2009/07/12(日) - 10:55
ピレネー2日目、ツール・ド・フランス第8ステージは、逃げたルイスレオン・サンチェス(スペイン、ケースデパーニュ)が4名のスプリントを制し、2年連続のステージ優勝を飾った。有力選手たちも攻撃を仕掛けたが、いずれも成功せずに総合成績に変動は無し。日本人選手2名はグルペットで完走した。
アンドラ公国からピレネー山脈を越えてフランスにゴールする第8ステージ。途中、1級山岳アンバリラ峠、2級山岳ポルト峠、1級山岳アニエス峠の3つの山岳を越える。最後のアニエス峠はゴールまで41km離れているため、総合争いにおける絶好の攻撃チャンスとは言えない。しかしレースは序盤から総合争いの思惑が絡む動きが続発した。
この日はスタート直後から、ピレネー山脈で最も標高のあるアンバリラ峠(標高2408m)の登坂スタート。晴れ渡る空の下、0km地点からアタック合戦が繰り広げられた。
カデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)やアンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)と言った総合狙いの選手たちもアタックに加わり、一人抜け出したサンディ・カザール(フランス、フランセーズデジュー)が単独でこのアンバリラ峠を登頂する。これをエヴァンスを含む5名の追走グループが追いかける展開に。
Aシュレクは集団に戻ったが、エヴァンスが先行していることでアスタナとアージェードゥーゼルがメイン集団のスピードを弱めない。このハイペースに有力スプリンターや新城幸也(Bboxブイグテレコム)、別府史之(スキル・シマノ)は脱落。日本人選手2名はグルペットを形成してゴールまで乗り切った。
アンバリラ峠の下りで集団から飛び出したのはファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)やトル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ)。この重量級選手は前を逃げるエヴァンスらを捉え、更に先頭のカザールも合流。先頭では10名の逃げグループが形成された。
アンバリラ峠でスプリンターが軒並み遅れる中、フースホフトは先頭グループに入り、そして2つのスプリントポイントでポイントを加算。これによりフースホフトはポイント賞ランキングトップに躍り出ている。
エヴァンスが逃げていることで集団のスピードは落ちず、ライバルを振り切れなかったエヴァンスは結局65km地点で吸収。諦めずに逃げ続けた6名に、集団から新たに飛び出した4名が加わり、10名の先頭グループが再編成された。
ウラディミール・エフィムキン(ロシア、アージェードゥーゼル)やミハイル・イグナチエフ(ロシア、カチューシャ)、ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ケースデパーニュ)を含むこの先頭グループは徐々にメイン集団を引き離し、カザールを先頭に2級山岳ポルト峠をクリア。先頭から遅れたフースホフトを飲み込んだメイン集団は3分遅れでこの頂上を越えた。
やがてこの日最後のカテゴリー山岳、1級山岳アニエス峠の上りが始まると、それまでアスタナとアージェードゥーゼルがコントロールしていたメイン集団が俄に動き始める。サクソバンクがペースを上げると、Aシュレクがそのままアタック。
このAシュレクのペースアップによりメイン集団は20名弱に絞られ、マイヨジョーヌのリナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル)は脱落してしまう。
ノチェンティーニは窮地に陥ったが、アタックが成功しないメイン集団が再びペースを落とすと何とかこれに合流。結局サクソバンク勢の攻撃は不発に終わり、メイン集団はアスタナが引いてこのアニエス峠を越えた。
先頭グループはこのアニエス峠でミケル・アスタルロサ(スペイン、エウスカルテル)、エフィムキン、LLサンチェス、カザールの4名に絞られ、メイン集団を2分30秒引き離してゴールへ。メイン集団は逃げ吸収に興味を示さず、4名に先行を許した。
逃げグループの中で、先頭交代に加わらなかったのは、メイン集団にマイヨジョーヌを残しているエフィムキン。ゴールまで残り5kmを切るとアスタルロサのアタックで協調体制は崩壊し、続いて飛び出したのはエフィムキン。先頭交代に加わらずに脚を貯めていたエフィムキンが独走を開始した。
逃げるエフィムキンと追い上げるLLサンチェス、カザール、アスタルロサ。しかしエフィムキンはラスト300mで息絶え、捉えたLLサンチェスとカザールがスプリント勝負を繰り広げてゴール。故意に先行させたカザールを、落ち着いて抜き去ったLLサンチェスが天を指差してゴールした。
LLサンチェスはツールで2年連続ステージ優勝。タイムトライアルと山岳を得意とするオールラウンダーで、ダウンヒルのスペシャリストとしても知られる。昨年のツール第7ステージでは、終盤のダウンヒルで一人抜け出して勝利を飾った。
この日チームエースのオスカル・ペレイロ(スペイン)がレース中盤にリタイア。バルベルデもいない、ペレイロもいないケースデパーニュを率いるのはこのLLサンチェスだ。昨年と同様、4年前に亡くなった兄を想い、天を指差してゴールに飛び込んだ。
序盤から積極的に動いたカザールは、僅差で自身2度目のステージ優勝を逃した。敢闘賞を獲得したことは唯一の救い。3つのカテゴリー山岳で山岳ポイントを稼いだカザールは、山岳賞ランキング5位に浮上している。
