2009/07/19(日) - 11:44
アルプス山脈突入前最後の平坦コースで行なわれたツール・ド・フランス第14ステージは、序盤から形成された12名の先頭グループから残り11kmで飛び出したセルゲイ・イワノフ(ロシア、カチューシャ)が独走勝利。同じく逃げに乗ったジョージ・ヒンカピー(アメリカ、チームコロンビア・HTC)はマイヨジョーヌに5秒届かなかった。
ヒンカピーを含む12名の逃げ決まる
コース中盤に2つの3級山岳が設定された第14ステージは、集団スプリント向きの平坦ステージ。翌日から本格的なアルプスステージが始まるため、残り数少ないチャンスを狙ってスプリンターたちが奮起すると思われた。
この日はスタートからゴールまで、ずっと雨が降ったり止んだりの気まぐれな天候。スタート直後からのアタック合戦で、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア・HTC)やイェンス・フォイクト(ドイツ、サクソバンク)を含む14名の先頭グループが形成された。
カヴェンディッシュはスプリントポイントを狙って逃げに乗ったが、集団が容認する気配を見せなかったため先頭グループ離脱を選択。パンクによりストップしたベテランのフォイクトは、チームカー不在のためそのままメイン集団に吸収された。
最終的に逃げを決めたのは12名の選手たち。ゲラルド・チオレック(ドイツ、ミルラム)やダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、リクイガス)、マルティン・マースカント(オランダ、ガーミン)を含む脚の揃った逃げで、総合28位・5分25秒遅れのヒンカピーもこの逃げに乗った。
タイム差はすぐさま6分まで広がり、マイヨジョーヌはヴァーチャルでヒンカピーの手に。多くのスプリンターチームが逃げに選手を送り込んだため、メイン集団のコントロールは総合2位&3位&5位を擁するアスタナが担った。
ゴールまで70kmを残してタイム差が8分まで拡大すると、リナルド・ノチェンティーニ(イタリア)のマイヨジョーヌを守りたいアージェードゥーゼルが集団コントロールを開始。しかしこれは逃げを捉えるための動きではなく、ヒンカピーとのタイム差を詰めるための動き。スプリンターチームがこれに協力しなかったため、12名の逃げ切りが決まった。
独走したロシアチャンピオン
逃げグループは、人生2度目のマイヨジョーヌ着用を目指すヒンカピーが懸命に牽いた。逃げ切りが確定的になった残り12km地点でこの逃げグループから真っ先にアタックを仕掛けたのはマースカント。このアタックをきっかけに逃げグループ内の協調体制が崩れ、アタック合戦の末に残り11km地点でイワノフが飛び出した。
独走態勢に入ったイワノフは、勢いのある走りでラスト11kmを駆け抜けた。後方ではカウンターアタックが続いたが、いずれも決まらずローテーションも回らない。ロシアチャンピオンジャージを着るイワノフの勢いは最後まで途絶えず、後続を16秒引き離したままゴール。雨が上がり、太陽が照らし出すゴールに両手を挙げて飛び込んだ。
イワノフは2001年以来2度目のツールステージ優勝。今シーズンアムステル・ゴールドレース制覇、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ5位、6度目のロシア選手権制覇など波に乗っている現ロシアチャンピオンが、カチューシャに念願のステージ1勝目をもたらした。
ヒンカピーを含む追走グループは16秒遅れでゴール。ヒンカピーは総合成績5分25秒遅れのため、メイン集団が5分41秒遅れでゴールすればマイヨジョーヌはヒンカピーの手に渡る。
ゴールポイントを狙うスプリンターチームがペースを上げたメイン集団は、5分36秒遅れでゴールに飛び込んだ。結局ヒンカピーはマイヨジョーヌに5秒届かずに総合2位。リナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル)がこの日も辛うじて総合首位の座を守った。
ヒンカピーの他にも、逃げに乗ったクリストフ・ルメヴェル(フランス、フランセーズデジュー)が総合5位に浮上している。
ステージ13位(13ポイント獲得)を狙った集団スプリント勝負は、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア・HTC)に軍配。しかし14位でゴールしたトル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ)の進路を妨げたとして、レース後にカヴェンディッシュの降格処分が決定した。これによりフースホフトが13ポイントを獲得し、カヴェンディッシュの獲得ポイントはゼロ。フースホフトがマイヨヴェールのリードを広げる結果となった。
日本人選手は2人ともメイン集団内でゴール。新城幸也(Bboxブイグテレコム)が84位、別府史之(スキル・シマノ)が86位でそれぞれレースを終えている。
ツール・ド・フランスはピレネー〜アルプス間の“つなぎステージ”を終え、ついにアルプスに突入する。翌第15ステージはスイスに入国し、標高1468mに位置するスイスアルプス有数のスキーリゾート1級山岳ヴェルビエを駆け上がってゴール。いよいよマイヨジョーヌ争いは後半戦に突入する。
ツール・ド・フランス2009第14ステージ結果
1位 セルゲイ・イワノフ(ロシア、カチューシャ)4h37'46"
2位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、アージェードゥーゼル)+16"
3位 ヘイデン・ロールストン(ニュージーランド、サーヴェロ)
4位 マルティン・マースカント(オランダ、ガーミン)
5位 セバスティアン・ミナール(フランス、コフィディス)
6位 ダニエーレ・リーギ(イタリア、ランプレ)
7位 クリストフ・ルメヴェル(フランス、フランセーズデジュー)
8位 ジョージ・ヒンカピー(アメリカ、チームコロンビア・HTC)
9位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、リクイガス)
10位 ゲラルド・チオレック(ドイツ、ミルラム)+22"
11位 アルバート・ティマー(オランダ、スキル・シマノ)+26"
12位 フレデリック・ヴィレムス(ベルギー、リクイガス)+3'41"
13位 トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ)+5'36"
84位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)
86位 別府史之(日本、スキル・シマノ)
