今年は暖かな天候に恵まれた長良川クリテ。1回の申し込みで最大4レースに出られるお得な大会の最終レースは吉岡直哉(丸高水産)が優勝。そしてマトリックスから離れるメンバーも参加した2日間。

サイクルロードレース協会(CRRA西日本)が主催するチャレンジリーグの年間最終戦は11月30日、12月1日の「冬の長良川クリテ」。岐阜県国営木曽三川公園長良川サービスセンター前が会場の大会は冷たい北風との戦いだが、今年は温暖で風も弱く絶好の自転車日和の2日間に。

チームTT 表彰チームTT 表彰 photo:Hideaki TAKAGI
TTバイクがざっと半数。気合が入るTTバイクがざっと半数。気合が入る photo:Hideaki TAKAGI大会参加条件はJCFなどの登録有無は問わず、レベルに応じたクラス分け、決勝戦であるネックス杯、そしてクリテリウム申込者ならば先着で走れる個人TTがある。初日はチームTTとエンデューロだ。大会の特徴はクリテリウムへ申し込めば、個人TTが無料でそして勝ち進めばネックス杯ラウンド1or2さらにラウンド3の合計最大4レース出られることだ。5000円で4レースとお徳感が非常に高い。
TTT優勝のT-cars cycling teamTTT優勝のT-cars cycling team photo:Hideaki TAKAGI

チーム・タイムトライアル 12.9km
4.3kmを3周する12.9kmでメンバーは3~4名、出場者のほとんどはDHバーやディスクホイールなどのTT対策をしている。そして驚くことに半数近くはフレームまでがTT専用バイクであること。機材を揃える楽しみもあって毎年確実に増えている。もちろん優勝したT-cars cycling teamは4人全員がTTバイク。

1位 T-cars cycling team(堤、村田、後藤、森住)17分30秒
2位 ACCEL&自転車道(吉川、加藤、袴田、福田)+32秒
3位 Team ARI猿(油谷、北澤、保高、安江)+46秒
60分エンデューロ 表彰60分エンデューロ 表彰 photo:Hideaki TAKAGI

60分エンデューロ
マトリックスパワータグのメンバーがレースを安全にコントロールし平均時速40キロオーバーで集団のまま推移。終盤でも20人ほどの先頭集団のまま。ゴールは加藤善光(鷹組)が追いすがる鈴木快彰を振り切って優勝。10周43kmを走りぬいた。

1位 加藤善光(鷹組)10周 1時間02分35秒
2位 鈴木快彰 
3位 安藤貴史(鷹組)+3秒

個人タイムトライアル 3km
クリテリウム参加者のうち希望者先着50名が参加できるレース。10歳の小学生から参加、高校生以上年代のじつに半数がTTバイク。後輪ディスクは当たり前。3kmを3分33秒でダントツ1位は小西優大(岩井商会レーシング)。平均時速50キロオーバーで優勝。

1位 小西優大(岩井商会レーシング)3分33秒309
2位 池浦伸憲(鷹組)+12秒
3位 後藤真一(T-cars cycling team)+13秒

個人TT 優勝の小西優大(岩井商会レーシング)個人TT 優勝の小西優大(岩井商会レーシング) photo:Hideaki TAKAGIスポーツⅠ ゴール前スポーツⅠ ゴール前 photo:Hideaki TAKAGI

スポーツⅠ 18km
上から2番目のクラスがスポーツⅠ。中盤で鈴木快彰が逃げるが吸収され集団スプリントへ。これを森俊夫(EURO-WORKS Racing)が制し優勝。

1位 森俊夫(EURO-WORKS Racing)26分04秒
2位 池田朋介(ミソノイレーシングチーム)+01秒
3位 池本揚亮(岩井商会レーシング)

ネックス杯ラウンド1 6.5km
ビギナーⅠ、Ⅱの各2組上位10名の計40名で行われるのがネックス杯ラウンド1。1周0.65kmのショートコースを使うためすべての展開を見ることができる。中盤で飛び出した福田佑紀(日東電工CC)が逃げ切って優勝。上位15位までがラウンド3に進める。

1位 福田佑紀(日東電工CC)9分39秒
2位 木村直司 +14秒
3位 大沼秀人(TeamDTK)+15秒

ネックス杯ラウンド1 逃げた福田佑紀(日東電工CC)が優勝ネックス杯ラウンド1 逃げた福田佑紀(日東電工CC)が優勝 photo:Hideaki TAKAGIネックス杯ラウンド2 鈴木快彰が優勝ネックス杯ラウンド2 鈴木快彰が優勝 photo:Hideaki TAKAGI

