2014/04/22(火) - 09:43
連載でお届けするプロバイクレポート。今回は「北の地獄」の異名を持つパリ~ルーベを走ったバイクのディテールに迫る第2弾。デゲンコルブが2位表彰台を獲得したジャイアント・シマノ、ティンコフ・サクソ、ロット・ベリソル、ユナイテッドヘルスケア、コフィディスをピックアップする。
ジャイアント・シマノ < ジャイアント DEFY ADVANCED SL>
ジャイアント・シマノのジャイアント DEFY ADVANCED SL photo:Makoto.AYANO
ジョン・デゲンコルブ(ドイツ)が2位表彰台を獲得したジャイアント・シマノはロンド・ファン・フラーンデレンに続いてジャイアントのエンデュランスモデル「DEFY ADVANCED SL」を使用した。ただし、パーツアッセンブルは前週とは大きく異なっている。
コンポーネントは電動式のシマノ9070系デュラエースをメインに、ブレーキのみ旧型の7900系を使用した。前後共にブレーキケーブルの途中には、本来ダイレクトマウントブレーキに使用される張力解除用のアジャスターを配し、通常よりも幅広なタイヤを装着したホイールの着脱を容易としている。
ステムはジャイアントの特殊なフォークコラムに合わせたPRO VIBEのスペシャルモデル photo:Makoto.AYANO
トム・スタムスニデル(オランダ)はTT用サドルのAERO FUELを使用する photo:Makoto.AYANO
ライン+杉目のトレッドパターンを持つメーカー不詳のタイヤを逆向きに貼る photo:Makoto.AYANO
ダイレクトマウントBR用のアジャスターを組み込む photo:Makoto.AYANO
ホイールはコンポーネントと同じくシマノ9000系デュラエースで、35mmハイトの「C35」で揃えられた。タイヤは複数種類が使用されており、いずれもロゴ無し。レイナード・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ)のバイクにはトラディショナルなラインと杉目を組み合わせたトレッドパターンのタイヤが、グリップを高めるために逆向きに貼られていた。
ハンドル周りはPROで固められ、ステムはジャイアントの特殊なコラム径に対応し、ハンドル固定ボルトの本数が市販品とは異なるプロ専用品のVIBEが使用された。サドルもPROが使用され、中にはかっちりとした乗り心地のTT用モデルAERO FUELを使用する選手も。ボトルケージはエリートの中でも特に固定力に優れるCUSSIE GELだ。
ティンコフ・サクソ < スペシャライズド S-Works Roubaix SL4 >
マヌエーレ・ボアーロ(イタリア、ティンコフ・サクソ)のスペシャライズド S-Works Roubaix SL4 photo:Makoto.AYANO
スペシャライズドオリジナルのFactカーボンクランクにスラムRED22のチェーンリングを装着 photo:Makoto.AYANO
足回りはジップ303 Firecrestに27mm幅のFMB・PARIS ROUBAIXを組み合わせる photo:Makoto.AYANO
スペシャライズドのサポートを受けるティンコフ・サクソは、今大会の優勝バイクであるエンデュランスモデルのS-Works Roubaix SL4を使用した。コンポーネントやホイール、ハンドル周りなど、パーツアッセンブルの多くがオメガファーマ・クイックステップと共通している。
コンポーネントはスラムRED22をメインとし、リアディレーラーはロングゲージのWiFliタイプ、クランクはスペシャライズドオリジナルのFactカーボンクランクのアームにスラムRED22のチェーンリングという組合せだ。ホイールは45mmハイトのジップ 303 Firecrestで統一され、タイヤは北のクラシックでは定番のFMB・PARIS ROUBAIXの27mm幅がアッセンブルされている。
チームカラーを纏ったカーボンレール仕様のプロロゴ NAGO EVO CPC photo:Makoto.AYANO
ステムとハンドルに貼られたパヴェの位置を記した手書きのメモ photo:Makoto.AYANO
リアディレーラーはロングゲージタイプのWiFliが装着されている photo:Makoto.AYANO
すべり止め素材を用いてボトルの固定力を強化 photo:Makoto.AYANO
ハンドル周りはジップで統一され、ハンドルバー上部とステム上面には長々と大きくパヴェの位置が記されている。恐らく、今回メモ使用したチームの中では最も大きいだろう。サドルはプロロゴのサポートを受け、黄色と紺を組み合わせたチームカラーが供給されていた。ボトルケージはタックスの定番モデルであるTAOを使用し、紙やすりをケージとボトルの接触面に貼りつけることでボトルの固定力を高めていた。
ロット・ベリソル < リドレー X-Night、FENIX、HELIUM SL >
ロット・ベリソルのリドレー X-Night パリ~ルーベエディション photo:Makoto.AYANO
TRP製ミニVブレーキ「CR8.4」を使用する photo:Makoto.AYANO
カンパニョーロのホイールにコンチネンタルCOMPETITION PROLTDを組み合わせる photo:Makoto.AYANO
リドレーを使用するロット・ベリソルは、「HELIUM SL」と「FENIX」の2台に加え、世界選手権やワールドカップで使用されるシクロクロスバイク「X-Night」のパリ~ルーベエディションを使用した。カラーやシートステーがベンドしている点が通常モデルとの相違点であり、パリ~ルーベにかけるチームとバイクサプライヤーの情熱が垣間見える1台だ。