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 リナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル)58h13'52"
2位 ジョージ・ヒンカピー(アメリカ、チームコロンビア・HTC)+05"
3位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)+06"
4位 ランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ)+08"
5位 クリストフ・ルメヴェル(フランス、フランセーズデジュー)+43"
6位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、ガーミン)+46"
7位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)+54"
8位 トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア・HTC)+1'00"
9位 クリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン)+1'24"
10位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)+1'49"
141位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)+1h34'57"
145位 別府史之(日本、スキル・シマノ)+1h36'42"
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ)218pts
3位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア・HTC)200pts
3位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、ケースデパーニュ)126pts
45位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)30pts
74位 別府史之(日本、スキル・シマノ)18pts
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 フランコ・ペッリツォッティ(イタリア、リクイガス)98pts
2位 エゴイ・マルティネス(スペイン、エウスカルテル)95pts
3位 ブリース・フェイユ(フランス、アグリチュベル)64pts
マイヨブラン(新人賞)
1位 トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア・HTC)58h14'52"
2位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)+49"
3位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)+54"
チーム総合成績
1位 アージェードゥーゼル 173h02'28"
2位 ミルラム +16"
3位 チームコロンビア・HTC +4'45"
第14ステージ敢闘賞
マルティン・マースカント(オランダ、ガーミン)
ヒンカピーを含む12名の逃げ決まる
コース中盤に2つの3級山岳が設定された第14ステージは、集団スプリント向きの平坦ステージ。翌日から本格的なアルプスステージが始まるため、残り数少ないチャンスを狙ってスプリンターたちが奮起すると思われた。
この日はスタートからゴールまで、ずっと雨が降ったり止んだりの気まぐれな天候。スタート直後からのアタック合戦で、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア・HTC)やイェンス・フォイクト(ドイツ、サクソバンク)を含む14名の先頭グループが形成された。
カヴェンディッシュはスプリントポイントを狙って逃げに乗ったが、集団が容認する気配を見せなかったため先頭グループ離脱を選択。パンクによりストップしたベテランのフォイクトは、チームカー不在のためそのままメイン集団に吸収された。
最終的に逃げを決めたのは12名の選手たち。ゲラルド・チオレック(ドイツ、ミルラム)やダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、リクイガス)、マルティン・マースカント(オランダ、ガーミン)を含む脚の揃った逃げで、総合28位・5分25秒遅れのヒンカピーもこの逃げに乗った。
タイム差はすぐさま6分まで広がり、マイヨジョーヌはヴァーチャルでヒンカピーの手に。多くのスプリンターチームが逃げに選手を送り込んだため、メイン集団のコントロールは総合2位&3位&5位を擁するアスタナが担った。
ゴールまで70kmを残してタイム差が8分まで拡大すると、リナルド・ノチェンティーニ(イタリア)のマイヨジョーヌを守りたいアージェードゥーゼルが集団コントロールを開始。しかしこれは逃げを捉えるための動きではなく、ヒンカピーとのタイム差を詰めるための動き。スプリンターチームがこれに協力しなかったため、12名の逃げ切りが決まった。
独走したロシアチャンピオン
逃げグループは、人生2度目のマイヨジョーヌ着用を目指すヒンカピーが懸命に牽いた。逃げ切りが確定的になった残り12km地点でこの逃げグループから真っ先にアタックを仕掛けたのはマースカント。このアタックをきっかけに逃げグループ内の協調体制が崩れ、アタック合戦の末に残り11km地点でイワノフが飛び出した。
独走態勢に入ったイワノフは、勢いのある走りでラスト11kmを駆け抜けた。後方ではカウンターアタックが続いたが、いずれも決まらずローテーションも回らない。ロシアチャンピオンジャージを着るイワノフの勢いは最後まで途絶えず、後続を16秒引き離したままゴール。雨が上がり、太陽が照らし出すゴールに両手を挙げて飛び込んだ。
イワノフは2001年以来2度目のツールステージ優勝。今シーズンアムステル・ゴールドレース制覇、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ5位、6度目のロシア選手権制覇など波に乗っている現ロシアチャンピオンが、カチューシャに念願のステージ1勝目をもたらした。
ヒンカピーを含む追走グループは16秒遅れでゴール。ヒンカピーは総合成績5分25秒遅れのため、メイン集団が5分41秒遅れでゴールすればマイヨジョーヌはヒンカピーの手に渡る。
