休息日前のピレネー3連戦の締めくくりとなる第16ステージ。ゴールを制したのは第13ステージに続きワレン・バーギル(フランス、アルゴス・シマノ)。ニーバリは調子を崩し、総合2位に差を詰められたが総合1位をキープ。山岳賞はエデ、ポイント賞はバルベルデ、複合賞はホーナーが維持した。

ステージ優勝のワレン・バーギル(フランス、アルゴス・シマノ)

ステージ2勝目を上げたワレン・バーギル(フランス、アルゴス・シマノ)ステージ2勝目を上げたワレン・バーギル(フランス、アルゴス・シマノ) photo:Cor.Vos(最後のスプリント勝負について)実はちょっと体調が悪かった。昨日も調子は良くなかった。アレクサンドル・ジェニエ(フランス、FDJ.fr)のグループに吸収されたときに、10以内でゴールしようとこだわるのもムダだろうと考えた。今日は自制することも考えた。だけど、我慢できなくて先行してしまった。最後の山岳でトップを単独で走っていたときに、リゴベルト・ウラン(コロンビア、スカイプロサイクリング)が追いついてきて、そのままアタックを仕掛けられた。

2度目の表彰台に立つワレン・バーギル(フランス、アルゴス・シマノ)2度目の表彰台に立つワレン・バーギル(フランス、アルゴス・シマノ) photo:Cor.Vos彼との駆け引きは一種のメンタルゲームだった。スプリントについては、彼をうまく誘導できたと思う。あの作戦は、昨年、(元ジュニアの世界チャンピオンの)オリヴィエ・ル・ガク(フランス、FDJ.fr)と似たような状況になったときに負けてしまった経験に基づいたものだ。けっこう大変だった。すでにステージ1勝という栄誉は手に入れていたけど、勝ちたいという欲求はまったく収まらなかった。勝利は素晴らしい!

(モチベーションを高く維持するコツは?)ギブアップは自分のスタイルじゃない。昨日は最初の登りでがんばりすぎた。その消耗からはしっかり快復できているけど、この2日間の雨の影響が大きい。監督からは今日は誰かの後ろについて走るように言われたのだけど、走って勝負するほうを選んでしまった。先頭を走るのは途方もなく楽しいからだ。

(第13ステージでの優勝ではチャンピン誕生という表現を否定していたが?)まだ自分でもブエルタでステージ優勝したことを信じられない。自宅に戻ったときに--それが次の月曜日だったらなおさらうれしいのだけど、自分の最初の目標を達成したことと、そしてブエルタを完走したことを実感するのだと思う。ステージ2勝あるいは……。また挑戦してみるつもりだが、どうなるかはわからない。

(このブエルタで印象的な選手は?)強烈に印象に残る選手が数名いる。ひとりはアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)だ。彼はとても素晴らしい選手だ。もっと印象が強かったのがティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)。彼は登坂のときに、グループの最後方にいても前方でゴールする。ぼくよりたった1歳だけ年上なのに!

(フランス人の若手選手が台頭していると感じる?)まちがいない。今年のツールでロメン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼル)が活躍したのを見たおかげで、このブエルタでのぼくのモチベーションが高まった。アルノー・デマル(フランス、FDJ.fr)などのスプリンターたちとの勝負は、アマチュアの上手くない選手たちとの勝負とは大きく異なるのだと実感した。

いまはアルゴス・シマノのチーム内での競争も良い刺激になっている。マルセル・キッテル(ドイツ)のツールでのステージ4勝も、ぼくにとって大きな刺激だった。ぼくたちのような若手のグループで妙な緊張もなく、純粋にレースをするのは、とても楽しい。ブエルタの序盤からずっと、ぼくたちのあいだには言い争いなどもひとつもない。


総合1位のヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)

遅れてゴールするヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)遅れてゴールするヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Cor.Vosゴールするのが厳しいステージだった。向かい風にずっと苦しんでいた。残り2kmで大きくタイムを失った。もう少しマシに走れるかと思っていたけど、この3日間のステージでチームメイトたちは消耗しきっていて、レースのコントロールでかなりの体力を使ってしまったことも大きい。

このマイヨロホのジャージは、いま自分の肩にズシリと重くのしかかっている。初日からずっとそう感じている。今年のブエルタはとてもハードだ。だけど、まだ楽観的ではいられる。今後の山岳ステージは、今日よりもぼくに向いている。よりハードなステージではあるけど。


