2009/07/26(日) - 08:56
超級山岳モンヴァントゥーにゴールするツール・ド・フランス第20ステージは、総合成績を決定づける最後の難関山岳ステージ。逃げに乗ったフアンマヌエル・ガラーテ(スペイン、ラボバンク)が優勝を飾り、シュレク兄弟の攻撃を防ぎきったアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)が総合首位を守った。
モンヴァントゥーでステージ初優勝を飾ったガラーテ
第96回ツール・ド・フランスの総合成績を決定づける最終日前日のモンヴァントゥー。プロヴァンスを見下ろすこの標高1912mの単独峰はカテゴリー超級に設定されており、瓦礫に覆われた独特の風貌も影響して、今大会の目玉ステージとして注目が集まった。
逃げ切り勝利を目指して序盤から飛び出したのは、総合ですでに遅れているトニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア・HTC)やフアンマヌエル・ガラーテ(スペイン、ラボバンク)、ホセイバン・グティエレス(スペイン、ケースデパーニュ)ら16名。
レース中盤にタイム差は10分30秒まで広がったが、アスタナとサクソバンクの集団コントロールによりレース後半にかけてタイム差は縮小を開始。残り50kmを切ってからのアスタナのペースアップによって、タイム差はグングン縮小した。
先頭グループは5分のリードを保ってモンヴァントゥーに突入。この上りは登坂距離21.1km・平均勾配7.6%。登坂時間が1時間に迫るため、5分は決して充分なタイム差ではない。本格的な上りが始まると先頭グループは崩壊し、先頭はガラーテとマルティンの2人に絞られた。
後方でメイン集団の選手たちが攻防を広げる中、ガラーテとマルティンは協力して瓦礫に覆われた禿げ山を駆け上がった。後方からマイヨアポワ(山岳賞ジャージ)を着るフランコ・ペッリツォッティ(イタリア、リクイガス)が飛び出して追撃したが、向かい風の強い上りでは先頭2人に有利。ペッリツォッティの追撃を振り切った2人によるステージ優勝争いが繰り広げられることに。
頂上まで1kmを残してガラーテがアタックして独走。しかし向かい風の強さにより失速し、マルティンが合流して最終ストレートにやってきた。
パリ〜ニースやツール・ド・スイスで山岳賞に輝くなど、TTスペシャリストからオールラウンダーへと進化しつつあるマルティン。しかしヒルクライム真っ向勝負ではピュアクライマーのガラーテに分があり、最終ストレートで先行したガラーテが両手を挙げてゴールに飛び込んだ。
33歳のベテラン山岳スペシャリストガラーテは、3つのグランツール全てでステージ優勝を達成。ロバート・ヘーシンク(オランダ)の序盤リタイアやデニス・メンショフ(ロシア)の失速など、調子の上がらないラボバンクに嬉しいステージ1勝目をもたらした。
Aシュレクの断続的にアタックにもコンタドール沈まず
メイン集団はサクソバンクとアスタナの強烈なペースアップによって、モンヴァントゥー突入時ですでに30名ほどに縮小。積極的に動いたのは、シュレク兄弟(ルクセンブルク)の総合ジャンプアップを狙うサクソバンクだ。
本格的な上りが始まるとニキとクリスアンケルの2人のセレンセン(デンマーク、サクソバンク)が集団のペースを上げ、シュレク兄弟の兄フランクのアタックを皮切りに総合争いが勃発。弟アンディが断続的にアタックを仕掛け、コンタドールとヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)のみがこれに食らいついた。
Aシュレクがハイペースを刻むマイヨジョーヌグループは、総合3位ランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ)や総合4位ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、ガーミン)、総合5位アンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)、総合6位Fシュレクらを突き放す勢いでモンヴァントゥーを駆け上がる。タイム差は40秒まで広がった。
しかしアタックと牽制で加減速を繰り返すAシュレクとコンタドールのペースは上がらず、一定ペースで走ったアームストロンググループが残り6kmでコンタドールらに合流。沿道に瓦礫の山肌が広がる向かい風の強い“モンヴァントゥーらしい上り”を前に、総合争いはフリダシに戻った。
Aシュレクの断続的なアタックはウィギンズとクレーデンが脱落させたが、マイヨジョーヌのコンタドールは沈まず。Aシュレクとコンタドールは最後まで離れず、ステージ優勝者から38秒遅れでゴール。自身2度目の総合優勝をほぼ手中に収めたコンタドールは、片手を突き上げてゴールに飛び込んだ。
守りの走りに徹したアスタナは、コンタドールが総合首位、アームストロングが総合3位をキープ。攻めに攻めたサクソバンクはFシュレクが総合順位を一つ上げたが、総合4位ウィギンズには3秒届かなかった。
日本人選手は別府史之(スキル・シマノ)が14分40秒遅れの92位。新城幸也(Bboxブイグテレコム)は25分49秒遅れのグルペット内でゴールした。ツール・ド・フランスも残すところ1ステージ。日本人選手初のツール完走を確実にした2人は、シャンゼリゼでの最後のチャンスにかける。
ツール・ド・フランス2009第20ステージ結果
1位 フアンマヌエル・ガラーテ(スペイン、ラボバンク)4h39'21"
2位 トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア・HTC)+03"
3位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)+38"
4位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)
5位 ランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ)+41"
6位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)+43"
7位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)+46"
8位 フランコ・ペッリツォッティ(イタリア、リクイガス)+56"
9位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)+58"
10位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、ガーミン)+1'03"