コンポーネントはサポートを受けるカンパニョーロのハイエンドモデル「SUPER RECORD」より電動式の「EPS」と機械式の「RS」の2種類を選手によって使い分けた。なお、X-NightはブレーキのみTRPとされ、ミニVブレーキのセカンドグレード「CR8.4」をアッセンブルした。
ロット・ベリソルのリドレー FNEIX photo:Makoto.AYANO
ホイールもコンポーネントと同じくカンパニョーロで、ハイトの異なるHYPERONとBORA35、BORA ULTRAの3種類を使い分けた。タイヤはモビスタ―と同じくセンターがスリック、サイドがヤスリ目という市販品には無いトレッドパターンを持つ28mm幅のコンチネンタルCOMPETITION PROLTDを使用した。
ハンドル周りはデダ・エレメンティで、各パーツとも信頼性を重視してアルミ製のZERO100シリーズが多くアッセンブルされていた。バーテープはグリップ力に優れるリザードスキンズを2重巻き。サドルはセラサンマルコ。ボトルケージはタックス TAOだ。
ユナイテッドヘルスケア < ウィリエール Cento 1 SR、Zero7 >
ダニエル・サマーヒル(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)のウィリエール Zero7 photo:Makoto.AYANO
市販品とは異なるチェーンリングが取り付けられた9000系デュラエースクランク photo:Makoto.AYANO
タイヤは最終テスト段階にあるとみられる25mm幅のマキシスCampione photo:Makoto.AYANO
ロンドに続き2週連続のワイルドカードでの出場となったアメリカ籍のプロコンチネンタルチーム、ユナイテッドヘルスケア。既報の通り、今シーズンからイタリアのウィリェールからサポートを受け、パリ~ルーべにはオールラウンドモデル「Cento 1 SR」と軽量ヒルクライムモデル「Zero7」の2車種を持ち込んだ。
コンポーネントは機械式のシマノ9000系デュラエースで統一され、チェーンリングのみ市販品とは異なる表面処理が施されていた。過去、シマノは9000系登場以前に北のクラシックで開発用プロトタイプを投入したことがあったが、今回はテストではなく選手の要望に応えた特別な歯数であったためとのこと。
パッドが厚いトライアスロン用サドル「Arione Tri」を使用する選手も photo:Makoto.AYANO
コラムスペーサー一体型のK-EDGE製マウントを用いてガーミンEDGE500を固定する photo:Makoto.AYANO
ボトルケージにタイラップを巻いてボトルの固定力を高めている photo:Makoto.AYANO
トップチューブには長い手書きのコース情報が貼られる photo:Makoto.AYANO
ホイールはコンポーネントと同じく9000系デュラ―エース。タイヤはアメリカ本国でも発売されていない25mm幅のマキシスCampioneがアッセンブルされていた。パリ~ルーベで使用するタイヤとしては細めであるものの、ロゴの完成度や、すでに発売されている23mm幅と共通のトレッドパターンを持つことから、市販へ向けた最終テスト段階とみて間違いないだろう。
ハンドル周りはリッチーで統一されるが、グレードはトップグレードのWCSとセカンドグレードのPROがミックスされる。サドルはフィジークのサポートを受け、快適性の高いVERSUS XシリーズやARIONE Triを選択する選手も見られた。ボトルケージはタックス TAOをアッセンブルし、他チームで多く見られた紙やすりでは無くタイラップを用いるというユニークな方法でボトルの固定力を強化。サイクルコンピューターはガーミンを使用し、マウントにはK-EDGEを用いていた。
コフィディス < ルック 675 >
アドリアン・プティ(フランス、コフィディス)のルック 675 photo:Makoto.AYANO
ワイルドカードでのパリ~ルーベ出場を果たしたフランス籍の老舗プロコンチネンタルチーム、コフィディスは今シーズンも引き続きチームと同郷のルックを使用する。今回はレースでは「695 AEROLIGHT」に替わって、面一とされたトップチューブとステムが特徴的なセカンドグレード「675」を駆った。
パーツアッセンブルはフレンチブランドを多用していることが特徴だ。ホイールはマヴィックのプロ供給用スペシャルモデル「M40」を選択。普段はホイールと一体設計のマヴィック製タイヤを使用するものの、今回はデュガスの様なトレッドパターンを持つモデルをアッセンブルした。ボトルケージはゼファールだ。
アシストレバーは北のクラシックでは定番セッティングの1つ photo:Makoto.AYANO
かなり厚手に巻かれたバーテープ。レバーとのクリアランスが非常に狭い photo:Makoto.AYANO
アッパーにシューレース用いたジロ EMPIREを使用するライダーも photo:Makoto.AYANO
マヴィックのロゴが貼られたタイヤは市販品にはないトレッドパターンを持つ photo:Makoto.AYANO
コンポーネントはシマノデュラエースがメインとされ、電動式の9070系か機械式の9000系かは選手によって分かれる。クランクセットはFSAを使用するが、ハイエンドのK-FORCEではなく、セカンドグレードSL-Kのアームに低価格帯のチェーンリングが組合せられていた。ハンドルは3Tで、バーテープが厚手に巻かれ、アシストレバーがアッセンブルされていた。ステム及びシートポストはルックのオリジナル。ペダルももちろんルックだ。
text:Yuya.Yamamoto
photo:Makoto.AYANO
ジャイアント・シマノ < ジャイアント DEFY ADVANCED SL>

