ティレーノ〜アドリアティコ最終個人TTで、元イタリアチャンピオンのアドリアーノ・マローリ(イタリア、モビスター)が最速タイムをマーク。ステージ29位のタイムにまとめたアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)が総合優勝を果たした。



トップタイムを叩き出したアドリアーノ・マローリ(イタリア、モビスター)トップタイムを叩き出したアドリアーノ・マローリ(イタリア、モビスター) photo:RCS Sport
第7ステージ コース高低図第7ステージ コース高低図 image:RCS Sport第7ステージ コースマップ第7ステージ コースマップ image:RCS Sport


ティレーノ〜アドリアティコを締めくくるのは今年もサンベネデット・デル・トロントを舞台にした個人タイムトライアルだ。海岸に沿った9.15kmの平坦&直線コースを駆け抜ける。

6秒差のステージ2位に入ったファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)6秒差のステージ2位に入ったファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング) photo:Riccardo Scanferla10分強の高出力&ハイスピードな短距離TTでトップタイムをマークしたのは、ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)でもブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)でも、トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)でもなく、今年からモビスターで走るマローリだった。

11秒差のステージ3位に入ったブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)11秒差のステージ3位に入ったブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) photo:Riccardo Scanferla9.15kmを平均スピード53.442km/h、10分13秒で駆け抜けたマローリがステージ優勝。マローリはここ数年でTTスペシャリストとして頭角を現した26歳で、2011年にイタリアTTチャンピオンに輝いている。昨年バイエルンルントファートで総合優勝という成績を残し、今季モビスターに移籍。すでにツール・ド・サンルイスの個人TTでシーズン初勝利を掴んでいる。

世界王者トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)は15秒差のステージ4位世界王者トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)は15秒差のステージ4位 photo:Riccardo Scanferlaマローリはランプレ所属時の2012年ジロ・デ・イタリアでマリアローザを着用。その際のフィニッシュ地点はサンベネデット・デル・トロントにほど近いポルト・サンテルピディオ(前日第6ステージのフィニッシュ地点)だった。「またこの地域にバカンスのために戻ってきたいと思う」と、縁起の良い場所での勝利を喜ぶマローリ。「この美しい場所は好運をもたらしてくれる。強力なスペシャリストたちの上に自分の名前があるなんて、本当にファンタスティックだ」。

マリアアッズーラを着て走るアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)マリアアッズーラを着て走るアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) photo:Riccardo Scanferlaマローリが目標に掲げるのは昨年8位だった世界選手権の個人TT。ピノッティが引退した今、コンスタントに世界選手権でトップ10に入るのはマローリしかいない。「今年の世界選手権では良い走りをしたいと思う。距離の長いTTは、グランツールでも経験豊かなマルティンやカンチェラーラ向き。将来的には彼らのように長いTTもこなせるスペシャリストになりたい」。

ステージ115位のタイムでレースを終えた新城幸也(日本、ユーロップカー)ステージ115位のタイムでレースを終えた新城幸也(日本、ユーロップカー) photo:Riccardo Scanferla最終走者のコンタドールはマローリから41秒差のステージ29位。総合2位のナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)から3秒を失うステージ成績に終わったが、総合首位を守りきるには充分だった。

ティレーノ〜アドリアティコ初制覇を果たしたコンタドールは「総合優勝したいという思いでこのレースに出場した。アレッツォのステージで6秒失ったのは痛かったけど、結果的には分差の勝利になった。いつもと違った方法で勝ちたいと思い、グアルディアレーレのステージの朝にロングエスケープの覚悟を決めた」と、勝負を決めた第5ステージを振り返る。

「観客もまた、いつもと違ったレースを待ち望んでいたと思う。決してイージーではないし、結果に繋がらない可能性もあったけど、ステージ2連勝で総合優勝を果たせて本当に良かった」と胸を撫で下ろした。パリ〜ニースとティレーノを制した選手は歴代5人目(ズートメルク、ロミンゲル、クレーデン、レベッリン、コンタドール)。

新城幸也(ユーロップカー)はステージ115位のタイムでまとめ、総合119位で7日間の闘いを終えた。「3週間ぶりのレースだったし、ヨーロッパでのレースは久しぶりだったから、特に追い込むこともなく、無理をすることもなく、感覚を取り戻す感じで走っていた。体調が万全ではなかったものの、第6ステージではスプリントに絡めたし、次に繋がるレースだったと思う」と振り返る。新城の次戦は「出たかったレースの一つ」というミラノ〜サンレモ。「チームからどのような指示が出るかわからないけど頑張りたい」とコメントしている。

選手コメントはレース公式リリースならびにTeamユキヤ通信より。



優勝の証である黄金の槍を掲げるアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)優勝の証である黄金の槍を掲げるアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) photo:RCS Sport


ティレーノ〜アドリアティコ2014第7ステージ結果
1位 アドリアーノ・マローリ(イタリア、モビスター)
2位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)
3位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)
4位 トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)
5位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・シマノ)
6位 アレックス・ダウセット(イギリス、モビスター)
7位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)
8位 マヌエル・クインツィアート(イタリア、BMCレーシング)
9位 ステイン・デヴォルデル(ベルギー、トレックファクトリーレーシング)
10位 ルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
115位 新城幸也(日本、ユーロップカー)
10'13"
+06"
+11"
+15"
+19"
+20"
+22"
+23"
+24"
+26"
+1'12"


個人総合成績
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
2位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
3位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、ティンコフ・サクソ)
4位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、AG2Rラモンディアール)
5位 ジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレックファクトリーレーシング)
6位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
7位 ロベルト・キセロフスキー(クロアチア、トレックファクトリーレーシング)
8位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)
9位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アスタナ)
10位 ミケル・ニエベ(スペイン、チームスカイ)
25h28'45"
+2'05"
+2'14"
+2'39"
+2'54"
+3'04"
+3'09"
+3'16"

+3'19"


ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)

山岳賞
マルコ・カノーラ(イタリア、バルディアーニCSF)

ヤングライダー賞
ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)

text:Kei Tsuji
photo:Riccardo Scanferla

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