ネックス杯ラウンド2 6.5km
スポーツⅠとスポーツⅡ2組の上位13名計39名でのレースがラウンド2。ラウンド1と同様の展開で、中盤に単独抜け出した鈴木快彰が逃げ切って優勝。この上位15名までがラウンド3へ。

1位 鈴木快彰9分23秒
2位 前田真吾(まんま-AO・HANI CYCLING TEAM)+06秒
3位 谷口敦史(ぼらC.C)

エリート
 36km
クラス別では最上級者になるのがこのエリート。実業団や学連で活躍する選手たちが集まる。活発なアタックが繰り出されるがどれも決まらず集団でのゴールへ。これを小西優大(岩井商会レーシング)が制し、この日は個人TTに続いて2勝目。

1位 小西優大(岩井商会レーシング)51分37秒
2位 吉岡直哉(丸高水産)+02秒
3位 所司純一(C・C・じゃがいも)

エリート ゴールエリート ゴール photo:Hideaki TAKAGIネックス杯ラウンド3 最終レースに集まった猛者たちネックス杯ラウンド3 最終レースに集まった猛者たち photo:Hideaki TAKAGI


ネックス杯ラウンド3 6.5km
エリート、ネックス杯ラウンド1と2の各上位15位まで計45名出走が、最終レースで頂上決戦のラウンド3。スタートと同時にアタックをかけたのは吉岡直哉(丸高水産)。これに2名が追いつくがふたたび吉岡単独となって逃げ続ける。メイン集団からも追う動きがあるが集団へ戻り、吉岡がなんとスタートから逃げ切って優勝。

1位 吉岡直哉(丸高水産)9分02秒
2位 所司純一(C・C・じゃがいも)+12秒
3位 野村侑希(GYRO RACING)+13秒

「父の会社の名前で出て恩返しを」優勝の吉岡直哉

ネックス杯ラウンド3 吉岡直哉(丸高水産)が独走するネックス杯ラウンド3 吉岡直哉(丸高水産)が独走する photo:Hideaki TAKAGIラウンド3で優勝の吉岡は、京都産業大学で走る学生選手権ロードでも優勝経験のある学連トップ選手の一人。この日は父の会社の名前で出走した。
「周回が短く先頭交代もうまくできないようなコースなので、ならば最初から逃げようと。それがうまく決まりました。この一ヶ月は独走の練習をしていたのでその通りになりました」と嬉しさを語る。
ネックス杯ラウンド3 吉岡直哉(丸高水産)が逃げ切り優勝ネックス杯ラウンド3 吉岡直哉(丸高水産)が逃げ切り優勝 photo:Hideaki TAKAGI
「今まで大学で4年間活動してきましたが、それは父からの資金提供での活動でした。親父に今日優勝して恩返しをしたかったので、父親の会社の名前で出ました。4年前この長良川のレースで6位でしたが、最後の最後に父親の前で結果を出せました」と当日応援にきていた父の前での優勝を語る。

「大学での1年目はうまくいったが2年目はダメで、でも3年目で学生選手権とクリテリウムで優勝できて、4年目もアクシデントは多かったが修善寺カップ連勝など結果を出せました。3年のときに学生選手権を取れたのは自信になっています。大学で仲間と走っていい思い出と経験になりました。京都産業大学に入って自転車に出会えて、そして秋田監督と山岸コーチに出会っていなかったら今の自分はないです」と大学での4年間を振り返る。吉岡は来年、ベルギーを拠点に活動する予定だ。

マトリックスパワータグの体制は

マトリックスパワータグチームを離れる4人。左から向川、小牧、池部、藤岡マトリックスパワータグチームを離れる4人。左から向川、小牧、池部、藤岡 photo:Hideaki TAKAGI最終表彰式の前にマトリックスメンバーの4人が壇上に上がる。安原昌弘監督からとユーモアと愛情のある紹介で上がった4人は、2013年でチームを離れるメンバー。向川尚樹、小牧佑也、藤岡徹也は別チームへ。ただし向川と小牧は引き続いてマトリックスのイベント会場では会える。

そして池部壮太はヨーロッパを拠点に活動する予定。「マトリックスで2年間走らせてもらって感謝しています。特に今年の北海道はマリウスやビセンテと話しながらチームのために走れて、きつかったけれども同時に面白かったです」と20歳の池部は語る。

「外国人選手からレースに対する心構えや実際の戦い方を、近くにいることで若い選手が吸収してくれたら」と、安原監督はチームに外国人選手を採用する理由を語る。まさに池部がその事例だ。2014年は引き続いて外国人選手を複数名登録、そして大学と高校の新卒者合計3名が加入予定だ。

photo&text:高木秀彰

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