ジョン・デゲンコルブ(ドイツ)が2位表彰台を獲得したジャイアント・シマノはロンド・ファン・フラーンデレンに続いてジャイアントのエンデュランスモデル「DEFY ADVANCED SL」を使用した。ただし、パーツアッセンブルは前週とは大きく異なっている。
コンポーネントは電動式のシマノ9070系デュラエースをメインに、ブレーキのみ旧型の7900系を使用した。前後共にブレーキケーブルの途中には、本来ダイレクトマウントブレーキに使用される張力解除用のアジャスターを配し、通常よりも幅広なタイヤを装着したホイールの着脱を容易としている。




ホイールはコンポーネントと同じくシマノ9000系デュラエースで、35mmハイトの「C35」で揃えられた。タイヤは複数種類が使用されており、いずれもロゴ無し。レイナード・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ)のバイクにはトラディショナルなラインと杉目を組み合わせたトレッドパターンのタイヤが、グリップを高めるために逆向きに貼られていた。
ハンドル周りはPROで固められ、ステムはジャイアントの特殊なコラム径に対応し、ハンドル固定ボルトの本数が市販品とは異なるプロ専用品のVIBEが使用された。サドルもPROが使用され、中にはかっちりとした乗り心地のTT用モデルAERO FUELを使用する選手も。ボトルケージはエリートの中でも特に固定力に優れるCUSSIE GELだ。
ティンコフ・サクソ < スペシャライズド S-Works Roubaix SL4 >



スペシャライズドのサポートを受けるティンコフ・サクソは、今大会の優勝バイクであるエンデュランスモデルのS-Works Roubaix SL4を使用した。コンポーネントやホイール、ハンドル周りなど、パーツアッセンブルの多くがオメガファーマ・クイックステップと共通している。
コンポーネントはスラムRED22をメインとし、リアディレーラーはロングゲージのWiFliタイプ、クランクはスペシャライズドオリジナルのFactカーボンクランクのアームにスラムRED22のチェーンリングという組合せだ。ホイールは45mmハイトのジップ 303 Firecrestで統一され、タイヤは北のクラシックでは定番のFMB・PARIS ROUBAIXの27mm幅がアッセンブルされている。




ハンドル周りはジップで統一され、ハンドルバー上部とステム上面には長々と大きくパヴェの位置が記されている。恐らく、今回メモ使用したチームの中では最も大きいだろう。サドルはプロロゴのサポートを受け、黄色と紺を組み合わせたチームカラーが供給されていた。ボトルケージはタックスの定番モデルであるTAOを使用し、紙やすりをケージとボトルの接触面に貼りつけることでボトルの固定力を高めていた。
ロット・ベリソル < リドレー X-Night、FENIX、HELIUM SL >



