全日本選手権から1週間、ほぼ全面泥コンディションのスポーツランドSUGOで開催されたTOHOKU CX Project 2013-2014第4戦は、小坂光(宇都宮ブリッツエンシクロクロス)と宮内佐季子(CLUBviento)がそれぞれ後続を引き離し、シリーズ2連勝を飾った。

コースはアップダウンに富む非常にテクニカルなものであったコースはアップダウンに富む非常にテクニカルなものであった photo:S.Oda(Kasukabe Vision FILMz)
今年2月に行われた最終戦でも利用されたスポーツランドSUGOの国際モトクロスコースには、来年の全日本選手権開催を想定したコースレイアウトが用意された。スタート地点は駐車場の平地に設けられ、スタートループを抜けると短い舗装路を下ってモトクロスコースへ突入する。路面は一部舗装路があるものの、そのほとんどは重たい泥。

コースはほぼ全てが激坂を含むアップダウンで構成されており、かつ細かい動きを擁するテクニカルセクションや、乗ってクリアできるかどうかでタイムが開くモトクロス用のコブなど、国内では他に類を見ないほど技術を要するものだ。

C2 大橋尚哉(bbs.xc.jp)が優勝C2 大橋尚哉(bbs.xc.jp)が優勝 photo:S.Oda(Kasukabe Vision FILMz)L1 実力通り圧勝した宮内佐季子(CLUBviento)L1 実力通り圧勝した宮内佐季子(CLUBviento) photo:S.Oda(Kasukabe Vision FILMz)


前日から降り始めた雪により、会場に着くと一面真っ白。朝の試走時間には雪と泥が入り混じるコンディションであったが、レースが進むにつれて湿った小雪も止み、路面は徐々に赤茶色が目立つ状態へと変わっていった。

まだ雪がちらつく中スタートしたC3は、元気よく飛び出した織田聖(mistral)がそのまま後続を大きく引き離して優勝。C2/Master/L1では、まず Masterの羽鳥和重(cycleclub 3UP)が途中チームメイトとの接戦を制してゴール、続いてC2は大橋尚哉(bbs.xc.jp)が優勝、L1は実力通り宮内佐季子(CLUBviento)が序盤から独走で勝利を収めた。

C1 スタートC1 スタート photo:S.Oda(Kasukabe Vision FILMz)
C1 序盤は横山航太(篠ノ井高校)がリードするシーンもC1 序盤は横山航太(篠ノ井高校)がリードするシーンも photo:S.Oda(Kasukabe Vision FILMz)そしてC1。スタートラインには信州クロスでお馴染みの選手達が並び接戦を予感させたが、小坂光と横山航太(篠ノ井高校)が2人で抜け出し、後続との差を見る間に開いていく展開に。1、2周目は横山が先行していたが、3周目に小坂が前に出るとそのまま独走態勢に。ミスなく順調に周回を刻んでいく小坂に対し、横山は終盤の2周回でペースを落とし、最終的には1分近く差を着け小坂が泥コースを制した。

C1 徐々に先頭2名の差は開いていくC1 徐々に先頭2名の差は開いていく photo:S.Oda(Kasukabe Vision FILMz)後続は、少し遅れて山田誉史輝(BIKE RANCH/DIRTFREAK)と小坂正則(スワコレーシングチーム)が続いていたが、小坂正則が次第に抜け出して3着に入った。前回このコースで圧勝した前田公平(TEAM SCOTT)は、1周目にサドルが落下するというアクシデントに見舞われ、追い上げを図ったものの7位。

C1 単独2位を走る横山航太(篠ノ井高校)C1 単独2位を走る横山航太(篠ノ井高校) photo:S.Oda(Kasukabe Vision FILMz)ゴール後の各選手はジャージの色がわからなくなるほど、頭の先からバイクまですっかり泥に覆われた。これほどまでの泥レースは国内では例が無く、参加者たちは泥の処理に追われつつも、どこか逆に楽しんでいるようにも見えた。


C1 後半、独走に持ち込んだ小坂光(宇都宮ブリッツエンシクロクロス)C1 後半、独走に持ち込んだ小坂光(宇都宮ブリッツエンシクロクロス) photo:S.Oda(Kasukabe Vision FILMz)小坂光「世界選に向けて気持ちを切り替えられた」
全日本選手権が終わって気持ちが切れていたので、あまり走れる自信はありませんでした。序盤から横山くんと2人になって、刺激を受けつつ集中して走れたので、そこからスイッチが入り最後まで気持ちよく走れました。ちょっと気持ちが沈んでいたのですが、今週から世界選手権に向けて頑張っていきたいです。

