2014/01/31(金) - 09:19
新体制で2014シーズンを迎えるブリヂストンアンカーサイクリングチーム。水谷壮宏監督の語る昨シーズンと、今年のメンバー構成の意図、そして今シーズンの方向性。ヨーロッパに加えアジアでの活動も視野に入れる。
― まずアンカーの監督として指揮をとった昨2013年シーズンは水谷監督にとってどういったものでしたか? ツール・ド・北海道とツール・ド・おきなわの勝利など、満足行くものでしたか?
実は就任1年目の昨年度シーズンはもの凄いプレッシャーがありました。”チームを立て直す”という大きな命題がありましたから。自分自身、やらなくてはいけないことはすべてやってきたつもりです。選手にも努力してもらい、諦めなかったことが最終的に結果につながったんだと思います。選手たちも、”やるべきことをやれば結果はついてくる”というのがわかったと思います。
― 満足の一年だったと。
去年は自分にとってテストのようなもの。その一年の経験を活かして、チームがもっと成長していくようにしたいですね。フランス人2人も、コミュニケーションの面で問題ないし、日本のレースの走り方も身につけてきた。昨年シーズンには「満足」です。
― 獲得した新人3人の人選は水谷監督自身で行ったものですか? そうであればどういう観点で彼らを選んだのでしょう?
内間康平は昨年のレースでの走りを見ていて、チームに是非欲しい第1人の選手でした。彼は格別でしたね。NIPPOではアシストとして走っていたんですが、スピードと、アシストとしてのセンスの良さ。レースで本当にアシストしなければいけないところで力を使っているので、”こいつは凄いな”って思いました。
そして走り方、体型、タイプ。今までアンカーに居なかった選手。内間にはこれからレベルアップしてもらい、アンカーを代表する選手になってもらいたいと期待しています。
寺崎武郎は若手のなかでいちばん欲しかった選手です。浅田顕EQA23監督のもとで走っていましたが、リーダーシップを取れるタイプの選手。人を引っ張れるということは、自分の管理もできるんです。
若い中ではいちばんオールラウンドに力を持っていると感じています。身体が出来上がっていて、これから能力をバランスよく発展させれば、レースに勝てる日は早く訪れると確信しています。
オールラウンドな力があり、スプリント力もあるので、逃げてスプリントを制することができるタイプの”勝てる選手”です。センスが有る。そして体型もいいバランスをしている。強い選手は自転車に乗っている姿がキレイなものですが、彼は乗り方も出来上がっている。『ヨーロッパのレースで力をつけてツール・ド・フランスを目指すチームに行く』という気持ちを持っている選手なので、意志の力も強い。
椿 大志はアンダーのTTチャンピオンなんです。TTに強いということは身体ポテンシャルが高いということ。年初のミーティングで『今年の全日本TTは勝ちます』と言ってくれましたから、『こいつはそういう自信を持てる、頼もしいタイプなんだ』と感じました。うまく行けば全日本を制することになると思います。
ー 椿選手は話していてユニークで楽しい。ムードメーカーな感じを受けました。
今はおとなしくしていますが、そのうち暴れだすかもしれませんね(笑)。選手はおとなしいだけではダメ、潰されますからね。威勢がいいほうがいいんです。楽しみですね。
3人の日本人選手が入ったことで、チーム全体がフレッシュになって、感じがいいですね。今のところは、ね(笑)。
ー 今シーズンの参戦レースについてはどういった年間計画でしょうか。
出場レースは昨年がベースになるんですが、アジアのレースにも参戦していきたい。それはアンカーのバイクの販売戦略というのも絡んでくるんですが、これから世界選、オリンピックとメジャーイベントが控えるなか、日本のチームとしてしっかりUCIポイントを獲得することも視野にレースプログラムを組みたいですね。
自分としてはレースが厳しいヨーロッパをメインで走っていたいという希望はあります。しかし今の現状を考えるとアジアのレースを走る必要性もあると思っています。
ー アジアのレースとは、具体的にどのレースに出場しますか?
いちばん望んでいたツール・ド・ランカウィへの招待は残念ながら叶いませんでした。今希望しているのはツアー・オブ・タイランド、ツール・ド・コリア、マレーシアのステージレースなど。アジアのレースで一勝できればと思います。
ー アンカーはフランス指向が強いのに、なぜアジアのレースにも向かうのでしょうか?
ヨーロッパのレースを走ることは大事です。しかしその選手が勝てるレースを経験させることも同じように大事なんです。毎回ヨーロッパのレースで揉まれながら経験を積めても、UCI1クラスのレースなどでは完走さえできないレースが続くことになる。そうするとトップクラスのレースで必要とされるスピードの感覚は身についても、それだけで終わってしまう。勝てるレースを入れることで、レースをつくる力を身につけさせる。
厳しいことばかりを課題にしても意味が無いんです。区間賞や総合成績を挙げていく方法を身につけさせるということは、厳しいレースを走ることと同様に大事なことです。
ー いつもチームプレイを意識していますね。
どんなに難しいレースであっても、いつでもレース中にチームプレイがうまく展開できるようにしておくことが大事です。指示がなくとも、完全に選手だけで動ける能力を身につけることが重要です。ヨーロッパでは難しくても、アジアのレースでは総合首位を取り、それを守るレースをする。そういったことが大事ですね。
ー 清水選手が大きな目標にしたい全日本選手権などは、チームプレイがしにくいレースに設定されることが近年多いようですが。
そこは悩みどころですが、どんな状況下にあってもチームで攻める走りができるようにならなくてはいけません。
2014年のチームバイク
photo&text:Makoto.AYANO
写真は1月の沖縄合宿でのチーム公式撮影によるもの。
― まずアンカーの監督として指揮をとった昨2013年シーズンは水谷監督にとってどういったものでしたか? ツール・ド・北海道とツール・ド・おきなわの勝利など、満足行くものでしたか?