リドレーを使用するロット・ベリソルは、「HELIUM SL」と「FENIX」の2台に加え、世界選手権やワールドカップで使用されるシクロクロスバイク「X-Night」のパリ~ルーベエディションを使用した。カラーやシートステーがベンドしている点が通常モデルとの相違点であり、パリ~ルーベにかけるチームとバイクサプライヤーの情熱が垣間見える1台だ。
コンポーネントはサポートを受けるカンパニョーロのハイエンドモデル「SUPER RECORD」より電動式の「EPS」と機械式の「RS」の2種類を選手によって使い分けた。なお、X-NightはブレーキのみTRPとされ、ミニVブレーキのセカンドグレード「CR8.4」をアッセンブルした。

ホイールもコンポーネントと同じくカンパニョーロで、ハイトの異なるHYPERONとBORA35、BORA ULTRAの3種類を使い分けた。タイヤはモビスタ―と同じくセンターがスリック、サイドがヤスリ目という市販品には無いトレッドパターンを持つ28mm幅のコンチネンタルCOMPETITION PROLTDを使用した。
ハンドル周りはデダ・エレメンティで、各パーツとも信頼性を重視してアルミ製のZERO100シリーズが多くアッセンブルされていた。バーテープはグリップ力に優れるリザードスキンズを2重巻き。サドルはセラサンマルコ。ボトルケージはタックス TAOだ。
ユナイテッドヘルスケア < ウィリエール Cento 1 SR、Zero7 >



ロンドに続き2週連続のワイルドカードでの出場となったアメリカ籍のプロコンチネンタルチーム、ユナイテッドヘルスケア。既報の通り、今シーズンからイタリアのウィリェールからサポートを受け、パリ~ルーべにはオールラウンドモデル「Cento 1 SR」と軽量ヒルクライムモデル「Zero7」の2車種を持ち込んだ。
コンポーネントは機械式のシマノ9000系デュラエースで統一され、チェーンリングのみ市販品とは異なる表面処理が施されていた。過去、シマノは9000系登場以前に北のクラシックで開発用プロトタイプを投入したことがあったが、今回はテストではなく選手の要望に応えた特別な歯数であったためとのこと。




ホイールはコンポーネントと同じく9000系デュラ―エース。タイヤはアメリカ本国でも発売されていない25mm幅のマキシスCampioneがアッセンブルされていた。パリ~ルーベで使用するタイヤとしては細めであるものの、ロゴの完成度や、すでに発売されている23mm幅と共通のトレッドパターンを持つことから、市販へ向けた最終テスト段階とみて間違いないだろう。
ハンドル周りはリッチーで統一されるが、グレードはトップグレードのWCSとセカンドグレードのPROがミックスされる。サドルはフィジークのサポートを受け、快適性の高いVERSUS XシリーズやARIONE Triを選択する選手も見られた。ボトルケージはタックス TAOをアッセンブルし、他チームで多く見られた紙やすりでは無くタイラップを用いるというユニークな方法でボトルの固定力を強化。サイクルコンピューターはガーミンを使用し、マウントにはK-EDGEを用いていた。
コフィディス < ルック 675 >

ワイルドカードでのパリ~ルーベ出場を果たしたフランス籍の老舗プロコンチネンタルチーム、コフィディスは今シーズンも引き続きチームと同郷のルックを使用する。今回はレースでは「695 AEROLIGHT」に替わって、面一とされたトップチューブとステムが特徴的なセカンドグレード「675」を駆った。
パーツアッセンブルはフレンチブランドを多用していることが特徴だ。ホイールはマヴィックのプロ供給用スペシャルモデル「M40」を選択。普段はホイールと一体設計のマヴィック製タイヤを使用するものの、今回はデュガスの様なトレッドパターンを持つモデルをアッセンブルした。ボトルケージはゼファールだ。




コンポーネントはシマノデュラエースがメインとされ、電動式の9070系か機械式の9000系かは選手によって分かれる。クランクセットはFSAを使用するが、ハイエンドのK-FORCEではなく、セカンドグレードSL-Kのアームに低価格帯のチェーンリングが組合せられていた。ハンドルは3Tで、バーテープが厚手に巻かれ、アシストレバーがアッセンブルされていた。ステム及びシートポストはルックのオリジナル。ペダルももちろんルックだ。
text:Yuya.Yamamoto
photo:Makoto.AYANO
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