2013/09/02(月) - 22:56
9月31日、第77回GPウエストフランス・プルエー(UCIワールドツアー)がフランスのブルターニュ地方で開催。集団スプリントでフィリッポ・ポッツァート(イタリア、ランプレ・メリダ)が勝利した。落車リタイアした新城幸也(ユーロップカー)の怪我の具合が心配される。
UCIワールドツアーレースのGPウエストフランス・プルエーは、一般サイクリストが参加するシクロスポルティフや女子ロードレース(UCIワールドカップ)を含む「プルエー4日間レース(4 jours de Plouay)」の最後を締めくくるビッグイベント。1931年に第1回大会が開催された歴史ある大会であり、今年開催77回目を迎える。
コースは27kmの周回コースを9周する全長243km。レソ(平均勾配7%・距離1300m)とティマレク(平均勾配7%・距離1000m)の登りが勝負のポイントであり、一日の獲得標高差は2600m弱。スプリンターにチャンスが有るワンデークラシックだ。
出場したのは全UCIプロチームに5つのUCIプロコンチネンタルチームを加えた合計24チーム。ここ数年は毎年のように日本人選手が出場しており、2010年には土井雪広(当時スキル・シマノ)が逃げ、2011年には別府史之(当時レディオシャック)がスプリントで8位に入り、2012年には宮澤崇史(サクソ・ティンコフ)が逃げている。今年は全日本チャンピオンの新城幸也がスタートラインに立った。
スタートしてすぐ、まるで逃げるのが義務であるかのように、地元フランスのUCIプロコンチネンタルチームであるユーロップカーとブルターニュ・セシェ、ソジャサン、コフィディスの4チームが1人ずつ逃げに選手を送り込むことに成功する。周回コースの歓声を受けながら、4名は最大16分半のリードを築いた。
先頭4名は協調して逃げたものの、スプリンターチームの追い上げを振り切ることが出来ず、その試みは最終周回突入前に終わりを告げる。逃げ吸収後はアタックとカウンターアタックの応酬が繰り広げられ、ドリス・デヴェナインス(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)やトム・ドゥムラン(オランダ、アルゴス・シマノ)が一時的に抜け出したものの、決定的なリードは奪えずに吸収される。続いて飛び出したジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)らの逃げも、ティマレクの登りで吸収。
フィニッシュまで5kmを残したティマレク頂上を通過してもなおアタックは続き、ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ)を含む9名が先行。協調体制を築けないまま先頭9名が引き戻されると、残り3kmでフレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)が単独で抜け出した。
時々ダンシングを交えて緩斜面を独走したファンアフェルマートを、およそ70名の大集団が5秒差で追い上げて残り1km。道幅のある最終ストレートに差し掛かると、残り300mでファンアフェルマートは吸収される。
左右に広がった集団先頭からトル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシングチーム)やジャコモ・ニッツォロ(イタリア、レディオシャック・レオパード)、ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、サクソ・ティンコフ)らがそれぞれのラインでスプリントを開始。すると残り100mを切ってから姿を現したポッツァートが先頭のニッツォロに並ぶ。最後の伸びを見せたポッツァートが、フィニッシュラインで片手を挙げた。
2月のトロフェオ・ライグエリア(UCI1.1)と2週間前のコッパ・アゴストーニ(UCI1.1)に続く今シーズン3勝目を飾ったポッツァート。「今日はチームとして最高のレース運びだった。常に集団の先頭に立ち、繰り返されるアタックを全て封じ込めた。何度か落車に巻き込まれそうになって地面に足をついたけど、チームメイトたちのおかげで勝負に復帰。今日のスプリントでは早めの仕掛けが仇となることをヴィチーノ監督と確認し合い、可能な限りライバルたちのスリップストリームに入って、最後の最後にスプリントすることに決めた」と、勝ちレースを振り返る。
ポッツァートの最後のUCIワールドツアーレース勝利は、2010年5月のジロ・デ・イタリアステージ優勝まで遡る。「ビッグレースで勝利出来たことを嬉しく思う。スポンサーをはじめ、これまでサポートしてくれた人々に勝利で報いたいと、この数ヶ月間ずっと勝利を渇望していた。ここからシーズン最後まで、リミッターを外して駆け抜けたいと思う」。ロード世界選手権のイタリア代表入りに向けて良いアピールになったに違いない。
一方、ユーロップカーのエース、トマ・ヴォクレール(フランス)から「最後のスプリントに備え、温存しておくように」と指示を出されていた新城は、最終周回で落車してしまう。集団の前から10番手ほどで下りを走っていた際に落車した新城は、路肩のくぼみに落って肩を強打。さらに背中から右手にかけて擦過傷を負い、その場でレースを去った。
治療を終えた新城は「自分の不注意だった…。すごく調子が良かっただけに、本当に残念です。肩が折れてなければ良いが…。これでシーズンを終えることにはなりたくないので」とコメントする。右肩にヒビまたは骨折の疑いがあるため、翌日専門病院で検査を受けるという。今はただ回復を願うばかりだ。
新城幸也コメントはTeamユキヤ通信・飯島美和より。
GPウエストフランス・プルエー2013結果
1位 フィリッポ・ポッツァート(イタリア、ランプレ・メリダ)
2位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、レディオシャック・レオパード)
3位 サミュエル・ドゥムラン(フランス、アージェードゥーゼル)
4位 ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、ロット・ベリソル)
5位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、サクソ・ティンコフ)
6位 トル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシングチーム)
7位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)
8位 フランシスコホセ・ベントソ(スペイン、モビスター)
9位 ボルト・ボジッチ(スロベニア、アスタナ)
10位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ)