メイン集団は1分54秒遅れでゴール。エヴァンスやAシュレクの攻撃は実らず、総合成績は動かず。アスタナの牙城を崩すべく、ライバルたちはこれからも積極的に動いてくるだろう。
別府史之と新城幸也は23分02秒遅れのグルペットでゴールした。マイヨヴェールはこのグルペットでゴールしたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア・HTC)から、この日ポイントを稼いだフースホフトの手に渡っている。
平坦コースでポイントを伸ばすカヴと、平坦コースで上位入賞を繰り返しながら山岳コースでもポイントを稼ぐフースホフト。両者のマイヨヴェール争いはパリまでもつれ込みそうだ。
マイヨアポワは前日にステージ優勝を飾ったブリース・フェイユ(フランス、アグリチュベル)から、序盤の逃げグループに入ったクリストフ・ケルヌ(フランス、コフィディス)の手に渡っている。
ツール・ド・フランス2009第8ステージ結果
1位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ケースデパーニュ)4h31'50"
2位 サンディ・カザール(フランス、フランセーズデジュー)
3位 ミケル・アスタルロサ(スペイン、エウスカルテル)
4位 ウラディミール・エフィムキン(ロシア、アージェードゥーゼル)+03"
5位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、ケースデパーニュ)+1'54"
6位 クリストフ・リブロン(フランス、アージェードゥーゼル)
7位 ピーター・ベリトス(スロバキア、ミルラム)
8位 セバスティアン・ミナール(フランス、コフィディス)
9位 ジェレミー・ロワ(フランス、フランセーズデジュー)
10位 トマ・ヴォクレール(フランス、Bboxブイグテレコム)
125位 別府史之(日本、スキル・シマノ)+23'02"
146位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)+23'02"
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 リナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル)30h18'16"
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)+06"
3位 ランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ)+08"
4位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、アスタナ)+39"
5位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、ガーミン)+46"
6位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)+54"
7位 トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア・HTC)+1'00"
8位 クリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン)+1'24"
9位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)+1'49"
10位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)+1'54"
154位 別府史之(日本、スキル・シマノ)+58'41"
159位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)+59'42"
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ)117pts
2位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア・HTC)106pts
3位 ゲラルド・チオレック(ドイツ、ミルラム)66pts
20位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)30pts
46位 別府史之(日本、スキル・シマノ)18pts
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 クリストフ・ケルヌ(フランス、コフィディス)59pts
2位 エゴイ・マルティネス(スペイン、エウスカルテル)54pts
3位 ブリース・フェイユ(フランス、アグリチュベル)49pts
マイヨブラン(新人賞)
1位 トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア・HTC)30h19'16"
2位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)+49"
3位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)+54"
チーム総合成績
1位 アージェードゥーゼル 89h21'00"
2位 アスタナ +03"