スタート地点に現れたクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)スタート地点に現れたクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード) photo:Cor.Vos複合賞・総合2位のクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)

良い日だった。ニーバリ(イタリア、アスタナ)との差を22秒詰めることができた。徐々に総合1位に近づけている。ゴール間際では、あの場にいた全員がプリト[ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)]に苦しめられた。ニーバリが一時的に落ちた原因はわからない。疲れていたからかもしれない。いずれにせよ、そのおかげでぼくのモチベーションが高まった。


ポイント賞・総合3位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)

ライバルとともに上るアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)ライバルとともに上るアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:Cor.Vos昨日は我ながらしっかり防衛できたと思う。今日は天気も良く、自分の調子も良かった。チームとしてはあまり大きな逃げを容認せずに、ぼくのステージ優勝を狙うつもりだった。でも、逃げにチームから3名が入って、ホセ・エラーダ(スペイン)の調子が良かったこともあって、彼にチャンスを託した。結果としては、彼のライバルたちのほうが強かったため、残念ながら彼に勝利の栄冠は輝かなかった。

ティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)らを振り切ってゴールするアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)ティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)らを振り切ってゴールするアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:Cor.Vos登りの最終区間が始まるあたりで前に上がって、なにが起きるかを確認しようと思った。でも、向かい風が強くて、不可能だった。プリト[ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)]がアタックしたときは、ニーバリ(イタリア、アスタナ)の反応を待った。でも、ニーバリはサドルに座ったままで動かなかったので、できるだけ全力で走ってホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)に追いついた。ぼくたち(ホーナーとバルベルデ)にはボーナスタイムは付かなかったけど、28秒のタイムを稼げただけでも充分だ。

昨日までの2つのステージは寒さと雨、長距離、それに厳しい登りのおかげで本当にハードだった。それだけに、今日のステージでタイム差をかなり詰められたのは大きい。この連戦で、どの選手も脚が少し鈍っていて、これをうまく利用できた。昨日は有力選手に付いていけたことで満足だったが、今日はさらに良い気分だ。


1級山岳サジェント・デ・ガジェゴで先頭バーギルを追い上げるリゴベルト・ウラン(コロンビア、スカイプロサイクリング)1級山岳サジェント・デ・ガジェゴで先頭バーギルを追い上げるリゴベルト・ウラン(コロンビア、スカイプロサイクリング) photo:Kei Tsuji山岳賞のニコラ・エデ(フランス、コフィディス)

最初の山岳の山頂を通過したときに、リードが大きく広がった。しっかり快復していると思う。明日の休息日以降は、うまく逃げられるステージを見つけて、たくさんの山岳ポイントを稼ぎたい。


ステージ2位のリゴベルト・ウラン(コロンビア、スカイプロサイクリング)

ステージ優勝を狙ってトライした。明日の休息日の後で、また挑戦してみたいと思う。バーギル(フランス、アルゴス・シマノ)は本当に強かった。とても感銘を受けた。彼は単に強いだけではなく、戦略もしたたかだ。あのスプリントは見事だった。


総合4位・ステージ17位のホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)

1級山岳サジェント・デ・ガジェゴでアタックを仕掛けるホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)1級山岳サジェント・デ・ガジェゴでアタックを仕掛けるホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) photo:Kei Tsuji自分向けの山岳ではなかったが満足な結果だ。できるだけの努力をした結果、少しだけタイム差を縮めたが、あまり意味はなかった。とくにヴィンチェンツォ(イタリア、アスタナ)に対しては。メンタルの調子も良いし、身体も満足に動けている。今日のレースはずっとペースが速く、自分を含めて、選手たちの顔はみな疲れ気味だった。

自転車レースの世界では、2+2=4という法則は成立しない。当たり障りがないと思われたこのステージで大きな差がついてしまった。これまでずっと厳しいステージが続いていた。とくカステルデフェルスがゴールの第13ステージは厳しかった。疲れた。本当に疲れた。テレビで見ている人にとっては、ぼくたちがレース中に止まって休憩しているような印象を受けるかもしれない。でも、申し訳ないが、そういうときの選手はかなりハードな時間を体験している。

この後には2つの厳しいゴールが、ぼくを歓迎しようと待ち構えている。とくにアングリルはクライマーであるぼくを手厳しく歓迎しようとしている。


総合5位のドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼル)

総合5位のドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼル)総合5位のドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼル) photo:Cor.Vosコースプロファイルを確認した段階では、自分にとって素晴らしいステージになると思わなかった。自分の総合順位を維持するためにベストを尽くした。実力もしっかり出せたと思う。次の山岳ステージでもしっかり走れるようにがんばりたい。

