2014/02/17(月) - 23:44
2月17日(日)、さいたまスーパーアリーナで開催された埼玉サイクリングショー(埼玉サイクルエキスポ)のステージにて、エキップアサダの浅田顕監督が率いる若手育成チーム『EQA U23(イーキューエー・ユーニジュウサン)』と『EQADS(エカーズ)』の2014年チームプレゼンテーションが行われた。
会場は前日までの降雪の影響で客足が鈍ることも心配されたが、日曜は18,000人の来場者を記録。チームプレゼンテーションの客席もほぼ埋まり、立ち見が出るほど。また普段の自転車関連イベントとは違い、客席には自転車ファン以外の客層も目立ち、チーム周知の一助にもなったようだ。
プレゼンテーションはエキップアサダの過去の実績を振り返る映像から始まり、その後、浅田顕監督と広報の山崎健一氏が登場。MC棚橋麻衣さんとの掛け合いで進行していった。
浅田監督は「選手育成の理念自体は設立当初と変わらない」と語る。プロ入りし、その先にあるツール・ド・フランスに出場し、そこで勝つ選手を育てること。
しかし昨年、多くのスポーツ選手やチームに、もう1つ大きな目標が加わった。それはもちろん、2020年の東京五輪だ。このチームに所属する選手達も、世代的に全盛期と重なる可能性が高く、今から地元大会でのメダル獲得を見据えた育成が必要だと浅田監督は語る。
浅田監督はまた、ツールと五輪、日本ナショナルチームとの関係についてこう話した。「東京五輪開催が決まったが、ツールと五輪は実は同じ場所にあると考えています。五輪や世界選を頂点とする日本ナショナルチームの活動に賛同し、全面協力で臨みます。」
EQA U23はかつて個別にヨーロッパの下部チームで走っていた若手選手達を、日本人チームとして環境を整えて欧州のレースを走らせることで、海外の指導者達からもより注目されるような状況を作り上げることも目的だと言う。実際にチーム発足元年の昨季は、チーム単位での参戦を行ったことで、埋没することなく、プロトンの中でのリスペクトも受けられるようになったそうだ。
そしていよいよ所属選手5名の登場。各選手が1人ずつ入場し、揃った後1人ずつ、本人のコメントも交えて紹介されていった。
最初の登場は、一丸尚伍(いちまる しょうご)。とりわけトラック競技で強さを見せつけており、アジア選手権2013の団体追い抜きで銀メダル、全日本トラック2013でスクラッチ優勝と、既にエリートクラスでトップクラスの成績を収めている。
2番手には、清水大己(しみず おおこ)。2013年ツール・ド・おきなわ(UCI1.2)でU23の選手の中でトップでゴール(エリート全体16位)し、U23最優秀選手として表彰されている。日本代表としてツール・ド・台湾などにも出場。
写真好きのロマンチストと紹介されて会場の笑いを誘ったのは、トレーニングの合間などに自身の一眼レフで写真を撮っていると言う面手利輝(おもて としき)。昨年フランスのレース、モントーバン~ラ・フランセーズで優勝しており、その実力はキャラクターだけではない。
新規加入した岡篤志も注目の選手だ。キャノンデール・チャンピオンシステムからの移籍となる。昨年も単身欧州へ渡っている期間があったが、かねてから「より本格的に欧州のレースを走りたい」と言う希望があり、浅田監督が将来性を感じとった上でチームへの加入が決定された。昨季はみやだクリテのユース2連覇達成、世界選手権ジュニアTTにも出場している。
ひときわ観衆から大きな喝采を受けていたのは、最後に登場した地元さいたま市出身の内野直也(うちの なおや)。浦和北高を卒業した内野は、昨年の全日本選手権ロードU23で6位、ジャパンカップに至ってはプロチーム参戦のエリートレースで27位と大健闘していたのが記憶に新しい。
続いて登場したのはエキップアサダのもう一つの育成チーム『EQADS』。こちらは2010年より発足したジュニア世代で、今季は7名が走る。萩原慎也、小山貴大、石上優大、渡辺歩、蠣崎優仁がまとまって入場(蠣崎藍道、橋詰丈は事情により欠席)。浅田監督に言わせると「黒いチーム(EQA U23)もやっつけてしまいそうなくらい勢いがある」とのこと。