3位 チームコロンビア・HTC +4'45"
第8ステージ敢闘賞
サンディ・カザール(フランス、フランセーズデジュー)
アンドラ公国からピレネー山脈を越えてフランスにゴールする第8ステージ。途中、1級山岳アンバリラ峠、2級山岳ポルト峠、1級山岳アニエス峠の3つの山岳を越える。最後のアニエス峠はゴールまで41km離れているため、総合争いにおける絶好の攻撃チャンスとは言えない。しかしレースは序盤から総合争いの思惑が絡む動きが続発した。
この日はスタート直後から、ピレネー山脈で最も標高のあるアンバリラ峠(標高2408m)の登坂スタート。晴れ渡る空の下、0km地点からアタック合戦が繰り広げられた。
カデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)やアンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)と言った総合狙いの選手たちもアタックに加わり、一人抜け出したサンディ・カザール(フランス、フランセーズデジュー)が単独でこのアンバリラ峠を登頂する。これをエヴァンスを含む5名の追走グループが追いかける展開に。
Aシュレクは集団に戻ったが、エヴァンスが先行していることでアスタナとアージェードゥーゼルがメイン集団のスピードを弱めない。このハイペースに有力スプリンターや新城幸也(Bboxブイグテレコム)、別府史之(スキル・シマノ)は脱落。日本人選手2名はグルペットを形成してゴールまで乗り切った。
アンバリラ峠の下りで集団から飛び出したのはファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)やトル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ)。この重量級選手は前を逃げるエヴァンスらを捉え、更に先頭のカザールも合流。先頭では10名の逃げグループが形成された。
アンバリラ峠でスプリンターが軒並み遅れる中、フースホフトは先頭グループに入り、そして2つのスプリントポイントでポイントを加算。これによりフースホフトはポイント賞ランキングトップに躍り出ている。
エヴァンスが逃げていることで集団のスピードは落ちず、ライバルを振り切れなかったエヴァンスは結局65km地点で吸収。諦めずに逃げ続けた6名に、集団から新たに飛び出した4名が加わり、10名の先頭グループが再編成された。
ウラディミール・エフィムキン(ロシア、アージェードゥーゼル)やミハイル・イグナチエフ(ロシア、カチューシャ)、ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ケースデパーニュ)を含むこの先頭グループは徐々にメイン集団を引き離し、カザールを先頭に2級山岳ポルト峠をクリア。先頭から遅れたフースホフトを飲み込んだメイン集団は3分遅れでこの頂上を越えた。
やがてこの日最後のカテゴリー山岳、1級山岳アニエス峠の上りが始まると、それまでアスタナとアージェードゥーゼルがコントロールしていたメイン集団が俄に動き始める。サクソバンクがペースを上げると、Aシュレクがそのままアタック。
このAシュレクのペースアップによりメイン集団は20名弱に絞られ、マイヨジョーヌのリナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル)は脱落してしまう。
ノチェンティーニは窮地に陥ったが、アタックが成功しないメイン集団が再びペースを落とすと何とかこれに合流。結局サクソバンク勢の攻撃は不発に終わり、メイン集団はアスタナが引いてこのアニエス峠を越えた。
先頭グループはこのアニエス峠でミケル・アスタルロサ(スペイン、エウスカルテル)、エフィムキン、LLサンチェス、カザールの4名に絞られ、メイン集団を2分30秒引き離してゴールへ。メイン集団は逃げ吸収に興味を示さず、4名に先行を許した。
逃げグループの中で、先頭交代に加わらなかったのは、メイン集団にマイヨジョーヌを残しているエフィムキン。ゴールまで残り5kmを切るとアスタルロサのアタックで協調体制は崩壊し、続いて飛び出したのはエフィムキン。先頭交代に加わらずに脚を貯めていたエフィムキンが独走を開始した。
逃げるエフィムキンと追い上げるLLサンチェス、カザール、アスタルロサ。しかしエフィムキンはラスト300mで息絶え、捉えたLLサンチェスとカザールがスプリント勝負を繰り広げてゴール。故意に先行させたカザールを、落ち着いて抜き去ったLLサンチェスが天を指差してゴールした。
LLサンチェスはツールで2年連続ステージ優勝。タイムトライアルと山岳を得意とするオールラウンダーで、ダウンヒルのスペシャリストとしても知られる。昨年のツール第7ステージでは、終盤のダウンヒルで一人抜け出して勝利を飾った。
この日チームエースのオスカル・ペレイロ(スペイン)がレース中盤にリタイア。バルベルデもいない、ペレイロもいないケースデパーニュを率いるのはこのLLサンチェスだ。昨年と同様、4年前に亡くなった兄を想い、天を指差してゴールに飛び込んだ。
序盤から積極的に動いたカザールは、僅差で自身2度目のステージ優勝を逃した。敢闘賞を獲得したことは唯一の救い。3つのカテゴリー山岳で山岳ポイントを稼いだカザールは、山岳賞ランキング5位に浮上している。
メイン集団は1分54秒遅れでゴール。エヴァンスやAシュレクの攻撃は実らず、総合成績は動かず。アスタナの牙城を崩すべく、ライバルたちはこれからも積極的に動いてくるだろう。
