2013/10/05(土) - 11:40
昨年、開催時期を早めたイル・ロンバルディア(UCIワールドツアー)が10月6日に開催される。ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)やホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)ら、世界選手権で好調をアピールした選手が揃う名物レースのプレビュー。
最大勾配27%の「ソルマーノの壁」再び登場
今年で開催107回目を迎えるイル・ロンバルディア(ジロ・ディ・ロンバルディア)。第1回大会が開催されたのは1905年のこと。ミラノ〜サンレモ(1907年〜)、ロンド・ファン・フラーンデレン(1913年〜)、パリ〜ルーベ(1896年〜)、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ(1892年〜)と並んで「モニュメント」と称される伝統の一戦だ。
長年にわたって10月中旬に開催され、「落ち葉のクラシック(クラッシカ・デッレ・フォリエ・モルテ)」と呼ばれてきたが、昨年から開催時期が早められた。「シーズン最終戦」の座をツアー・オブ・北京に奪われた形だ。
レースの舞台となるのはレース名の通りイタリア北部のロンバルディア州。ベルガモをスタートし、山岳地帯を縫うように進みながらレッコを目指す。コース全長は242km。ワンデーレースながら、標高が1000mを超える本格山岳が登場するのが特徴だ。
最も標高があるヴァルカーヴァ(81km地点・標高1336m)や、マドンナ・デル・ギザッロ(196km地点・標高754m)、そしてゴール直前のヴィッラ・ヴェルガノ(232km地点・標高522m)は健在。
数ある登りの中でも、注目は何と言っても159km地点の「ソルマーノの壁(Muro di Sormano)」だろう。昨年50年ぶりに復活した「壁」は登坂距離1920mで平均勾配15.8%。道は細く、中腹のヘアピンコーナーの部分は最大勾配が27%に達する。
「壁」通過後、毎年落車が多発するテクニカルな下りを経て、名物マドンナ・デル・ギザッロに突入する。サイクリストの聖地として知られるギザッロ教会に向かって、コモ湖畔から8.6kmかけて標高差532mを駆け上がる。平均勾配6.2%・最大勾配14%のこの登りで有力選手が動くだろう。
ギザッロ通過後、短い平坦路を挟んで、選手たちは平均勾配7.4%・最大勾配15%・標高差243m・登坂距離3.3kmのヴェルガノに突入。他の登りと比較すると距離は短いが、このヴェルガノ頂上からゴールまでは9kmしかない。ソルマーノとギザッロで絞り込まれた集団の中から、このヴェルガノで飛び出した数名、もしくは単独の選手がレッコまで逃げることになるだろう。
世界チャンピオンをはじめ、クラシックハンターが集結
距離が長く、登りも多い。フィレンツェで開催されたロード世界選手権と同様に、そんな厳しいコースで活躍するのはグランツールで総合優勝を争うようなクライマーやオールラウンダーたちだ。
1週間前にアルカンシェルを手にしたばかりのルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)は、世界選手権での走りに批判が集まったアレハンドロ・バルベルデ(スペイン)とともに出場。モビスターからは更にツール総合2位のナイロ・クインターナ(コロンビア)も出場する。モビスターの戦闘力の高さはプロトン随一だ。
昨年、豪雨の中で優勝したホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)は、このロンバルディアで世界選手権のリベンジを誓う。同様にヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)もモチベーション高くシーズン終盤のビッグタイトルを狙っているはずだ。
直前のミラノ〜トリノで優勝したディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)は、ミケーレ・スカルポーニ(イタリア)とダミアーノ・クネゴ(イタリア)を引き連れての出場。ランプレ・メリダはシーズン後半にかけて勢いをつけている。
世界選手権で見せ場を作ることなくリタイアしたアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)やクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)、ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ)らも勝負に絡んでくるだろう。
スペインやイタリア勢に注目が集まりがちだが、クインターナを筆頭にしたコロンビア勢も屈強だ。落車で世界選手権のチャンスを失ったリゴベルト・ウラン(コロンビア、スカイプロサイクリング)やカルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アージェードゥーゼル)らも顔を揃える。
2009年と2010年大会の優勝者フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)はカデル・エヴァンス(オーストラリア)とともに出場。アルカンシェルの呪縛から解き放たれた今、ジルベールは再び波に乗れるか。ダークホースとしては、近年めきめきと登坂力をつけているペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)にも注目したい。