2位の横山航太
このコースは踏むポイントが無いので、ミスしないように心がけて走っていたのですが、離されてしまいました。その差を詰められないままラスト1周に入ったのですが、ミスが多くそこが悔やまれます。バイクが泥々になってしまったので換えておけばよかったと思いました。この後、年内は練習に充てます。しっかり乗り込んで、長い目で見るとロードシーズン、短い目で見ると世界選に向けて、しっかり身体を作っていきたいと思います。

C1 3位に入った小坂正則(スワコレーシングチーム)C1 3位に入った小坂正則(スワコレーシングチーム) photo:S.Oda(Kasukabe Vision FILMz)3位の小坂正則
今日はもう少し絡めるかと思いましたが、だいぶ離れてしまって全然ダメでしたね…。全日本の後は水曜日まで全く乗らず、木金、昨日とハードな練習をしてきたので、もう1回気合を入れ直そうと思います。昔 (信州クロス) はこのくらいの泥で自転車に乗れなくてずっと担ぎっぱなしみたいなレースをずっとやっていました。今日は20年ぶりの泥コースで楽しかったです。

優勝した小坂光(宇都宮ブリッツエンシクロクロス)優勝した小坂光(宇都宮ブリッツエンシクロクロス) photo:S.Oda(Kasukabe Vision FILMz)また、このモトクロスコースで来年の全日本選手権を行う予定ということなので、各選手にコースの感想も聞いてみた。

小坂光「やはりこういう泥のコンディションでレースをするというのは、世界で走る上でも必要な事。それを経験できる良い機会だし、とてもテクニカルで良いコースだと思います。あとはもう少しスピード感と踏む区間があると、本当の実力や強さが競える楽しいコースになるかと思います。」

横山航太「テクニックの差が出るのかなと思いますが、もうちょっと踏むところも増やせば足の差も出るのではないかと思います。」

小坂正則「所々気になるところはあるのですが、これだけのロケーションがあれば、もう少し細かいところは省略して、その分しっかり踏める所を作るほうがいいかなと思います。また、レースの後についても、選手にとってより良い環境を作ってもらえたら嬉しいですね。」

と、テクニカルなレイアウトと泥の面白さを評価しつつ、踏む区間を増やすと良いのではという共通の意見が聞かれた。しかし一方で、ここ3年間脚力を要するコースが続いた従来の全日本選手権と比較すれば、明らかにレースの性格が異なるはず。どのような戦いが繰り広げられるのか今から楽しみだ。

しかし、ここ3年間の脚力を要するコースと比較すれば、明らかに性格が異なるシクロクロスらしい戦いが繰り広げられる事が期待できる。

TOHOKU CX Project 2013-2014 第4戦 スポーツランドSUGO結果
C1 7周回
1位 小坂光(宇都宮ブリッツエンシクロクロス) 0:56:48
2位 横山航太(篠ノ井高校) +0:54
3位 小坂正則(スワコレーシングチーム) +3:56
4位 山田誉史輝(BIKE RANCH/DIRTFREAK) +6:18
5位 兼子博昭(スワコレーシングチーム) +8:02
6位 江下健太郎(TEAM HATO☆SUN) +8:28
7位 前田公平(TEAM SCOTT) +9:14
8位 竹田佳行(kei’spower!) -1Lap
9位 武井亨介(チーム・フォルツァ!) -1Lap
10位 佐野和矢(CLUB viento) -1Lap

C2 4周回
1位 大橋尚哉(bbs.xc.jp) 0:39:24
2位 児玉敬介(オンザロード) +1:09
3位 柴田航(showa racing factory) +1:41

C3 3周回
1位 織田聖(mistral) 0:27:26
2位 目黒太規(仙台高専) +1:26
3位 勝田鉄心 +2:34

L1 4周回
1位 宮内佐季子(CLUBviento) 0:41:50
2位 武田和佳(Team CHAINRING) +1:41
3位 橋口陽子(TEAM 轍屋) -1Lap

Master 4周回
1位 羽鳥和重(cycleclub 3UP) 0:39:17
2位 小岩浩(Celeste 轟座RC) +0:28
3位 浅井秀樹(cycleclub 3UP) +0:44


text:Alisa.Okazaki
photo:S.Oda(Kasukabe Vision FILMz)


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