確かに、全日本U17ロードチャンピオンの石上優大、全日本U17タイムトライアルチャンピオンの橋詰丈をはじめ、選手個々がジュニア世代のレースで実績を収めており、うかうかしているとU23の選手達も居場所を失ってしまうかもしれない。そしてまた、その事が両チームにおいて良い相乗効果を生んでいることも確かだ。
EQA U23の昨年を振り返って、寺崎武郎らが今季国内コンチネンタルチームへ昇格したこと、今季所属選手の大半が世代別の国内強化指定選手となっていることなど、発足1年目のチームとして目標はある程度達せられていると見て良いだろう。
今季のEQA U23所属は前述の通り5名。実際には6名の枠を設けており、まだ1枠空きがある状態。浅田監督は「上に行く力と気持ちのある選手でなければ無理に加入してもらう必要はないと考えています。しかし、我こそは、という選手は是非声をかけてほしい。」と呼びかけていた。
余談だが、初めて両チームの選手達を見た女性の観客からは「あの子かわいい!弟にしたい!」「わたしあの子がいいな!」と言った、さながらアイドルを見たかのような会話もチラホラ聞かれ、このチームの別のポテンシャルを見せてもらった気がした。
浅田監督とEQA U23の選手達はこの後2月21日にフランスへ渡り、今季最初の海外レース挑戦が始まる。
■EQA U23 2014年所属選手
一丸 尚伍(いちまる しょうご/北九州市)
清水 太己(しみず おおこ/東京都)
面手 利輝(おもて としき/神奈川県)
岡 篤志(おか あつし/茨城県)
内野 直也(うちの なおや/埼玉県)
■EQADS 2014年所属選手
萩原 慎也(はぎわら しんや/栃木県)
蠣崎 藍道(かきざき らんどう/静岡県)
小山 貴大(こやま たかひろ/群馬県)
橋詰 丈(はしづめ じょう/千葉県)
石上 優大(いしがみ まさひろ/神奈川県)
渡辺 歩(わたなべ あゆむ/福島県)
蠣崎 優仁(かきざき ゆうじん/静岡県)
※括弧内はふりがなと出身地
text&photo: Yuichiro Hosoda
会場は前日までの降雪の影響で客足が鈍ることも心配されたが、日曜は18,000人の来場者を記録。チームプレゼンテーションの客席もほぼ埋まり、立ち見が出るほど。また普段の自転車関連イベントとは違い、客席には自転車ファン以外の客層も目立ち、チーム周知の一助にもなったようだ。
プレゼンテーションはエキップアサダの過去の実績を振り返る映像から始まり、その後、浅田顕監督と広報の山崎健一氏が登場。MC棚橋麻衣さんとの掛け合いで進行していった。
浅田顕監督によるチーム理念と活動状況の説明
浅田監督は「選手育成の理念自体は設立当初と変わらない」と語る。プロ入りし、その先にあるツール・ド・フランスに出場し、そこで勝つ選手を育てること。
しかし昨年、多くのスポーツ選手やチームに、もう1つ大きな目標が加わった。それはもちろん、2020年の東京五輪だ。このチームに所属する選手達も、世代的に全盛期と重なる可能性が高く、今から地元大会でのメダル獲得を見据えた育成が必要だと浅田監督は語る。
浅田監督はまた、ツールと五輪、日本ナショナルチームとの関係についてこう話した。「東京五輪開催が決まったが、ツールと五輪は実は同じ場所にあると考えています。五輪や世界選を頂点とする日本ナショナルチームの活動に賛同し、全面協力で臨みます。」
EQA U23はかつて個別にヨーロッパの下部チームで走っていた若手選手達を、日本人チームとして環境を整えて欧州のレースを走らせることで、海外の指導者達からもより注目されるような状況を作り上げることも目的だと言う。実際にチーム発足元年の昨季は、チーム単位での参戦を行ったことで、埋没することなく、プロトンの中でのリスペクトも受けられるようになったそうだ。
そしていよいよ所属選手5名の登場。各選手が1人ずつ入場し、揃った後1人ずつ、本人のコメントも交えて紹介されていった。
EQA U23所属選手紹介
