ドバイの街中を駆け抜ける123kmで行なわれたドバイツアー(UCI2.1)最終ステージ。メカトラや落車に苦しむライバルたちを尻目に、マルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)が3勝目を掴む。宮澤崇史(ヴィーニファンティーニ・NIPPO)がスプリントで8位に絡んだ。



ドバイのダウンタウンを駆け抜けるドバイのダウンタウンを駆け抜ける photo:RCS Sport

ドバイツアー2014第4ステージ・コースマップドバイツアー2014第4ステージ・コースマップ photo:RCS Sportドバイの街中を駆け抜け、高さ830mのブルジュハリファ横にフィニッシュするドバイツアー第4ステージ。スプリンターのために用意されたコースで、再びキッテルがずば抜けたスプリント力を披露した。

逃げグループを形成するジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ティンコフ・サクソ)ら逃げグループを形成するジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ティンコフ・サクソ)ら photo:Tim de Waeleジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ティンコフ・サクソ)、ピエールパオロ・デネグリ(イタリア、ヴィーニファンティーニ・NIPPO)、フランシスコ・マンセボ(スペイン、スカイダイブドバイ)の序盤からの逃げが残り13kmで吸収されると、スプリンターチームが大挙して集団先頭へ。勝負に向けて加速する中、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)はチェーントラブルで後退、ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)は落車で戦線を離脱する。

テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング)自らがメイン集団を率いるテイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング)自らがメイン集団を率いる photo:Tim de Waeleトニ・マルティン(ドイツ)らオメガファーマ・クイックステップが強力にリードし、これにキャノンデールとジャイアント・シマノが対抗。最終的にジャイアント・シマノのトレインが主導権を握り、最高の形でキッテルを解き放った。

カヴェンディッシュに代わってスプリントしたマーク・レンショー(オーストラリア)やアンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)らの力をもってしても、先頭キッテルに並ぶことは出来ない。リードアウトとスプリントが噛み合ったキッテルが、3日連続でガッツポーズを繰り出した。

世界のトップスプリンターが集まる中でのスプリント3連勝。「オーストラリアからドバイにやってきて、全てのステージフィニッシュを試走した。それがアドバンテージになったと思う。ステージ3勝は素晴らしいチームワークの証拠。昨日のタフなステージで勝って、今日も勝つことが出来た。文句ないほど調子が良い」と、キッテルは喜びのコメントを残す。

「残りのシーズンに向けてこの上ない自信に繋がるよ。1つのレースに集中するオールラウンダーとは違い、スプリンターはシーズンを通して勝ち続けないといけない。最初の目標であったドバイツアーで成績を残すことが出来たので、次の目標に向けて気分良く家に帰りたい」。2014年もスプリント戦線の中心にはキッテルがいる。



スプリント3連勝で締めくくったマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)スプリント3連勝で締めくくったマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ) photo:RCS Sport


総合優勝に輝いたテイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング)総合優勝に輝いたテイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング) photo:Tim de Waeleそして初代ドバイツアー覇者の栄冠はテイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング)の手に。フィニーは初日の個人タイムトライアルで稼いだリードを一秒も失うことなく守りきった。2位にはチームメイトのスティーブ・クミングス(イギリス、BMCレーシング)、3位にはロンドン五輪オムニアムで金メダルを獲得し、今季からトップチームで走る21歳のラッセノーマン・ハンセン(デンマーク、ガーミン・シャープ)が入っている。

ゴール前のポジション争いで好位置につけていた宮澤崇史(ヴィーニファンティーニ・NIPPO)は8位。一桁フィニッシュをこう振り返る。「チームの目標はウィリーのジャージを守る事と、ステージ優勝。逃げにはチームからデネーグリが入り、チームとしては良い動きになった。(ウィリーの)スプリントジャージを確定させ、ゴールへ集中する。残り2kmまでチームのトレインは崩れる事無く進み、自分1人で前へあがり残り1km。ジャイアントシマノのトレインは速く、スプリントは一列棒状に。キッテルのスプリント力の強さの前に他の選手はなす術無いレースとなった」。

「体調、身体の動きも日々よくなっているので、寒いイタリアに帰って崩さないよう気をつけ次のレースを迎えたい」と宮澤はレース後にコメントしている。



ドバイツアー2014第4ステージ結果
1位 マルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)          2h41'09"
2位 マーク・レンショー(オーストラリア、オメガファーマ・クイックステップ)
3位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)
4位 ロベルト・フェラーリ(イタリア、ランプレ・メリダ)
5位 アレクサンドル・ポルセフ(ロシア、カチューシャ)
6位 ダニエーレ・ラット(イタリア、キャノンデール)
7位 ニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、ランプレ・メリダ)
8位 宮澤崇史(日本、ヴィーニファンティーニ・NIPPO)
9位 ルーカスセバスティアン・アエド(アルゼンチン、スカイダイブドバイ)
10位 フアンホセ・ロバト(スペイン、モビスター)
103位 石橋学(日本、ヴィーニファンティーニ・NIPPO)            +1'03"

個人総合成績
1位 テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング)           9h31'33"
2位 スティーブ・クミングス(イギリス、BMCレーシング)           +15"
3位 ラッセノーマン・ハンセン(デンマーク、ガーミン・シャープ)       +17"
4位 トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)      +23"
5位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)  +30"
6位 マルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)
7位 アドリアーノ・マローリ(イタリア、モビスター)             +37"
8位 マチェイ・ボドナール(ポーランド、キャノンデール)           +40"
9位 ペーター・ベリトス(スロバキア、BMCレーシングチーム)         +42"
10位 ディラン・ファンバールレ(オランダ、ガーミン・シャープ)

ポイント賞
マルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)

スプリント賞
ウィリー・スミット(南アフリカ、ヴィーニファンティーニ・NIPPO)

ヤングライダー賞
テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング)

チーム総合成績
BMCレーシング

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele, RCS Sport

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