92位 別府史之(日本、スキル・シマノ)+14'40"
149位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)+25'49"
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)81h46'17"
2位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)+4'11"
3位 ランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ)+5'24"
4位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、ガーミン)+6'01"
5位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)+6'04"
6位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)+6'42"
7位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)+7'35"
8位 クリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン)+12'04"
9位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)+14'16"
10位 クリストフ・ルメヴェル(フランス、フランセーズデジュー)+14'25"
112位 別府史之(日本、スキル・シマノ)+2h54'54"
130位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)+3h16'44"
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ)260pts
3位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア・HTC)235pts
3位 ゲラルド・チオレック(ドイツ、ミルラム)148pts
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 フランコ・ペッリツォッティ(イタリア、リクイガス)210pts
2位 エゴイ・マルティネス(スペイン、エウスカルテル)135pts
3位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)126pts
マイヨブラン(新人賞)
1位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)81h50'28"
2位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)+3'24"
3位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)+10'05"
チーム総合成績
1位 アスタナ 243h56'04"
2位 ガーミン・スリップストリーム +22'35"
3位 サクソバンク +28'34"
第20ステージ敢闘賞
トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア・HTC)
モンヴァントゥーでステージ初優勝を飾ったガラーテ
第96回ツール・ド・フランスの総合成績を決定づける最終日前日のモンヴァントゥー。プロヴァンスを見下ろすこの標高1912mの単独峰はカテゴリー超級に設定されており、瓦礫に覆われた独特の風貌も影響して、今大会の目玉ステージとして注目が集まった。
逃げ切り勝利を目指して序盤から飛び出したのは、総合ですでに遅れているトニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア・HTC)やフアンマヌエル・ガラーテ(スペイン、ラボバンク)、ホセイバン・グティエレス(スペイン、ケースデパーニュ)ら16名。
レース中盤にタイム差は10分30秒まで広がったが、アスタナとサクソバンクの集団コントロールによりレース後半にかけてタイム差は縮小を開始。残り50kmを切ってからのアスタナのペースアップによって、タイム差はグングン縮小した。
先頭グループは5分のリードを保ってモンヴァントゥーに突入。この上りは登坂距離21.1km・平均勾配7.6%。登坂時間が1時間に迫るため、5分は決して充分なタイム差ではない。本格的な上りが始まると先頭グループは崩壊し、先頭はガラーテとマルティンの2人に絞られた。
後方でメイン集団の選手たちが攻防を広げる中、ガラーテとマルティンは協力して瓦礫に覆われた禿げ山を駆け上がった。後方からマイヨアポワ(山岳賞ジャージ)を着るフランコ・ペッリツォッティ(イタリア、リクイガス)が飛び出して追撃したが、向かい風の強い上りでは先頭2人に有利。ペッリツォッティの追撃を振り切った2人によるステージ優勝争いが繰り広げられることに。
頂上まで1kmを残してガラーテがアタックして独走。しかし向かい風の強さにより失速し、マルティンが合流して最終ストレートにやってきた。
パリ〜ニースやツール・ド・スイスで山岳賞に輝くなど、TTスペシャリストからオールラウンダーへと進化しつつあるマルティン。しかしヒルクライム真っ向勝負ではピュアクライマーのガラーテに分があり、最終ストレートで先行したガラーテが両手を挙げてゴールに飛び込んだ。
33歳のベテラン山岳スペシャリストガラーテは、3つのグランツール全てでステージ優勝を達成。ロバート・ヘーシンク(オランダ)の序盤リタイアやデニス・メンショフ(ロシア)の失速など、調子の上がらないラボバンクに嬉しいステージ1勝目をもたらした。
Aシュレクの断続的にアタックにもコンタドール沈まず
メイン集団はサクソバンクとアスタナの強烈なペースアップによって、モンヴァントゥー突入時ですでに30名ほどに縮小。積極的に動いたのは、シュレク兄弟(ルクセンブルク)の総合ジャンプアップを狙うサクソバンクだ。
本格的な上りが始まるとニキとクリスアンケルの2人のセレンセン(デンマーク、サクソバンク)が集団のペースを上げ、シュレク兄弟の兄フランクのアタックを皮切りに総合争いが勃発。弟アンディが断続的にアタックを仕掛け、コンタドールとヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)のみがこれに食らいついた。