最初の登場は、一丸尚伍(いちまる しょうご)。とりわけトラック競技で強さを見せつけており、アジア選手権2013の団体追い抜きで銀メダル、全日本トラック2013でスクラッチ優勝と、既にエリートクラスでトップクラスの成績を収めている。
2番手には、清水大己(しみず おおこ)。2013年ツール・ド・おきなわ(UCI1.2)でU23の選手の中でトップでゴール(エリート全体16位)し、U23最優秀選手として表彰されている。日本代表としてツール・ド・台湾などにも出場。
写真好きのロマンチストと紹介されて会場の笑いを誘ったのは、トレーニングの合間などに自身の一眼レフで写真を撮っていると言う面手利輝(おもて としき)。昨年フランスのレース、モントーバン~ラ・フランセーズで優勝しており、その実力はキャラクターだけではない。
新規加入した岡篤志も注目の選手だ。キャノンデール・チャンピオンシステムからの移籍となる。昨年も単身欧州へ渡っている期間があったが、かねてから「より本格的に欧州のレースを走りたい」と言う希望があり、浅田監督が将来性を感じとった上でチームへの加入が決定された。昨季はみやだクリテのユース2連覇達成、世界選手権ジュニアTTにも出場している。
ひときわ観衆から大きな喝采を受けていたのは、最後に登場した地元さいたま市出身の内野直也(うちの なおや)。浦和北高を卒業した内野は、昨年の全日本選手権ロードU23で6位、ジャパンカップに至ってはプロチーム参戦のエリートレースで27位と大健闘していたのが記憶に新しい。
EQADS所属選手紹介
続いて登場したのはエキップアサダのもう一つの育成チーム『EQADS』。こちらは2010年より発足したジュニア世代で、今季は7名が走る。萩原慎也、小山貴大、石上優大、渡辺歩、蠣崎優仁がまとまって入場(蠣崎藍道、橋詰丈は事情により欠席)。浅田監督に言わせると「黒いチーム(EQA U23)もやっつけてしまいそうなくらい勢いがある」とのこと。
確かに、全日本U17ロードチャンピオンの石上優大、全日本U17タイムトライアルチャンピオンの橋詰丈をはじめ、選手個々がジュニア世代のレースで実績を収めており、うかうかしているとU23の選手達も居場所を失ってしまうかもしれない。そしてまた、その事が両チームにおいて良い相乗効果を生んでいることも確かだ。
EQA U23の選手が駆るアンカーRIS9
EQA U23の昨年を振り返って、寺崎武郎らが今季国内コンチネンタルチームへ昇格したこと、今季所属選手の大半が世代別の国内強化指定選手となっていることなど、発足1年目のチームとして目標はある程度達せられていると見て良いだろう。
今季のEQA U23所属は前述の通り5名。実際には6名の枠を設けており、まだ1枠空きがある状態。浅田監督は「上に行く力と気持ちのある選手でなければ無理に加入してもらう必要はないと考えています。しかし、我こそは、という選手は是非声をかけてほしい。」と呼びかけていた。
余談だが、初めて両チームの選手達を見た女性の観客からは「あの子かわいい!弟にしたい!」「わたしあの子がいいな!」と言った、さながらアイドルを見たかのような会話もチラホラ聞かれ、このチームの別のポテンシャルを見せてもらった気がした。
浅田監督とEQA U23の選手達はこの後2月21日にフランスへ渡り、今季最初の海外レース挑戦が始まる。
■EQA U23 2014年所属選手
一丸 尚伍(いちまる しょうご/北九州市)
清水 太己(しみず おおこ/東京都)
面手 利輝(おもて としき/神奈川県)
岡 篤志(おか あつし/茨城県)
内野 直也(うちの なおや/埼玉県)
■EQADS 2014年所属選手
萩原 慎也(はぎわら しんや/栃木県)
蠣崎 藍道(かきざき らんどう/静岡県)
小山 貴大(こやま たかひろ/群馬県)
橋詰 丈(はしづめ じょう/千葉県)
石上 優大(いしがみ まさひろ/神奈川県)
渡辺 歩(わたなべ あゆむ/福島県)
蠣崎 優仁(かきざき ゆうじん/静岡県)
※括弧内はふりがなと出身地
text&photo: Yuichiro Hosoda
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