別府史之と新城幸也は23分02秒遅れのグルペットでゴールした。マイヨヴェールはこのグルペットでゴールしたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア・HTC)から、この日ポイントを稼いだフースホフトの手に渡っている。
平坦コースでポイントを伸ばすカヴと、平坦コースで上位入賞を繰り返しながら山岳コースでもポイントを稼ぐフースホフト。両者のマイヨヴェール争いはパリまでもつれ込みそうだ。
マイヨアポワは前日にステージ優勝を飾ったブリース・フェイユ(フランス、アグリチュベル)から、序盤の逃げグループに入ったクリストフ・ケルヌ(フランス、コフィディス)の手に渡っている。
ツール・ド・フランス2009第8ステージ結果
1位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ケースデパーニュ)4h31'50"
2位 サンディ・カザール(フランス、フランセーズデジュー)
3位 ミケル・アスタルロサ(スペイン、エウスカルテル)
4位 ウラディミール・エフィムキン(ロシア、アージェードゥーゼル)+03"
5位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、ケースデパーニュ)+1'54"
6位 クリストフ・リブロン(フランス、アージェードゥーゼル)
7位 ピーター・ベリトス(スロバキア、ミルラム)
8位 セバスティアン・ミナール(フランス、コフィディス)
9位 ジェレミー・ロワ(フランス、フランセーズデジュー)
10位 トマ・ヴォクレール(フランス、Bboxブイグテレコム)
125位 別府史之(日本、スキル・シマノ)+23'02"
146位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)+23'02"
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 リナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル)30h18'16"
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)+06"
3位 ランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ)+08"
4位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、アスタナ)+39"
5位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、ガーミン)+46"
6位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)+54"
7位 トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア・HTC)+1'00"
8位 クリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン)+1'24"
9位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)+1'49"
10位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)+1'54"
154位 別府史之(日本、スキル・シマノ)+58'41"
159位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)+59'42"
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ)117pts
2位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア・HTC)106pts
3位 ゲラルド・チオレック(ドイツ、ミルラム)66pts
20位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)30pts
46位 別府史之(日本、スキル・シマノ)18pts
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 クリストフ・ケルヌ(フランス、コフィディス)59pts
2位 エゴイ・マルティネス(スペイン、エウスカルテル)54pts
3位 ブリース・フェイユ(フランス、アグリチュベル)49pts
マイヨブラン(新人賞)
1位 トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア・HTC)30h19'16"
2位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)+49"
3位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)+54"
チーム総合成績
1位 アージェードゥーゼル 89h21'00"
2位 アスタナ +03"
3位 チームコロンビア・HTC +4'45"
第8ステージ敢闘賞
サンディ・カザール(フランス、フランセーズデジュー)
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