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, Miwa Iijima
UCIワールドツアーレースのGPウエストフランス・プルエーは、一般サイクリストが参加するシクロスポルティフや女子ロードレース(UCIワールドカップ)を含む「プルエー4日間レース(4 jours de Plouay)」の最後を締めくくるビッグイベント。1931年に第1回大会が開催された歴史ある大会であり、今年開催77回目を迎える。
コースは27kmの周回コースを9周する全長243km。レソ(平均勾配7%・距離1300m)とティマレク(平均勾配7%・距離1000m)の登りが勝負のポイントであり、一日の獲得標高差は2600m弱。スプリンターにチャンスが有るワンデークラシックだ。
出場したのは全UCIプロチームに5つのUCIプロコンチネンタルチームを加えた合計24チーム。ここ数年は毎年のように日本人選手が出場しており、2010年には土井雪広(当時スキル・シマノ)が逃げ、2011年には別府史之(当時レディオシャック)がスプリントで8位に入り、2012年には宮澤崇史(サクソ・ティンコフ)が逃げている。今年は全日本チャンピオンの新城幸也がスタートラインに立った。
スタートしてすぐ、まるで逃げるのが義務であるかのように、地元フランスのUCIプロコンチネンタルチームであるユーロップカーとブルターニュ・セシェ、ソジャサン、コフィディスの4チームが1人ずつ逃げに選手を送り込むことに成功する。周回コースの歓声を受けながら、4名は最大16分半のリードを築いた。
先頭4名は協調して逃げたものの、スプリンターチームの追い上げを振り切ることが出来ず、その試みは最終周回突入前に終わりを告げる。逃げ吸収後はアタックとカウンターアタックの応酬が繰り広げられ、ドリス・デヴェナインス(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)やトム・ドゥムラン(オランダ、アルゴス・シマノ)が一時的に抜け出したものの、決定的なリードは奪えずに吸収される。続いて飛び出したジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)らの逃げも、ティマレクの登りで吸収。
フィニッシュまで5kmを残したティマレク頂上を通過してもなおアタックは続き、ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ)を含む9名が先行。協調体制を築けないまま先頭9名が引き戻されると、残り3kmでフレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)が単独で抜け出した。
時々ダンシングを交えて緩斜面を独走したファンアフェルマートを、およそ70名の大集団が5秒差で追い上げて残り1km。道幅のある最終ストレートに差し掛かると、残り300mでファンアフェルマートは吸収される。
左右に広がった集団先頭からトル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシングチーム)やジャコモ・ニッツォロ(イタリア、レディオシャック・レオパード)、ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、サクソ・ティンコフ)らがそれぞれのラインでスプリントを開始。すると残り100mを切ってから姿を現したポッツァートが先頭のニッツォロに並ぶ。最後の伸びを見せたポッツァートが、フィニッシュラインで片手を挙げた。
2月のトロフェオ・ライグエリア(UCI1.1)と2週間前のコッパ・アゴストーニ(UCI1.1)に続く今シーズン3勝目を飾ったポッツァート。「今日はチームとして最高のレース運びだった。常に集団の先頭に立ち、繰り返されるアタックを全て封じ込めた。何度か落車に巻き込まれそうになって地面に足をついたけど、チームメイトたちのおかげで勝負に復帰。今日のスプリントでは早めの仕掛けが仇となることをヴィチーノ監督と確認し合い、可能な限りライバルたちのスリップストリームに入って、最後の最後にスプリントすることに決めた」と、勝ちレースを振り返る。
ポッツァートの最後のUCIワールドツアーレース勝利は、2010年5月のジロ・デ・イタリアステージ優勝まで遡る。「ビッグレースで勝利出来たことを嬉しく思う。スポンサーをはじめ、これまでサポートしてくれた人々に勝利で報いたいと、この数ヶ月間ずっと勝利を渇望していた。ここからシーズン最後まで、リミッターを外して駆け抜けたいと思う」。ロード世界選手権のイタリア代表入りに向けて良いアピールになったに違いない。
一方、ユーロップカーのエース、トマ・ヴォクレール(フランス)から「最後のスプリントに備え、温存しておくように」と指示を出されていた新城は、最終周回で落車してしまう。集団の前から10番手ほどで下りを走っていた際に落車した新城は、路肩のくぼみに落って肩を強打。さらに背中から右手にかけて擦過傷を負い、その場でレースを去った。
治療を終えた新城は「自分の不注意だった…。すごく調子が良かっただけに、本当に残念です。肩が折れてなければ良いが…。これでシーズンを終えることにはなりたくないので」とコメントする。右肩にヒビまたは骨折の疑いがあるため、翌日専門病院で検査を受けるという。今はただ回復を願うばかりだ。
新城幸也コメントはTeamユキヤ通信・飯島美和より。
GPウエストフランス・プルエー2013結果
1位 フィリッポ・ポッツァート(イタリア、ランプレ・メリダ)
2位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、レディオシャック・レオパード)
3位 サミュエル・ドゥムラン(フランス、アージェードゥーゼル)
4位 ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、ロット・ベリソル)
5位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、サクソ・ティンコフ)
6位 トル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシングチーム)
7位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)
8位 フランシスコホセ・ベントソ(スペイン、モビスター)
9位 ボルト・ボジッチ(スロベニア、アスタナ)
10位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ)
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, Miwa Iijima
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