text:Kei Tsuji
最大勾配27%の「ソルマーノの壁」再び登場
今年で開催107回目を迎えるイル・ロンバルディア(ジロ・ディ・ロンバルディア)。第1回大会が開催されたのは1905年のこと。ミラノ〜サンレモ(1907年〜)、ロンド・ファン・フラーンデレン(1913年〜)、パリ〜ルーベ(1896年〜)、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ(1892年〜)と並んで「モニュメント」と称される伝統の一戦だ。
長年にわたって10月中旬に開催され、「落ち葉のクラシック(クラッシカ・デッレ・フォリエ・モルテ)」と呼ばれてきたが、昨年から開催時期が早められた。「シーズン最終戦」の座をツアー・オブ・北京に奪われた形だ。
レースの舞台となるのはレース名の通りイタリア北部のロンバルディア州。ベルガモをスタートし、山岳地帯を縫うように進みながらレッコを目指す。コース全長は242km。ワンデーレースながら、標高が1000mを超える本格山岳が登場するのが特徴だ。
最も標高があるヴァルカーヴァ(81km地点・標高1336m)や、マドンナ・デル・ギザッロ(196km地点・標高754m)、そしてゴール直前のヴィッラ・ヴェルガノ(232km地点・標高522m)は健在。
数ある登りの中でも、注目は何と言っても159km地点の「ソルマーノの壁(Muro di Sormano)」だろう。昨年50年ぶりに復活した「壁」は登坂距離1920mで平均勾配15.8%。道は細く、中腹のヘアピンコーナーの部分は最大勾配が27%に達する。
「壁」通過後、毎年落車が多発するテクニカルな下りを経て、名物マドンナ・デル・ギザッロに突入する。サイクリストの聖地として知られるギザッロ教会に向かって、コモ湖畔から8.6kmかけて標高差532mを駆け上がる。平均勾配6.2%・最大勾配14%のこの登りで有力選手が動くだろう。
ギザッロ通過後、短い平坦路を挟んで、選手たちは平均勾配7.4%・最大勾配15%・標高差243m・登坂距離3.3kmのヴェルガノに突入。他の登りと比較すると距離は短いが、このヴェルガノ頂上からゴールまでは9kmしかない。ソルマーノとギザッロで絞り込まれた集団の中から、このヴェルガノで飛び出した数名、もしくは単独の選手がレッコまで逃げることになるだろう。
世界チャンピオンをはじめ、クラシックハンターが集結
距離が長く、登りも多い。フィレンツェで開催されたロード世界選手権と同様に、そんな厳しいコースで活躍するのはグランツールで総合優勝を争うようなクライマーやオールラウンダーたちだ。
1週間前にアルカンシェルを手にしたばかりのルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)は、世界選手権での走りに批判が集まったアレハンドロ・バルベルデ(スペイン)とともに出場。モビスターからは更にツール総合2位のナイロ・クインターナ(コロンビア)も出場する。モビスターの戦闘力の高さはプロトン随一だ。
昨年、豪雨の中で優勝したホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)は、このロンバルディアで世界選手権のリベンジを誓う。同様にヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)もモチベーション高くシーズン終盤のビッグタイトルを狙っているはずだ。
直前のミラノ〜トリノで優勝したディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)は、ミケーレ・スカルポーニ(イタリア)とダミアーノ・クネゴ(イタリア)を引き連れての出場。ランプレ・メリダはシーズン後半にかけて勢いをつけている。
世界選手権で見せ場を作ることなくリタイアしたアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)やクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)、ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ)らも勝負に絡んでくるだろう。
スペインやイタリア勢に注目が集まりがちだが、クインターナを筆頭にしたコロンビア勢も屈強だ。落車で世界選手権のチャンスを失ったリゴベルト・ウラン(コロンビア、スカイプロサイクリング)やカルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アージェードゥーゼル)らも顔を揃える。
2009年と2010年大会の優勝者フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)はカデル・エヴァンス(オーストラリア)とともに出場。アルカンシェルの呪縛から解き放たれた今、ジルベールは再び波に乗れるか。ダークホースとしては、近年めきめきと登坂力をつけているペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)にも注目したい。
text:Kei Tsuji
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