レベッリン(イタリア、CCCポルサット)
6位 ファンホセ・コーボ(スペイン、トルク・セケルスポール)
7位 クリスチャン・デュラセック(クロアチア、ランプレ・メリダ)
8位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、カハルーラル)
9位 アダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル)
10位 エンリコ・バルディン(イタリア、バルディアーニCSF)
2位 レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)
3位 ロメン・アルディ(フランス、コフィディス)
4位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール)
5位 ダヴィデ・レベッリン(イタリア、CCCポルサット)
6位 ファンホセ・コーボ(スペイン、トルク・セケルスポール)
7位 クリスチャン・デュラセック(クロアチア、ランプレ・メリダ)
8位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、カハルーラル)
9位 アダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル)
10位 エンリコ・バルディン(イタリア、バルディアーニCSF)
24h46'57"
+01"
+39"
+40"
+44"
+45"
+47"
+54"
+1'04"
+01"
+39"
+40"
+44"
+45"
+47"
+54"
+1'04"
ポイント賞
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)
山岳賞
マルク・デマール(オランダ、ユナイテッドヘルスケア)
ビューティーズオブターキースプリント賞
マッティア・ポッツォ(イタリア、ネーリソットリ)
チーム総合成績
コフィディス
text&photo:Kei Tsuji in Selcuk, Turkey
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