ゴールポイントを狙うスプリンターチームがペースを上げたメイン集団は、5分36秒遅れでゴールに飛び込んだ。結局ヒンカピーはマイヨジョーヌに5秒届かずに総合2位。リナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル)がこの日も辛うじて総合首位の座を守った。
ヒンカピーの他にも、逃げに乗ったクリストフ・ルメヴェル(フランス、フランセーズデジュー)が総合5位に浮上している。
ステージ13位(13ポイント獲得)を狙った集団スプリント勝負は、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア・HTC)に軍配。しかし14位でゴールしたトル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ)の進路を妨げたとして、レース後にカヴェンディッシュの降格処分が決定した。これによりフースホフトが13ポイントを獲得し、カヴェンディッシュの獲得ポイントはゼロ。フースホフトがマイヨヴェールのリードを広げる結果となった。
日本人選手は2人ともメイン集団内でゴール。新城幸也(Bboxブイグテレコム)が84位、別府史之(スキル・シマノ)が86位でそれぞれレースを終えている。
ツール・ド・フランスはピレネー〜アルプス間の“つなぎステージ”を終え、ついにアルプスに突入する。翌第15ステージはスイスに入国し、標高1468mに位置するスイスアルプス有数のスキーリゾート1級山岳ヴェルビエを駆け上がってゴール。いよいよマイヨジョーヌ争いは後半戦に突入する。
ツール・ド・フランス2009第14ステージ結果
1位 セルゲイ・イワノフ(ロシア、カチューシャ)4h37'46"
2位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、アージェードゥーゼル)+16"
3位 ヘイデン・ロールストン(ニュージーランド、サーヴェロ)
4位 マルティン・マースカント(オランダ、ガーミン)
5位 セバスティアン・ミナール(フランス、コフィディス)
6位 ダニエーレ・リーギ(イタリア、ランプレ)
7位 クリストフ・ルメヴェル(フランス、フランセーズデジュー)
8位 ジョージ・ヒンカピー(アメリカ、チームコロンビア・HTC)
9位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、リクイガス)
10位 ゲラルド・チオレック(ドイツ、ミルラム)+22"
11位 アルバート・ティマー(オランダ、スキル・シマノ)+26"
12位 フレデリック・ヴィレムス(ベルギー、リクイガス)+3'41"
13位 トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ)+5'36"
84位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)
86位 別府史之(日本、スキル・シマノ)
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 リナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル)58h13'52"
2位 ジョージ・ヒンカピー(アメリカ、チームコロンビア・HTC)+05"
3位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)+06"
4位 ランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ)+08"
5位 クリストフ・ルメヴェル(フランス、フランセーズデジュー)+43"
6位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、ガーミン)+46"
7位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)+54"
8位 トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア・HTC)+1'00"
9位 クリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン)+1'24"
10位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)+1'49"
141位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)+1h34'57"
145位 別府史之(日本、スキル・シマノ)+1h36'42"
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ)218pts
3位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア・HTC)200pts
3位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、ケースデパーニュ)126pts
45位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)30pts
74位 別府史之(日本、スキル・シマノ)18pts
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 フランコ・ペッリツォッティ(イタリア、リクイガス)98pts
2位 エゴイ・マルティネス(スペイン、エウスカルテル)95pts
3位 ブリース・フェイユ(フランス、アグリチュベル)64pts
マイヨブラン(新人賞)
1位 トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア・HTC)58h14'52"
2位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)+49"
3位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)+54"
チーム総合成績
1位 アージェードゥーゼル 173h02'28"
2位 ミルラム +16"
3位 チームコロンビア・HTC +4'45"
第14ステージ敢闘賞
マルティン・マースカント(オランダ、ガーミン)
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