実は就任1年目の昨年度シーズンはもの凄いプレッシャーがありました。”チームを立て直す”という大きな命題がありましたから。自分自身、やらなくてはいけないことはすべてやってきたつもりです。選手にも努力してもらい、諦めなかったことが最終的に結果につながったんだと思います。選手たちも、”やるべきことをやれば結果はついてくる”というのがわかったと思います。
― 満足の一年だったと。
去年は自分にとってテストのようなもの。その一年の経験を活かして、チームがもっと成長していくようにしたいですね。フランス人2人も、コミュニケーションの面で問題ないし、日本のレースの走り方も身につけてきた。昨年シーズンには「満足」です。
― 獲得した新人3人の人選は水谷監督自身で行ったものですか? そうであればどういう観点で彼らを選んだのでしょう?
内間康平は昨年のレースでの走りを見ていて、チームに是非欲しい第1人の選手でした。彼は格別でしたね。NIPPOではアシストとして走っていたんですが、スピードと、アシストとしてのセンスの良さ。レースで本当にアシストしなければいけないところで力を使っているので、”こいつは凄いな”って思いました。
そして走り方、体型、タイプ。今までアンカーに居なかった選手。内間にはこれからレベルアップしてもらい、アンカーを代表する選手になってもらいたいと期待しています。
寺崎武郎は若手のなかでいちばん欲しかった選手です。浅田顕EQA23監督のもとで走っていましたが、リーダーシップを取れるタイプの選手。人を引っ張れるということは、自分の管理もできるんです。
若い中ではいちばんオールラウンドに力を持っていると感じています。身体が出来上がっていて、これから能力をバランスよく発展させれば、レースに勝てる日は早く訪れると確信しています。
オールラウンドな力があり、スプリント力もあるので、逃げてスプリントを制することができるタイプの”勝てる選手”です。センスが有る。そして体型もいいバランスをしている。強い選手は自転車に乗っている姿がキレイなものですが、彼は乗り方も出来上がっている。『ヨーロッパのレースで力をつけてツール・ド・フランスを目指すチームに行く』という気持ちを持っている選手なので、意志の力も強い。
椿 大志はアンダーのTTチャンピオンなんです。TTに強いということは身体ポテンシャルが高いということ。年初のミーティングで『今年の全日本TTは勝ちます』と言ってくれましたから、『こいつはそういう自信を持てる、頼もしいタイプなんだ』と感じました。うまく行けば全日本を制することになると思います。
ー 椿選手は話していてユニークで楽しい。ムードメーカーな感じを受けました。
今はおとなしくしていますが、そのうち暴れだすかもしれませんね(笑)。選手はおとなしいだけではダメ、潰されますからね。威勢がいいほうがいいんです。楽しみですね。
3人の日本人選手が入ったことで、チーム全体がフレッシュになって、感じがいいですね。今のところは、ね(笑)。
ー 今シーズンの参戦レースについてはどういった年間計画でしょうか。
出場レースは昨年がベースになるんですが、アジアのレースにも参戦していきたい。それはアンカーのバイクの販売戦略というのも絡んでくるんですが、これから世界選、オリンピックとメジャーイベントが控えるなか、日本のチームとしてしっかりUCIポイントを獲得することも視野にレースプログラムを組みたいですね。
自分としてはレースが厳しいヨーロッパをメインで走っていたいという希望はあります。しかし今の現状を考えるとアジアのレースを走る必要性もあると思っています。
ー アジアのレースとは、具体的にどのレースに出場しますか?
いちばん望んでいたツール・ド・ランカウィへの招待は残念ながら叶いませんでした。今希望しているのはツアー・オブ・タイランド、ツール・ド・コリア、マレーシアのステージレースなど。アジアのレースで一勝できればと思います。
ー アンカーはフランス指向が強いのに、なぜアジアのレースにも向かうのでしょうか?
ヨーロッパのレースを走ることは大事です。しかしその選手が勝てるレースを経験させることも同じように大事なんです。毎回ヨーロッパのレースで揉まれながら経験を積めても、UCI1クラスのレースなどでは完走さえできないレースが続くことになる。そうするとトップクラスのレースで必要とされるスピードの感覚は身についても、それだけで終わってしまう。勝てるレースを入れることで、レースをつくる力を身につけさせる。
厳しいことばかりを課題にしても意味が無いんです。区間賞や総合成績を挙げていく方法を身につけさせるということは、厳しいレースを走ることと同様に大事なことです。
ー いつもチームプレイを意識していますね。
どんなに難しいレースであっても、いつでもレース中にチームプレイがうまく展開できるようにしておくことが大事です。指示がなくとも、完全に選手だけで動ける能力を身につけることが重要です。ヨーロッパでは難しくても、アジアのレースでは総合首位を取り、それを守るレースをする。そういったことが大事ですね。
ー 清水選手が大きな目標にしたい全日本選手権などは、チームプレイがしにくいレースに設定されることが近年多いようですが。
そこは悩みどころですが、どんな状況下にあってもチームで攻める走りができるようにならなくてはいけません。
2014年のチームバイク
photo&text:Makoto.AYANO
写真は1月の沖縄合宿でのチーム公式撮影によるもの。
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