Aシュレクがハイペースを刻むマイヨジョーヌグループは、総合3位ランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ)や総合4位ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、ガーミン)、総合5位アンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)、総合6位Fシュレクらを突き放す勢いでモンヴァントゥーを駆け上がる。タイム差は40秒まで広がった。
しかしアタックと牽制で加減速を繰り返すAシュレクとコンタドールのペースは上がらず、一定ペースで走ったアームストロンググループが残り6kmでコンタドールらに合流。沿道に瓦礫の山肌が広がる向かい風の強い“モンヴァントゥーらしい上り”を前に、総合争いはフリダシに戻った。
Aシュレクの断続的なアタックはウィギンズとクレーデンが脱落させたが、マイヨジョーヌのコンタドールは沈まず。Aシュレクとコンタドールは最後まで離れず、ステージ優勝者から38秒遅れでゴール。自身2度目の総合優勝をほぼ手中に収めたコンタドールは、片手を突き上げてゴールに飛び込んだ。
守りの走りに徹したアスタナは、コンタドールが総合首位、アームストロングが総合3位をキープ。攻めに攻めたサクソバンクはFシュレクが総合順位を一つ上げたが、総合4位ウィギンズには3秒届かなかった。
日本人選手は別府史之(スキル・シマノ)が14分40秒遅れの92位。新城幸也(Bboxブイグテレコム)は25分49秒遅れのグルペット内でゴールした。ツール・ド・フランスも残すところ1ステージ。日本人選手初のツール完走を確実にした2人は、シャンゼリゼでの最後のチャンスにかける。
ツール・ド・フランス2009第20ステージ結果
1位 フアンマヌエル・ガラーテ(スペイン、ラボバンク)4h39'21"
2位 トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア・HTC)+03"
3位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)+38"
4位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)
5位 ランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ)+41"
6位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)+43"
7位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)+46"
8位 フランコ・ペッリツォッティ(イタリア、リクイガス)+56"
9位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)+58"
10位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、ガーミン)+1'03"
92位 別府史之(日本、スキル・シマノ)+14'40"
149位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)+25'49"
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)81h46'17"
2位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)+4'11"
3位 ランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ)+5'24"
4位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、ガーミン)+6'01"
5位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)+6'04"
6位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)+6'42"
7位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)+7'35"
8位 クリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン)+12'04"
9位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)+14'16"
10位 クリストフ・ルメヴェル(フランス、フランセーズデジュー)+14'25"
112位 別府史之(日本、スキル・シマノ)+2h54'54"
130位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)+3h16'44"
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ)260pts
3位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア・HTC)235pts
3位 ゲラルド・チオレック(ドイツ、ミルラム)148pts
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 フランコ・ペッリツォッティ(イタリア、リクイガス)210pts
2位 エゴイ・マルティネス(スペイン、エウスカルテル)135pts
3位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)126pts
マイヨブラン(新人賞)
1位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)81h50'28"
2位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)+3'24"
3位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)+10'05"
チーム総合成績
1位 アスタナ 243h56'04"
2位 ガーミン・スリップストリーム +22'35"
3位 サクソバンク +28'34"
第20ステージ敢闘賞
トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア・HTC)
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