今日は熾烈な争いがあると予想していたが、だけどニーバリ(イタリア、アスタナ)向けの山岳だっただけに、彼がタイムを失うとは思わなかった。彼はレースをしっかりコントロールしていたし、調子もすごく良かった。疲労を感じている選手は多い。ぼくの調子は悪くはない。すべては第20ステージのアングリルで決まることになるだろう。


総合7位のティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)

今日は本当に調子が良かった。ステージ優勝に絡めなかったのが残念だ。総合上位の選手たちが、これまでの山岳ステージで逃げを容認している理由がわからない。もっと総合優勝候補の選手たちのバトルがあっても良いと思う。今日はステージ19位でゴールした。素晴らしい成績ではないが、現在の直接的なライバルに少しタイム差を付けることができた。ほんの数秒差であっても、自分のモチベーションを高めるのには有効だ。だけど、まだステージ優勝していないことが心残りだ。


ステージ4位のドミニク・ネルツ(ドイツ、BMCレーシングチーム)
ステージ優勝を逃したドミニク・ネルツ((ドイツ、BMCレーシングチーム))ステージ優勝を逃したドミニク・ネルツ((ドイツ、BMCレーシングチーム)) photo:Cor.Vos
昨日までの2日間は自分にとって本当にハードだった。そのせいで少し力不足になってしまったため、優勝できなかったのかもしれない。もう少し差を詰められると思ったが、残り300mでは向かい風が本当に強かった。ネットアップの選手[バルトス・フザルスキー(ポーランド、ネットアップ・エンドゥーラ)]に後ろから追いつかれたときに、気持ちがすっかり折れてしまった。こういうステージ優勝を狙えるチャンスは、いつも得られるわけではないので、少し残念だ。


ステージ5位・総合13位のホセ・エラーダ(スペイン、モビスター)

個人的な意見だけど、今日の逃げが分断されたのは、数名の選手がバイクカメラの後ろについたからだろう。最後の山岳では、ぼくたちは12人いた。逃げが分断されたおかげで、長い距離の斜面を走って(グループに)復帰しなければならなかった。走るだけでも苦しかったので、そこでかなり消耗してしまった。

この3日間はずっと全力で走っている--今日はピレネー3連戦のなかでも簡単なステージと思われていたが、ぼくたちはハードなステージになるだろうと予想していた。その証拠に(この3連戦で)大きな差がついたのは今日のステージだけだった。

明日は休息日だけど、ぼくたちにはやるべきことがある。今日はステージ優勝できなかったけれど、ブエルタは本当に素晴らしい。今後はできるだけアレハンドロ(スペイン)に近い順位にとどまれるようにがんばりたい。これまでのレースの出来には満足している。このレースでの残りの1分1秒を大切にして、(アレハンドロの)総合優勝に向けてがんばりたい。


総合14位のミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・メリダ)

ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・メリダ)のKOOFU WG-1ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・メリダ)のKOOFU WG-1 photo:Kei Tsuji今年のブエルタは驚きの連続だ。毎日なにかが起きている。今日はニーバリ(イタリア、アスタナ)の身に降りかかったことに驚いている。彼はずっと好調に走っていたが、最後の区間でタイムを失った。これでホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)が本格的に彼のライバルになってしまった。バルベルデ(スペイン、モビスター)もロドリゲス(スペイン、カチューシャ)もまだまだ可能性はある。

それに大勢の若者が台頭もめざましい。バーギル(フランス、アルゴス・シマノ)は今日も勝った! ブエルタの序盤のうちは、ぼくは他の総合優勝候補者たちと変わらない条件にいた。でも、シエラネバダ[第9ステージ]ですべてのチャンスを失った。第3週にはステージで良い結果を出したい。ぼくたちランプレ・メリダは、昨日のぼくのように、せいぜい良くてもステージ2位止まりで終わっている。


落車したニキ・セレンセン(デンマーク、サクソ・ティンコフ)

先導バイクが道路の中央に駐車していることに気づかなかった。それでバイクにぶつかって落車してしまい、手首を痛めてしまった。おそらく2〜3針縫う必要があるだろう。他には、ちょっと頭が痛むくらいで、あとは大丈夫だ。明日が休息日なのは、本当に都合が良かった。


※ソースはレース公式リリース、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。

translation & text: Seiya.YAMASAKI


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